最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
○「おおかみかくし」 4 1月も終わろうというのに新番組です。仕方がないのだ、地上波で観られないからBS−TBSの1ヶ月遅れ放送を待つしかなかったんだから(どうしても観たかったらあの手この手を費やすのだが)。つまり首都圏では既に4話放送されているわけで、今更新番組としてあれこれいうのも気が引ける。時期がずれるせいで、先週見終わった「けんぷファー」の感想書くのも忘れてた。まぁ、いいや、それくらいの感想でした。 さておきこの作品。あの竜騎士07が原作を務めたゲームのアニメ化作品らしく、「ひぐらし」のアニメが気に入った身としては何となく気になる作品。まぁ、「うみねこ」の方は……いいじゃない。まだアニメでは全然終わってない作品で評価するのもある意味不当ではあるし。ただ、オープニングで監督が高本宣弘であることがわかり、視聴前から既にテンションがやや低下。この人のディレクションは、なんだか曰く言い難いもやもや感がある。通して視聴した過去の作品は「破天荒遊戯」だけなんだけど、勘どころを掴めない演出方針のおかげで、どこがどう面白いとか、どこがどう駄目とか指摘出来ないのがムズかゆい。 そして、今回第1話を視聴しての感想もあまり思わしくない。まずもって「ひぐらし」と被ってる物語の切り出しがどうかと思う。田舎への転校生、やたら慕ってくる女子生徒、ちょっと電波気味の寡黙な紫長髪女子、ムラの中の新旧派閥抗争に、地元で奉る独特の信仰。もちろんこれらのパーツが全て「まんまひぐらしやんけ!」というのは乱暴なのは承知しているが、作者自身、自分の代表作は「ひぐらし」であることを充分認識しているはずなのだから、立て続けにいたずらにイメージが被る設定はやめた方が賢明だと思うのだが。それともこれしか持ってる道具立てが無いのかしら。まぁ、観ていけば「ごめん、全然違うね」という風になるんだろうけど(なるよね?)、1話目の掴みとしてはちょっと弱い。 そして、謎を謎として雰囲気を持たせたいのは分かるのだが、「ムラの因習」とか「化け物じみた同級生」とか、大切なパートが思わせぶり過ぎて印象がぼやけてしまっている。早速クラスメイトがいなくなるという展開はそれなりに衝撃的なはずなのだが、主人公が回りに尋ねた際の反応が、普通の取り巻きは「誰それ?」みたいなレスポンスだったのに、1人だけ「引っ越した」と告げる。どうせ驚かすならどっちか1つに統一してくれればいいものを(多分ひぐらしなら村人全員が押し黙るという演出になるだろう)。なんかちぐはぐなんだよなぁ。画的な部分でも1話だというのに取り立てて見るべき点もなく、敢えて探すとするなら袂のあたりから鮮やかな柄が浮かび上がる大鎌少女のデザインくらいか。ナタとか鎌とか、とりあえず刃物持たせたいんかな。個人的には刃系の武器よりも銃火器をもった女の子が好きです。 キャスト的にもいまいち引っ張るネタも無いし、どこまでついていけるか、やや不安な立ち上がりです。「おまもりひまり」と良い勝負。 PR 何とも奇妙なもやもやが一向に晴れてこない第4話。この世界のどっしりとした、それでいて据わりの悪い感じはなんなんだろう。 今回のミッションは街へ下りての物資調達。そしてドライバーとしてカナタに同行したノエルのお当番会である。前回がリオ、前々回が一応クレハだとすると、残るはフィリシアだけですね。 相変わらず背景を含めた美術設定は嘆息するほど美しく、今回カナタたちの下りた街の様子も、1話のお祭りの時とはガラリと雰囲気を変え、しっとりと落ち着いて、どこか空虚な感じも漂う中世的な石造りの空間。街中を彩るオブジェも存在感があるが、普通の軒先、店構えを見るだけでも、一体何をモデルとしたのかが判然としない、奇妙な文化の混交が見える。前回リオたちは普通に漢字を読んでいたが、今回ちらりと見えたタケミカヅチのインターフェイスは英語だったし、今回カナタの訪れた百貨店の看板は、アルファベットではあるが英語表記ではない。みたところスペイン語とかフランス語とかそんな印象だったけど、一体どこの文化に属するものだろうか(公式の紹介だと街のモデルはスペインに実在するらしいが)。そして、カナタたちはこれらの言語を全てごちゃ混ぜにして理解しているのだろうか。まぁ、日本文化における外来語も似たような状態にあるので無理な設定とはいえないが。加えて、通貨単位は「円」と「銭」であることも判明している。これは日本の通貨単位が残存してさらに大幅なデノミが行われたという見方は流石に無茶なので、「たまたま近世日本の通貨単位と同じ呼び方」と考えるのが自然だろう。いや、不自然だけど、そうしとかないと色々おかしい。まぁ、明らかに日本人名でない連中(フィリシア・ノエルなど)が普通に日本語を話しているので、「キャラクターの会話は日本語的に解題されている」とメタ的に理解することも出来るんだけど。ただ、その場合はわざわざ「2円75銭」とするより「275円」にした方が楽なはずなので、やはりどこか奇妙な部分である。 そして、今回再び登場した教会のシスターのおかげで、改めて「戦争」と「軍隊」というファクターも浮き彫りになる。ノエルとカナタは志願して軍に入った。つまり、この軍隊は女性でも前線基地(?)に配属される程度に、間口が広く、周知された機関である。また、今回ノエルに悪態をついた少年が「戦災孤児」であることから、この世界、少なくともこの国は過去7〜8年以内に人の死を含む戦争状態にあった。カナタたちは15歳という設定なので、少なくとも彼女たちは物心ついたあとに戦災に巻き込まれている。つまり、軍隊というものの真実を見ている。その上で、カナタは「ラッパが吹きたい」というある意味大変不謹慎な理由で軍に入隊した。またすぐに人の死に関わるかもしれない苛烈な職場、軍隊に、である。少なくとも彼女たちの隊の様子を見る限りではそうした切迫した使命感、恐怖感は全く伺えないのだが、本当に、この国の経験した「戦争」とは何なのだろう。それが見えてこない限りは、今回の少年のように「軍なんて大っ嫌い!」と叫ばれても、我々としては何に共感したらいいのかが分からないのだが。 そして最後にノエルが向かったのは、この町の最大の特徴であり、最大の建物であるガラス工房。こちらも軍の要塞同様にいかめしく、無骨な作りだが、話によれば軍要塞とは異なり民間の手によって建築、増築されたものであるらしい。外観を見る限りではあまり工場に適した構造には見えないが……一体何人くらいが働いていたやら。そしてそこにいるのは「マイスター」の称号を持つ優秀なガラス技師と、彼ですら苦戦するレンズ作りを依頼し続けるノエル。彼女のタケミカヅチへの執着の理由も結局今回分からずじまいだったが、とにかくこの世界の技術では追いつかないようなオーバーテクノロジーであることは分かった。カナタのラッパがあっさりうまくなってしまったために、今後この作品を支えるのはタケミカヅチ完成へのシナリオだと思うのだが、カーステレオ以外にどんな機能が盛り込まれているというのだろうか。そして、何故そんな珍奇なものがノエル1人の手元に残っているのだろうか。なにやら1話1話は「めでたしめでたし」みたいな雰囲気で幕を引いているが、その実なにも解決してないぞこの野郎。 改めて、非常に陳腐な一言アドバイスでラッパがうまくなりすぎたカナタが驚きである。そりゃまぁ、このままラッパがうまくなるまでの努力物語を延々描き続けたら本当に「けいおん」になってしまう気もするが、流石にもう少し段階を踏んでもらった方が受け入れやすいのだが。街の人達だって突然下手なラッパが聞こえなくなったら心配するだろうに。それに、せっかくの設定がもうなくなってしまったのでは、わざわざ作る意味があったのかどうか。 ん〜む、本当に先の見えてこない不安な作品である。それでも何となく見続けてしまうあたりにこの作品の魅力があると思うのだが、それが一体何なのか、未だに見えてきません。このまま最後まで観るんだろうなあ…… 日本政府が抱える借金の額の的確さに驚嘆の第4話。ニュースによると今年度末には日本の債務残高は973兆円らしいです。全部肩代わりしてくれるヴァンパイアバンド、今の国民ならリアルで欲しいかも。 というわけで、話は1000兆円規模になってきているどえらいお姫様達。「お主らが石器を使っていた時分から……」の文言は説得力があるようにも聞こえるが、その時代には通貨の概念すらないわけで、果たしてどうやって蓄財してきたのかがよく分かりません。流石に当時は遮光ジェルもないだろうし。まぁ、中世にはヴァンパイアが貴族として立ち回ってた国とかもありそうだし、気ままにアメリカ旅行して神父を籠絡したあげくにエジプトでオラオラされた吸血鬼もいるので、きっと何か財テクのノウハウがあったのだろう。とにかくミナたちの野望は国家規模でものすごいということだけは分かりました。 ただ、今回のエピソードでメインとなる記者会見自体はミナの存在感のおかげでそれなりの説得力はあったものの、それに絡めた爆弾騒動の方はなんともチープで、いまいちヴァンパイアの存在を知らしめる事件としては物足りない。相変わらず画面が暗くて緊迫の爆発シーンも見にくかったし、そもそも緊迫してるのかどうかも伝わりにくい。警備を務めていたジュノーがどの程度の人物なのかがまだ分からないので、その警備をくぐり抜けた爆弾使いの能力と気構えが伝わってこないのがその原因だと思われる。「入島する人間は全員人間かどうかチェックする」っていいながら「記者たちにそんなことをする必要はなかろう」とか、別に島内で吸血鬼になったからって何が変わるのかとか(別に人間だって腹に爆弾を仕込むのは不可能ではない)、「吸血鬼の反乱」というのがメイントピックのはずなのに人間に協力者がいたりとか、どうもシナリオラインがちぐはぐで事件像が見えにくい。ひょっとしたらこちらの無理解によるものなのかもしれないが、一応ミステリ的なギミックを組み込むなら、もう少し分かりやすい構図になるようにしてほしかった。 今回はついに作画面にも少々ガタが来ていたし、どこかエロティックな雰囲気が売りであるこの作品には、ちょっと勿体ない部分もあった。せっかくシャフト流の枚数削減技法を使ってるんだから、見せるべき画はきちんと成立させて欲しいもんだが。 ま、個人的にはミナ閣下の雄姿が拝めただけでも良しとしますか。前回ラストにレイプされてた委員長、今回ちらっとその惨状が映ってたけど、結局まる1話スルーでしたね。可哀想に。
「デュラララ!!」と続けて観てると、みゆきちがずっと単車に乗ってる気がする第3話。大家さんはまた禁煙始めたみたいだけど、どこまで保つんでしょうかね。
本編は差し置いて、今回はやはりオープニング差し替えがまず事件である。いや、既に先週の時点で知ってたし、辛抱できなくて動画サイトでごにょごにょ……だが、改めて見るとやはり「ひだまりらしさ」が良く出ている。今回は大沼さんが「バカテス」に回っているので彼の手によるものではなくなってしまったが(そのために「バカテス」オープニングが凄く明快な大沼節になっているのだが)、今回OPコンテを担当したのは山村洋貴氏。失礼ながら名前を存じ上げなかったが、調べてみたら「絶望先生」や「まりほり」など、シャフト作品では何度も総作監を勤め上げた人のようだ。流石に尾石・大沼のようなエキセントリックな作りにはなっていないが、決して旧作に見劣りしない、賑やかな仕上がりになっている。今回はキャラクターが増えて1キャラあたりに使える時間が減り、全員集合絵にすると本当に手間がかかるようになったのだが、そのあたりの労力を惜しまず、きちんと全体で統制が取れている。また、今作本編でも特徴的な画面の奥行きを利用した押し引きによるメリハリも、短い時間で良いアクセントになっているだろう。個人的には気に入っているのは、1つは冒頭部分の乃莉の踊り。1期の「スケッチスイッチ」は「手拍子」、2期の「?でわっしょい」は「かけ声」のイメージで、今回は「ステップ」や「ダンス」のイメージが濃くなっており、それが一番はっきり分かるのが冒頭部分。あと、原作でもお気に入りのツールである「申し訳」仮面がクローズアップされてたのも嬉しかった。あれこそ宮子のセンスの集大成だよなー。
