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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 普通だったら絶対笑わないだろうところで何故かにやついている自分に気が付いて、すごく落ち込む第7話。イカの魔力が悪いんや……

 Aパート「狙わなイカ?」。渚が相沢家を訪れるだけのエピソード。渚の被害妄想はいつも通りだし、終始平和なのもいつも通り。ただ、例えば渚を驚かして軽快な触手ダンスを披露するイカ娘を見られるのはこのエピソードだけだし、「げそ〜げそ〜」という謎の寝息が聞けるのも今回が初めてだ。夜中にこっそりゲームするなんて小学生男子みたいな行動パターンも親近感が湧くし、たけるのご飯を奪おうと、しれっとした顔で触手パワーを発揮するシーンだって愛らしい。つまり、これまでとちょっとでも違うことをしているイカ娘が見られると、それだけでなんだかOKな気がしてしまうのだ。このエピソードで最大のハイライトは、渚に裏切られて涙目のイカ娘と、そのイカ娘を慰めようとして栄子が放った「みんなに受け入れられる侵略者がいてもいいと思うぞ」という謎過ぎる発言。いや、いいんですけどね。

 Bパート「研究しなイカ?」。3馬鹿初登場エピソードであるが、なかなか濃い登場となった。でも、別にいなくてもいいんだけどね。どうせイカ娘がいればいいんだし。十回クイズに容易く引っかかるIQの低さはチャームポイントに見えなくもないが、何故か悟郎の秘密をしっており、脅しをかけるようなこざかしさも持ち合わせている。どうやって調べたんだろう。そして「対等な人間がいなくなったら、お前はひとりぼっちになるんだぞ」という栄子の指摘は、実は結構ひどいことを言っている。この作品で可哀想とかいう必要は無いわけだが、ちょっと油断すると「飼わなイカ?」のシーンが思い出されて目頭が熱くなるので注意が必要だ。一応3馬鹿にも触れておきたいけど……ほんと、小学生が考えた漫画に出てくる「すごくありがちなギャグマンガの博士キャラ」だよね。研究所に入ってからのネタが全く面白くないのがすごい。そして、奇跡的なオチの無さがすごい。絶対原作のオチ部分だけカットしてるだろ、これ。

 Cパート「働かなイカ?」。まさかの偽イカ娘再登場。そして、律儀に店員トレードに応じるイカ娘の順応っぷりが何とも切ない。一応「壁の穴の分だけバイトする」っていうのが地上にあがった大義名分だったはずなのだが、そんなそぶりを全く見せずに別な店に移籍しての大活躍。何も言われずとも客引きをしようとしたり、ちゃんとバイトとしての責任感はあるんだよね。ちゃんとお客さんのニーズに応えようとしてたし。それにしても、この海、海水浴客多いよな。

 あ、もちろんCパートもオチません! だんだん癖になってきた!

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 イカちゃんの裏番組でイカをむさぼり食う第7話。おい、今期のアニメはどうしてこんなにイカ推しなんだ?

 今回はいわゆるサービス回……のはずなんだが、この作品の場合、水着だろうが全裸だろうが全てネタに見えてしまうため、サービスの方向性は別なベクトルになってしまう。そもそもアルセーヌなんかは普段から露出度の高い衣装を着てるし、他の連中は普段から一切セクシャルなイメージが無いからな。ナイスバディで全裸を披露したはずなのにエロさが感じられずに哀れみすら感じられるコーデリアさんがマジ不憫。

 今回のみどころは、なんといってもG4やアルセーヌなど、メインとなる女性キャラ総出演による賑々しさであろう。普段なら一番やかましいトゥエンティたちがちゃっちゃと退場し、画面を埋めるのはところ狭しと駆け回る9人の女性キャラクターたち。普通、これだけの人数でドタバタギャグなんかやった日には訳が分からなくなって収拾が付かない気がするのだが、この作品のすごいところは、9人が9人とも、ちゃんと見せ場を作ってキャラを立てているというところである。エリーは少し影が薄かった気もするが、G4の面々まで画面上で楽しそうにしているのが見えるのはすごい。

 序盤の海辺のシーンはよく分からないテンポで、「お、今回はハズレ回か?」と身構えた。カニをとられるくだりとか、別に面白くもないのにやたらと尺を引っ張って、あまりこの作品らしくないダラダラしたシーンになってしまっていた(エラい引っ張るから何かの伏線になるのかと思ったのに、特に何も無かったし)。なんだか作画の状態も怪しくて、「これはギャグとしてうけとめればいいのか、それともあっという間に製作体勢が限界に来たのか……」と悩んだものだが、シャロの頭が叩き割られ、つづけて洞窟に入った後からは、真骨頂であるせわしなさが存分に発揮されるエピソードとなった。

 9人全員だと流石に多すぎるってことで、まず落とし穴トラップでチームを二分したわけだが、この4人と5人の組み合わせが意外。今回は一応「ネロのトイズ復活の糸口」っていうのがメインプロットだっただろうからネロ・シャロ・アルセーヌが一緒の組なのはいいのだが、ここにもう一人ついてきたのがG4の遠山咲である。何とも妙なご一行。一方、落とし穴の下に転落したメンバーはG4メインの組み合わせだが、ここに全力全開のコーデリアが加わることで、上も下も終始ミルキィホームズ主体で進んでいる印象になる。つい最近まで特に区別も付かなかった面々なのだが、気付けば随分濃いキャラになっていた。

 ふざけまくったトリックハウスと格闘するドタバタっぷりも相変わらずテンションが高く、強引にエロにもっていく流れなんかも無茶苦茶でフォローの仕様がないくだらなさ。いや、これが全てだと思いますけど。ところどころ入ってくるさりげないパロディ要素は露骨すぎないので逆に病巣が深く見えるし、前半から通してちょっと微妙な作画状態も、なんだかかえって味があるように見えてくる。この作風はずるい。ちなみに今回一番気になったのは、こころのスク水に書かれた「Gの4」っていうネームタグ。いや、それ違うだろ。

 今回は福田道生のコンテ回だったよう。残念ながら見てる間は気付かなかったのだが、相変わらず大ゴマの使い方とか、テンポの作り方が上手い。次はどんなクリエイターのどんな悪ふざけが待ち受けているのだろうか。あかん、気付けば完全にミルキィのペースだ。

