最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
日常に帰る、最終話。何が起こるかと目を見開いて見ていた最終回でしたが、実に見事に、何も起きませんでした。何も起きないからこそ、大団円というのかもしれない。 「紀田が組み 法螺田が増やした黄巾族 座りしままに潰すドタチン」。帝人・紀田・園原の三つどもえが収束した集会場で事態をぶち壊したのは、ギリギリになって法螺田の正体に気がついたドタチンだった。 「今だ! 裏切れ!」というよく分からない合図を皮切りに、偽りの黄色をまとったダラーズたちが、同じように黄色く擬態したブルースクウェアを駆逐していく。あの状況ならばセルティがいたので仮にドタチンが気を利かせずとも帝人たちは無事だったろうが、一瞬で問題の中心である法螺田の武力をぶち壊したのが「色がないが故に忍び込むことが出来た」ダラーズであったというのは、帝人を中心とした物語の終点としては分かりやすいもの。まぁ、過去と現在の事件を見る限り、結局一番男前だったのがドタチンだった、というエンディングなんだけどね。「狩沢と湯馬崎は目立ちすぎるから置いてきた!」とのことだが、それだと平気で連れてこられた渡草が「お前は地味だから来い!」って言われたのと同義だった気がする。そして、実際モブっぽかった。 逃げ切ろうとする法螺田を追い詰めたのは、まずはセルティ。黒バイクのいななきは、池袋という街の「怪しさ」そのもの。法螺田の狼狽ぶりには同情すら覚える。続いて出現したのは、狙撃されたことを全く意に介していない静雄。標識によるマサカリハンティングは、池袋の持つ「暴力」の象徴であり、ダラーズの武力の結集。 そして、心神喪失状態の法螺田にとどめを刺したのは、ひさしぶりに登場した葛原警官。「法規をなめんなよ」の決め台詞とともに、きちんと悪に対して「決着」を叩きつけてくれました。結局、法螺田という害悪を排除したのは、黄巾族の武力でも、ダラーズの結束力でもなく、池袋という街そのものが持つ自浄作用であった。「都市伝説」→「街の最強」→「公僕」という連繋により、それがくっきりと浮き彫りになったかたち。このカーチェイスのシーンの法螺田の表情は、この作品では珍しいくらいに崩れたデフォルメでグダグダになってて、シリアスな空気にはそぐわなかったのにちょっと笑ってしまった。 そして、法螺田が処分出来たら、残されたのはこの街最大の悪意(愛情?)、折原臨也。黄色が無色に飲まれて消えて、残された「色」といえば、園原の目の放つ鈍い「赤」と、臨也のトレードマークのコートの「黒」になった。薄闇の中で、拳銃の回収を理由にして、臨也は“罪歌”園原と初対面を果たす。これまでのような受け身の態度とは違い、「あなたを斬ります」と意志を明確にする園原だったが、このあたりまではあくまで臨也の想定の内。「罪歌の愛情なんかよりも、自分の愛情の方が上だ」というよく分からない人ラブ合戦の宣戦布告をし、臨也は闇に消える。臨也にとっては、紀田が(というか沙樹が)手元を離れ、ダラーズも帝人やセルティの警戒心によって扱いづらくなる今後は、罪歌も無視できない脅威となるであろうことは想像出来るわけで、それを見越した面通しといったところだろうか。結局、臨也は今回の騒動を全て自分の盤面の中で動かしきり、表舞台において「負け」の要素を掴まなかったわけだ。 でもまぁ、それはあくまで上っ面の話。先週、臨也の命令を受けず、個人の意志によって行われていたのは2人の女性の手による電話。矢霧波江は、ダラーズの真実を法螺田に伝えることで、最後のトリガーを引く役割を果たしていた。波江さん、大人しく引き下がったようにみえて、やっぱりダラーズが気に入らなかったご様子。そして、本当のイレギュラーは、ついに自らの意志で臨也を裏切った、三ヶ島沙樹によるサイモンへの電話。池袋を愛するサイモンは、臨也の度の過ぎたお痛を許す気にはならない。でも、優しいロシア人は、全身全霊のワンパンチで臨也を解放した。臨也がぶっ飛んだ先にあった「LOVE」の文字が、2人の価値観を浮き彫りにした奇妙な腹の探り合いを象徴しているようで面白い。 三ヶ島沙樹の反乱は、悪夢から解放された紀田に伝わる。ベッドに横たわった紀田も、それを見守る沙樹も、身にまとっているのは「真っ白」な病院の治療衣である。2人の間には、もう黄巾族も、臨也の影も残ってはいない。許し合い、理解し合い、2人はそのまま姿を消した。 どれだけ本人の意志に反していようとも、流石に黄巾族が池袋で暴れた事実は消え去るものではない。なあなあのままで3人の日常に戻るのではなく、紀田がけじめをつけて池袋を離れたことは、素直に評価したい結末である。そして、そんな紀田の自分勝手な決意に対して、「待つ側」に回った帝人と園原も、ちゃんと理解を示している。確かに寂しくはなるだろうが、紀田はいつだって、自分たちの知っているあのいい加減な紀田正臣なのだ。いつかひょっこり、最愛の女性を連れて戻ってくるに違いない。 その他の面々は、また再び日常へと戻っていく。静雄はいつものように自販機を放り投げ、湯馬崎と狩沢は渡草のバンに等身大ポップを担ぎ込んでいる。矢霧誠二と張間美香はこの後も離れることはないだろうし、それはもちろん、新羅とセルティにも同じことだろう。そして、帝人と園原も…… エンドロールはなんと4分割の画面でこれまでのシーンがプレイバックされるという実に忙しい画面。数多くのキャラクターが入り乱れて築き上げた群像劇なだけに、このエンディングは「全員が主人公である」ことを示唆するものであろう。毎度毎度視点がコロコロ変わるこの作品の締めとしては、一貫性があって実に分かりやすい。 正直、今回のラストエピソードの「何も起こらない」という展開はちょっと肩すかしではあった。もちろん、何度も言うように「後日談はたっぷり時間を取って」という理想の展開だったので文句を言うつもりはないが、法螺田が最後にあがきもせずにやられるべくしてやられ、臨也もそんな現状にただ満足して身を引いたのが予想外だった。結局セルティの首を巡る「闘争」とは何だったのか、という部分は一切解決することなく、池袋大決戦は幕を下ろしてしまったのである。まぁ、原作は続いている作品だし、首の問題は最後の最後まで残るべきものであろうから、この幕引きは必然的なものだったのだろう。特に尻切れトンボというわけでもなく、事件は事件として解決を見たので、落としどころとしては及第点だと思う。ま、帝人達3人の絡みはもう少し時間を割いて見せて欲しかったという気はするんだが、ありきたりの友情トークをダラダラ流されても蛇足になるだけだしね。友情を確認するパートは、チャットの「ルート3点」くらいのバランスで丁度良かったのかも。 最後に狩沢さんの活躍シーンがなかったのは不満だが(いや、当たり前なんだけどね)、個人的にはセルティが最後の最後で意味の分からないサービスをしてくれたので結果オーライ。どうするよ、みゆきちボイスで「誘ってんのよ」なんて言われた日にゃぁ。あの後晴天の下で新羅達2人が何をしたのかは考えないことにします。 終わってみれば、案外後腐れもなく、後味もそこそこにすっきりと消えていく、そんな印象の最終回。あたかも色を無くしたままに日常に回帰するダラーズのごとく、この作品は終わっても、池袋の日常は続いていくのだろう。そんな、ちょっといびつな「日常系非日常」はこれにて閉幕。今はただ、スタッフ一同にお疲れ様と。 PR