と、オープニングを褒めちぎってますけど、本編の方も、少しずつこの3期の見方が分かってきたような気はする。相変わらずこれまでのひだまりらしいギミックはなりを潜めているわけだが、一応それは「シナリオに流れがあるから」という風に好意的に解釈することにした。Aパートは進級した後の初登校の様子を描いたものだが、ゆのが将来のビジョンについて悩むという大筋を追うことが最優先されており、ひょっとしたらこの真面目なストーリーに余計なギミックをつぎ込むのは雑音になるという判断かもしれない。確かに、物語を追うだけでも特に画面に飽きるわけでもなく見ることが出来るし、新たなキャラクターが増えたことで画面も賑やかになった。延々ひだまり荘の一室でだべっているだけの話とは違うのである。少しこれまでのひだまりとは違った方向性を目指すのも悪いことではないのかもしれない。
Bパートになるとさらにこの傾向は顕著になり、沙英のちょっと先輩ぶってみたい何とも言えない心境に加え、そんな沙英の姿をAパートのゆのの悩みにオーバーラップさせるシナリオ作りになっており、丁寧な心情描写が求められるシナリオになっている。まぁ、そこまで真面目にそういった面を描きたいのかと言われると疑問ではあるのだが、少なくとも「ひだまりファン」なら、そういったものをきちんと見たい、という層も少なくはないのだろう。決して遊び半分で冒険するわけにはいかない規模にまで広がったひだまりワールド。3期はそんな「大作」の貫禄の現れなのかもしれない。個人的にはちょっと物足りないけどなぁ。
そうそう、今回は台詞がなかったものの、有沢先輩が初登場している。多分今作中でゆのと絡むのは間違いないだろうから、そのための顔見せということだろう。やっぱり3期はゆのが進路で悩むのがメインプロットってことになりそうだね。 いきなりサブタイトルの四字熟語の意味が分からなかった第4話。っていうか、調べてみたら別に四字熟語ではないな。一応コトバンクから転載しておくと、「《李密「陳情表」から。自分と自分の影とが互いに哀れみ、慰め合う意》孤独で訪れる人もなく、寂しいさまをいう。」知らんがな。まぁ、一応今回のエピソードの雰囲気は出ているけども。 今回の主人公は、「首無しライダー」ことセルティ・ストゥルルソン。そして彼女の生い立ち心情を語るのは、20年にわたって彼女と同居している闇医者の岸谷新羅。新羅は前回もセルティに声をかけるくらいはしていたが、表だって登場するのは初。臨也や静雄、サイモンなどのぶっ飛んだキャラが多い中で、まだ一般人のように見えなくもないキャラクターであるが、彼の父親が完全にマッドであったために、彼の中でも何かが歪んでいる気はする。何より、まったく気にすることなくセルティと同居し、彼女に愛情を抱いている時点でおかしいのは確かだ。まぁ、4歳からデュラハンと行動を共にしていれば、別に恐れを抱く機会はないのかもしれないが。 今回の見どころは大きく2つあり、1つ目は、ようやく正体が割れたセルティの描写。首無しライダーの噂は1話からしつこく流されていたわけだが、実際に首があるか無いかは今まで分からなかったわけで、今回あっさりとその正体を現したのは少々驚き。また、前回たどり着いた「セルティの声は沢城」という事実も今回すんなりと裏が取れたため、現時点で池袋の街中に残っている謎はほとんど無い状態。そして、姿を現したデュラハンの姿形があまり恐ろしいものとして描写されず、すんなりと街の喧噪、部屋の一部として溶け込んでいるのが面白い。絶えず首元や手先から黒い霧をしゅんしゅんと沸き立たせるセルティの異形は確かにおかしいのだが、新羅があまりに平然と接しているためか、いつの間にかそれが当然であるかのように見えてくる。「首がない」という決定的な欠落も、彼目線で見れば大した問題ではなく、視聴者も新羅の価値観に引っ張られる形だ。今回から携帯による筆談に加えてセルティの意志がきちんと音声で伝わるようになったことも、そんな変化に拍車をかける。この奇妙な「存在感」はなかなか面白い演出である。 そして、そんなセルティという存在を成立させるもう1つの見どころが、岸谷新羅という男の描写。闇医者という職業こそイレギュラーであるものの、彼の立ち居振る舞いはごく普通のもの。そして、そんな一見普通の彼が、今回は「記録者」としての立ち位置を明確にする。具体的には冒頭に現れたビデオカメラによるリサーチがそうだし、セルティとの対話を一つ屋根の下にありながらチャット形式で行うというスタイルも、彼女との対話の記録者としての意味をもつ。さらに彼の描写の中で再三焦点が当たるのはカチカチとノックを続けるボールペン。これも「筆記者」としての彼のスタンスを強調する道具立て。回想の中で、彼の父親を象徴するツールが「探求者」としてのメスと、「記録者」としての万年筆だったのも、彼の血統の「記録者」としての特性を強調している。 つまり、新羅は物語内でも「記録者」であるし、視聴者にとっては、非常にオカルティックな今回の筋立ての「認定者」としての役割も持つ。一見すれば信じられないはずのデュラハンという存在も彼の「記録」によって「認定」されることで苦もなく受け入れられるし、彼の目線から見たセルティの欠落したが故の美しさも、普通の価値観ではないはずなのに何故か不思議と不快にならない。彼の人間としての何かを変えてしまったであろう、「肉の塊」であるデュラハンの艶めかしい肢体は、今回の何ともアダルトなムードの中でも一際見栄えのするシーンであった。 そして最後に、彼は絵描きの老人の力作であるデュラハンの肖像を手にして「これで完成しているのだ」と「認定」する。首を探し求め、そこに自らの答えがあると信じ続けるセルティと、首によって今のセルティが失われることをどこかで恐れ、その事実を忌避しようとする新羅。何とも奇妙な共同生活だが、どこか暖かく、見守っていたい男女の形である。今回みたいな話は、1話完結のエピソードとしてもきちんとまとまっているので、お気に入りです。 ところで、デュラハンとこの作品のタイトルの関係性を誰か説明してくれないか。 ○「刀語」 6 鬼のような作品である。主に、中の人に対して。1時間枠だからアフレコは半日キープか1日キープか……翌日もNG入れたくなるくらいの仕事量。「化物語」のあとがたりでみんなして言ってたけど、やはり西尾維新作品はまっっっったくアニメ化に向かないな。 というわけで、真性の化け物作品であった「化物語」に続く西尾維新プロジェクトの第2弾。制作は「ティアーズ・トゥ・ティアラ」を作ったWHITE FOX、監督は元永慶太郎、そして脚本に上江洲誠ということで、信頼度はなかなかのもの。そして、月一で1時間放送という放送枠も目新しい。普通に放送するよりも内容的には少なくなるわけだが、このスタイルで少しでも制作スケジュールにゆとりが出来て良いものが出来るならどんどんやってもらって構わないと思う。どうせ現行のアニメ放送スタイルも限界があるわけだし、とにかく色々試して今後のアニメのスタイルを模索するのは良いことだ。毎週を諦めて月一にして良かった前例として冨樫の「レベルE」なんてのもあるわけだし、存外クオリティは上がるのかもしれない。 で、問題の1話目だが、結論はやっぱり「アニメ化無理」である。西尾維新作品のアニメ化は「化物語」以外にも「×××HOLiC」の17話があるわけだが、それらの全てに共通するのは、圧倒的な台詞の多さ。普通に考えてアニメ的な枠に収まるはずもなく、収めたとしても全く動きのない画面になってアニメにする意味が無くなる。分かりやすい例としては、今回蝙蝠が七花に変身して飛び上がりぶっ飛ばされるまでのシーンがあり、飛んで、降りてくる間にあり得ないくらい時間がかかり、あり得ない量の台詞が挟んである。正直不自然なのだが、実際それだけしゃべってる描写が原作にあるのだから仕方ない。 これを「×××HOLiC」の水島努は、「動かさないこと」に意味を見いだして活路を開き、「化物語」の新房は「これこそ真骨頂」とばかりに画面の多重構造を用いて作品世界を強引に成立させてしまった。ただ、前者は長いシリーズのたった1話だから出来た技であるし、シャフトスタイルは一種の裏技。そうそううまいこと逃げ切れるものではない。今回の元永監督もそんな奇策を用いるわけにはいかず、なんと正面からこの問題を問題のまま残すことにしてしまった。つまり、「動かないシーン」をそのまま放送したわけだ。延々続くキャラクターの目のアップと俯瞰構図の画面。途中の何分かは本当にドラマCDでも構わない様な状態だ。この「動かない画面」を黒齣だの赤齣だのでかき回さないあたりに、監督の覚悟が伺える。 そして、ものすごいのはこの画面でも、視聴者は「忙しくてそれどころじゃねぇ!」と思えてしまうところ。ただひたすらに台詞、台詞。息つく間もなく綴られていく台詞の嵐。明らかに人対人のコミュニケーションではあり得ない密度の会話劇に、耳ばかりフル稼働で脳の活動は目にまで回らない。改めて「化物語」の演出がいかに人道にもとるかが分かるというもの。もちろん、だからといって画面構成を諦めたかといえばそんなことはなく、例えば屋内での七花、とがめ、七実のロケーションや影の落とし方、掛け合いを繋ぐ際のカットの割り方など、何とか画面に彩りを添えつつ、展開される掛け合いが分かりやすいものになるように四苦八苦しているのが伺える。個人的に、この努力は評価したい。もちろん、シーンがバトルなどになればたまった鬱憤を晴らすかのようにきちんと魅せる部分を作ってくれているし、正直、退屈することなく見ることが出来た。まぁ、これは明らかに台詞を作り上げている西尾維新の実力であるのだが。 「化物語」の時にも感じたのだが、この人の作るストーリーは、非常に凡庸である。今回の「刀語」もメインプロットは実にありがちで、多分ジャンプ漫画か、それよりさかのぼった山田風太郎作品あたりにルーツがある話作りだろう。敵キャラのキャラ設定なんかもいかにもありがちなものだし、単にものすごい力でもって敵をねじ伏せる展開だってひどいと言えばひどい。しかし、それが面白く見られるのが話作りのうまさという奴で、「外界の人間を初めて見たからとがめと蝙蝠の区別が付かない」とか、「刀を使わない流派の人間は刀を使うのがめちゃくちゃ下手だから」とか、あり得ない設定をそのままバトルの勝因として使ってしまう無茶苦茶さもすさまじいし、「俺は頭が悪いから」と言っている七花でも、とがめとの対話では非常に理知的で、明確な意志を持って行動していることが分かる。とがめのテンプレをなぞりながらもどこか外れたヒロイン像も面白い。総じていえば、やっぱりキャラが面白い。だからこそ、この「台詞アニメ」は成立出来ているんだろう。 まぁ、この1話を放送してしまっては、あとあとのリカバリーも無意味だ。無駄な手心を加えずに、ガンガン「台詞アニメ」を流してくれればいいと思う。多分、その方が作り手側としては大変なことが多いんだろうしねぇ。 そして、どんなクリエイター達よりも賛辞を送らなければいけないのは、想像を絶する台詞の量に台本を投げつけたくなったであろう、キャスト陣。といっても、今回ご苦労様を言わなければいけないのは田村ゆかりと鈴木千尋の2名。ちーくんについては、本当に色物キャラの造形が楽しくて仕方ない。独特の「きゃはきゃは」笑いなんて普通に考えれば寒いだけの設定なのだが、ちーくんの手にかかるとこれが妙なキャラクターのアクとして活きてくる。マシンガントークでひた走ったシーンの息継ぎとか、本当にどこでやってるんだろう。 さらにしんどいのは、マジで頭から尻までしゃべり続けた田村ゆかり。事務所にどんな台本が届いたのか、想像するだに恐ろしい。そして、この無茶苦茶な脚本をやり通してしまうのも恐ろしい。下手な役者ではとてもではないが、これを演じきることは出来ないだろう。ゆかりんファンは、この作品はmp3とかに落として家宝にすべし。他にも間が絶妙な中原麻衣とのテンポの良い掛け合いもたまらなかったし、そんな地獄はどこ吹く風の池田昌子のナレーションも素敵。唯一七花役の細谷佳正という人については知らなかったのだが、なんだかちょっと素人臭さが残る。今回聞く限りでは世間知らずの七花のキャラクターのおかげでごまかせていた部分はあるが、他のキャストが凄すぎるために、やや浮いて聞こえてしまうのが難点。まぁ、こんな凄惨な現場を見られたのだから、良い勉強になるだろう。 次回放送は2月の10日。また、地獄が始まる。
Abbey Griffin 修道院のグリフィン (3)(W) C