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 ようやく科学と魔術が交差した気がした第7話。相変わらずよく分からない部分も多いんですけど、格好いいシーンがいっぱいあったので満足です。

 ツリーダイアグラムの残骸を巡って御坂と対峙したテレポーター、結標(むすじめ)というらしい。前回のエピソードでは黒子の完全上位互換かと思われるような悪辣さだったのだが、初春の調査によって自身をテレポートしたくないという心の弱さがあっさり露見。これにより、黒子にも反撃のチャンスが訪れる。不意を突いて一気に攻め立てた黒子だったが、やはり地力の違いからか、結局大量の家具に埋もれて這いつくばることに。

 一転してピンチに陥った黒子に、自分の生い立ち、目的、信条を語って聞かせる結標。浮き上がるのは相変わらず暗部の多い学園都市の歪みであり、超能力者という異質な存在であるがゆえの苦悩。彼女の悩みも尤もである。しかし、黒子にとってそんなことは関係無い。黒子の全てはあくまで御坂であり、彼女の邪魔をする結標はどんなお題目を唱えようと敵でしかないし、同じような境遇といいながら暗く歪んでしまった結標に同情する理由も無い。

 能力を発動できず、純粋に体力だけで立ち上がり、襲いかかる黒子。そんな気迫に、結標は壊れてしまう。能力を暴走させ、とにかく目的のものだけを持って逃げ出そうとする。しかし、既にアンチスキルの手が回っており、目の前には学園最強の男、一方通行。百戦錬磨のレベル5に頼みの綱であるテレポート能力もあっさりと封じられ、一蹴される結標。トランクも破壊されて、彼女の目論見は幕を閉じた。

 一方の黒子は、御坂妹に報せを受けた当麻と、当麻に引き連れられた御坂の手によって救出されて一命を取り留めた。御坂に心配はかけてしまったようだが、最終的には彼女の目的である「御坂を戦闘に関わらせない」という部分は達成した。御坂には事情などを追究することなく、あくまで「自分の未熟さが引き起こしたこと」とする黒子。全てを受け入れて、御坂は笑ってくれた。

 

 というわけで、いわば「レールガン側」とでも言えるエピソードは綺麗に終幕。バトルメインの展開で、終始男前なキャラクターが入り乱れるドタバタっぷりはボリュームたっぷりでした。相変わらず細かい部分は疑問が多くて、前回も思ったけど、やっぱり一撃死が充分あるはずのテレポーターどうしのバトルであんなに余裕を見せちゃいけません。特にお互い能力制限なんて有って無いようなもんなんだから、本当なら最低でも視認出来ない距離やポジションから闇討ちにでもしない限り勝利は得られないんじゃなかろうか。

 とはいえ、メインとなったテレポーターどうしのバトルは、その超人的な能力の一進一退の攻防が視覚的にも理解出来るのでなかなか面白いシーンだった。お互い能力を知り尽くしているからこそのせめぎ合いは、微妙に歪んだ「この世界」のバトルだからこそなしえる、小洒落た見せ場である。

 そして、迫力で言ったら一番意味不明だったレールガンからの当麻ハイパージャンプ。正直、何が起こったのかさっぱり分からないシーン。まず、御坂がレールガンを照射した理由が謎。「その地区で能力者どうしの戦いがあると報じられていた」「コインが落ちている」などの理由で「そこが黒子と結標の決戦の場である」ことは理解出来ただろうが、ビルの上で戦っていた二人に対し、状況も確認せずに問答無用のレールガンをぶちかましたのは何故なんだろう。普通に考えたら、黒子が死ぬ。うまいこと脇をよけて飛んでいってくれたからいいようなもので、あのシーンなら黒子が「あー、上からものを落とされて死ぬかも」と思っていたところに真下から電撃を浴びて即死、なんて洒落にならない事態もありえたのだ。レールガン自重。

 そして、そんな電撃の残滓もさめやらぬ中、レベル0で何の能力も持たない当麻が人間としてあり得ない身体能力を発揮し、黒子を抱き留める。能力を持たない一般人で壁を駆け上った人間なんて人吉善吉くらいしかしらんぞ。まして崩れるビルの瓦礫を駆け上るなんて、よっぽどの能力者でもなきゃ出来ない芸当。さらに、ビルの上部に駆け上って何かをイマジンブレーカーで消したみたいなんだが、一体何が消えたのかが分からない。結標がテレポートさせた「ビルを壊すほどの何か」を消したってことなんだろうが、テレポートしてきたものはあくまで現実にある物質でしかないだろうに。1期目からずっと思っているが、主人公の能力があまりに野放図に使われすぎていて、「理屈でバトルしてる」感じが全く出てこないのがこの作品の最大の悩みどころです。

 でもまぁ、今回は画面の迫力重視で、とにかく見せる画面を作ることが出来ていたから良しとすべきか。御坂がコインを拾ってから最後に物陰で微笑むまでの一連のくだりは、アニメにすることで現れる最大のセールスポイントである「画と音の迫力」が出ていたシーン。落下する黒子に対して御坂が「黒子!」と叫ぶカットは、「超電磁砲」最終回の名シーンの再現だ。こういう本歌取りはニヤリとさせられてしまう。

 その後の一方通行の陵辱シーンも馬鹿みたいにかっ飛んでて面白かった。岡本信彦によるちょっとお茶目な一方通行のキャラクターはなんだか面白いポジションに落ち着いており、余計なことをグダグダしゃべらなければ「すごく強い人」として結構楽しく見られるのである。いっそ聖戦士星矢みたいに「意味は分からないけどとにかく気合いでいけるからいいよね!」みたいな馬鹿な作品になってくれた方が幸せなんだけどな(結局、超電磁砲の方が好きな理由も、御坂は大して悩まずにかっ飛ばしてくれるのが楽しいからだし)。