季節感完全無視の第6話。一ヶ月前に「次の放送までの一ヶ月は長く感じるか、短く感じるかのどっちかな」とか書いたけど、正直あっという間でした。多分、この作品の出来不出来は一切関係無しに、私的に忙しかったせいだとは思うけども。
前回の校倉の嫌がらせで、蝦夷の地にやってきた七花ととがめ。そのまま刀集めに挑むわけだが、今回は試合前から七花が倒れるというアクシデントが。強い強いと言ってはいるが、流石に天候には勝てない模様。まぁ、普通の少年漫画の設定だと、「強いから痛みに対して鈍感である」っていうのは負けフラグなんだけどね。悪魔将軍なら足が止まってるレベル。ヨガポーズ! さておき、そんな状態でも大丈夫、七花はフラグなどあろうがなかろうが、この作中では案外弱かったりする。凍空一族の生き残り、こなゆきは年端もいかない幼女ではあるが、一族の特性(便利な言葉だ)を受け継いでいるので生物学上あり得ないくらいの筋力の持ち主。多分、ヒュペリオン体質の一族なんでしょうね。真っ向から勝負を挑んであっさりと主人公が負けるという展開は流石であるが、これまでの戦歴を見ると、確実に七花よりも強い人物というのは、病床の姉である鑢七実と、今回登場した10歳の少女こなゆきの2名。屈強な男たちや癖のある忍者は噛ませ犬になるのに、か弱そうな女性ばかりが強いというのは、いかにも捻くれたセッティングである。このあたりの意外性の出し方は、やっぱりフリーザ様の第3形態で衝撃を受けた世代の共通言語みたいなところがありますね。 そして、更に意地が悪いのは、生まれながらにして強いこなゆきに「武芸の経験」を足すと、今度はあっさりと七花に負けてしまうという展開。正直言ってバトルシーンを見る限りでは「何でやねん」としか思わないのだが、まぁ、勝っちゃったものは仕方がない。「定石を覚えて二目弱くなり」なんて言葉もあるくらいだし、「素人+変態刀」という完全イレギュラーの持つ力こそが脅威であったというセッティングは、分からないではない。多分原作だともう少し説得力のある描写が……されてんのかなぁ。とりあえず、アニメではそのあたりの展開はちょっと唐突だったので釈然としませんでした。このアニメのバトルは大体そんなもんだけどさ。 と言っても、具体的なバトルシーンの展開は、少なくとも前回よりは見応えがあったのも事実。狂犬戦は一瞬で終わったので置いておくとして、こなゆきとの試合については、それなりのスピード感があり、少ないバトルシーンで何とか盛り上げようという意識は見て取れる。後半も刀の持つ「重み」が出ればもう少し面白かったとは思うんだけどね。 そして今回はさらに2つのファクターが物語に大きく絡む。1つは、半年経って少しずつ変わっている七花という人間の内面。全部が全部とがめがしゃべっちゃうので読み込む隙間が無くてちょっと辟易するのだが、飄々としながらも少しずつ変わっている(正確には、とがめに変えられている)七花の様子は、いくら捻くれているとは言っても、古式ゆかしい少年漫画の成長物語の1パターン。気付けばとがめとの距離も自然に縮まっており、一組の男女としてもなかなか魅せてくれる絵面である。あとは残り半分の物語の中で、七花の「優しさ」と「強さ」のバランスをどう取っていくかという勝負。とがめはこと七花の人間形成に関しては、奇策士というよりも1人の女の子にしかなれない部分があるため、計算尽くで行く部分ではなかろう。 そして今回個人的に盛り上がった2つ目のファクターは、少しずつとがめ達との関わり方を変化させている、真庭忍軍の立ち位置である。狂犬のシンプルなキャラクターは、これまでのどうにかしてほしいマニワニのキャラクター(特に白鷺と喰鮫)に比べれば非常に分かりやすく、説明書きにも「ギニュー隊長」って書いておくといいから楽。そして、そんな狂犬を弔うために訪れた鳳凰と川獺の、衝撃的な「交渉術」。鳳凰たちが走っている時の会話の時点で川獺の持つ危うさは発揮されていたわけだが、「今月は右腕もやっちまうのか」と思って見ていただけに、流石にアレは衝撃だった。冷静に考えれば、「仲間の仇」と息巻く人間がわざわざ身内の命を交渉材料に持ち出すという思考はおかしいのであるが、鳳凰のキャラクターはただでさえ読めないものなので、一連の流れでその「謎めき方」がいや増すことになる。やっぱり4話の虫組の話があったおかげか、マニワニ絡みのエピソードはちょっと心が騒いでしまいます。 で、次回のアナウンスでナレーションの池田さんがとんでもないことを言ってたような気もするけど、とりあえずスルーしますよ。だから……だからヤンデレ中原さんは凶器なんだってば! というわけで、お待たせしました(?)、キャストのお話。今回も相変わらずいい仕事をし続けております、我らが田村ゆかり。七花が突っ込まないのでちょいちょい流しそうになるが、時たま地が出て口調が可愛らしくなってしまうとがめは反則である。「幼女に心変わりしたか?!」とか息巻いてましたが、あなたも充分ロリです。ちぇりおちぇりお! また、ちょい役ではあるが、否定姫役の戸松は先月分に続いてストレートなインパクト。「否定するわ」って最近どこかで聞いたなーと思ったら、チャコリーの魔法権利だった(分からない人はググらなくてもいいよ)。 そしてまとめて登場した真庭忍軍の濃いことと言ったら。鳳凰の置鮎だけでも充分なのに、今回ちょろっと関さんも出てましたな。大好きな役者さんなだけに、今後どんな活躍をするのか楽しみでしかたない。川獺役には汎用性の異常さに定評のある川田紳司。なんだかこっちが主人公チームみたいな男性キャストです。 女性陣も充分なラインナップで、お色気もばっちりの狂犬役には根谷美智子さん。母親にしたい声優ランカーです。同じく不思議な色気の漂う鴛鴦の中の人は寡聞にしてあまり存じないのであるが(外画メインの人だね)、ペンギン(人鳥)の中の人は、また出てきやがった広橋涼! 最近調子に乗ってるんじゃありません?! 何であんなに愛らしいのでしょうか。広橋ずるいなぁ。 そして、今回これらの重鎮たちを押さえてのMVPといえば、なんと言ってもリアルロリっ子声優、日高里菜である。