クリーチャー・グリフィン 2/2 飛行 警戒 普通っていうな!(CV:新谷良子)。 いやー、妙なカードがたくさん出てくると、こういうカードがあることにホッとしますね。こんな単純なキーワード能力を組み合わせただけのカード、絶対再録か同型再版だと思うじゃん。でもね、無いんだな、それが。調べてみると、全く同じステータスを持つカードが過去に2枚存在しているのだが、1枚はコストが(1)(W)(W)の「急降下するグリフィン(8ED)」、そしてもう1枚が(1)(W)(U)の「嵐のドレイク(VIS)」である。ん、どっちと比べてもコスト自体は重くなっているな。そもそもフライヤーってあんまりブロックする役割は求められてないんで。警戒を売り払ったお金でパワーとか絆魂とか買えないもんですかね。「マキンディのグリフィン(ROE)」に笑われるぞ。 Angel of Flight Alabaster 空翔ける雪花石の天使 (4)(W) R クリーチャー・天使 4/4 飛行 あなたのアップキープの開始時に、対象の、あなたの墓地にあるスピリット・カードを1枚手札に戻す。 いましてよ、天使。ただ、こいつは神話とかじゃないし固有名も持っていない、いわゆる量産型天使である。すっきりしたデザインと、とても4/4とは思えない均整の取れたナイスバディがチャームポイント。過去の天使たちと比べても、かなりエロランクの高い御仁である。最近じゃ驚くこともなくなったが、シングルシンボルの5マナで4/4という時点で既に破格。更に、そこには無尽蔵に生み出されるアドバンテージ機構も搭載されており、デッキ次第では過去の大先輩である「黎明をもたらすもの、レイヤ(INV)」や「アダーカーの戦乙女(CSP)」といったリアニ天使にも引けを取らないだけの力が出せるかもしれない。今こそ神河軍団と組んでハイパー秘儀・スピリットデッキを組むのだ! ちなみに、本セットは白と青がスピリットの本拠地になっているわけだが、アンコモン以下で白と青のスピリットの数を数えてみたら、全部で7体という数字。正直、あんまり多くない気がするんだが…… Angelic Overseer 天使の監視者 (3)(W)(W) M クリーチャー・天使 5/3 飛行 あなたが人間をコントロールしている限り、〜は呪禁を持ち、破壊されない。 神話で天使。この2つのタームが組み合わさると、大体においてろくでもないことが起こるものである。例えばあの「悪残の天使」がそうだし、「静寂の守り手、リンヴァーラ(ROE)」、「エメリアの盾、イオナ(ZEN)」など、エンドカードクラスが平気で作られる。そう考えると、神話なのに優しさで包まれていた「浄火の大天使(ALA)」のありがたみがよく分かるというものである。天使なんてしょせん偶像なんだから、夢は夢のままでじっとしててくれりゃいいものを。そして、此度の天使も一筋縄ではいかぬ。なにかがおかしい。呪禁とダークスティール、この2つの単語が同じカードに書かれているのは、非常にまずい。現在、このクリーチャーがもし人間を引き連れていた場合、除去出来るカードはほとんど無い。「黒の太陽の頂点」だと何とかなるけど、「審判の日」も無理だし、バウンスなんかでお茶を濁すこともままならぬ。とにかく、まずは取り巻きの人間を潰さないことには勝負にすらならないのである。つまり、このクリーチャーを簡単に表すと、「空飛んだ上にレジェンドじゃなくなったスラーン」。そして、今後の世界ではこいつの天敵といえる感染クリーチャーも登場しないと来ている。さぁ、世界は一体どこへ向かうのだろう。自分のカードボックスから目を皿のようにして「人間」を探すなんて、そんな時代が来るとは思わず。 Avacynian Priest アヴァシン教の僧侶 (1)(W) C クリーチャー・人間、クレリック 1/2 (1)(T):対象の、人間ではないクリーチャー1体をタップする。 人間様が編み出したこの世界の基本タッパー。2マナ1/2、1マナでタップということで、その骨子となっているのはタッパーの始祖ともいえる「おとりの達人(9ED)」だが、一応対象に制限がついた分、起動コストが無色マナでもよくなった。といっても、タップのための白マナが捻出出来ないタイミングってのはそこまで多くもないし、タップしたいクリーチャーが全部人外である保証は無いわけで、先代達に比べると若干の不安要素があるくらいのレベルか。でもまぁ、リミテッドだったらやっぱりエース級なんですけどね。これを前にして、人狼たちが「変身しようか、そのまんま突っ込もうか?」って悩むのもこの世界ならではである。人間だったら全部タップ出来ないので、あの「アメーバの変わり身(LRW)」ならドヤ顔のままで突っ込んできたりもします。えーと、えーと…………ブロック。 Bonds of Faith 信仰の戒め (1)(W) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーは、それが人間である限り+2/+2の修正を受ける。さもなくば、そのクリーチャーは攻撃にもブロックにも参加出来ない。 上手いことやった感がある白らしいオーラ。自軍クリーチャーに付けてやれば、2マナでお手軽に+2増強が行える優良補強。あくまでオーラなので過信は禁物だが、手軽に行える支援策としては充分過ぎる選択肢だろう。惜しむらくは、人間にしか張れないので「フライヤーに張ってビートビート!」っていう図があまり思いつかない部分。まぁ、それでもコストパフォーマンスは悪くない。そして、敵軍に張ればまんま「平和な心」。時たま黒なんかにも人間は混ざっているが、この世界では少数派だ。青のスピリット、黒のゾンビ、赤の吸血鬼など、ぎゅぎゅっと押さえ込める貴重な除去カードになる。面白いのは、赤緑に配備された人狼共は、変身後に「人間性」を失うという部分である。人狼どもは当然変身後の方が強いわけだが、これが張られているとその上下関係が逆転する。手も足も出ない木偶の坊よりは、+2/+2された人間軍団の方が強いのは自明だろう。となると、人狼側のプレイヤーは、それまでと打って変わって、なんとか「人狼を変身させない」プレイをしなきゃいけなくなる(狼男の変身トリガーは強制である)。いかにもこの環境を楽しむために作られたような、愉快なカードではないか。 Champion of the Parish 教区の勇者 (W) R クリーチャー・人間、兵士 1/1 他の人間があなたのコントロール下で戦場に出るたび、〜の上に+1/+1カウンターを1つ置く。 人間賛歌は勇気の賛歌。過去には同じような種族応援システムではエルフが出るたび大きくなる「エルフの先兵(ONS)」なんかがいたが、このクリーチャーのセールスポイントは、1マナでとにかく軽いことと、人間はやたらめったら数が多いということ。白で専用のデッキを組もうと思えばそこまで労せずともクリーチャーを集めることが出来て、2ターン目から2/2で殴るプランもさほど難度は高くないだろう。今後「人間デッキ」なんてよく分からないキャッチコピーの種族デッキが現れるならば、とりあえず積んでおけるだけの期待値である。でも、現時点では「人間トークンを生むカード」っていうのが見あたらないので、あまりでっかいプランは描けない気もするけど。「単にでかくなれる」っていうだけのクリーチャーが構築レベルで起用されるかどうかは微妙。 Chapel Geist 礼拝堂の霊 (1)(W)(W) C クリーチャー・スピリット 2/3 飛行 3マナ2/3のフライヤー。このジャンルのバニラクリーチャーというと、過去に存在していたのは「鉤爪の強兵(DIS)」である。多色から単色になったということは、このカードはコストパフォーマンスに優れているということだ。2/1クラスのフライヤーを千切っては投げしながら進軍出来るし、スピリットトークン2体でも止められない。リミテッドレベルならば安定感のある戦力であり、装備品の土台にももってこい。このセットにはスピリット応援装置もあるため、色々と夢が広がるコモンである。ちなみに、その他に過去の「3マナ以下の2/3フライヤー」部門を探してみると、デメリットかメリットか分からない能力が強かった「コーの空漁師(ZEN)」、構築でも採用実績がある脅威の壊し屋「三角エイの捕食者(DIS)」、ついてる能力が多すぎることで有名な最強の3マナ枠「吸血鬼の夜鷲(ZEN)」と、名作揃いである。……まぁ、ほとんどアンコモンだから。比べちゃ駄目。 Cloistered Youth 修道院の若者 (1)(W) U クリーチャー・人間 1/1 あなたのアップキープの開始時に、〜を変身させても良い。 ↓(裏側) Unholy Fiend 不浄の悪鬼 ー (このカードは黒である) クリーチャー・ホラー 3/3 あなたの終了ステップの開始時に、あなたは1点のライフを失う。 見た目は修道院にかくまわれたか弱い女性だ。ちょっと根暗な印象があるので近付きたくない雰囲気も出ているが、この娘に助けてと乞われたら、断るのは男の子失格だ。任せて下さい、と胸を叩き、一晩彼女の護衛を務める。すると、めでたく大変身して元気になった彼女に食い殺されるわけだ。うむ、こういうのもホラーものの定番だな。元気に歩き回れる方が幸せだから、彼女は一度ホラーになると二度と戻ってこない。つまり、一度起動したらライフルーズ機構は機能しっぱなしなので、一応変身させる時には今後のことを考える必要はある。とはいえ、このコストでの3/3はライフルーズなんて気にならないスペックであり、過去には「竹沼の嫌われ者(BOK)」がリミテッドでエース級だったことを考えれば、彼女に幸せになってもらうことに躊躇いはあるまい。レッツエクソシスト。 Dearly Departed 安らかに旅立つ者 (4)(W)(W) R クリーチャー・スピリット 5/5 飛行 〜があなたの墓地にある限り、人間・クリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出る際、それは+1/+1カウンターを1つ置いた状態で戦場に出る。 安らかに成仏してる割には5/5とかいう荒ぶる肉体を持つ、喧嘩上等武闘派スピリット。天使でもないのに6マナ5/5フライヤーはちょっとやり過ぎな気もするんだけど、まぁ、レアなんで。リミテッドなら出せば勝てるレベルの理不尽ステータスで相手を殺る気満々な上に、仮に除去されたとしても、そこはそれで安らかに旅立ってしまい、草葉の陰から後の世の人間達を盛大に応援するインカーネーションみたいな役割を担う。テキストがややこしいが、こいつによって与えられる能力は常在型の能力であり、人間クリーチャーが場に出たときの誘発型ではない。つまり、例えば元来2/2の人間がキャストされたとしても、場に出たと同時にカウンターが乗せられるため、「ショック」で焼くことが出来ないのである。うむ、強いな。今回登場する狼男どもは、場に出る段階ではほとんどが人間であり、変身後もカウンターは持ち越せる。結局狼に塩を送っているような気がするな。 Divine Reckoning 神聖なる報い (2)(W)(W) R ソーサリー 各プレイヤーは、自分のコントロールするクリーチャー1体を選ぶ。残りのクリーチャーを破壊する。 フラッシュバック・(5)(W)(W) このセットのラスゴのコーナーだと思うのだが、何と思い切ってフラッシュバックを付けてしまったため、完全なるラスゴにはならず、白い先輩でいうなら「大変動(EXO)」的な系譜を受け継ぐことになった。要するに、「お互い一番強いクリーチャー以外を破壊する」ってことである。全部壊すのも「全部マイナス1体」を壊すのも大して変わらないんじゃないか、ってな見方もあるかもしれないが、ラスゴなんてものはクリーチャーを並べることを嫌う人間が使うのが普通なので、これで1体が残るのはほぼ確実にデメリット。他のブロックのラスゴに比べると、かなり使いにくい仕上がりだ。コントロールならばある程度適当にもぶっ込めた他のカード群に比べると、このカードは「とにかく強い1体だけを出し、数に物を言わせる相手を対策したい」という狭いジャンルのニーズに応えるカードでしかないわけだ。「残すべき1体」さえ選べばデッキとして成立しないわけじゃないだろうが、トークンやウィニークリーチャーの殲滅ならば赤でも出来る仕事なわけで、白はお家芸を一時お預けされた形。リミテッドで出てきたらどうするか迷ってしまうカードである。 Doomed Traveler 宿命の旅人 (W) C クリーチャー・人間、兵士 1/1 〜が死亡したとき、1/1で飛行をもつ、白のスピリット・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。 死んで花実が咲くものか、とはよく言ったものだが、このクリーチャーの場合、見事に咲く。もう、むしろ死んでからが本番。何しろ、死んだら飛べるのだ。