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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「霊剣山 星屑たちの宴」 4→4

 「分からん」アニメだった。「面白い」とか「つまらない」じゃなくて、「分からん」。そういう意味では、他では得られない貴重な体験ができるアニメだったのは間違いない。

 昨今のアジア圏におけるアニメ技術の進歩というのはそれなりに注目されるトピックであり、外注先として有名な中国・韓国、はてはタイやベトナムに到るまで、日本はアニメ先進国として、近隣諸国に与えた影響がどのような結果をもたらしているかに興味を示してきた。その結果、最近では中韓にオリジナルアニメを製作する気運が高まっているようで、その映像は日本の一級作品に劣らないクオリティになっていることもある。ここで興味深いのは、こうして日本人の眼から見て「ええやん」と思えるアニメってのは、非常に「日本的」であること。例えばアメリカ、それにフランスといった諸外国におけるアニメの多くは、日本のアニメの影響を受けたと言ってもその国独自の路線を維持し、一目見て「これ、日本のアニメじゃないな」と分かるものなのだが、中韓のアニメの場合、日本のアニメと見紛うような方向性のものも発生しているのだ。こうして見ると、やはり地理的な近さ、民族としての近さ(そして文化の近さ)は、新しい創作物においても近接性をもたらすものなのだろうか。今後のアジアン・アニメの展開は引き続き興味深いものだ。

 とまぁ、そんな話とこのアニメは直接関係ない。何しろ作ってるのは日本だからな。ディーンだからな。今期ヒット作を続けて出したディーンだが、今作はとてもじゃないが気合いが入っているように見えず、90年代もかくやというヘタレたアニメ映像になっている。これは単にリソースを割かなかった結果なのか、はたまたメインターゲット層である中国の視聴者がこういうアニメを好むからなのか、そのあたりは判然としない。ただ、判然としないだけに、「なんかショボい絵で駄目駄目だったな」と批判するのも憚られる。どれだけ自分の舌に合わずとも、他の国にはその国独自の味の文化があり、それを「質が低い」と批判するのは了見の狭さとも言えるのだ。いや、中国人が見ても駄目な画だった気はするけども。

 そして、そんな画に対する不安感以上に、今作は話の方がどう触れていいのか分からない「独自性」にあふれている。ざっくりまとめれば「仙人の修行をする若者の成長譚」なのだが、あらゆる要素が、私の想像している「物語」のひな形から全てずれる。例えば主人公・王陸の造形。敢えてまとめるなら典型的な「俺ツエー」なのだが、日本の「俺ツエー」様は何かと自分を卑下し、ことあるごとに「無能力者」だの「劣等生」だの「最弱」だのとうさんくさいことを言い始めるものだが、王陸は最初から最後まで常に上から目線。持って生まれたチート能力を隠すことなく、「オレサマ出来るから」というので好き放題に暴れ回る。そこに「努力・根性」といったものは描かれない。いや、実際は努力してるんだろうが、このアニメ、そうした部分は全部ナレーションが「こうして一ヶ月が過ぎた」とか一言添えるだけで全てはしょってしまう。この辺りの作劇は、日本のアニメでは見られないものだ。また、王陸のまわりにいる師匠連中なんかも圧倒的俺ツエーだし、どこまで行ってもマジバトル展開が派生せず、常にまわりの連中を見下し、小馬鹿にしたような態度の連中の「俺ツエーのにお前ら何を無駄にあがいてんの?」みたいなお話が延々続く。なんかもう、ここまで来ると、ムカつくとか、つまらないとかじゃないだ。「あっちの人たちはこういうのが見たいの?」とカルチャーショックを受けるのだ。

 また、舞台設定の「完全にゲーム的な処理」も、日本のラノベ作品などに近い文化のように見えてまったく違う。いや、多分根っこは同じなんだろうけど、あまりに淡々とそのあたりの設定を処理する姿勢が違う。日本の作品の場合、設定を作り、ゲーム的なものになってくると、必死に説明を付け加えようとするだろう。あまりにデジタルな処理になると「人間味がない」だの「ゲーム世代が」だのと言われ始めるし、それは「物語」ではないと思われる。だからこそそこにアナログな人間物語を介在させようとするし、ゲーム的な設定を生み出したいなら、そのままずばり、ゲームの中に入っている設定にしたり、徹底的に「メタ視点を持つ主人公なんですよ」ということをアピールする。「このすば」「グリムガル」などの異世界転生ものが、そうした「ゲーム的物語への情状酌量」の典型的な現れだ。しかし、今作はそうした「ゲーム的すぎる」ことに一切の躊躇がない。最初の試練では王陸も、まわりの連中も、そしてナレーションも、簡単に「フラグ」なんて言葉を使うし、「ゲーム的な解決があること」を誰もが疑問に思わない。神仙修行においても「プログラム」という言葉をガンガン使い、全ては報酬型ミッションとして処理され、そこに介在する意志はせいぜい仙界上位層の権力争いくらいなもので、試練を受けている人間たちはあくまでも上位者の意思を読み解くこと(つまりゲーム的な解法を探り出すこと)だけを考えてロジカルに動く。この潔さも、なかなか国内作品では見られない傾向だ。

 こうして、何もかもが「違う」文法の物語を見せられて、正直困惑する以外になかった。面白いとかつまらないじゃなくて、「分からない」。知らない料理が出てきて、美味しいとか不味い以前に、どこを食べるべきなのかが分からない。そんなこんなであっという間の1クールだったんですよ。多分、食べ方が分かれば正当に評価することも出来るんだろうが……。まぁ、とりあえず現状は「画がしょぼい」ってんで特に良い印象は抱かず、こんなもんですよ。これ、2期目もあるんだよなぁ。次に来たときはもう少し受け止められるかなぁ。

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