 そして、超電磁砲ならではの楽しみと言えば、やっぱり黒子と御坂の友情物語。今回は結標に御坂のことを罵られた後の黒子の奮起シーンが最大の見どころで、能力を使えずとも、無理矢理瓦礫を押しのけて立ち上がる黒子が無闇に格好いい。「てめぇの事情なんかしらねぇよ。お姉様が言ってることが正しいんだからよ」という芯の通った力の源が分かりやすいのに加え、立ち上がった黒子の腕にかかるジャッジメントの腕章が印象的に見えるカットも印象深い。ジャッジメントとしての活動も御坂との絆を表す1つのツールだが、彼女の力は「正義」であり、それを示す最大のキーツールがあの腕章。やっぱり黒子はあのポーズあってこそ、ですの。ラストシーンのやりとりも、最低限の会話でお互いの心中が伝わっていることがよく分かるし、この2人については、どんな苦難が襲ってきても心配する必要は無いのだろう、という安心感があります。

 その他の見どころとしては、たくさん出てきた回りのキャラクターたちの動向がある。当麻のヒーローっぷりは置いておくとして、一切のシリアス風味に関与しようとしないインデックスさんの平和っぷりや、自己の判断で動いていることが伝わってくる御坂妹たちの変わりつつある自我、そしてひたすら愛くるしいラストオーダー。いやぁ、いいね、ラストオーダーいいね。日高里菜いいね。一方通行さん、ずるいわ。

 良い具合で「超電磁砲」の持つ要素を取り込めたエピソードでした。個人的には「禁書」の方の存在意義はほとんど見いだしていないので(女性キャラが可愛いことは評価するが)、いっそこのまま「錦織版超電磁砲」みたいな作品が見たいくらいです。完結にまとめると、当麻さえいなければ万事OK。あと、新井里美万歳。

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  ゾンビ強化年間、第8話。今年のアニメ業界はよっぽどそっち推しがしたいんでしょうか。こういうのって重なる時にはとことん重なるもんだな。

 そんなわけで、14話はゾンビ映画の大定番をそのままパロディに仕上げた、ちょっとこれまでとは趣を異にしたエピソード。パンティたちはダテンシティを離れ、田舎の警察署に立てこもって突如現れたゾンビたちと死闘を繰り広げることになる。いわゆるゾンビもののお約束を丁寧に踏襲しつつネタにしており、燃えるパトカーから幕を開け、必死に立てこもる様子や、窓硝子を突き破って現れる大量の腕、避難民の一部が炎を持って飛び出すところや、ゾンビに噛まれた人間がゾンビ化するところまで、きっちり「この絵」でもってネタにしている。あげくストッキングが「まるっきり普通のゾンビじゃん! つまんない!」と文句を言い出す始末。ここまで緊張感も恐怖感ない「ゾンビもの」は初めてである。

 そしてデーモン姉妹がその正体を現したあとは、徹底的に定番を茶化した展開に。駆け込んだ武器屋で手にした装備はバイブだし、武装を整えて「さぁいくぜ!」と飛び出したパンティは、ドアを開けるなり「気持ちわりぃ」と引き返してしまう。ゾンビに噛まれたことで囮役に名乗りを上げた青年はどこか悲壮感のないアホなキャラだし、彼に人生録(3ページ)を渡された女性もどこか抜けている。そして、何より彼を送り出す主人公一行が全く悪びれずに「死に損ないなら囮に最適ね」と送り出してしまうのがひどい。もちろん、そんな彼は何一つ仕事をせずにゾンビに魂を売ってしまうわけだが。こうしてみると、やっぱりホラー映画やハリウッドのパニックもののテンプレートって、古式ゆかしいコントの趣があるよね。

 そしてシリーズ最高レベルのぶん投げオチ。まぁ、こいつらならコレが一番ふさわしいオチな気がしなくもない。ガーターは「貴様等が相手ならば不足はない!」と司令官らしからぬ吹っ切れっぷりで戦闘を楽しんでいる風なのが最低。「子供ゾンビに噛まれる」というお約束シーンを演出した警察署長、「彼」のノートを死守しようとしてあっさり噛まれた女性キャラ、誰も彼も瞬殺でしたからね。しかも、お前だけバイブ使ってる意味がわからんし。地味に一番ひどい奴がガーターだっていうのがこの作品のお約束オチ。下ネタ無しでメインキャラたちのゴミクズっぷりが綺麗に出るお話っていうだけで、なんか無駄に活き活きしてて楽しかったです。

 Bパート15話は、理屈の通じない天使たちを計略で貶めようという法廷もの。こちらもいかにもアメリカで人気がありそうなB級バラエティのパロディっぽい雰囲気が徹底している。というか、メインのゲストキャラに三木眞、森川、西村知道っていう時点であまりにやる気がありすぎる。胡散臭い「検察尋問」のテンションとか、予定調和過ぎる審議の流れとか、最低の主人公たちを追い詰める最低のスタッフたちの悪ノリが相変わらずのハイテンションである。4話に引き続き小松田大全のコンテ回ですね。

 画面としてはスタジオにパンティたちが座りっぱなしなので地味なものになりそうなのだが、その分変身シーンをいじるネタとか、ゴーストのデザインとかで飽きさせない工夫が徹底している(被害者ゴーストのモーションとかは、ディズニーや「トムとジェリー」あたりのパロディっぽい)。そしてクライマックスとなるサルネタ、そして電撃を浴びたり、拘束されたりした時のパンティとストッキングのふざけた顔。電撃エクスタシー時のストッキングのイカれた表情とか愉快でたまりません。

 今回も「出てくる」→「得意がる」→「やられる」の悪役三段活用が綺麗に決まっていたデーモン姉妹。色んな特技を見せつけてくれるが、ピンポイントでの登場しかないのにいつの間にかすっかりキャラが固まって見やすくなっている。今回は黒こげになった後でかなり大胆な格好になっているのだが、やっぱりこの絵ではなかなかセックスアピールはしてくれないな。またリアル絵で出てきてほしいもんだけど。

 そして相変わらず秀逸なのが、この作品のゲストキャラのキャスティング。上記の「全力でふざける吹き替え声優陣」も必聴だが、Aパートで日笠、Bパートのゴーストには生天目仁美。何故こうも的確に芸人側の声優陣を配置出来るのだろう。マネージメントしてる人、心得すぎだろうに。藤村・ナバと並ぶ賢プロ声優陣は本当に良い仕事をしてくれているな。あとは新井里美の登場とかに期待しようかな。浅野真澄でも可。

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 あれ? なんでこれ手に入れてるんだろう。OVAなんて高いばかりで買う必要は無いんだけどなぁ……不思議だなぁ……