1マナ1/1フライヤーならば充分な価値があるし、「マイアの種父」と比べればそのアドバンテージ構造は歴然。是非ともこの環境に溢れる陰鬱能力と組み合わせて、人の死を喜ぶ不謹慎ワールドを堪能したいところである。 Elder Cathar 上座の聖戦士 (2)(W) C クリーチャー・人間、兵士 2/2 〜が死亡したとき、対象の、あなたがコントロールするクリーチャー1体に+1/+1カウンターを1つ置く。それが人間である場合、代わりに+1/+1カウンターを2つ置く。 場にいる限りは3マナ2/2バニラであまりにも普通過ぎるおじちゃんだが、彼の仕事は、自分の持てる全ての技術を次世代に託し、「お前も……りっぱになったもんだな……ゲフゥッ」っていいながら死ぬこと。彼の意志を引き継いだ村の若者は、忘れ形見である+1カウンター2つを握り締めて、村を脅かす魔物達との戦いに挑んでいくのだ。人間サポートカードと考えれば、+2の修正はなかなか魅力的だ。積極的に死んで欲しい人材なので陰鬱トリガーにももってこいだし、手軽に選べるコモンなので、このおっさんをガンガン並べて期待のホープに一身にカウンターを注ぎ込んで勇者をでっち上げてしまってもいい。必ず欲しいっていう駒でもないが、1人いると自分のデッキの村の物語にも厚みがでそうじゃないか。ただ、彼の意図を全然くみ取らずにゾンビとかにカウンターを乗せちゃうと雰囲気ぶち壊し。その場合には、「多分、美味しかったんだろうな」とご冥福を祈るばかり。 Elite Inquisitor 精鋭の審問官 (W)(W) R クリーチャー・人間、兵士 2/2 先制攻撃 警戒 プロテクション(吸血鬼)(狼男)(ゾンビ) 白名物、先制攻撃持ちのプロテクションてんこ盛りナイト。……と思ったら、今回は何故か騎士ではなくて兵士だった。更に2マナ2/2と先輩達よりも使いやすさが増しており、「もう、レアだったら何しても問題無いよね」という、「ミラディンの十字軍」がやらかしたバーストを順調に受け継いでいる。警戒持ちなのでプロテクションの持つうま味をフルに活かせる点が先輩のナイトたちよりも大きく優れた点で、ブロッカーを無視して黙々と殴りながら、相手の攻撃は一方的にはねのける頼れる壁。流石のレアと膝を打ちつつ、メタがはまったら拍手喝采。でもまぁ、敵対しているのは赤や黒がメインなわけで、そういう連中ってのは除去がたくさんあるわけで…… Feeling of Dread 戦慄の感覚 (1)(W) C インスタント 対象の、最大2体までのクリーチャーをタップする。 フラッシュバック・(1)(U) いかにも洋画なんかで出てくる一般ピープルっぽい不安げな表情がなかなか良い雰囲気を出している小粒のインスタント。「魂の受け流し」などの系譜をつぐ白の定番タップカードであり、効果自体はシンプルな2体タップ。この手のカードはおまけ次第でリミテッドの登用チャンスが代わり、「魂の受け流し」はあまり人気がなかったが、例えば長期間足止め出来る「まばゆい光線(MRD)」は人気カードだったし、カードで損をしない「闇の追い返し(ROE)」もそこそこの使用実績。このカードの場合には、そのおまけ部分がフラッシュバックで与えられた。白青に限定はされるが、1枚で2回のチャンスメイクが出来るのはコモンとしては充分なポテンシャルであるし、やろうと思えば1ターンに4体タップが出来たり、強引に2回スペルを唱えて人狼を人間に引き戻す役割なんかも果たせる。青単でも強引にライブラリから墓地に落とせばそのまま使えちゃうなんてギミックもある。使いこなしてドヤ顔してみたいカードの1枚である。 Fiend Hunter 悪鬼の狩人 (1)(W)(W) U クリーチャー・人間、クレリック 1/3 〜が戦場に出たとき、あなたは対象の他のクリーチャー1体を追放してもよい。 〜が戦場を離れたとき、その追放したカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。 なんとも新鮮かつ懐かしいクリーチャーである。ある程度年を食ったプレイヤーならば、このカードが生まれ変わった「顔無しの解体者(TOR)」であることはすぐに気が付くだろう。パワーとコストが1減っているが、そこは大した問題ではない。とにかく、現代にブッチャーが蘇ったのだ。しかし、不可思議なのは、それが黒ではなくて白に与えられたという部分。これは、当時は「ナイトメア」システムの一環として黒に与えられていたものが、現在は白が「忘却の輪」や「レオニンの遺物囲い」のように一時的追放能力のカラーバイを得たことによる変更なのだろう。本当に、白は何でもかんでも小器用にやる腹の立つ色である。「顔無しの解体者」がかつてのトーメント環境で1引き上等だったわけで、このカードも当然リミテッドでは初手級である。それ以外には……特に書くこともないな。「3体いたら無限ループが組める」とか、そんなの。完璧超人ビックザ武道のテーマソングは「仮面(マスク)の狩人」。2へぇ。 Gallows Warden 絞首台の守部 (4)(W) U クリーチャー・スピリット 3/3 飛行 あなたのコントロールする他のスピリット・クリーチャーは+0/+1の修正を受ける。 青にいる、スピリットのパワーをあげる「戦場の霊」とは対になるクリーチャー。当然パワーよりもタフネスを上げる方が歓迎される率は低くなってしまうのだが、それでもトークン全軍が1点火力で死ななくなるのはなかなか偉い。自身が3/3フライヤーで充分デッキイン出来るスペックなのもありがたいので、別にこれが引けたからレッツスピリットデッキとかではなく、白をやっていてハマればラッキー、くらいの感じで渋いサポートに期待しよう。 Geist-Honored Monk 霊誉の僧兵 (3)(W)(W) R クリーチャー・人間、モンク */* 警戒 〜のパワーとタフネスは、それぞれあなたのコントロールするクリーチャーの数に等しい。 〜が戦場に出たとき、1/1で飛行をもつ、白のスピリット・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。 基本的には自軍の数だけカウントしてサイズを増す、「野生の末裔(10ED)」と同じ能力。白に与えられたのは珍しいが、その分コストを増やして2つの追加能力が与えられた。1つは警戒なので普通だが、もう1つがかなりジャスティス。何しろ場に出るだけでフライヤーを2体追加出来るのだ。フライヤー2体をつれて出てくる奴と言えば、例えば「鐘楼のスピリット(GPT)」や「骸骨の吸血鬼(GPT)」がおり、リミテッドでの強さは折紙付き、下手したら構築も見えるクラス。このクリーチャーは「出た時点で仕事をする」という強いカードの必須要項を満たしつつ、それを自分のパワーに転化させることで、より強力に魅力をアピールしているのだ。リミテッドなら当然の必須カードであるし、白単のような数で押すデッキならば、在りし日の「警備隊長(M10)」のような活躍を見せてくれるかもしれない。 Ghostly Possession 幽霊の憑依 (2)(W) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーは飛行を持つ。 エンチャントされたクリーチャーが与える戦闘ダメージと、与えられる戦闘ダメージを全て軽減する。 イラストだけ見ると、霊がついたっていうよりは胡散臭いマジックショーのアシスタント要員ぐらいにしか見えないカード。この程度浮くだけで飛行が得られるってんなら、この世界ではドラえもんも飛行クリーチャーに入る気がする。さておき、飛行がつく部分を除けば「砂の皮膚(ONS)」と同じ。基本的な使い方は、パワーのでかい相手クリーチャーに張って無力化すること、もしくは自軍のどうでもいいクリーチャーに張って無敵のブロッカーを作ること。このカードの場合、向いているのは当然後者の使い方だ。霊に取り憑かれたせいで痛みを感じないだけじゃなくて空まで飛び始めてしまったおかげで、相手クリーチャーにつけるとそのまま一切戦線を突破できなくなる可能性があるからだ。自軍につければ、飛行クリーチャーも止められるナイスブロッカー生成が出来る。ただ、相手に張る選択肢があった場合に比べると、オーラの問題点である「クリーチャーが除去られるとアドバンテージを失う」という部分が更にくっきりと浮かび上がることにもなってしまっている。戦闘ダメージ以外はきっちりくらうので、火力への耐性もつかないのは不安なところ。採用する場合は、明確にどのような用法を狙うのかのプランニングをしてからの方がよさそうだ。 Intangible Virtue 無形の美徳 (1)(W) U エンチャント あなたのコントロールするクリーチャー・トークンは、+1/+1の修正を受けるとともに警戒をもつ。 トークンだけを支援するマニアックな置物。その原型は「弱者の力線(GPT)」で、力線ギミックが無くなった代わりに、適用範囲が自軍に限られた上で2マナという軽量コストを可能にした。このコストならば「清浄の名誉(M12)」のように重ねて張ることも容易だし、アンコモンなのでリミテッドではそれなりの頻度でゲームに影響を与えることになるだろう。白が使えるトークンは基本的にスピリット・トークンくらいではあるのだが、友好色で見れば青にはゾンビトークン、緑には狼トークンがあり、狙ってトークン重視のデッキを組めないこともない。特にスピリットは素の状態で飛行がついており、+1の増強でも充分ゲームが決められるサイズになる。少なくともエルドラージ時代の「英雄の時(ROE)」よりは使いやすかろうさ。 Mausoleum Guard 霊廟の護衛 (3)(W) U クリーチャー・人間、スカウト 2/2 〜が死亡したとき、1/1で飛行を持つ、白のスピリット・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。 コモンの「宿命の旅人」とはサイクルを形成する、「死んだらトークン」カードのアンコモン版。「旅人」は1マナ1/1で1体のトークンになったが、こちらは4マナ2/2で2体になる。カード1枚でトークンが2体出てくるのだから構造的により優れているのはもちろんこちらである。スピリットトークンをおしての飛行デッキプランがより太く強くなるし、最低限のステータスを持つのでうっかり相手が事故ったらそのまま生身で殴りに行くプランもなくはないだろう。ただ、やはりコストあたりの仕事量ってものも注意しなければいけない部分で、1マナだった「旅人」とはきっちり仕事を分けて考える必要もある。このクリーチャーの場合、万一死んでくれないと一気に燃費が悪くなってしまうので、相手次第では空回りってこともなくはないのだ。ま、リミテッドレベルだったらどう頑張っても仕事はしてくれそうだけどね。 Mentor of the Meek 弱者の師 (2)(W) R クリーチャー・人間、兵士 2/2 あなたのコントロール下で他のパワー2以下のクリーチャーが戦場に出るたび、(1)を支払っても良い。そうしたなら、カードを1枚引く。 Magicにおいて、「弱者」の定義は色々ある。例えば「弱者の剣(FUT)」は1/1のクリーチャーにだけ力を貸し、「弱者の力線(GPT)」はトークンならば増強してくれる。「弱者の報復(VIS)」で死なないのはパワー3以下のクリーチャーだけだ。そして、このカードが力を貸してくれるのは「弱者の石(7ED)」と同じ、パワー2以下のクリーチャーたちだ。追加コストが少しだけかかるが、パワーの低いクリーチャーは全てキャントリップとなるわけで、そりゃまぁ、強い。色が白というのも示唆的で、「ミラディンの十字軍」がキャントリップになったり、「刃の接合者」がトークンだけじゃなくてカードまで連れてくる。また、「始原の賢者(RAV)」や「垣間見る自然(CHK)」といった緑のスペルと違ってとにかく場に出せればいいので、トークンとの併用で効率が更に上がる。「主の呼び声」なら5マナインスタントで2ドロー、「マイアのタービン」でフェスティバル開催だ。これでエルドラージと同じ環境にあれば「目覚めの領域」で毎ターン追加ドローが加速したり各種ドローンでドローしまくったりと大変な騒ぎだったのだが、今回の世界なら、白は元々パワーの低い人間を多く擁しているし、なんと言ってもスピリットトークンとの相性が抜群。数ターン生き残ることが出来れば、充分過ぎるアドバンテージを届けてくれるだろう。 Midnight Haunting 深夜の出没 (2)(W) U インスタント 1/1で飛行を持つ、白のスピリット・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。 上記の「霊廟の護衛」のPIG能力をそのままインスタントにしたカード。そして、白にはお馴染みの「トークンを2体出すインスタント」のイニスト版という見方も出来る。このカテゴリのカードは常にリミテッドでは人気の1枚で、古くはミラディン生まれの「急報(MRD)」に始まり、その後も同盟者やら感染クリーチャーやらアーティファクトクリーチャーやら、いろんなジャンルでポコポコとトークンを生み続けてきた。そして、今回はお値段3マナぽっきりで飛行を持つトークンである。これがインスタントっていうのは破格の値段設定であり、単純な比較は出来ないが、「金切るときの声(JDG)」が4マナのソーサリーであったことを考えれば、確実なパワーアップである。スピリットトークンは補強する手段もあるし、白には「無形の美徳」や「農民の結集」など、集団をサポート出来るカードも多い。是非戦術の基盤としたいカードである。ちなみに、このカードで出てくるスピリットは、フレーバーを見る限りでは残された遺族の方々に挨拶しにきた幽霊のようである。なんか、悲劇が潜んでいそうだ。
