どないやねんのオンパレード、第11話。10話もの間悩まされ続けてきたものが雰囲気で打開されるという、ある意味ありがちな展開ではあるのだが、この突っ込み待ちな感じはなかなか容赦無い。「封印なんて気で吹き飛ばしちまえばいいのさ!」「なるほど、そうか!」→かめはめ波。おい宗朗。
教科書通りの最終回1話前。この「もうとにかくまとめちゃうから」感は戦隊シリーズの最終回前に繋がるものがある。敵の強さがどうとか、味方の窮状がどうとか、これまで築き上げてきた一切合切を、とにかく「最後に巨悪と戦うから、その1点に集約させますね」という容赦無いまとめっぷり。正直、今回だけを見ても分からないことが目白押しである。まずは上で突っ込んだ宗朗の封印。ずっと悩んできた今期最大の問題であり、わざわざ武蔵が大切に持ってきた呪符を目の前で焼き捨てられてしまうという絶望的なシーンまで演出しておきながら、「いや、それ気合いで解けるから」という恐ろしい回答。そりゃま、確かにこれまで「気合いでどうにかしよう」と思ったシーンは無かったかもしれないけども。でも慶次との気の修行の間とかに気付いてもよさそうなもんだけどな。それとも、十兵衛たちのピンチを見て宗朗のヒーローパワーも一気に成長したということなのかしらね。
そして、もう1つ分からんのが鎮護石を巡る駆け引きである。ややこしい奸計を巡らせていたのは相変わらずの嘉彦様で、①あからさまに胡散臭い罠的なロケーションで又右衛門を釣る、という作戦は冷静な小次郎が荷担したことによって失敗。しかし、②実は鎮護石を攻められても大して問題じゃなかった、という驚きのどんでん返しを披露。どうやら鎮護石そのものはやたらとディフェンスの高い物体だった模様。まぁ、そうじゃないと大日本悠久の歴史を支えたりは出来なかったんだろうけども。そして、そんな鎮護石本体に相手が手こずっている間に、完璧な防御結界を完成させる手はずが整い、ものの一時間で誰にも破壊出来ない完璧な結界が出来上がるとのこと。素晴らしい段取りである。
で、相手方の巨悪(以下正体もよく分かってなくて面倒なので『ラスボス』と呼称)もそのことに気付いたのかどうなのか、これまで単独活動を認めて諜報や破壊活動を任せていたダークサムライたちを結集させ、最後の大決戦に挑む巨大化形態を準備。それこそ戦隊シリーズのラストバトルである。ラスボスの目的は、鎮護石の破壊よりも嘉彦が画策する結界の破壊なのだろうか。結界呪法を打ち砕くためには何をしたらいいのかよく分からんし、さっさと鎮護石本体を叩いた方が早いんだろうけど。小次郎たち単体ではかすり傷しか付けられなかったが、あの巨大ロボの破壊力だったら何とかなるだろう。
結局、ラスボスは「大日本に仇なす邪悪な意志の集合体」ということでいいのだろうか。その中心に具体的な人物が居る様子はないのだが、意志自体がちゃんとしゃべってるんだから、誰か歴史的な大悪人をまとめ役に用意していてもいいと思うのだが。ラスボスの声はエフェクトのせいで誰なのかよく分からないんだけども、キャスト表に乗ってないから誰かの兼ね役だよな。ちなみに、キャストが他にいないおかげで嘉彦配下オペレーターのキャストが無駄に豪華なのがちょっと笑えるのである。
で、そんなこんなで無茶苦茶な展開になっているのだが、悔しいことにそんなことはどうでもいい程度には盛り上がってもいる。特に、これまでこの2期シリーズで培ってきたダークサムライ達のヒロイズムがクライマックスを迎えており、今回は「全てのダークサムライたちが、復活に際して身体のどこかを犠牲にしている」という事実が明かされた。前回の又右衛門の四肢についてはなかなか衝撃的だったが、他の3人も各々五感を犠牲にして現世に舞い戻ってきたということである。Wikiを見ると原作だとそのあたりはもう少しフィーチャーされていたらしいのだが、アニメでは4人とも万全の状態で戦っているように見えたので、まぁおまけ程度の設定だ。むしろ小次郎なんて視力を失ったせいでもっと強くなっちゃったきらいがあるし。ただ、それでもやはりみんながみんな又右衛門と同じような負い目を感じているというのも事実なのだろう。結局「自分たちは死から舞い戻った自然の摂理に反する存在である」ということを自覚せざるをえないわけで、そこには操り人形として戦わなければいけないことへの悲嘆がある。吹っ切れて快楽を求めるために暴れる又右衛門、そんな彼女の悲痛な思いを理解して協力する小次郎の2人はまだ幸せなのかもしれない。
悲劇の渦中に巻き込まれたのは残りの2人。武蔵は、仲間達が辛い現実の中で散り散りになる中、1人約束を果たすために柳生道場へ。対決を前にしてラスボスが動き出してしまったために彼女の願いは水泡に帰すかと思われたが、それに応えたのは十兵衛だった。エンディングでは十兵衛も「もっと戦いたかった」と語っていたが、わずかながらでも宿願を果たせた武蔵は満たされたのか、それとも、なまじ戦うことが叶ってしまっただけに、その後に待ち受けていた抗えぬ運命に絶望を深めるだけだったのか。結局、彼女も駒の1つでしかなかった。そして、武蔵よりも明確な形で運命に抗う決心をしたのが胤舜であった。彼女は元々他の3人ほど好戦的な性格では無かったこともあるのだろうが、おそらく十兵衛との交流を経て、自分たちが復活した意味を考え直したのだろう。同じ運命を抱えた又右衛門達に真っ向からぶつかる決意を固め、単身戦地に赴いた。しかし、彼女は元から依り代として選ばれた身。願いもむなしくラスボスのコアとなり、最後の望みを十兵衛に託す他はなかった。
ここまでしてもらったからには、次回は何とかして4人に救いを与えて欲しいものである。彼女たちの不完全な状態を見るにつけ、もう静かに眠らせてあげるのが一番の救いであるように思えてならないのが悲しいところ。サムライブライドには彼女たちを救えるような力が与えられるのだろうか。そういえば、今回ぎったんにはそれなりの見せ場があり、ダルタニアンと組んでの白墨タッグはなかなか恰好良かったのだが、結局彼女は中途半端な立ち位置のまま終わってしまうのだろうか。それはそれでなんか勿体ない気がするんだけどな……。
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