 原作は既読。結局、どんな漫画だろうと「声優漫画」を銘打っていたらチェックしないわけにもいかないので……というのは嘘で、紺野あずれはデビュー当時からけっこう目にしてる作家なのです。絵柄が独特だからエロ漫画誌にいてもけっこう浮くんだよね。あの淡泊な絵柄が好き、っていう人もけっこういるんだろうなぁ。個人的には可もなく不可もなくなんだけど、ア×ルへのこだわりは尊敬に値するかもしれん。絵柄がライトで描いているものはさわやか青春ラブコメ風なのに、行為自体はアブノーマル。ふむ、クレイジーズとはよく言ったものだ。

 てなわけで、著者初のアニメ化作品ですかね。こうしてエロ出身の作家が少しずつ一般向けに進出してアニメ化しているのを見ると胸が熱くなるな。確か「おまもりひまり」で的良みらんの名前を見た時も同じこと書いた気がするけど。他にも「めだかボックス」の暁月あきらもそうだし、期待枠だと「超弩級少女4946」の東毅(きみまる(えんとっくん))とかも期待できそう。「断裁分離のクライムエッジ」がアニメ化してくれれば緋鍵龍彦もなんだけど、流石に無理かな。「マケン姫」の武田弘光あたりは普通にありそうだ。なんか、どれだけ名前を挙げてもやっぱり完全にエロから脱却してる人間っていないな。

 閑話休題、この作品である。「エロ声優漫画」ということで、やはり見どころはキャスティングも含めた声優の扱いだろう。主人公の柑奈役に抜擢、というか犠牲になってくれたのは、何とあのMAKOである。一橋ゆりえ様を起点として獅子堂秋葉、小梅ちゃんを経てついにはここに。元アイドルユニット出身であることを考えると、なかなか立派な出世コースである。既に秋葉役をやっている時に「やぁ、ゆりえ様も随分達者になったもんだ」と思ったものだが、今回は罰ゲームにも似た無理難題をそつなくこなし、ちゃんと役者としての根性を見せてくれている。エロだから特別難しいということもないだろうが、やはり「声優役の声優」っていうのはメタレベルでややこしいので混乱しやすいジャンルだと思うのだが、そのあたりのジレンマをきちんと消化し、役として成立させていたのは大したものだ。これなら2巻3巻と続けてもらっても問題無いだろう。最終的な代表役がコレになったら笑うに笑えないけどな。中途半端に「全年齢向け作品」だから、変名を使うのも憚られるし、下手なエロより中途半端にエロさが際立つし、絶妙な羞恥プレイである。いいお仕事でした。

 そして、個人的に気になったのはおねーちゃん役の渡辺明乃。あけのんはエロのイメージが一切無い(本人にね)、今のご時世ではちょっと珍しいスタンスの女性声優なのだが、この「エロとかけ離れている感」がドライなおねーちゃんの役に妙にフィットしていて面白かった。平気で隠語だの「ちゅぱ音」だの「フェラシーン」だのと言葉を連ねているのに、本当にしれっと言っているのでどうでもよく聞こえる。おかげで柑奈の恥ずかしがる様子が綺麗に対比されており、今作では陰の立て役者と言えるかもしれない。本当に便利な役者である。中の人の話はこれくらい(千葉進歩の胡散臭さとかも見逃せない要素ではあるが)。

 で、わざわざドラマCDではなくてアニメにしているのだから、ちゃんとアニメとしての側面も見ておこう。紺野あずれの絵は線がシンプルなのでアニメ化しやすかろうと思っていたのだが、実際動かしてみるとキャラの簡略化が独特で、動きを付けようとすると案外難しいみたいだ。特にエロシーンになると身体の線が全部出てしまうし、あまり精密な動きにすると下品さばかりが際立って絵のライトさとのギャップが目立ってしまう。そうした地味に難しいバランスをとりつつ画面を作り上げ、いい塩梅に落とし込んでくれたのが、監督の細田直人である。細田さん、こんなとこで仕事してましたか。独特のぎゅいんぎゅいん動かすこだわりの動画面は流石になりをひそめてはいたが、要所要所での小憎らしい構図の狙い方なんかはいかにも細田流。スタジオ内くらいしかシーンがなくて地味になりがちな画面を、上手い具合に刺激的なものに仕上げてくれた。やっぱりこの人はうまいんですよ。私が感心する動画屋さんは、この人といい「ヨスガ」の高橋丈夫といい、やたらエロ方向に流れる傾向があるな(まぁ、高橋丈夫は元からエロ方面の人だけどさ)。

 エロがある画面、ってことで、今回一番気合いが入っていたのは、やはりクライマックスの指フェラシーン。本番そのものはどうしたって修正が入るので力を入れても仕方がないと割り切ったのか、修正を入れずに全力で描き込める指フェラシーンは、本当にエロい、丹精込めた出来。うん、これが全年齢向けで販売されているのは問題があるよな。良い子のみんな、これを見て変なフェティシズムに目覚めないように注意だぞ!

 ……2巻、どうしようかなぁ。

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 やはり日本は湿気の国であると実感出来る第7話。ちなみにソースは「ギャラリーフェイク」。湿度をもった雨の中の絵面っていうのは、墨汁アクションによく馴染みます。

 前回の騒動の結果、何故か千姫邸に住みつくようになってしまった直江兼続。「味方になった」とは言い難いのが現状だろうが、少なくとも式神でいいようにもてあそばれて慶彦に裏切られたことくらいは、悪い頭でも理解出来たようだ。「宗朗の見張り」という大義名分を(自分の中では)立てながら、過去には某アスリーテスも愛用していたような犬小屋のごとき「兼続小屋」に居着いてしまった。

 そんな間抜けは放っておいて、着実に慶彦の捜査を進める面々。軍師幸村が加わったことで事態は大きく進捗し、サーバーから落とした謎の音声ファイルがなにやらいかめしい文言を唱えているらしいことまでは突き止めることが出来た。一方、着実な協力体制に満足を覚えながらも寂しさに戸惑うのは、千姫の忠臣、半蔵であった。幼い頃より唯一無二の友人として千姫に付き従ってきた半蔵は、仲間が増えて明るくなった千姫に自分の必要性が薄くなったことを感じ、マスターサムライ化を経たことで護衛としての任務すら必要無いのではないかと思い悩む。