Armored Skaab 甲冑のスカーブ (2)(U) C
クリーチャー・ゾンビ、戦士 1/4 〜が戦場に出たとき、あなたのライブラリを上から4枚墓地に置く。 普通の環境なら「なんで俺がそんな目に!」と叫ばれてもおかしくない、絶妙なアクションを起こしてくれるがっちり系ゾンビ。3マナ1/4ってことは完全に「角海亀(10ED)」ポジションであり、1/6のカニともども、青の地上防衛ラインを固めてくれるはずだ。そして、出たときの効果であるが、名前に「スカーブ」と入っていることからも分かる通り、ゾンビのために餌を提供してくれる飼育員の役割を果たすことになる。4枚も落とせば多分クリーチャーが1体くらい混じっているだろうから、誰の犠牲も出さずにすんなりと「縫い合わせのドレイク」や「その場しのぎのやっかい者」のコストを支払うことが出来るようになる。その他フラッシュバックを詰め込んでいるなら、これだけでもアドバンテージになっているはずなのだ。あとはそんな潜在的なアドバンテージ機構を、どの程度積極的に採用出来るか。デッキ次第ではあるが、「別に墓地とかいらないけど、とにかく1/4が欲しいんでいれるしかないんです。ライブラリが心配です」とかいうことにならないことを祈る。 Back from the Brink 瀬戸際からの帰還 (4)(U)(U) R エンチャント あなたの墓地からクリーチャー・カードを1枚追放し、そのマナコストを支払う:そのカードのコピー・トークンを1体戦場に出す。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられる時にのみ起動できる。 一度だけ墓地からクリーチャーがプレイ出来るようになるという、この世界でなかったら全く青らしくないエンチャント。帰ってくるクリーチャーがゾンビに限定されていなかったり、「今回はゾンビカラーだから普段やってないことやってもいいよん!」とどさくさに紛れて単なる便利エンチャントを生み出した感があるが、一旦墓地に落ちてる時点で瀬戸際とかいうよりも完全にアウトだったんじゃねぇかという突っ込みは無しの方向で。効果が効果なのでそれなりに重たいが、これを置いて一度安定すりゃ、それはもう強い。青ならば自分のライブラリを積極的に削れるわけで、延々墓地からクリーチャーを繰り出すことでアホみたいなアドバンテージを生み出すことが可能になる。長期戦が許容出来るデッキならエンドカードクラスだろう。ただ、これを張るくらいに長期戦を見込むデッキと、ライブラリを削ったりしてそれなりにクリーチャーが落ちるデッキっていうのは、あんまりかみ合わないような気もする。結局夢は夢のままのカードかしら。 Battleground Geist 戦場の霊 (4)(U) U クリーチャー・スピリット 3/3 飛行 あなたがコントロールする他のスピリット・クリーチャーは、+1/+0の修正を受ける。 白の「絞首台の守部」と対をなすちょびっとロード。白と違って前のめりにパワーを上げてくれるので、効果は段違いであろう。例えば白の「深夜の出没」でトークンを2体出しておけば、こいつを加えて2/1が2体と3/3フライヤー。それだけでゲームを決めることが出来るポテンシャルだ。アンコモンなのでうまくいけば連打も可能で、その場合にはお互いに増強し合うので想像以上のパワフル飛行が楽しめる。リミテッドでスピリットに行くための大きな指針になりそうだぞ。 Cackling Counterpart 大笑いの写し身 (1)(U)(U) R インスタント 対象の、あなたのコントロールするクリーチャーのコピー・トークンを1体戦場に出す。 フラッシュバック・(5)(U)(U) 青のお家芸であるクローン生成。最近は「幻影の像」が予想以上のヒット作になったおかげでその評価はうなぎ登りのジャンルだが、今回は、未だかつてないインスタントでの提供。これによりトリックとしての利便性を得ることになり、緊急ブロッカーの追加など、相手の計算を狂わす展開を作りやすくなった。ただ、3マナインスタントで純正クローンが作れるほど世の中は甘くない。なんと、「自軍クリーチャーのみ」という制限が作られてしまい、この手のスペルの利点である「場で一番強いクリーチャーを真似る」という使い方が出来なくなってしまった。もちろん、インスタントなので「出産の殻」とのシナジーなんてあるはずもなく。まぁ、専用のデッキを作ればそこそこの利便性は得られるだろうし、フラッシュバックもあるのでリミテッドレベルなら最低限コスト分くらいの働きはしてくれると思うのだが、それでもわざわざレアで仕入れたいスペルかというと、やや疑問なレベルに落ち着いてしまったのである。我が同盟者デッキならば存分に働いてくれるとは思うのだが…… Civilized Scholar 礼儀正しい識者 (2)(U) U クリーチャー・人間、アドバイザー 0/1 (T):カードを1枚引き、その後手札を1枚捨てる。この方法でクリーチャー・カードが捨てられたなら、〜をアンタップして変身させる。 ↓(裏側) Homicidal Brute 人殺しの粗暴者 ー (このクリーチャーは赤である) クリーチャー・人間、ミュータント 5/1 あなたの終了ステップの開始時に、このターン〜が攻撃していないなら、〜をタップして変身させる。 これまた斬新奇抜なカードである。変身前も変身後もそこまでたいそうなことが書かれているわけではないが、何故か変身すると色が変わるのだ。普通、マナコストが無いカードはサブテキストで「この呪文の色は○○である」と書かれるものだが(「常在精神(SOK)」や「超起源(TSP)」など)、このカードはしれっとカードの色合いを変えて色変更をアピールしている。ルール上は、サブタイプ欄脇のマークが色を表すことになってます。さておき、そんな色変わりクリーチャーだが、表の顔はパワーを失った「マーフォークの物あさり(M12)」。ルーターはどんな環境でも英雄扱いなので、このカードだって当然強い。ただ、この効果でクリーチャーを捨て去ると、自分でやったことなのに「生き物を捨てるとはなんたることか!」とキレて5/1に大変身。学者ぶった博識などどこ吹く風の粗暴パンチである。他の変身カードと違ってアップキープなどの制限無しにいつでも変身出来るため、ターンエンドに変身して次に殴りにいくことも出来るし、自分のターンに起動して唸りを上げて殴りにいくのもいいだろう。相手からすると、単なるルーターにいきなり5点持って行かれる可能性を常に意識しなければならなくなり、普通のルーターよりもかなり危険度が高い。唯一の難点は、望まざるタイミングでクリーチャーを捨てると次のターンにルーター業務を行えなくなることだが(変身はすぐに解ける)、まぁ、些細な問題だろう。このデコボコした不安定な感じは、いかにも赤青のイゼットカラーらしい、面白い生き物である。 Claustrophobia 閉所恐怖症 (1)(U)(U) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) 〜が戦場に出たとき、エンチャントされたクリーチャーをタップする。 エンチャントされたクリーチャーは、そのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。 毎度お馴染み、青の基本形除去オーラ。今回はまるで基本セットに入っているかのようなシンプルな仕上がりだが、実はこれはこれで初めて登場する能力だったりする。この手のカードで一番シンプルなのが、単に張った相手のアンタップを阻害するだけの「麻痺の掌握(ZEN)」。これをベースに色々とおまけを追加してバリエーションを作っていくわけだが、今回はそれに「張った時点でタップ出来る」が付き、その分色拘束が厳しくなった。同様のボーナスがあったのは更に1マナ重くして瞬速を付けた「秘教の抑制(CHK)」で、当然これらのカードはリミテッドで大活躍している。出たときタップ能力は警戒持ちにも使えるので安心感があり、どんなタイミングでも気軽に使っていけるので重宝する。青がある程度濃いデッキならば、確実におさえておきたい必須カードだ。 Curiosity 好奇心 (U) U (8版などから再録) エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーが対戦相手にダメージを与えるたび、あなたはカードを引いても良い。 青にぽろりと再録されたオーラは、過去には「鋭い感覚(PLC)」として緑にカラーシフトされるなどの実績もあり、再録機会が少ないにも関わらず、青の代表的オーラの1枚と言える名作カードである。今回なんで帰ってきたのかはあんまり分かんないのだが、同じくアンコモンには呪禁とアンブロッカブルなんておあつらえ向きの能力をひっさげた「不可視の忍び寄り」という相棒も登場している。また、戦闘ダメージに限らない部分がこのカードのポイントなので、何らかのダメージ機構を有する赤のカードなんかと組み合わせることもできるだろう。どうせ1マナのカードなのだし、1枚引ければ上等の心意気で、ガンガン攻めていきたいところである。 Curse of the Bloody Tome 血まみれの書の呪い (2)(U) C エンチャント・オーラ、呪い エンチャント(プレイヤー) エンチャントされたプレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは自分のライブラリを上から2枚墓地に置く。 「呪い」カードの先駆けとなったのがこの青呪い。簡単に言えば全自動の「石臼(10ED)」である。設置コストがちょっとだけ重くなったが、設置後は一切手間をかけずに自動でガンガン削ってくれるので、ライブラリを攻めるカードとしてはなかなか優秀。リミテッドでも3〜4枚集めれば割とあっさり削り切れるんじゃないか疑惑もある。ただ、この世界は相手の墓地を肥やすことで敵に塩を送る結果にもなりかねない。使う際には、それなりの覚悟を。ちなみに、このカードのフレーバーの一文が何だか知らないが気に入った。「そろそろ狂ってもいい頃だ」って、汎用性が高そうなフレーズである。マローも言ってそう。ちなみに「石臼」の場合にも、色んな魔術師がキチガ○になったみたいですよ。 Delver of Secrets 秘密を掘り下げる者 (U) C クリーチャー・人間、ウィザード 1/1 あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリの一番上を見て、それを公開しても良い。それがインスタント・カードがソーサリー・カードであったなら、〜を変身させる。 ↓(裏側) Insectile Aberration 昆虫の逸脱者 ー クリーチャー・人間、昆虫 3/2 飛行 ある朝ザムザが目を覚ますと、自分が3/2で飛行まで持った毒虫に変わってしまっているのに気が付いた。「あら、1マナで3点クロックなんて、こいつは便利だわね」。めでたしめでたし。……上手いこと変身出来れば未だかつてないダメージ効率を叩き出す強烈なカードである。ちなみに、リミテッドにおけるインスタント・ソーサリー含有率は多くてもせいぜい2〜3割。デッキとよく相談しての投入を。ボクは、虫が苦手なんでパスしたいです。