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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ルパン三世」 6→6

 思いの外楽しめたシリーズでしたわ。本格的にルパンを視聴するのってほとんど初めてみたいなもんなんだが、断片的にエピソードをつまむのでなく、こうやってシーズンをしっかり観るのはまた違った楽しさがあるものだ。

 基本的にやっていることは「いつも通り」ではあるので取り立てて新鮮味があるわけではないのだが、今作は大きく3つのポイントで独自の楽しさを付加していたように思う。1つは、時代を経ても変わらず、いや、時代を経たからこそ敢えて「変え続けている」映像面のこだわり。過去のシリーズと比べればそのどれとも違うはずなのに、何故か懐かしさを与える不思議なキャラクター・世界デザインは、決して古くさいわけではなく、独特のこだわりを持って丁寧に作られたことがよく分かる「ならでは」の味。分かりやすいところではオープニング映像1つとっても実に様々なギミックが仕掛けられているし、「ルパンらしさ」を出すためにどこかに必ずおしゃれポイントを残して画を作っている。正直、話を抜きにしてハードでボイルドな銭形のおっさんの顔を見ているだけでも何か得るものがある。

 2点目はそんな作画面と繋がった要素だが、舞台になったイタリアという空間の楽しさ。今回、イタリアが舞台になっているのは冒頭でルパンが語ってくれていたように「芸術作品」というルパンに欠かせないターゲットが豊富にあり、これまでのシリーズとの毛色を変えながらもナチュラルに作品の雰囲気を維持出来るというのが1つあるだろうし、絵的な見映えも考えてのことだろう。1つの国の中に限定して、これだけホットな芸術・美術要素に溢れつつ、冒険や怪奇といったアクティブな要素も同時に満たすことが出来る国ってのもなかなかないのではなかろうか。いや、やろうと思えばどんな国でもたくさんの魅力はあるのだろうが、日本人が何となく理解しやすいバランスで言えば、やはりイタリアという設定は良かったと思う。そして、この「イタリアン・アドベンチャー」のゴールとして用意されたのが、かのレオナルド・ダヴィンチ。「ルパンとダヴィンチ」といえば「ルパンがダヴィンチの作品を盗むんやろ?」と思わせといて、まさかのラスボス・ダヴィンチ。ムキムキマッチョの全裸で歩き回るダヴィンチには正直苦笑いも漏れるが、大した説明も無しに「ラスボスです」と言われても「まぁ、そうかもしれん」と思える偉人の有能さ。こういう舞台設定の率直さとセンスの良さも、今回のシリーズを盛り上げる要因になったんじゃなかろうか。

 そして、これもやはりシームレスに繋がる部分だが、3つ目の要素はそんな舞台・キャラ設定を全て踏まえて、適切に2クール分のシナリオを構築出来たこと。特に注目すべきはレベッカやニクスといったオリジナルキャラの配置。彼女らはどうせ今シーズンだけの短い付き合いになることは分かっているわけだが、大看板であるルパン一味・銭形のとっつぁんといった面々に負けないだけの存在感を発揮しつつ、それでいてわきまえた配慮で作品作りに大きく貢献している。特にレベッカの「押しかけ女房」という立ち位置はルパンの女性遍歴を考えれば「数多いる使い捨てヒロインの1人」に堕してしまう危険性も孕んでいたと思うのだが、きちんと彼女の女性としての魅力をアピールし、お別れするのが勿体ないと感じられるような素敵なレディになっていた。中の人・藤井ゆきよの功績も大きかったと思うが、やはりこれは脚本のバランス感覚の手柄であろう。サブキャラをガッと一同に集めて展開した「最後の晩餐」のシーンとか、訳が分からないのに妙な説得力があって感心したものである。

 やはり長年続くシリーズというのは、それだけで重ねた年月による魅力があるものだが、今作はそうした過去の栄光に寄りかかるだけでなく、その上で新しい魅力を提供しようという気概があった。1つ1つのお話を観ていけばしょうもないエピソードもあったような気もするがそこはそれ。2クールという尺は存分に活用して、愉快な歴史の1ページを作ってくれたのではなかろうか。旧作リメイクばっかりの昨今のアニメ業界には閉塞感を覚える向きもあるが、こういう作品が出てくるならやっぱり意味はあるんだよな。

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