 そんな折、新たな刺客が邸宅を襲った。奇妙な能力で十兵衛・又兵衛を立て続けに戦闘不能にした「見えない敵」は、その毒牙を千姫に向ける。半蔵の救援でかろうじて襲撃を防いだ千姫だったが、視認できないのでは防戦一方。何とかその姿を捕らえるべく、唯一捕縛機能を所持している半蔵に、宗朗とキスをしてマスターサムライ化することを命じる。

 姫の命を受けて必死に努力する半蔵だったが、やはり心に誓った相手以外にキスをすることは出来ず。ついには「マスターサムライ製造器」である宗朗も討ち取られ、絶体絶命のピンチに陥る。死地において最後に彼女がみせたのは、自分の命と引き替えにでも姫を守らんとする絶対服従の臣としての決意。最終的には兼続の協力もあり、何とか千姫の一撃で敵を退けることが出来た。そして、半蔵はボロボロになりながらも、最愛の人からの信頼を勝ち取ることに成功したのであった。

 

 というわけで、意外なことにここで半蔵のメイン回。「マスターサムライのバーゲンセールだな」という展開になるのかと思いきや、彼女は自らの信念を最後の最後まで曲げず、操を守り抜くことでついに宗朗を打倒、千姫の中での「最愛の友人」としての地位までも確立するに到る。ハーレムものだからどうせ最終的には手込めにされるんだろう、と思っていただけに、この展開は意外であり、嬉しかった。やっぱりこういう展開で全員考え無しに足並みを揃えると面白くないからね。半蔵の最大のパーソナリティはやはり千姫への忠義であるわけで、その部分をきちんと見せてくれたのは嬉しかったのである。ま、やってることはベタの極みなんだけどね。

 そして、今回は十兵衛がほとんど出番無しという状態で、半蔵&千姫コンビの次に活躍したのは、輝かしき馬鹿、直江兼続。英検4級のくだりとかその前後の掛け合いは、本当に純正の馬鹿っぽくてすごく愛おしい。きっと慶彦もこの子を丸め込むのは簡単だったんだろーなー。気付けば犬小屋住まいなんてなかなか美味しい属性も獲得したし、腹ぺこキャラも堂に入ってきた。最後の最後はきちんとハンマーでもって戦闘に絡んですらいるのだから、実はこの作品で一番美味しい立ち位置にいるのは兼続なのかもしれない。え? ひょっとしてここからマスターサムライ化するんですか? ……強い兼続はなんかヤだな。

 今回は割と長めにバトルの尺もあり、雨のしのつく中での決戦ということで、いつも以上に墨汁先生が大活躍。「画面にかかる雨」っていうのはまた新たな役割なわけだが、よく見ると縦に画面を割る筋の他にも、細かい飛沫がところどころに飛び散っているのが確認出来る。普段は剣戟やモザイク、オーラなどを描写している墨汁が、本当にディティールまでこだわった形で「雨」になっているのが実に美しい。あと、何故か半蔵の胸を隠すときだけモザイク墨汁がシュッと一筆走らせただけになっているのが謎(他のキャラはしずくを垂らしたような円形が多い)。半蔵も別に貧乳ではないんだけどなぁ。

 唯一気になったのは、サブタイトルがこれまで何度も出てきたフレーズである「大日本を覆う影」なのだが、そのへんには特にスポットが当たらなかったこと。もう少し目的意識が明示されるかと思ったんだけどね。あと、幸村が何気なくもっていた六文銭プリントのノートパソコンが気になる。ちょっと欲しいかも、と思ってしまったが、幸村ファンの歴女とかだったら普通に自作してそうで怖いな。

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 刻一刻と、第11話。新キャラも登場せず、特に奇をてらうような演出も展開もなく、粛々と物語は閉幕へ向かう。

 今月分の放送は、いわば「何も無い」話数といっても良いだろう。刀は既に前回で全て出揃っていたし、新たな所有者も当然現れない。とがめ達は尾張へと戻ったし、真庭忍軍はその命運を終えた。全ては終局へ、いやさ、この作品の言葉を使うなら、「完了」へ向かっている。少しずつ積み重ねてきた11ヶ月の物語が収斂していく様を見ていると、それだけで何か感慨深いものがある。

 不満点ももちろんある。最大のしこりは、結局鳳凰が大した活躍も見せずに退場してしまったことだ。今回はバトル展開がいつも以上に多くて、鳳凰対右衛門左衛門、人鳥対右衛門左衛門、そして七花対鳳凰と、メインクラスの戦闘を3つも描いている。だのに、今回は鳳凰の存在感が非常に希薄なのだ。その理由はやはり四季崎に乗っ取られて自我が消え失せてしまったせいであろうが、あの慇懃無礼でどこか癇に障る鳳凰との直接対決が拝めなかったのは少々残念である。また、原作を読んでいないので分からないが、鳳凰(というか四季崎?)と対面した時の七花ととがめの台詞の意味がよく分からなかった。「あんな普通の刀であるわけがない」というくだりを二人で嘘くささたっぷりに言い合っていたのだが、あのくだりは、どういう意味があったのだろうか。単なるジョークなのか? 折角の感慨深い「刀集めの終着点」となるシーンだったのに、なんだかノリが奇妙だったのでどこか違和感があったのである。

 とまぁ、不満は先に書いておいたが、やはり今回もびっちりと詰め込まれた台詞の数々と、それをただ流すだけでなく、画面にのせて世界観を描出し続ける偏執的な構成は充分楽しませてもらった。いつもに増して背景のディティールが美しかったのは、秋という季節を意識してのものだったのか、それとも「旅の終わりの景色」にどこか叙情的なものを込めたおかげなのか。七花ととがめが二人で語らう海辺や、右衛門左衛門が鳳凰とぶつかった夜の平原、そしてラストシーンとなった夕暮れの境内など、1つ1つの絵が不思議なほどに冴え渡り、動きの少ない画面でも充分に目を楽しませてくれる。こういう部分で見せてくれる作品というのは昨今あまり多くないので、それだけでも製作陣の心配りが感じ取れるというものだ。