一体どんな研究したら自分を虫にするとかいう発想が出てくるんだか…… Deranged Assistant 錯乱した助手 (1)(U) C クリーチャー・人間、ウィザード 1/1 (T)、あなたのライブラリの一番上のカードを墓地に置く:あなたのマナ・プールに(1)を加える。 突如青に出現したマナ加速クリーチャー。青はこれまでもマナ加速クリーチャーがいないではなかったが、大半の場合はアーティファクトが絡んだりする特殊なマナだった。今回は、無色とは言え制限無しにマナが出せる仕事が回ってきたので、リミテッドを含め、青いデッキでマナが出したいなら、常に検討に値するカードになるだろう。ま、「銀のマイア」もいるからどっちがいいかは選択の余地があるけど。そして、このカードだけが出来る新たなお仕事は、起動するたびにポロポロとライブラリがこぼれること。オデッセイ環境ならば分かりやすいスレッショルド達成装置に……って、ここまで書いて、ようやくこのカードが「ミリキン人形(ODY)」が青くなったカードだということに気づいた。ミリキンは出番が多かったし、このカードもリミテッドでは活躍するでしょう。今回はスレッショルドがないけど、代わりに青はゾンビ戦略がそこそこあるので、マナ加速も含めて、痒いところにカードが送り込める渋いサポートである。 Dissipate 雲散霧消 (1)(U)(U) U (ミラージュより再録) インスタント 対象の呪文1つを打ち消す。その呪文が打ち消された場合、それを墓地に置く代わりに追放する。 墓地にカードを落としちゃならねぇ、ってんではるばる10年以上もの時を経て復活した渋いカウンタースペル。定番コストである(1)(U)(U)で純粋に追加効果が付与された形なので、「取り消し」の純正上位互換。フラッシュバックを黙らせることが出来るのでリミテッドでは当然必須レベルだし、本当に今後の世界で墓地が暴れ出すならば、構築も見えるレベルのカードになりうるだろう。まぁ、リムーブってのがどこまで必要な能力になるかは分からないんで、「マナ漏出」などに加えての更なる追加戦力にまでのし上がるかは微妙なとこだけどね。「中略(ODY)」や「邪魔(CHK)」クラスと考えれば、それなりか。 Dream Twist 夢のよじれ (U) C インスタント 対象のプレイヤーは、自分のライブラリを上から3枚墓地に置く。 フラッシュバック・(1)(U) 実直なライブラリ掘削呪文。1マナインスタント、しかもコモンってことで大したことがない効果に見えるかもしれないが、青マナだけで起動できるフラッシュバックがあり、往復で6枚削れるのは結構馬鹿にならない。これを4,5回も打ち込めば、リミテッドのデッキならば虫の息なのだ。過去に同じテイストのスペルとしては「記憶の放流(SHM)」や「秘本掃き(M11)」があったが、1枚のカードで削れるライブラリの平均は大体6〜7枚が限度だ。2マナで10枚の「不可視の一瞥(RAV)」がレアだったことを考えれば、このスペルだって負けちゃいないんじゃなかろうか。徹底的に行くならば、当然相手のライブラリを攻める使い方。青の特性を活かすなら、自分のライブラリを積極的に削ってもいい。これを撃って2枚目のコレが出れば謎のループも繋がったり、デッキの組み甲斐のあるカードではないか。 Forbidden Alchemy 禁忌の錬金術 (2)(U) C インスタント あなたのライブラリを上から4枚見る。そのうち1枚をあなたの手札に加え、残りを墓地に置く。 フラッシュバック・(6)(B) 青の得意技であるドロー調整呪文だが、これまで登場した類似品に比べると、掘削能力はかなり強化されている。最もシンプルな比較は、同じマナコストで2枚見て1枚選ぶ「目録(8ED)」だろう。コモンどうしの比較だというのに、掘り進む量が2倍で、更に重たいとはいえフラッシュバックまで搭載。なんというアップグレードだろう。この手のスペルで構築クラスの使用実績を叩き出す方策として、条件を限定してアドバンテージに繋げるギミックがある。例えばミラディンにおける「知識の渇望(MRD)」や、ラヴニカにおける「脅迫的な研究(RAV)」などだ。このカードの場合、フラッシュバックを絡めないとアドバンテージには繋がらないが、まとめて3枚のカードを墓地に落とせるという効果が青のゾンビ戦術にがっちりかみ合うことで副次的にアドバンテージに繋げている。楽しいゾンビライフを送るなら、1枚と言わず2枚3枚と詰め込んでおきたい素敵スペルだ。ライブラリが薄くなるな! Fortress Crab 要塞ガニ (3)(U) C クリーチャー・カニ 1/6 あぁ、うん……「角海亀(M10)」に1マナ足したら更にタフネスが2もあがった。流石にここまで来ると迫力があるよな。ぶっちゃけると昔白にいた「古石の神(9ED)」はもっと堅かったんだけど、あいつはアンコモンだしね。これ、コモンか……変身後の狼男でさえがっしりと受け止めるその圧倒的甲殻類ボディの信頼感は理屈抜きで強い。がっつりおさえて飛行ビート、もしくはライブラリ破壊。いやぁ、青使ってるって実感が湧くなぁ。でもね、このカニ、まずいらしいんだなぁ…… Frightful Delusion 恐るべき妄想 (2)(U) C インスタント 対象の呪文1つを、そのコントローラーが(1)を支払わない限り打ち消す。そのプレイヤーは、手札を1枚捨てる。 こっそりカウンターのふりをした手札破壊呪文という、なんだか分かりにくい立ち位置の呪文。まずカウンターとしての素体を見ていくと、こちらは3マナ払って、相手に1マナを要求する。これって実は3年前に「どこをどういじったらこんだけ弱体化したんだよ……」と文句を言われた弱小カウンター「呪文摘み(ALA)」と同じだったりする。同じ効果の「魔力の乱れ(7ED)」が1マナなわけで、それをわざわざ3マナ払えと言われても馬鹿正直に払う奴はいない。そこで、このカードはちょっと黒っぽいテイストを足して、1枚手札を要求することにしたわけだ。相手に選ばせての1枚ディスカードは過去の基準で言えば1マナソーサリー以下。その2つを足しても、ちょっと3マナはどうかな、というぐらいかもしれない。でもまぁ、うまいこと決まってカウンター出来たときの喜びは格別で、やられた方としてはギリギリで呪文が通らないわ、アドバンテージは持って行かれるわで踏んだり蹴ったり。相手を絶妙に嫌な気分にさせたいならば、是非とも使いこなしたい1枚。手札で腐ることなんか気にしちゃ駄目だ。もっとも、これに1マナ追加すると確定カウンターの「陰鬱な失敗(PLC)」になるんだけどね……一応、この世界の青は相手の墓地が増えるとちょっと嬉しいこともあるので、そのあたりも計算に入れて使っていこう。 Grasp of Phantoms 幻影の掌握 (3)(U) U ソーサリー 対象のクリーチャー1体を、そのオーナーのライブラリの上に置く。 フラッシュバック・(7)(U) 単発だと1マナ重くなっただけの「時の引き潮(9ED)」。ミラディン環境では「消失の命令」はちょっと重くてあまりデッキに入らないスペルになってしまっているが、やはりトップに置く効果が強いことは間違い無い。コントロール重視の青デッキになった時には、考慮に値するトリックになるだろう。そしてやたら重たいとはいえ、フラッシュバックもついている。これでめでたくアドバンテージカードとなり、更に長期戦を見込むコントロールデッキでのニーズが出てくる。デッキは選ぶが、いかにも青らしい渋いサポートだ。こういう重たいフラッシュバックカードは、「どうせ使えないでしょ」と思って使い捨てる傾向にあり、万事窮したと思った終盤に墓地から掘り出した時の喜びはひとしおである。我々のコミュニティの名言の1つに「モビハンあった!」というフレーズがある。忘れられた「病的な飢え/Morbid Hunger(ODY)」が相手の残り3ライフを削って勝利したシーンだ。他にも「焦熱の飛弾(ODY)」のフラッシュバック頼みのデッキなんてのもあったし、案外8マナくらい余裕なのかもしれない。 Hysterical Blindness 恐慌盲 (2)(U) C インスタント あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで−4/−0の修正を受ける。 毎度お馴染み、青の全軍パワー低下インスタント。登場時に少しだけ期待していた「形成一変(MBS)」は結局リミテッドでも使うチャンスがない残念スペルに終わってしまったわけだが、このカードは1マナコストを増やしたことにより、なんと効果が2倍、狼男まで含めて、ほとんど全てのクリーチャーのアタックを無効化するクラスにまで格上げされた。これでほぼ確実に1ターン分のアタックはチャラに出来るだろうし、トリックとしての説得力は増している。残された問題は、これをどうやってアドバンテージに繋げるか、という部分である。せっかくアタッカーのパワーを下げているのだから、何とかブロックして1体でも2体でも餌食を討ち取りたいところ。しかし、今回青に収録されたコモン戦力は1/4だったり1/6だったり……さて、デッキに入ることになるのかどうか。一応、単に時間稼ぎが出来ればいいや、ってんでライブラリを攻めるデッキでの採用は期待出来るかもしれない。 Invisible Stalker 不可視の忍び寄り (1)(U) U クリーチャー・人間、ならず者 1/1 呪禁 〜はブロックされない。 徹底的に不可侵。それが青クオリティ。2マナでアンブロッカブルを持つクリーチャーというのはこれまででも案外存在していたものだが、ここまでの安定感を醸し出すカードはなかなかいない。全体火力などの対処法を持たないデッキならば20ターンキルが確約されたようなものだろうし、一方通行である呪禁能力を活かせば、強化系オーラを使って更なるスピードアップを見込める。かつての基本セットリミテッドでの「囁き絹の外套(M11)」の重要性を思い出せば、このカードが今後の青でどのような役割を果たせるか、想像に難くないだろう。 Laboratory Maniac 研究室の偏執狂 (2)(U) R クリーチャー・人間、ウィザード 2/2 あなたが、ライブラリにカードが無い状態でカードを引くことになった場合、代わりにあなたはこのゲームに勝利する。 上記の「錯乱した助手」と一緒にプレビュー記事に登場したことで立ち位置が明らかなクリーチャー。これまでだったら敗北条件だったイベントが逆に勝利条件になってしまうという、何とも倒錯した青らしい馬鹿馬鹿しさ。これで青は、200枚以上のライブラリと0枚のライブラリという、両極で勝利をものに出来るようになったわけだ! そして、この条件を達成するためのカードが、今回はセットテーマも相まってそれなりに用意されている。弟子に手伝ってもらって地道に削っていくのもいいだろうし、下記の「鏡狂の幻」あたりも自分のライブラリをガンガン削ってくれる。もちろん、相手を選ばない「マーフォークの催眠術師」や「記憶の熟達者、ジェイス」で削ってもいいだろう。とにかく、自分のライブラリを削りきるのは相手のライブラリを削るよりも簡単である。そこから勝利をもぎ取れれば、新たなマゾヒズムに目覚める時も近いかもしれない。まぁ、もちろんこいつ一体が除去られれば死もすぐそこなんですけどね。チャレンジしてみる? 俺は相手のライブラリ削る方が楽しいからそっちでいいっすわ。とりあえず「地ならし屋(MRD)」がものすごい勢いでアップを始めています。落ち着いておじいちゃん! ライブラリならさっき食べたでしょ! Lantern Spirit ランタンの霊魂 (2)(U) U クリーチャー・スピリット 2/1 飛行 (U):〜をそのオーナーの手札に戻す。 3マナ2/1フライヤーというリミテッドの基本戦力に、好きなタイミングで帰還できるバウンス能力。これは、リミテッドでは人気カードとなったあの「空翼のエイヴン(TOR)」が持つ能力である。焼こうにも叩こうにも、ぬるりと手札に戻る厄介な鳥野郎にイライラした経験は今でも鮮明に覚えている。ただ、アイツの場合は共鳴者としての能力あり、マナを払わずに戻せる利便性あり、かてて加えて当時のスタックルールのおかげでクリーチャー処分出来たり、色々とこのクリーチャーとは違うのだけれども。1マナ残せばでかいフライヤーに対する無限ブロッカーになったりはするので、いっそのこと守備メインでの採用もありかもしれません。 Lost in the Mist 霧の中の喪失 (3)(U)(U) C インスタント 対象の呪文1つを打ち消す。対象のパーマネント1つを対象とし、それをそのオーナーの手札に戻す。 「流石にこんだけカード作ってると、もうカウンタースペルのネタもねぇよなー」「そうですねー、こっちもバウンスの新作考えてるんですけど、なかなか思いつかなくてー」などと制作スタッフが愚痴りあっている時に、二人の利害が一致して生み出されたスペル。かどうかは分からないが、とにかく奇妙な形でカウンターとバウンスが手を結んだ。5マナと重たいが、見事決まればカウンターとバウンスを同時にこなす、新世代の「謎めいた命令(LRW)」になる。あの伝説クラスのインスタントと肩を並べられるってんだから、多少重たくても充分に一線級。ただし、コモンでそこまでのものを手に入れようってのは甘い考えである。残念ながら、このカードはモードが決まっているし、必ず対象を2つ取らなければならないことが大きな制約となっている。どれだけ場に嫌なパーマネントが降臨しようとも、とにかく打ち消す目標が無ければバウンスとして機能しないのだ。そして、カウンターとして使うためには、ほぼ確実に相手ターンまで5マナを維持しなければならず、厄介なパーマネントを放置したまま苦渋の「エンド」宣言をする必要がある。これで相手がスペルを使わなければ踏んだり蹴ったりだ。まぁ、リミテッドレベルでのやりとりならば、それだけのリスクを冒してでもキープする価値のある効果ではある。余ったマナを上手いこと他に流用出来る体勢を取りつつ、何とかマナカーブの後部座席に座らせてみたい。