登場時は一瞬「あれ? きみきみ?」 とか思ったが、なんか違うので脳内検索。しばらくして「あぁ、ラストオーダー……日高里菜!」と分かったが、それでも受け入れるのに時間がかかった。特に今回は狂犬にのっとられた後のモードも彼女が熱演しているわけだが、言葉の端々がきちんと「根谷さん風」になっているのが凄い。作りもののロリっ子ボイスを取っ払った演技を初めて聞けたのだが、地声の幅も量もなかなかのもので、今後も声優をやってくれるならば色々な方向への期待が持てる。まだ高校に入ったばかりなので進路は未定だろうけど(そして本人が希望したらもっとメジャーな路線に行っちゃいそうだけど)、是非とも「育成枠」として囲っておきたい、有望株である。「期待の持てる声優を青田買いしたいなぁ」とか夢想してる時間が、一番幸せです。いいじゃない、声ヲタだもの。 本当に、嘘がつけない第10話。表だって特に事件が起こらなかった話数っていうのは久し振りかしら。ただそれは、現在の時間軸でのかりそめの平和。これまで色々と臭わせながらも謎に包まれていた弥一の正体が、ここに来て一気に明らかにされそうです。 桂屋での用心棒生活にもいつしか馴染み始めている政之助。初期の頃の初々しさも残してはいるが、女郎たちに囲まれても何とか対処出来るようになるなど、五葉のメンバーとうまくいっている影響が、他とのコミュニケーションにも発揮されているようだ。 懸案の1つだった妹の幸も、宵闇に紛れた弥一とおたけを盗み見て、郷里へ帰る気になったらしい。おたけへの憧れは有りつつも、かんざしをくれた松吉に対しては妙な誤解を持ってしまったおかげで、「江戸に住まう自分」にも一応の満足感は得られたらしい。もしくは政之助と一緒に江戸見物出来たから少しは溜飲が下がったのかな。なんだかんだいいながらも長兄であるマサを慕ってくれている幸の様子は、短いながらもなかなか微笑ましく見ることが出来ました。すれっからした女性ばかりなので、こういう単純で分かりやすいキャラクターというのは貴重ですよ。 しかし、そんな晴れやかな江戸の空と対照的なのは、女郎屋の座敷で泥のように沈み、煙をふかす弥一である。政之助が引っ張り込んでしまった異分子、八木の存在によって、彼の奇妙な過去が蘇る。彼の本名は誠之進。八木の生家の近所にある、旗本の家の嫡男であり、現在名乗っている「弥一」は、小さい頃から親しくしてくれた家臣の名前。その「弥一」は既にこの世にはいない。いつぞやの回想では、そんな「弥一」に裏切られたような描写があり、今回の回想でも、自分の身分を隠して必死に「弥一」の行方を追っていることが分かった。彼の目的は、一体何だったのだろうか。自分を盗賊に渡してしまった「弥一」に対して、復讐を誓っていたのか? しかし、純粋にそうした負の感情しかないのなら、自ら「弥一」を名乗っているというのはいささか不自然である。やはり、幼い頃からの「唯一の友」であった「弥一」に対しては、一筋縄ではいかぬ感情を抱えているのだろう。柄にもなく悶々とする弥一に、過去はどんな姿で対面しようとするのだろうか。 そんな弥一の素性を探るのは、同じく「弥一」を友として慕っていた男、八木。彼の場合は「弥一」に対しては純粋に親愛の情があるだけだろうが、そんな「弥一」の名を名乗る怪しげな男が気になるのは至極当然のこと。今回は政之助を通して大胆な探りを入れてきたが、どうやら彼の読みは的中したらしい。今のところ具体的な動きは見せていないが、もしかどわかし集団の「五葉」の首領が過去に自分も可愛がっていた「誠之進」であるなら、彼は一体何をもって正義と成すのだろう。2人の間に入っているのが希代のややこしさを誇る政之助なだけに、このあたりの感情の機微というのも、まだまだすっきりとは終わりそうにない。 そして、事態を最も直接動かすのは、弥一(誠之進)に追っ手をかける盗賊一味。その包囲網が弥一を捉えるまでには時間がかかりそうであるが、もし接触を果たした場合、弥一は嫌でも「誠之進」としての自分と向き合わねばならず、遅かれ早かれ五葉の面々にもそれは伝わる。梅に松吉、そして今回はおたけの過去も浮き彫りになった状態であるが、弥一の過去だけは、弥一自身がしまい込んでいるために誰にも触れられない場所にある。そんなパンドラボックスに対して、野暮の固まり政之助は、どこまで肉薄できるだろうか。桂屋の女将は弥一の「おかしくなった時期」を政之助との出会いであると看過していたが、やはり裏稼業に手を染めた人間からすると、政之助はどこか調子を狂わせる、イレギュラーな人間である。弥一の底の底に沈んでいる過去を引き揚げられるのは、彼をおいて他にはいないだろう。 今回は、弥一という名の「謎」にスポットが当たったため、ちょっと変則的な画面構成なんかもあったのが印象的。冒頭では一人称視点で誠之進の過去が描かれており、薄暗い中を、誰の助けもなしに1人で生きてきた弥一の孤独さがにじみ出ている。一人称視点だとカメラワークのブレや視点の移動などの振れ幅が大きくなって画面に動きが出るものなのだが、この作品の場合、歩こうがうつむこうがダイナミックな動きを採用せずに、ひたすら淡々と「視線」を維持し続けているのが興味深い。 また、弥一を中心とした過去話や女郎屋とは対比的に、政之助や幸のシーンでは突き抜けるような江戸の青空が眩しい。さらに今回改めて五葉の名の由来である楓にもスポットが当たっており、現在の江戸(政之助の日常)、弥一のやけど、誠之進の家の庭など、様々なファクターを繋ぐために印象的に画面を彩っている。ほんと、画面が綺麗な作品なんですよ。 そうそう、今回1つだけ気になったのは、冒頭でも書いた「嘘がつけない」政之助の人柄。ことあるごとに八木には「嘘が下手だ」と看過されていたわけだが、1度だけ、八木が「嘘だろう」と言わなかったシーンがある。それは、八木と政之助が手合わせをして、政之助が負けた場面。どうやら弥一の指示で手加減をしていたらしいのだが、八木はそのことに気付いていたのだろうか。もしそこだけでも「だませて」いたのなら、後々に響いてきそうな気もする。剣でだけ嘘がつけるとしたら、マサは本当に大した奴だ。 <黒> Black Sun’s Zenith 黒の太陽の頂点 (X)(B)(B) R ソーサリー 各クリーチャーの上に−1/−1カウンターをX個置く。〜をオーナーのライブラリに加えて切り直す。 「ブラックサン」と聞いて仮面ライダーを思い出すか、それとも美味しんぼを思い出すかで、その人の人生が特に分かったりはしないぞ。さておき、黒頂点は、何と過去の名作と比べても引けを取らない最大級の「全体除去」としてお目見え。勿論「滅び(PLC)」と比べたら手間もコストもかかるし、「もぎとり(TOR)」と比較したって効率は悪そう。