 アクションシーンについては特に目を引く部分があったわけではないが、演出的にかなり際立ったのは人鳥の最期だろうか。今月のパスワードが「アレ被り物だったのか!」な時点で人鳥というキャラクターには少なからずマスコット的な要素があり、「可愛らしいのに忍びとしても優秀で、鳳凰からは次代の頭領を任される人材でもある」という奇妙な魅力を持つキャラクターだったのだが、右衛門左衛門によく分からない理屈で打ち負かされた人鳥は、何とも情けない姿で這いつくばり、あげく命乞いまでして右衛門左衛門には最大級の罵倒と共に誅殺されている。これまで数多のキャラクターが死んできた今作だが、ここまで凄絶で、後味の悪い死に方もなかなか無いだろう(まぁ、虫組も同情を禁じ得なかったが)。この人鳥の殺害シーンはラストにもってきたとがめ狙撃シーンに繋がるファクターとなるわけだが、冷血なマシーンとなった右衛門左衛門の特性が浮かび上がると同時に、彼の隠しきれない醜さ、妄念の深さをうかがい知ることが出来る。

 今回最もスポットが当たったキャラクターは、やはり右衛門左衛門なのだ。いまだよく分からないが、鳳凰との対決では次第にそのベールがはがされ、人鳥を殺すことで彼の目的が最大限に前景化する。クライマックスでは夕日を背に浴びて神社の石段からぬっと顔を現す姿が何とも禍々しく、これまで1年にわたって描かれてきた物語の最後の試練にふさわしい存在感である。そして、そんな彼が黙々と任務を遂行し続けることで、暗にその裏にいる否定姫の存在感もふくらみ続けるのである。ただひたすら自室で独り言をまくし立てるだけの否定姫。今回は誰とも会話していないはずなのだが、薄暗い室内での唾棄とも憐憫とも取れる不可解な感情の吐露は、とがめとの一筋縄ではいかない因縁の深さを感じさせる。物語に幕を下ろす障壁として、こちらも立派に立ちはだかってくれそうだ。

 一方、敵方に比べると多少おとなしめだったのが主人公カップル。特に七花は今回「あまり強くない敵」である鳳凰を一蹴したくらいで、最後の大活劇は次回に持ち越しのようだ。しいていうなら、開祖となったご先祖様、鑢一根がどことなく七花に似ていたことくらいが見どころだろうか。

 それに比べて、とがめは遂にその宿願を果たす。つまり、七花に対する事実上のプロポーズである。何とも不器用で、情緒の感じられない彼女らしい物言いではあったが、現時点における七花との関係性を考えれば、ベストのタイミングで、ベストの振る舞いだったのではなかろうか。わずかながらも七花の中に残っていた「父親殺し」の禍根はすっぱりと断ち切ってみせたし、あくまで「刀」としての七花を求めることで、現在の関係性を崩さずに未来を見据えることが出来る。自分にとって初めての「交友関係」であるという、何とも初々しいプロポーズであった。今回はやたらととがめのお尻メインのカットが多くて、妙にエロティックな雰囲気が漂っているのも見どころでした。あのへんてこな衣装のお着替えシーンも細かく描かれたし、まさかの眼福でした。

 およそ出し切る部分は出し切り、泣いても笑ってもあと1本で終幕。どのようなエンディングを迎えるのかが今から楽しみで仕方ない。今回のように旅情をふんだんに醸し出すような必要も無いだろうし、出来ることならこれまで以上に充実した活劇で見せてほしいものである。今回のコンテ演出には何故かこでらかつゆきが混ざりつつも、元永慶太郎監督が指揮をし、作監にも中田正彦が参加してのシルバーフォックス総当たり体勢。次回も、期待できそうです。

 最後は当然キャストの話。今回は人鳥役の涼さんが相変わらず腹の立つ愛らしさだったことに加え、置鮎龍太郎の軽快な二役に痺れます。青二軍団の存在感は格別である。でも、今回一番痺れたのは四季崎記紀役の森功至。「なるほど、この人なら時代を揺るがすことも出来る」と思わせる存在感。たまらんです。

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 今期はシリアス展開が早い、第7話。1期は7話っていったらまだニンフが到着したくらいだったのだが、今回はもう既にラストに向かって着々と地固めをしているような印象です。まぁ、1期は1話でイカロス、6話でニンフ登場だから、2期の1話でアストレア、7話でカオスっていうのは大体一緒と見ることが出来るんだけどさ。

 というわけで、シリアス多めの1本。明確にギャグといえるのは、サブタイトルになっているスイカのくだりくらいのもので、そこだってエロネタはほとんどなかったし、何が何だか分からないままに終わってしまった。でもまぁ、短いながらもニンフとアストレアが仲良くしているシーンや、イカロスがあのスイカを本当に大事にしていることが分かったことなど、色々と見どころは多かったです。アストレアはもうすっかり桜井家の一員だという認識でいいと思うのだが、ニンフとの先輩後輩関係がすごくのんびりしてて、「これはこれでいいものだ」と思える絵になっていた。

 ニンフとイカロスがなんだかんだ言って暗い過去を背負っているので、特に何も無いお馬鹿キャラのアストレアは本当に貴重である。今回メインとなったスイカに引っかけたんだと思われる酢イカを「味が無くなるまで!」食べているしたり顔とか、オープニング映像にもなっていた名シーン、冷蔵庫から登場のパートとか、無駄に可愛い。幸い冷蔵庫は元から空だったらしいので「てめぇ頭脳が間抜けか?」などとニンフに馬鹿にされずに済んだわけだが、その分はニンフも一緒に間抜けキャラに。おかしいなぁ、演算部分に特化したエンジェロイドだったはずなんだけどなぁ。

 そんな2人に対抗するイカロスは、良くも悪くもいつも通り。「マスターの悲鳴が……」と雨戸から覗かせる目はホラーじみているが、今回初披露の「デフォルメモードのままでアルテミス照射」という絵面が無駄に可愛らしい。食卓でのおかず争奪戦もどこ吹く風だったし、どこまでもマイペースな魅力である。一つだけ「何で私服が変わると胸が小さくなっているように見えるんだぜ?」という疑問が無いではないが、そはらとの差を明確にするためだということで納得しておこう。