Abattoir Ghoul 肉切り屋のグール (3)(B) U
クリーチャー・ゾンビ 3/2 先制攻撃 このターンに〜にダメージを与えられたクリーチャーが1体死亡するたび、あなたはそのクリーチャーのタフネスに等しい値のライフを得る。 細かいサポートで、そんなに目立たないけど「まぁ、居てくれたらそれなりに助かるよね」という、十二使徒で言ったらピクシーか妖狐くらいの立ち位置のクリーチャー。パワー3の先制持ちなので、コモンクラスを相手にする分には負けないだけのバイタルがあるし、先制攻撃を活かせば、その他のコンバットトリックと組み合わせて一方的に相手を打ち倒すこともそう難しくない。ブロック側に回ればそれなりのライフを提供してもらえるんじゃなかろうか。でも、アタック時にはこれを相手にチャンプブロッカーを差し出す人はあんまりいない気もするんだけどね。なんか、あんまり黒っぽくないから妙な立ち位置だな。 Altar’s Reap 祭壇の刈り取り (1)(B) C インスタント 〜を唱えるための追加コストとして、クリーチャーを1体生け贄に捧げる。 カードを2枚引く。 クリーチャーをサクることについては並々ならぬこだわりを持つ黒がお届けする、新世代の「血の署名(M11)」。いや、比較対象としては「頭叩き(SCG)」の方が近いか。なんと、ソーサリーからインスタントに格上げされて格段に使いやすくなっている。2マナで2ドロー出来るインスタントがいつの時代にも弱いはずが無い。相手の除去に応じて使えば弾に無駄も出ないし、インスタントで自由自在に陰鬱条件をクリア出来てしまうので、はっきり言ってこの環境の中じゃエースといっても過言ではないフル回転の活躍が期待出来る。黒をやっているなら、全力でかき集めてしまって構わないのではなかろうか。 Army of the Damned 忌むべき者の軍団 (5)(B)(B)(B) M ソーサリー 2/2で黒の、ゾンビ・クリーチャー・トークンを13体、タップ状態で戦場に出す。 フラッシュバック・(7)(B)(B)(B) はい! お馬鹿! 先んじてマローが予告していた、「これまでで最も大きな数のトークンを生み出すカード」の正体がコレ。13て。13体て。すごいよ、そら凄いだろうけど、誰がどこで求めてる仕事なんだよ。そりゃ通れば勝てるよ。ブロッカー3体いれば即死しないかもしれないけど、多分即死するよ。おめでとう! いやぁ、一応なんとなくフレーバーを維持しようとしてる心遣いがいいですよね。悪魔の数字、不吉のDEATH13という数字に加えて、ゾンビが墓から蘇ってゆっくりと襲ってくる様子を表現したために、出たターンはタップ状態だ。大挙したトークンが一気にぬっと立ち上がる姿は、確かに立派なホラーですよね。まぁ、このスペルにフラッシュバックがついてることの方がよっぽどホラーだけど。誰が使うの? いつ使うの?! 墓地に落としてからプレイする作戦なの? 馬鹿なの? 死ぬの? よし、今後の世界ではこれを対策するために「尖塔の大長」が流行る! わけがない! Bitterheart Witch 苦心の魔女 (4)(B) U クリーチャー・人間、シャーマン 1/2 接死 〜が死亡したとき、あなたは自分のライブラリから呪い・カードを探し、それを対象のプレイヤーに付けた状態で戦場に出しても良い。その後、あなたのライブラリを切り直す。 黒にはそこまで多くない、人間軍団からの悪落ちキャラ。ひ弱なな人間なので5マナ1/2と信じられない虚弱体質を持っているが、それは能力が使いやすいが故の設定。ひとまず接死を持っているので、確実な相打ちブロッカーとして問題無くデッキで仕事を任せられる。そして、いざ彼女が死ねば、それは呪いへと生まれ変わり、相手プレイヤーに襲いかかるのだ。今回青・黒・赤に配備された呪いは、最軽量が2マナ、最も重くて5マナ。全てのレアリティを合わせても全部で6枚しか存在しておらず、そこまで有用なリソースとは言えないが、ただで場に出せるのだったら悪い話でもないだろう。デッキの呪い枚数と相談して彼女の投入を決めればいい。 Bloodgift Demon 血の贈与の悪魔 (3)(B)(B) R クリーチャー・悪魔 5/4 飛行 あなたのアップキープの開始時に、対象のプレイヤーはカードを1枚引き、1点のライフを失う。 「ファイレクシアの闘技場(9ED)」を内蔵させたデーモン。ご丁寧に5マナ5/4フライヤーのナイスステータスを保持しているおかげで、あまりにレアっぽい自己完結な全体像が素敵過ぎる。登場した次のターンからアホみたいなアドバンテージを提供してくれるその姿は、過去に「痛い、でかい、馬鹿みたい」を代表していたデーモンの面影は全く無い。「闘技場」と違って自分のライフがやばかったら相手にドローを押しつけたりも出来るしな。開けたパックから出たらおめでとう系。土地がめくれなくても宇宙ですよ! Bloodline Keeper 血統の守り手 (2)(B)(B) R クリーチャー・吸血鬼 3/3 飛行 (T):2/2で飛行を持つ、黒の吸血鬼・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。 (B):〜を変身させる。この能力は、あなたが5体以上の吸血鬼をコントロールしている時にのみ起動できる。 ↓(裏側) Lord of Lineage 系統の王 ー クリーチャー・吸血鬼 5/5 飛行 あなたがコントロールする他の吸血鬼・クリーチャーは+2/+2の修正を受ける。 (T):2/2で飛行を持つ、黒の吸血鬼・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。 どこをどういじっても強そうな吸血鬼の親玉レア。たくさんの配下を生み出していくイメージは実に分かりやすく、トークン1体1体が2/2であるっていう点がいかにも最近のレアらしい壊れっぷり。これ、一昔前だったら1/1でも文句なしで強レアって言われてたよなぁ。そのままトークンを4体出せたら準備完了で、お手軽な変身ギミックで自分も含めた全員が+2の強化を得て、恐怖の4/4フライヤー軍団がゲームをすぐに終わらせてくれる。別に変身せずとも2/2飛行軍団だけでゲームは終わる気がするのだが、念には念を入れるのが吸血鬼流なのだろう。在りし日の「吸血鬼の夜候(M10)」を凌ぐ修正値は、今後の吸血鬼デッキの隆盛を期待させるだけのパワーがある。唯一の難点は、出た時点で吸血鬼が足りなかった場合は、即座に何かしてくれるわけじゃないという点。1ターンでも生き残ればすぐにフル回転してくれるはずだが、即除去に対してレスポンスが効かない部分は、5マナレアとしては些か勿体無い。「骸骨の吸血鬼(GPT)」みたいに出た瞬間のお仕事+除去耐性があったら完璧だったのだが。贅沢過ぎる? そうかもしれん。 Brain Weevil 脳ゾウムシ (3)(B) C クリーチャー・昆虫 1/1 威嚇 〜を生け贄に捧げる:対象のプレイヤーは、手札を2枚捨てる。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。 当方虫、は苦手なので、ゾウムシと言われてもピンと来ないのだが、確かにイラストを見るとこんな虫がいたような気もする。ちなみに過去にmagicにおいてゾウムシの名前を冠するクリーチャーは存在していない。で、わざわざそんな昆虫が初登場したのは、そのながい鼻だか口だか分からない器官でもって、対戦相手の脳みそをちゅるんと吸い出すためである。4マナ1/1とサイズは小さいが、そのまま夜陰に紛れて忍び寄り、ちゅろん。めでたくそのプレイヤーは「精神腐敗(M12)」してしまうって寸法だ。「精神腐敗」に比べると1マナ重たいが、一応生きていて殴ることも出来るので、試合後半に手札が無い状態に居合わせても最低限の活躍が出来るのが売り。威嚇持ちはアーティファクトが去ったこの世界ならばそれなりの貫通力になるので、装備品やオーラをつけて突っ込ませるのにも使える。何のシナジーも無い地味キャラではあるが、決して損はさせない親切心が売りの可愛い奴である。 Bump in the Night 夜の衝突 (B) B ソーサリー 対象の対戦相手1人は3点のライフを失う。 フラッシュバック・(5)(R) シンプル。撃つと相手のライフが3点減るだけ。つまり、これを7発撃てばゲームに勝てるということだ。ただし、それだけだとちょっと弱い気がするので、終盤に思い出した時にフラッシュバック出来るようにした。つまり、これ1枚で6点削れる。3枚あれば大体ゲームに勝てるくらいの強さになった。実際、1枚で6点削れるカードというのは案外優秀である。構築で大活躍する「ゴブリンの先達」だとか「恐血鬼」あたりだって、平均値を取ってみれば案外6点をコンスタントに削るのは難しいくらいのもの。このカードはクリーチャーではないのでダメージを阻害されることはなさそうだし、小分けにして撃てるので手の中で腐る心配もない。そう考えると、リミテッドで「黒赤吸血鬼」みたいな速攻デッキが作れるのなら、案外アリなんじゃないかと思えるレベルである。過去には本体3点効果と「繋ぎ役」だけのカードである「溶岩の打ち込み(CHK)」が勝負を決めたことだってあるのだ。是非とも尖ったデッキを組んでこの絶妙なコモンを活かしてみてほしいもんである。惜しむらくは、ご丁寧にルーズライフに設定されているので構築環境で「黒赤吸血狂喜」みたいなデッキは組めない。狂喜狙いの人は、渋々「血の味(M12)」とか使うしかないか。いや、使わんけど。 Corpse Lunge 死体の突進 (2)(B) C インスタント 〜を唱えるための追加コストとして、あなたの墓地からクリーチャー・カードを1枚追放する。 〜は対象のクリーチャー1体に、追放されたクリーチャー・カードのパワーに等しい値のダメージを与える。 突如墓地のクリーチャーから殴られるという、理不尽な格闘呪文。微妙に似たようなギミックを搭載したスペルには「死の報い(WWK)」があったが、あちらが墓地回収スペルの役割も果たしていたのに対し、このカードはインスタントにする代わりにリムーブになったため、完全に除去としての効果のみになってしまった。墓地にそれなりのクリーチャーがいないと使えないという使いづらさはそのままであり、黒は墓地を使う色なので、安易にリムーブしてしまうのも何だか勿体無い。除去は除去なのでリミテッドなら使うことになるんだろうが、これをメインにするのはあんまり嬉しいデッキではなさそうである。 Curse of Death’s Hold 死の支配の呪い (3)(B)(B) R エンチャント・オーラ、呪い エンチャント(プレイヤー) エンチャントされたプレイヤーのコントロールするクリーチャーは、−1/−1の修正を受ける。 黒のレア呪いは相手限定の「魂の裏切りの夜(CHK)」。はるか昔から、相手だけマイナス修正ってのは常に強力で、「魂の裏切りの夜」以外にも「仕組まれた疫病(7ED)」なんかも採用実績がある。このカードは5マナと重たいのがネックだが、自軍の被害を気にせずに何枚でもデッキに入れられるのは魅力的。