それでも、やはり−1/−1カウンターによる除去というのは本当に対象を選ばない。「滅び」と同じ4マナでプレイすれば「エルフ」や「スライ」などのウィニーデッキが死に絶えるには充分だし、黒には本当に触りにくい存在である「ミラディンの聖騎士」や「最後のトロール、スラーン」にもナチュラルに解答になっている。「破滅の刃」や「弱者の消耗」で死なないダークスティールもなんのそのである。黒は流行れば流行るほど苦手とする生き物が台頭してくるのが悩みの種だが、そうした面倒な連中に対して、1つの答えを突きつけてやれる。そしてコントロールデッキで何より嬉しいのはZenith能力。ラスゴ系の呪文は「いつプレイするのが最大効率か」という問題と常に戦わなければならないもので、キャストした次のターンに待ってましたとばかりに大量の生物が転がりだしてきたり、まだ大丈夫と温存したら次のターンに総攻撃を食らったり、本当に難しい。しかし、このスペルは実質1つのデッキに「4枚以上」積むことが可能なわけで、全力で投入すれば対クリーチャー戦への防衛ラインはかなり強固なものとなる。どの色でも意味のあるZenithだが、一番シンプルで使いやすいのは、このカードなのではなかろうか。 Caustic Hound 腐食の猟犬 (5)(B) C クリーチャー・猟犬 4/4 〜が戦場から墓地に置かれたとき、各プレイヤーは4点のライフを失う。 青の「血清掻き」に続いて、いまいち意図の分からないクリーチャー。6マナ4/4は「冷たき集いの吸血鬼」と比べてもそこまで魅力的なステータスとはいえず、下手したら「剃刀ヶ原の打つもの」と比べてもパッとしない。そこに能力がついちゃいるが、これまた別にメリットとも言えないものである。一応相手が感染デッキの場合に限り、この効果は純粋に攻めの能力として評価出来るようになるわけだが、自分自身が感染カラーの黒にいるってのも微妙。「傷跡」環境における「冷たき集いの吸血鬼」デッキならばこうしたカードでライフを攻め立てる構成も狙えなくもないが、流石に5マナと6マナのクリーチャーに依存するデッキは嘘くさい。そして、何故かこいつがゾンビでも吸血鬼でもなくて猟犬などという微妙極まりないタイプを持つのである。過去の歴史を紐解いても、ミラディン世界にいた猟犬クリーチャーは「死体の野犬」のみ……お前は一体なんなんだ。 Flensermite 解剖妖魔 (1)(B) C クリーチャー・グレムリン 1/1 感染 絆魂 グレムリン? なんか聞いたことないタイプだな……と思ったら、それもそのはず。なんと調べてみたら過去には1枚だけ存在していたクリーチャータイプであり、しかもオラクルによってそのたった1体のグレムリンも3年前にこの世界から消滅してしまったという。なんという不遇の種族。そして、なんという不屈の根性。……いや、なんで帰ってきたのかはさっぱり分かりませんけどね。詳しく知りたい人はココで見てくれ。さておき、1マナ1/1クリーチャーに感染を付けようとするとデメリットが付く(「媒介のアスプ」)。2マナ1/1に感染を付けようとすると、色があろうとなかろうとメリットがつく(「胆液爪のマイア」「荒廃のマンバ」「疫病のとげ刺し」)。つまり、このクリーチャーはそういうことだ。絆魂は「命を吸う」イメージであるために時のらせん期を基準とした「色ごとの能力分担」で正式に黒にも配備された能力。それを黒のクリーチャーが手に入れるのは、何も間違っちゃいない。間違っちゃいないが……いらなくない? どうせ1回殴ったら相打ちするんだろ? ってことは得られるライフは1点だろ? その上で回避能力も何もないんだろ? ……いらなくない? せめて接死とかにしない? Flesh-Eater Imp 肉喰いインプ (3)(B) U クリーチャー・インプ 2/2 飛行 感染 クリーチャーを1体生け贄に捧げる:〜はターン終了時まで+1/+1の修正を受ける。 白の「枝モズ」と比べて「やったぜ! やっぱり感染は黒の能力だ!」と悦にいるクリーチャー。ま、アンコモンですけど。4マナ2/2ボディに感染はそれなりの効率であり、そこに「堕天使(8ED)」のような能力が付いているというのは実に理想的なパッケージ。クリーチャーは貴重なのでそこまで簡単にサクれるものではなかろうが、「サクられるかも」と圧力がかけられるだけでも充分な効果であるし、これ1体の5回以下のパンチがゲームを決めることを考えれば、ある程度は火力などから保護してやることも意味がある。地上が固まって仕事を終えた「媒介のアスプ」や「黒割れのゴブリン」あたりが追加の毒カウンターになると考えれば、作業効率はかなり良い。感染に行くならおさえておきたいカードだ。 Go for the Throat 喉首狙い (1)(B) U インスタント 対象のアーティファクトでないクリーチャー1体を破壊する。 まことしやかに囁かれるマジック格言の1つに「テキストが短いカードは強い」というのがあるが、これは確かに強そうだ。いうなれば「黒殺しの『恐怖(10ED)』」。再生を許すようにはなっているが、現環境には大した再生クリーチャーはいない(そして大した再生クリーチャーは対象に取れない)ので問題無いだろう。これまで黒が同型対決で完全に腐らせていた「破滅の刃」の枠にこれが入れば、「吸血鬼の夜鷲」や「墓所のタイタン」だって対処可能になるのだ。この選択肢の拡大は構築レベルは下の環境にまで影響を与える可能性がある。もちろん「アーティファクトが殺せない」という絶妙なバランスの取り方はリミテッドでは苦々しく思うことも多いだろうが、それでもやっぱり色つきクリーチャーは強いのだ。引けたらデッキに入れることを迷う必要はなかろう。でもアンコモンなんだよなー。 Gruesome Encore 陰惨な再演 (2)(B) U ソーサリー 対象の、いずれかの対戦相手の墓地にあるクリーチャー・カード1枚を、あなたのコントロール下で戦場に出す。それは速攻を持つ。次のエンドステップの開始時に、それを追放する。そのクリーチャーが戦場から離れる場合、他の場所に置く代わりにそれを追放する。 他人からパクり、使い倒し、最後にはポイ。なかなか悪逆非道を尽くす亜流リアニメイトだが、単に「くぐつ師の徒党(SHM)」の187能力をソーサリーにしただけだ。一応相手が「オキシダの屑鉄溶かし」や「空長魚の群れ」なんかを墓地に置いてたら中ラッキーくらい。そこまで負担になるカードでもないし、リミテッドなら1枚くらい刺しておいても無駄になる機会は少ないのではなかろうか。このカードのオリジナル要素として、使い終わったカードは何をどうあがいても追放されるという部分がある。一応構築で「復讐蔦」なんかが嫌な場合に使えなくもないが、流石に迂遠すぎるか。