 なんだか、トータルすると「To LOVEる」と何が違うんだよ、というドタバタっぷりなのだが、終始デフォルメを維持するエンジェロイドたちが可愛らしくて、それだけでギャグの成分は埋め合わせは効いているぐらいであった。一応、アストレアの分までご飯を用意してくれているあたりで智樹の家族思いな一面を見せてくれてたりはするんだが……今回は智樹の影が薄かったから勿体なかったかな。

 そしてBパートをメインとしたシリアス展開。カオスの初登場という面が強いのだが、メインとなるのはどちらかというとニンフの内面だろう。無邪気なアストレアに指摘されてしまった「羽無し」という負い目。どんな事情があれ、背中の刻印は彼女の裏切りを象徴しており、他のエンジェロイドと自分は明確に「違う」ということを示してしまう。そして、そんな彼女の一番辛い側面をえぐりに来たのが、悪魔の申し子、カオスというわけだ。「何故シナプスを裏切ったのか」「何がニンフを地上に縛り付けているのか」。カオスはただ純粋無垢にそれを問いかけ続けているが、ニンフ自身、その問いに容易に答えることは出来ない。智樹に誘われて嬉しかったことは紛れもない事実であり、「愛って」というカオスの問いに対する答えは用意出来ているはずなのだが、それは「家族」として存在し、既にイカロスという先約がいるだけに認めがたい感情。智樹に誘われたからこそ吐露したそんな感情の隠された部分が、カオスによって最悪の形で打ち砕かれてしまったのだ。これは切ない。

 「無垢」という要素を考えれば、アストレアもカオスも似たようなもの。Aパートがアストレアとニンフ、Bパートがカオスとニンフ。この2者対立をきっちり1話で表示して、そのギャップを見せる構成はなかなかうまい。シリアス展開とはいいつつも、そこかしこにネタっぽいものも仕込み、「そらおと」テイストを決して完全に消さない心遣いも嬉しい部分だ(まさかハーピーまでギャグテイストに乗ってくれるとは思わなかった)。色々とみせられる1本でしたな。

 そして、今回正式登場のカオスの中の人が、豊崎愛生である。ふむ、このキャラ作りもなかなか強烈。こういう引き出しがあるっていうだけでも充分な武器だなぁ。マッドな敵役っていうと「聖痕のクェイサー」で黄金のクェイサー役があったけど、あれとはまた違って今回は愛らしさの要素も残しつつのマッド。いや、面白いですわ。

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  今期3本目となる劇場アニメは、何故かボトムズ。「今年はあんまり劇場に足を運んでないなー」と思って探してみたら、今やっているのがこれだったのである(流石にプリキュアは一人で見に行きたくない……)。

 で、この作品の話に入る前に、1つどうでもいい人生初体験をした。なんと、劇場をまるまる1つ貸し切り状態で視聴したのである。そりゃま、平日昼間だし、さして話題にもなっていないマイナーアニメ映画ではあるだろうが、それなりに大きなシネコンでやってる作品で、まさか客が一人とは思いもよらなかった。それとも、映画をよく観る人間はこういう機会もあるものなんだろうか……せっかくなのでど真ん中の席でめちゃめちゃくつろいで観てきたわけだが、誰もいないシアターは逆に落ち着かないもんだな。まぁ、咳をしたり、関節ならしたり、普段なら回りを気にして出しにくい音も気兼ねなく出せたのは楽でしたけど。家でアニメを観てる時と同じように、一人突っ込みしながら観てました。

 閑話休題。ボトムズである。当方、はっきり言ってボトムズについては何一つ知らない。この作品がボトムズバージンの喪失である(荒鷲的表現)。「何で劇場作品でガンダム00は観に行ってないくせに、よりによって知りもしないボトムズなんだよ」と言われるかもしれないが、個人的には同じサンライズ作品でも、「00」は別に好きじゃない。わざわざ劇場作品を追いかけるほどに真剣に本放送を観ていない、興味のない作品だ。対して、このボトムズについては、「好きか嫌いか分からない」。明らかに好きじゃないものは観に行く必要も無かろうが、好きかどうか分からないものは、ちゃんと観て確認すべきであろう。

 もちろん、わざわざ観にいったのには理由もちゃんとある。まず1つは、これが「新しいボトムズ」であるという点だ。つまり、旧作を知らない人間でも、それなりに観ることが出来るだろうという見込みがあった。もし面白ければ、これを機に改めて旧作を見直せばいい。そして、もう1つの動機として、その制作スタッフの顔ぶれがある。いわゆる「サンライズ若手陣」が手がけているという今作は、なんといってもメインビジュアルが久行宏和であるというのがポイント。久行絵がお気に入りの私にとって、このビジュアルで新作が観られるというのは実に魅力的。「ギア戦士電童」に始まり「舞-HiME」シリーズ、「アイドルマスター」と続き、久し振りにあの顔が拝めるとあらば、観ないわけにはいくまい。

(以下、ネタバレなどを含むので未視聴時は注意)

 

 で、視聴後の感想だが、一言で言うなら「ぼちぼち」である。放映時間が1時間弱と劇場作品としては非常に短く、まさに「ショートムービー」といってしまってよいくらいの中身なので、「劇場ならではの重厚な作品が見たい」と思っている人にとっては物足りない分量なのは間違いないだろう。シナリオも取り立てて新しいものがあるわけでもないし、ビジュアルにしても、目の醒めるような画面が現れるわけでもない。誤解を恐れずに言ってしまえば、「別に劇場版でなくとも、OVAで出せばそれで良かった内容」という気もする。そしてこのことは、サンライズ側の売り込み方にも現れているような気がする。観客動員の少なさや、宣伝の地味さ(何しろ「ボトムズ 劇場版」でググってもこの作品のページがトップに出てこない)など、「別に劇場で話題にならなくてもいいや」くらいのスタンスなのかもしれない。そういう意味では、必死に休みを取って何が何でも見に行きたいとか、一度観たら感動して何度も劇場に行きたくなるとか、そういう作品ではない。

 だが、だからといって不満があるかというと、そうでもない。1時間という尺を考えれば堅実にまとまったプロットであったし、サンライズ作品らしい行き届いた画面作りも文句はない。初心者なので予断の域を出ないが、「新しいボトムズ」という制作理念についても、きちんと目的を果たすことが出来ているのではないかと思う。金を払って観た分のペイはある、充分満足できる作品であった。

