○「Rewrite」 3
すげぇ、なんだこの1時間……ここまで何が起こったのか分からないのは久しぶりの体験かもしれないぞ。
いっつも言ってることだが、別に第1話で全部分からせる必要なんてないし、無理に分かるようにして脚本が歪むなんて言語道断。分からないなら分からないなりの、導入ってのはいくらでもある。ただ、最低限1話目でやって欲しいこととしては、「このアニメのこの部分を見て欲しい」「ここが面白いんです」ってのを提示することだ。前クールだったら「カバネリ」なんかも1話は壮絶な展開でついていくのがやっとだったが、それでもとにかくアクションとデザインで見せてくれたわけで、「なんだか分からんがとにかく良し」を体現することが出来ていた。その他にも、「色んなヒロインが出てきてほんわかできますよ」とか、「ひねくれたギャグが仕込んであって随所でニヤッとしますよ」とか、いざとなったら「中身は無いけどとにかくエロいですよ」でもいい。そういうことが分かれば、2話目以降を見ていくきっかけが出来る。1時間スペシャルってことで尺は倍あるわけで、これを有効利用した「リゼロ」って作品もあった。あの作品は確実に「シナリオ部分にこんな仕掛けがあって、ドキドキする展開をこの後も提供しますよ」っていう喧伝を一時間費やすことで見せてくれたのだ。
翻って、今作はどうだろう。何がやりたいのかがさっぱり分からない。まず、どんな世界なのかさっぱり分からないし、何アニメなのか、元を辿って何ゲームなのかが分からない。そりゃ学園にヒロインがいっぱい出てきて顔見せしてくれたんだから、販売元がKeyであることも含めれば「そういう」ゲームなのだろうが、主人公のキャラが絶えず過去の記憶にチクチクされながら、例によって軽口多めの主人公気質なのに上っ面はアウトロー気味に構えている。突っかかってくる男の生きてる意味も分からんし、主人公が何も考えずに回りの人間に愛想を振りまき、トンデモ世界でのドタバタに巻き込まれても順応性高めでアクションしてる意味も分からない。夢世界(?)で出てきたプレデターみたいなのの画面で浮き方も相当なもので、どこがこの作品世界の根幹なのかが全く分からない。ここまで拠り所が無く、何を中心に見たらいいのかが分からない作品は本当に久しぶりだ。
これで画が整っていれば何となく「まぁ、可愛いからいいか」で済む部分もあるのだが、なんだろう、1話目時点で画に惹きつけられる部分がほとんど無い。エイトビットならもうちょっとCG部分も含めて出来ることがあったと思うのだが……。監督は天衝氏だし、正直言って構成に期待していた部分はあるのだが(何しろあの「グリザイア」シリーズを曲がりなりにもまとめあげた人である)、ちょっと今回のお話はいくら何でもついていけなかった。構成がどうにも忙しなく、「なんだか元々のゲームのシーンを切り貼りしてる感が強いなぁ」というので抵抗があったし、その繋ぎも雑に見えてしまうので、1つ1つのシーンが作品としてまとまっているように見えない。なんだか、1時間もの無闇に長いPVを見せられているような感覚である。この1話目の説明不足は、「何が起こったか分からないし、気になるから2話目も見なくちゃな!」っていう好奇心を煽る仕掛けとして敢えてやっているのか、それともナチュラルに分かりにくい構成で垂れ流しているだけなのか……。なんか、後者な気がするんだよな。ま、ぶっちゃけKeyの系列作品って軒並み相性が悪いから警戒してる部分もあるんだけどさ。
そんなわけで、やっぱりこの警戒心の水準が下がることはなさそうな1話目でしたとさ。いいところを探すとしたら……ヒロインが千和なところとか……。
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