これがインスタントならリミテッドでも「剃刀のヒポグリフ」や「死体の野犬」対策に使えたものだが。ちなみに、タイミング的に難しいがこれで味方をパクられた際、「微光角の鹿」のようなフリッカー効果でリムーブしてやると、ちゃんと自軍に無傷で戻ってきてくれるという裏技がある。何か悪さが出来ないものか……ムリダナ。 Horrifying Revelation 恐ろしき天啓 (B) C ソーサリー 対象のプレイヤーは手札を1枚捨て、その後、自分のライブラリのカードを上から1枚墓地に置く。 こ、こいつは恐ろしい……だって「恐ろしき天啓」だぞ。よっぽど衝撃的なお告げがあったに違いない。その結果として、なんと手札とライブラリが1枚ずつ墓地に落ちる……あれ? どうでもよくね? 「精神の瘴気」も大概だったけど、この世界のハンデス正直どうでもよくね? ライブラリ削るデッキにこんなカードが入るはずがないしなぁ……一応このカードがちょっと意味を持つのは、相手が「定業」を使って2枚とも上に置いた場合。確実に相手が引きたがってたカードを落とせるのでプチラッキー。ミラクルでっていう。 Massacre Wurm 虐殺のワーム (3)(B)(B)(B) M クリーチャー・ワーム 6/5 〜が戦場に出たとき、あなたの対戦相手のコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで−2/−2の修正を受ける。 あなたの対戦相手のコントロールするクリーチャーが戦場から墓地におかれるたび、そのプレイヤーは2点のライフを失う。 今回最後に発表された神話レアがこれ。「傷跡」の時は「残り1枚の神話枠はどんなカードだ?」と注目されていたところに「光明の大砲」が現れてみんなちょっとがっかりした記憶があるが(まぁ、それなりに使われてるけどね)、このクリーチャーはトリを飾るのにふさわしいだけの期待感がある。ワームにしてはコンパクトにまとまったそこそこのボディと、登場時に炸裂する「湿地での被災(ZEN)」。「湿地での被災」はキッカーで5マナだったわけで、それがこのボディに封入されているだけでも圧倒的お得感だ。よほどのコントロールデッキでなければ吹き荒れるー2の嵐は無傷ではいられないだろうし、このささやかな除去がさらに相手のライフを攻め立てる二つめの刃に直接繋がっている。クリーチャーが全て2点のライフを持ち逃げする状態になってしまったら、前のめりのビートも、ライフを失いたくないコントロールも、かなり難しい判断を迫られるようになるはずだ。何が怖いって、これを処分しようとして「審判の日」なんて使おうものなら、まとめて自軍も崩壊してとんでもないライフを払わなきゃいけない可能性が出てくる部分。出て良し、居て良し、逝って良し。3拍子揃ったこの能力、うまいこと住処となるデッキを見付けることが出来るだろうか。現時点で、6マナ枠は「墓所のタイタン」や「ワームとぐろエンジン」などの猛者が集まる枠なので、今後も黒絡みのコントロールは油断出来ない。 Morbid Plunder 病的な略取 (1)(B)(B) C ソーサリー 対象の、最大2枚までのあなたの墓地にあるクリーチャー・カードを手札に戻す。 「死の二重唱(EXO)」の色拘束を厳しくしたら、モードが選択しやすくなったマイナーチェンジ版。ただまぁ、このスペルを使う時っていうのは8割方クリーチャーを2体戻したいときだろうから、そこまで大きな変更ってわけでもない。手軽にアドバンテージが狙える黒の生命線ともいえるカードで、過去にも1枚で2体以上回収出来る「魂の階段の探検(ZEN)」やら「たちあがるアーボーグ(APC)」なんかはリミテッドでは大活躍していた。このカードも使ったら相手は露骨に嫌な顔をしてくれるに違いない。これでまた若干「虚無の呪文爆弾」の価値が上がったな。 Nested Ghoul 入れ子のグール (3)(B)(B) U クリーチャー・ゾンビ、戦士 4/2 いずれかの発生源が〜にダメージを与えるたび、2/2で黒のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。 いつも思うのだが、ゾンビの中でも一部の連中だけが「グール」と呼ばれるのは一体どういう基準があるんだろうか。と思って検索をかけたら、トップにyahoo知恵袋がヒットしてしまった。こんなアホな質問するなよ。しかもイマイチ答えが分からないし。一応オリジンが違う、ということと、グールはとにかく「死体を喰う」という特徴がクローズアップしており、必ずしもアンデッドではなくてもいい、という点が違うのだろうか。確かに、マジックにおいても一昔前までは「Ghoul」の訳語は「食屍鬼」だったからね。いつの間にか面倒になって「グール」ってカタカナで書くようになっちゃったけど。しかも、クリーチャータイプは全部ゾンビだけど。能力だけ見ても特に他のゾンビとは差別化されてないなぁ。で、そんな謎のグールであるが、ステータスだけを見たら1マナ重たい「巨大ゴキブリ(9ED)」。今のご時世なら「冥界の恐怖」といった方が正しいのだが、全然定着してないので俺にとってはずっとゴキブリステータス。1マナ重たい代わりに、ダメージで殺された場合にはちょっと小さなゾンビとなって再登場する「暗影のカヴー(APC)」みたいな能力を持っている。一応アドバンテージ要員と考えれば、コストあたりの仕事はボチボチか。また、何とかして1点火力を与え続ける方策を考えれば、ここからポロポロとゾンビがこぼれ出すトークンジェネレーターとしても機能する。「燃えさし鍛冶」とのコンビとかは面白いか。このままのステータスだとどう頑張っても1ターンに1体が限界だが、「調和者隊の盾」などで補強してやると、合体ブロックで2体湧いたり、色々と面白いことも狙えるかもしれない。「電弧の痕跡」でついでにトークン製造とかもおしゃれね。ま、地味アンコだとは思うが。 血は争えぬ、第12話。流れ的には今回がクライマックスって言ってしまって良かったと思うのだが……ぬるっと終わったなぁ。結局この作品って、何が主題なんだろうか。 ヘタレのリクは結局親父に連絡が取れず、絶望の身投げ(マリア主体)に興じているうちに、開発計画は中止。その影には藤原啓治ボイスの謎の男が……ってんだけど、ここでまさかの村長オチかぁ。落としどころとしては「あぁ、なるほど」という感じではあるが、正直いうと「なんか違わねぇかな」と思ってしまった。 今回の一件で描かれるべきはリクの成長物語だと思うのだが、最後の最後まで父親に介入できなかったことで、結局リクはヘタレのままで終わってしまっている。