 1つずつ要素を見ていこう。まずはシナリオライン。短い尺なので、メインプロットは主人公のアービンと、襲いかかるペイガンの一騎打ちのみ。言ってしまえば、タイマン勝負だけのストーリーである。おかげで登場するATの数も少なく、二人を取り巻く世界の外縁部分については、どういう状況になっているのかはあまり見えてこない。しかし、その分だけこの2人を中心とした人間関係については明確な描写がなされており、バトルに到るまでの経過と、各々のキャラクターの心情、懊悩、そして決着に到るカタルシスは、実にバランス良くまとまっている。登場人物をメインキャラクター4人(アービンの妹・ドナとタカビープロデューサー・イシュルーナというヒロイン2人がいる)にしたのは正解だったろう。

 この作品の時間軸は、ボトムズ本筋の「戦争」が終わった後の世界のようだが、そこで繰り広げられる「バトリング」と呼ばれる興業試合に戦争の遺恨が絡み、戦場の影を色濃く残した2人の主人公がぶつかり合うことで、間接的に「戦争」というテーマが浮かび上がる仕組みになっている。「戦後を描くことで戦争を描く」というとどこかで効いたことがあるコンセプトだな、と思ったら、どこか「パンプキンシザーズ」に似ているかもしれない。アービンは未だ「戦争の代価」を支払っておらず、そのせいで「戦争を終わらせない男」であるペイガンとの戦いを余儀なくされる。二人の持つ「戦うこと」に対するイデオロギーをぶつけることで、キャラクターが少なくとも、実際に大きな紛争シーンを描かずとも、ちゃんとそこに「戦争」が現れるわけだ。

 こうした「人の血が流れること」の象徴としてアービンというキャラクターがあるわけだが、ラストシーンで安易に彼が「許されなかった」ことは、このシナリオを見る上で外せない部分だろう。戦いを、殺人を忌み嫌い、逃げ回っていたアービンが最後には否応なく立ち上がる結果となったわけだが、最終的に、彼の行った「戦争」は一切清算されていない。むしろペイガンという新たな「戦争の記憶」を背負い込み、彼の忌まわしい記憶は、より執拗に彼の人生を苛んでいくことだろう。それこそが「戦後」であり、「戦禍」である。唯一、妹のドナが必死に振り絞った「おかえり」の声だけが、彼を「今」に引き留める動機たり得る。あのシーンで、ドナが決して笑顔などにならず、とめどなく涙を流しながら、ひたすら兄を思って振り絞ったのが「おかえり」の一言であったことで、この兄妹は新しい一歩を踏み出すことが出来るのである。シンプルではあるが、きちんと「片を付ける」ことが出来たいいシナリオである。

 シナリオの次に、ビジュアル・画面について。前述した通り、久行絵なので個人的にはそれだけで楽しい。特に感極まった時のキャラクターの表情は本当に真に迫るものがあり、ちょっとクレイジーが入ってしまったペイガンや、兄に裏切られ慟哭するドナの表情なんかはたまりません(個人的には、久行絵では「舞-HiME」で命を一喝する舞衣の鬼の形相と、雪之を誅殺して悦に入る静流会長の表情が大好きです)。ぱっつん髪のドナや、エロの象徴たるイシュルーナのビジュアルも、いかにも現代アニメっぽくていいですね。この辺はオールドファンからの意見が割れそうなところではあるけど。

 そしてロボットアクション。勝手なイメージだが、ボトムズの魅力はやはりその無骨さにあるだろう。ガンダムなどに比べるとリアルに寄った造形が意識されており、今回登場した機体も、足下の駆動系や、両手に装着した諸々のアタッチメントの取り扱いなど、細かい部分で「実際にありそう」なギミックがてんこ盛りなのが見どころ。整備屋のアービンがラストバトルを前に自分なりに機体をチューニングして様々なオプションをつけているシーンも色々と興味が湧くし、ペイガン機の最終形態の厨臭いやり過ぎ感もまた楽しい。どれだけ強さを追求して現実味が薄くなろうとも、あくまで「現実に戦った兵器である」という一線を越えずに描写していくバランスもなかなかのものだ。

 そして、そんな「嘘リアル」な機体が動き回るバトルシーンは、劇場版ならではというクオリティ。特にラストバトルでは、壁を登り降りが可能なため、どっちが上でどっちが下かも分からなくなる四次元殺法なぐるぐるが大迫力。そこまでやっておきながらもちゃんと決着は拳骨っていうのも男らしくていいですね。何となくではあるけれど、「これがボトムズっぽさなのかなぁ」と思った次第です。違ってたらすみません。

 そして当然、キャストの話。本作はもう、メインキャスト4人だけと言ってもいいような状態です(唯一友人役の白鳥哲はなかなか面白いところで聞かせてくれたけど)。まず、アービン役の平川大輔。……うん、普通。次にイシュルーナ役は遠藤綾。……うん、いつも通り。ちょっと油断すると銀河の歌姫に見えやすいので注意が必要だが、このエロさはやっぱり天性のものでしょうか。ご本人はエロさの欠片も……げふんげふん。

 そしてテンション上げ目の役でみせてくれたのが、ペイガン役の福山潤と、ドナ役の豊崎愛生。この2人はかなりいい演技を見せてくれたと思います。豊崎はちょっと油断すると「ほわほわ役専門」みたいなイメージになるんだけど、色んなところで「あぁ、やっぱり役者なんだ」ということを思い出させてくれる仕事をする。本作もそうした「別な豊崎愛生」が見られる1本になっています。そして敵役を楽しげに演じてくれた福山潤。彼の場合、時折「福山は何をやっても一緒じゃないか」みたいな非難を目にすることがあるのだが、今作を聞けば、おそらくそうした非難が的外れであることが分かると思う。クレイジーが入った悪役というのは楽しくもあり、難しくもある役どころだと思うのだが、期待を裏切らないだけの内容になっている。福山ファンは必聴です。

 

 トータルすると、テレビシリーズだったら6点か7点くらいの作品かな。以下の項目に当てはまる人は、観にいっても損は無いかと。1、「久行絵が好き」。2,「あまり悩まずにロボットバトルが見たい」。3,「エロい遠藤綾の声が聞きたい」4,「いい感じの福山ボイスを堪能したい」。4つのうち2つが声優絡みなのは、仕様です。

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