一応最後の勇気を振り絞って電話をしている描写があるのでギリギリ帳尻合わせはしているのだが、その電話口でも、愚にもつかない世迷い言吐いているだけで、状況を打開出来たとは言えない結末。むしろ最後の電話はニノとの恋物語に決着を付けるシチュエーションであると思った方が自然である。 ただ、そうすると今度は「ニノがリクに惚れている理由」が弱いままなのだ。父親相手にのろけとしか言えないような報告をしていたニノだが、結局リクはチキンなままで全くいい格好をしてないわけで、「何でそこまでご執心なんだよ」という疑問は残る。その妙な一途さがニノの魅力ではあると思うのだが、シンプルにおさめるならば、やはりこのクライマックスにリクの勇姿を見せてくれた方が「ふつーのおはなし」としては腑に落ちる展開だったと思うのだが(それとも流星ダイブがよっぽどニノの琴線に触れたのだろうか)。どれだけ好意的に見ても、今回のシナリオラインでは父子の溝が埋まる理由が何一つなくて、最後の親父さんの晴れやかなモノローグに説得力が無いんだよね。むー、相変わらずよく分からん作品である。 でもまぁ、今回はこれまでよりも画面的に面白いものは多かった。特に気合いが入っていたのはニノと親父さんとの対話シーンで、丁寧にカメラアングルをいじってニノの描写を行っていたために、彼女の木訥とした魅力がいい具合に発揮されていた。ぐるぐる回す長い髪の毛なんかも全く意味のない動きなのだが、こういう「無意味な不条理」が画面上にインパクトを与えてこそのシャフト画だと思う。「ひだまり」のヒロさんを見習えってことですね。他にも、1話をトレースしたズボンのくだりなんかもいじり甲斐のあるシーンで、この作品が多用していた「しつこいテンプレ的情景描写」がようやく機能していたといえる。 この作品のコンテワークでいちいち不満だったのは、背景の連続カット繋ぎや目のアップなど、「定型表現」があまりに多く、しかも考え無しに使われているという部分。最初のうちは「何の意味があってやっているんだろう」と思っていたが、毎週毎週しつこく繰り返されることで、もう新鮮味も失せて、単に物語の流れを阻害する要因にしかなっていない。今週分もそれらがかなり多くなっていたのは確かで、「無駄なカットで時間を稼ぎやがって」という印象しか与えない。かろうじて、今回のように意図的に過去の描写とオーバーラップさせることで、ようやくその「しつこさ」に意味が与えられて機能するのである。シャフトはそう言う「意味の持たせ方」に長けたスタジオだと思っているのだが…… あとはやっぱり、ひさしぶりに頑張ってくれたマリアさんですかねぇ。マイク前のみゆきちがどんな顔でしゃべっているかを考えるだけで、2日くらいなら寝ないで生活できそうだ。 「薄桜鬼」 4→4 終了……と言ってもまだ全然終わってませんけどね。秋から2期が始まるらしいので、今のところは「小休止」といった感じ。ただ、前にどこかでも書いた気がするけど、一応1クールで放送をやめるなら、最終話はそれなりに「終わった感」を出して欲しい気はするのだが……まぁ、しかたないか。 気付けば結局最後まで視聴していた腐女子向け作品。「裏切りは僕の名前を知っている」があまりにしんどくてリタイアしたのとは対照的で、こちらは特に作中に不快な部分もなく(まぁ、男同士が筋肉を見せ合う乳首祭とかはどうかと思ったけども)、引っかかりもなくゴールにたどり着いた。要因としては、基本的に史実を元にしているので労せずに背景設定を入手しやすかったことと、それに加えて筋立てが分かりやすいのであまり頭を使わずにすんだこと。 もちろん、史実を元にしているとは言っても、やはりどこかおかしいのは間違いない。最大のポイントとなるのは当然「鬼」と呼ばれる謎のドーピング状態の存在で、この作品をものすごく恣意的に言い換えるなら、「たくさんの野郎どもが、自分の大切なものを守りたいがためにイケない薬に手を出して身を滅ぼす悲劇」である。1話の登場シーンのおかげで鬼どもというのは完全に道を外れた外道の者というイメージだったのだが、いきなり山南さんが薬物に手を出してしまった時点でまずはどっきり。その後も少しずつ犯される連中が増えていき、気付けば新撰組の中軸が全員薬漬けというのは、ちょっとまずい状態。まぁ、ビジュアル的には映えるし、それで女の子が守れるんだったら悪いとは言わないが……流石に刹那的過ぎやしませんかね。最終的には対策手段も立てられてしまっていたし、命がけで投薬したのにいいとこ無しですやん。 そして、そんな男どもの中心にいて、事態を悪い方悪い方と持っていくのが、我らがメインヒロイン、雪村千鶴嬢。個人的には彼女の声を聞いていたいがために何となく見続けていた部分もあり、次第に彼女の回りを取り巻く状況が凄惨になり、最終話では阿鼻叫喚の屍の山。もう、流石の桑島キャラ。不幸オーラが半端じゃありません。千鶴自体は特に大きな癖もなく、シンプルなキャラクターなのだが、その回りで勝手に彼女を守って死んでいく人間たちに、慟哭と戦慄が止まりません。ほんと、どうしてこうなった……もっとやれ。そういう意味では、続編希望かもしれない。 「君に届け」 5→6 関東圏から見たら1クール遅れなのでしょうか。ようやく終わりました。そして、とても満足しております。みんなみんな、幸せになればいいと思う。 この作品の胆は、非常にゆっくりとした、堅実なシナリオ運びである。2クールというそれなりに長い尺がありながら、その中で描かれたものは基本的に爽子と風早の恋愛模様のみ。途中でくるみ絡みの事件や千鶴の恋愛なんかもあったが、それだって、長い目で見れば爽子たちを近づけるための因子である。いくつかの苦労と、たくさんの幸せを抱え込んで、2人は一つのゴールにたどり着いた。ここまで執拗な恋愛モノというのは、昨今の大量消費のアニメ作品群の中にはなかなか見られない。一応尺の長さだけなら「のだめカンタービレ」などもそれなりに時間をかけて恋愛を描いていたが、あちらはキャラクターの濃さを前面に押し出して勢いに任せて進行する部分もあったのに対し、こちらは爽子も風早も奥手中の奥手。しかも実に気の利く人間なので、色々と回りや相手を気遣ってもやもやしている様は、いらだたしいほどの「青春」を感じさせてくれる。 こうした青春ドラマをささえるのは、やはりメインとなった2人のキャラクター、爽子と風早。男目線からすると風早は流石に阿漕過ぎるくらいのキャラクターなのだが、冷静に考えれば爽子も凄い。あそこまで「理想の」女性像というのも珍しいとは思うのだが、彼女が体現した「女性らしさ」というのは、ここ最近の少女漫画原作アニメのヒロインの中では特殊な気がする。 「女性向け作品」「少女漫画原作作品」などのアニメには大きく2つのタイプの主人公がいる。あまり単純に類型化するのも問題だろうが、個人的には大体そういう風に見ている。1つは、いわゆる逆ハーレムもの、今期なら「薄桜鬼」に登場する千鶴のような、「基本的に淑女であり、回りの男性が心配して声をかけてくれる」というパターン。この手の女性は基本的にキャラクターが強く表に出てこないことが多くて、トラブルに巻き込まれておろおろしていると何となく男性が助けてくれたりする。このタイプの場合、女性キャラクターそのものよりも、むしろそこに群がる男どもとの掛け合いが勝負になる。 そしてもう1つのタイプとして、「女も惚れる女傑」タイプ。最近は多い気もするのだが、例えば「会長はメイド様!」の美咲、他にも「スキップビート!」のキョーコとか「S・A」の光など、何でも出来るスーパーマンなのだが、自分を上回る才能を持った完璧な男が現れて、そいつを相手に恋愛が展開する形。こちらはキャラクターもはっきり浮き出るので物語に動きが出しやすく、女性主体になるので賑やかさが出る。 そして、ご承知の通り、この作品のヒロイン爽子は、このどちらにも属することはない。タイプとしては前者に近いわけだが、爽子はお飾りというには強烈過ぎるキャラクターを持っているし、この作品は爽子を見ている時が一番面白い。かといって、男勝りでガンガン前面に押し出してくるキャラクターでもなく、おろおろしているうちにトラブルに巻き込まれていくので、事態の中心にいるというわけでもない。それでいて、少しずつ周りの人間に好感を持たれるようになっていくというのだから、かなり特殊な立ち位置なのではなかろうか。 そんな爽子が魅力的に描かれることがこの作品の至上命題であり、これが見事に成就している。終盤に登場した、髪型をいじったまっすぐな爽子は混じりっけ無しの「ヒロイン」像にまで成長していたし、もちろん要所要所で登場するデフォルメ爽子の愛らしさは最初から一貫している。とぼけた味、天然と言われる性格も嫌みになることなく、異性には愛され、同性にも可愛がられる、見事な「愛され系」を形成していたわけだ。このキャラクター造形は見事である。 そして、そんな爽子の存在感を不動のものにしたのが、メインヒロインとしては久し振りの、魔性のボイス、能登麻美子。能登ボイスが爽子というキャラクターと出会ってしまっては、もう、誰も他の人間が彼女を演じることは出来ない。それくらい、声とキャラクターのシンクロ率が高い。度が過ぎた爽子の鈍さや天然さ、そしていわれのない不気味さと愛らしさは、能登麻美子がいなければ成立しなかった奇跡の集合体と言える。 もちろん、他のキャラクターだって負けてはいませんよ。千鶴役の三瓶由布子、矢野役のみゆきち、くるみ役の平野綾など、この学校のガールズトークは、単に「可愛い」というのではなく、奇妙な生々しさをもった「女子高生像」を構築することで、逆に現実感の乏しい爽子の存在をフォローしていたような気がする。もちろん、男性キャラクターの方もね。 6月も半ばを過ぎた暑い盛りに、初詣を舞台にして2人の物語は幕を閉じた。原作はまだ新刊が出ているみたいなのだが、この後の続きが、アニメで語られたりすることはあるのだろうか。まぁ、現時点でほとんどのキャラクターが充分幸せみたいだし、あのまま平和だっていうなら文句はないのだが……最終話で1人報われなかった矢野ちんに少しでいいから救いを与えてほしい気はします。何はともあれ、楽しい作品でした。 「聖痕のクェイサー」 4→6 「馬鹿も通せば男伊達」。この冬に放送されていた「バカとテストと召喚獣」のエンディングテーマ、「バカ・ゴー・ホーム」の一節である。この作品ほど、この言葉が似合う作品も無いのではなかろうか。史上類を見ない、「修正上等静止画大散布アニメ」は、気付けば誰もなしえぬ独自の偉業を成し遂げていた。 最初に1話を視聴した時のぽかーんぶりは、今思い出しても鮮烈である。謎の止め画と、不自然に荒くなった画像。突然途切れる音声。何が起こったのかと訝しんでいたが、すぐにそれが「修正」であることが分かり、「地上波で流すなら修正なんて余計なものが入らないレベルにすりゃいいのに。余計なフィルターがかかった出がらしなんて見たくないわ!」と腹を立てたものである。それでも何とか視聴を継続できたのは、中の人補正という言葉の偉大さもさることながら、「ほんと、修正入ってるとこは申し訳ないけど、それでも作りたいモノがあるから」というスタッフ一同の熱意を感じ取れたからかもしれない。 乳の、乳による、乳のためのアニメ。それがこの作品の骨子であり、全てである。キャラクターの設定を作るときに全ての女性キャラについて「乳のサイズ」だけでなく「乳の形」「乳首の形状」「乳首の色」などを事細かに設定し、場合によっては顔を描くよりも注意を払い、全ての労力を注ぎ込む。そして、そんな努力が地上波版では一切見られないという奇跡。日本の匠は裏地に凝るものだというが、修正で消えることが分かっているのに、乳描写に一切の手抜きをしないというのは、既に粋といってしまっていいレベルの制作理念である。 もちろん、乳が絡むのは作画面だけではなく、全てのシナリオは乳に始まり、乳に収束している。ギャグあり、恋愛あり、そしてバトルありの本作であるが、その前にまず、乳がある。最初は馬鹿馬鹿しいと思って笑い飛ばしていた乳絡みのネタも、マジだと分かれば真剣に受け止めざるをえない。最終回で、サーシャが「お前は震えたことがあるか」と見得を切ったが、確かに震えがとまらないです。だって、ここまで真剣な馬鹿を見て、笑わずにいられるものではないのだから。 そして、乳成分さえ取り除けば、この作品はふつーの作品になるわけだ。バトル要素は非常に重要なファクターであり、「各能力者が1つずつ元素を専門にして扱うことが出来る」というのはなかなか面白いアイディア。塩素使いが毒ガス殺人魔、鉛使いが銃撃大好きな殺人狂など、シンプルな使い方もいかにも少年漫画らしくて分かりやすいし、ネオジムやレントゲニウムといったマニアックな元素でも一応の役割が与えられている。そして酸素使いや炭素使いなども、使い方次第では様々なギミックが演出できただろう。まぁ、正直言うとそこまで凝った戦闘があったわけではないのでバトルものとしてはあまり評価出来るものではないと思うのだが、数話をのぞけば作画状態も良好で、最低限のインパクトは出せていたのではなかろうか。癖の強いアデプトの連中なんかも、主人公チームが変態であるというハンデを乗り越え、きちんと別方向からの変態性が演出できていたのは評価したい。 改めて書いておくと、この作品はアニメとしてのクオリティが存外高い。シリーズ構成が上江洲誠氏ということでシナリオのペース配分が見事だったのは素直に評価出来る点だし、うのまことによるキャラクターをいい塩梅でアニメ画に落とし込んでおり、メリハリの効きすぎた女性キャラのボディラインなんかも、ギャグとエロの絶妙な境目をついている。小野学や高橋丈夫、日高政光など、それだけで看板が背負えそうなクリエイター陣が各話を任されてそのスキルを画面にぶつけていたのも面白かったし、おそらく全体統括に回った金子ひらくと名和宗則という2名がうまいこと舵取りをしたのだろう。これだけの布陣で作ったものがコレっていうのが、現代アニメの奥深さを感じさせてくれますな。 各話レビューでも触れたが、個人的に無視できないのがオープニングとエンディングのデザイン。オープニングは小野学によるオーソドックスながらも期待を持たせてくれる仕上がりで、まっとうな少年漫画のオープニングとしての迫力は満点。そしてエンディングは実にフェティシズムに満ちた高橋丈夫による風呂とベッドの饗宴。どちらも作品の本質をぎゅぎゅっと絞り込んだ愉快な出来でした。 なんだか無駄に長くなったが、最後は当然キャストの話。この作品を引っ張った大きな要因として、中の人たちの半端ねぇ努力を扱わないわけにいかない。主人公カップル役、藤村歩と三瓶由布子。この2人が基本線を作ってくれたおかげで他のキャストが散々遊べたことを考えると、やはり立役者といえるだろう。三瓶は途中のサーシャ女性化のくだりあたりでがっつり存在感を見せてくれましたな。 純粋に声優としての幅を見せつけてくれたのは、燈役の豊崎愛生。最初のうちは「ホントに豊崎はこういう役しかこねぇな、そのうち行き詰まるぞ」とか思っていたのだが、愉快なおっぱい劇場で散々遊び倒した後に、黄金のクェイサーが覚醒したところで本領を発揮。普段高音域ばかりで仕事をしている役者が突然音域を下げてくると、本当にドキッとします。他にも回りを囲みながら週替わりで痴態を見せてくれた女性陣、川澄綾子、清水愛、花澤香菜、佐藤利奈、黒河奈美なども良い仕事。 悪役側もこだわりが見えるシュートなキャスティング。私がこの作品を視聴し続けるきっかけを作ってくれたマグネシウム役の高垣彩陽。多分、今作で一番格好いい悪役でした。たった1話しか登場しない双子には中原麻衣・田村ゆかり。勿体ないくらいの使い方。 男性キャラだってなかなか濃いぃ面子が集まっており、最終回も含めてばっちり決めてくれた鳳役の大川透。終始冷静で世界を観察し続けたユーリ役の千葉進歩。興津和幸、成田剣など、濃い濃い。 そしてなんと言っても、「こんなエロ役やって、事務所的に大丈夫?」という心配を一身に浴びたのが、カーチャ役の平野綾と、華役の日笠陽子。ぴかしゃは……これのおかげで誰も届かない高みに到達してしまったかもしれません。芸人としては文句のない役だったわけですからね! エロいはずなのに何故かギャグにしか聞こえない。不思議!
実に見事な、非の打ち所のない最終話。これが……現代アニメの本気か……
私の個人的な好みも入るのだが、やはり「後日談」はたっぷりとってほしいもの。最終回にクライマックスを持ってくる構成というのも勿論意義は分かるのだが、そうするとどうしても尻切れトンボになってしまう傾向にあるので、特に2クール以上の尺をもった作品なら、きちんと作品世界を「閉じる」ために余裕のあるエピローグ展開をしてほしいと、色々な作品を見て思っていた。 その点、この作品は本当にお見事。前回のうちに既に黄金のクェイサーを倒しており、今回はサーシャとまふゆの関係性をまとめるためだけにしっかり1話が割かれている。それだけでも、まずありがたい。そして、そんな大切な最終話であっても、この作品はぶれない。最後まで「クェイサー」は「クェイサー」であるべきと、実に見事な「乳」縛りのエンディングである。 「乳がしぼんだ」。ギャグにしか聞こえないまふゆを襲ったアクシデントも、この作品では大問題。乳がしぼめば聖乳に影響が出るかもしれないし、何よりおっぱい星人のサーシャに愛想をつかされるかもしれない。そんな乳の問題を中心にして、事件後の「平和」と、サーシャとの「恋愛」に決着をつけるってんだからキチガイじみている。オープニングアクションとして、リズィが「巨乳なんて馬鹿馬鹿しい!」って突っ込んできたところでまず笑った。清水愛ボイスで「巨乳がなんだー!」ですよ。「二の腕があればいいじゃないかー!」ですよ。いや、んなことはいってないけど。 更にたたみかけるように、あれだけ格好良く散っていたイケメンキャラ、鳳による乳批評の回想シーン。やべぇ、鳳先生が男前過ぎる。そうだよね、ロリコンは病気じゃないものね。堂々と宣言しても何も問題無いよね。でも、大川ボイスでそんなことを力説されても……「巨乳ぅ? とても賛成できない。金輪際、私の前で巨乳などと口にしてはいけないよ」。額に入れて飾っておきたい名言です。 続く盛り上げ役は、我らが美由梨様。馬鹿だねぇ、素晴らしい馬鹿だねぇ。シリーズを通してギャグキャラで貫き通したのって彼女だけだもんねぇ。史伽や華も好き放題やってくれて、学校パートも愉快愉快。今回一番修正が入ってたのが相変わらずカーチャ×華のシーンだったので、そのへんの無修正バージョンも楽しみですな。 そしてクライマックスは、ついに正面からデレてみせたサーシャとの別れのシーン。この期に及んで純愛ムードに走られたら興ざめだなー、とか思っていたのだが、この作品に限ってそんなことはなかったぜ! 乳丸出しのヒロインに対して、「俺が巨乳ならなんでも喜ぶと思っていたのか!」からスタートする告白。「俺はまふゆのおっぱいだから好きなんだ!」。史上最低の告白台詞じゃないでしょうか。そして神々しいまでの最後の授乳シーンと、お互いのファーストキスを分け合うという「純愛」。馬鹿って突き抜けると綺麗なもんですよね。もう、好きにしたらいいじゃないの。最後にサーシャが鉄柵で鎌を作り出した意味が全然わからねぇけど、すごくいい笑顔のサーシャが「お前は震えたことがあるか」で締めるっていうラストは文句も浮かばない。大団円って、こういうモノのためにある言葉だよ。実は色々解決してない問題が有るんじゃないかとか、気にしたら負けだよ! エンディングテーマに「Errand」っていうお約束の演出も嬉しいが、Cパートがあの短い中に2ネタも突っ込んできたのは感心した。「サーシャが笑顔で女装を受け入れるようになった」というのが1つと、「華が嬉しそうに転校してた」っていうのが1つ。カーチャ組も無事にその愛を成就させたっていうことが、たったの1カットから分かるっていうのは秀逸な落とし方だと思う。 いやぁ、達成感のある、実によい締めでありました。無修正版でもう一回楽しみませう。 |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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