重ねばりすれば相手のクリーチャーはどんどん選択肢をうしなっていくはず。1枚だけで、とりあえず「墨蛾の生息地」の起動が妨げられるのは意味があるかもしれない。ただ、現代は除去も軒並み優秀になっている時代であり、「四肢列断」のような優良単体除去があれば、大がかりな装置は必要としていないのが現状である。このカードに出番があるかどうかは、メタ神様だけが知っている。 Curse of Oblivion 忘却の呪い (3)(B) C エンチャント・オーラ、呪い エンチャント(プレイヤー) エンチャントされたプレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは自分の墓地からカードを2枚追放する。 黒のコモン呪いは相手の墓地を浸食する。こちらから選ぶことが出来ないので狙ったカードが処分されるまである程度の時間はかかるが、1ターンに2枚というハイペースで削っていくので、全てのカードが消え去るまでにそう時間はかからない。相手が墓地を利用してやろうと手ぐすね引いた青のゾンビ軍団だったりした場合にはピンポイントで直撃できるカード。ただ、それ以外の場合にはせいぜいフラッシュバックをおさえる程度の働きにしかならないため、コモンといっても慌てて回収する必要も無いだろう。ま、こういうのが無いとリミテッドで特定デッキが暴れやすくなっちゃうからね。 Dead Weight 死の重み (B) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーは−2/−2の修正を受ける。 今回の最軽量基本除去。1マナでタフネス2まで対応出来るのは充分な性能だし、オーラなので対応しきれないクリーチャーでも弱体化を狙うことは出来る。過去にこのジャンルだと「弱体化(9ED)」があり、完全上位互換であることを考えれば立派な選択肢である。ま、最近は「闇の掌握」だの「四肢列断」だの、マイナス修正も派手な値が増えてたからなんだか地味にみえるけどね…… Diregraf Ghoul 戦墓のグール (B) U クリーチャー・ゾンビ 2/2 〜はタップ状態で戦場に出る。 黒の永遠の夢、それが1マナ2/2のゾンビである。過去には「カーノファージ(EXO)」や「肉占い(TMP)」といった名作クリーチャーたちが登場し、構築での黒ビートを賑わせていた。そして、そんな伝統ある分野にまた新たな歴史が刻まれようとしている。どこからどう見ても1マナ2/2のゾンビだ。もちろんデメリットはあるが、攻撃に特化したデッキにおいて、この能力がどれほどのデメリットになるというのか。出たターンなんて召喚酔いしてんだからタップで構わない。重要なのは、2ターン目にパワー2で殴れるか否かなのだ。ラッキーなことに、現在基本セットには「墓地を刈り取るもの」もいるし、「墓への呼び声」「ゾンビの横行」など、ゾンビデッキを賑わせてくれるカードも多い。さぁ、あの時代のあの黒ビートへ。 Disciple of Griselbrand グリセルブランドの信奉者 (1)(B) U クリーチャー・人間、クレリック 1/1 (1)、クリーチャーを1体生け贄に捧げる:あなたは、生け贄に捧げたクリーチャーのタフネスに等しい値のライフを得る。 クリーチャーをガンガンライフに変換するライフ配達人。起動コストも最小限だし、「ライフが大好き!」っていう人にとっては手軽につきあえるよいおっさんである。ただまぁ、クリーチャーってのは場にいてナンボなわけで、軽々にサクっていい存在ではない。あくまで除去で狙われた時の保険とか、その程度のスタンスなので、本来ならば「失われし者への祈り」なんかと大差ないカードでもある。しかし、世界はこのおっさんを求めている。そう、低価格の陰鬱誘発カードとして。最悪でもこのおっさん自身をサクれば陰鬱条件は満たせるので、陰鬱が必要な強力なカードが集まったなら、さりげないタイミングで声をかけておくと中吉。 Endless Ranks of the Dead 終わり無き死者の列 (2)(B)(B) R エンチャント あなたのアップキープの開始時に、2/2で黒の、ゾンビ・クリーチャー・トークンをX体戦場に出す。Xは、あなたがコントロールするゾンビの数の半分(端数切り捨て)に等しい。 「本当にエンドレスやん!」と一瞬心躍らせたが、冷静になると、意外とそうでもないことが分かるカード。端数を切り捨てるということは、これが機能するためには最低でも2体のゾンビを準備しておく必要がある。無事に2体いるところに着地しても、その後の増え方は3→4→6→9→13と、そこまで劇的なスピードとは言い難いのだ。今の世の中はカードたった2枚で無限のトークンを生み出すコンボデッキが席巻しているわけで、こんな堅実戦略でゾンビを増やすカードにどこまでニーズがあるかは判断しかねる部分である。一応、コスト無しでのトークン生産という基本コンセプトは強いので、専門のゾンビデッキでなら何かものすごいエンジンになるかもしれない。「墓所のタイタン」さんが手ぐすね引いて待ってますよ。 Falkenrath Noble ファルケンラスの貴族 (3)(B) U クリーチャー・吸血鬼 2/2 飛行 〜か他のクリーチャーが1体死亡するたび、対象のプレイヤーは1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。 クリーチャーを看取るたびに「取引の教会、オルゾヴァ(GPT)」が起動できるという、信心深い吸血鬼。死ぬクリーチャーの陣営を問わないために、相手クリーチャーが死んでも自軍クリーチャーが死んでも祭りを演出できるのはかなり強力であり、過去にはライフルーズ効果だけの「復讐に燃えた死者(SCG)」なんかでも活躍出来たことを考えると、これさえ守っておけばかなり有利なゲーム展開が期待出来るはずだ。この手のクリーチャーは「プロジェクトX」とかのコンボに気軽に組み込めるようになるので、今後は構築でコンボ系にも動きがあるかもしれない。 Ghoulcaller’s Chant グール呼びの詠唱 (B) C ソーサリー 以下の2つから1つを選ぶ。「対象の、あなたの墓地にあるクリーチャー・カードを手札に戻す」「対象の、あなたの墓地にあるゾンビ・カード2枚を手札に戻す」 普通に使うと「墓暴き(M12)」だが、ゾンビの場合にだけ効果が2倍。ゾンビにだけ優しい再利用スペル。「墓暴き」は基本セットのリミテッドでもそこまで使われるカードではないが、こうしてシンプルな形でアドバンテージが狙えるというなら話は別。さっさと青と結託してライブラリを削っておけば、序盤から手軽なコストでクリーチャーをサーチするスペルとして使っていけるのだ。是非、全国のゾンビニストたちはこいつで一発アドバンテージを狙ってくれ。 Ghoulraiser グール起こし (1)(B)(B) C クリーチャー・ゾンビ 2/2 〜が戦場に出たとき、あなたの墓地にあるゾンビ・カード1枚を無作為に手札に戻す。 自分が出てくる片手間で適当に選んだ仲間を連れてくる、やる気があるんだか無いんだかよく分からないゾンビ。ゾンビ限定とはいえ、とにかくアドバンテージには違いなく、「グレイブディガー」よりも1マナ軽いのでグルグル回すループ的な動きも行いやすい。これや上記の「グール呼びの詠唱」を使って、細かくてもいいからひたすらクリーチャー輪廻を繰り返して数を稼いでいくのが、黒のゾンビの基本的な目標になりそうである。ほら、「大軍で襲い来る恐怖」が今回のテーマですから。 Gruesome Deformity 陰惨な醜さ (B) C エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされたクリーチャーは威嚇を持つ。 史上初の、威嚇を付与するオーラ。威嚇が「畏怖」と入れ替わって少しずつ定着してきてはいるわけだが、未だになんだかしっくりこないのはおっさんプレイヤーの宿命なのだろうか。畏怖をつけるオーラ「畏怖(10ED)」が2マナだったのに対し、こちらは1マナで提供されているので、はっきり言って上位互換。まぁ、「畏怖」も使われたっていう記録は残っていないので、このカードもそこまでニーズがあるもんではないと思うけどね。しかし、「威嚇」っていうのは、すっげぇ顔が怖いから他のクリーチャーが避けて通るっていう意味だったんだな。なんだか可哀想である。 Heartless Summoning 心なき召喚 (1)(B) R エンチャント あなたが唱えるクリーチャー・呪文のコストは(2)少なくなる。 あなたのコントロールするクリーチャーは、−1/−1の修正を受ける。 適当にクリーチャーを召喚してみよう、というエンチャント。おかげでサモンにかかるコストが一気に2も安くなるが、その分、クリーチャーはへろへろの状態で出てくるという寸法だ。コレを使って出てきたかどうかを問わずに−1をばらまくのは確かに鬱陶しいが、コストが下がるというのはそんなに簡単に起こる出来事ではない。過去には「血の呼び水(RAV)」という、似たような効果が得られるカードがあったのだが、このカードはクリーチャーをサクらないとクリーチャー呪文以外がカウンターされるという面倒極まりない制約がついており、とても使える代物じゃなかった。このカードは、弱くなるとは言え、とにかくキャストすることに意味があるクリーチャーをガンガン繋げていくコンボデッキ的な使い方が可能になる。過去には「魔の魅惑(TMP)」がコンボパーツとして活躍したわけだから、このカードが何かしでかす可能性は充分あるのだ。黒のコンボはいつでも夢があるなぁ。 Liliana of the Veil ヴェールのリリアナ (1)(B)(B) M プレインズウォーカー・リリアナ 【3】 <+1>: 各プレイヤーは、手札を1枚捨てる。 <-2>: 対象のプレイヤー1人は、クリーチャーを1体生け贄に捧げる。 <-6>: 対象のプレイヤー1人のコントロールするパーマネントを、2つの山に分ける。そのプレイヤーは、自分の選んだ片方の山を全て生け贄に捧げる。 さぁ、このセットの目玉、プレインズウォーカーのお通りだ。満を持して登場したのはあのリリアナ姉さん。既にジェイスやチャンドラが3種類目をリリースして調子に乗っているというのに、初代プレインズウォーカーの中で姉さんだけがず〜っと頑なに初代の味を貫き通していた。彼女のホームグラウンドを訪れたことで、ようやく、次の姿を見せることが出来たのだ。感慨深い。やっぱり女性プレインズウォーカーといえばリリアナさんですよ。エルズペスは何だか偽善面してる割に案外わがままで気に入らないから。あ、ニッサさんは……影薄いなー。 さておき、生まれ変わったリリアナ姉さんは、なんと至上最軽量タイの3マナで登場することになった。能力を見てみると、その基本構造は同じコストで猛威をふるった「ジェイス・ベレレン」と似た形になっている。まず、登場時の忠誠数が一緒。どこぞの4マナなのに忠誠2だったエルフとは違うので安心運用が見込める。そしてプラス。これは起動するだけでアドバンテージにならないのがジェイスと同じ形だが、互いにドローというウィンウィンのジェイスより、相手の行動を絞りに行くリリアナの方が、使われた相手は嫌なはずだ。こちらの手札も一気に減ってしまうことになるのだが、黒だったらなんとかしろ。そしてイニストラードだったら何とかなる。はず。 小マイナスでようやくアドバンテージが取れる「悪魔の布告」を起動する。ソーサリー除去が聞きにくいミシュラランドがセットを去るので、いくらか使いやすい能力になるだろうし、どんな形でも、マナを払わずに使える除去は強かろう。「饗宴と飢餓の剣」を突破できるのもありがたい。そして大マイナスは、なんと拡大版の「行動か死か(INV)」。とにかくパーマネントが半分、という時点で、やっぱり他のプレインズウォーカー同様に、「起動すれば勝ち」である。気になる点としては、ジェイスとの決定的な違い、プラス能力で忠誠度が1しか増えない部分だろう。ジェイスは出したターンに忠誠5までいって一気に除去圏外に逃れることが出来たが、リリアナさんはアドバンテージのない能力を何回か起動しなければ使いにくいというのが難点といえる。その代わり、最終奥義への到達難度が、ジェイスよりも低い。必要なカウンターの数が少なく、増殖などを絡めて誤魔化すことも出来るため、早めに設置して大技に期待するのが主立った使い方になるのではなかろうか。もしくは、ある程度絞り込んだハンデス型のコントロールデッキに入れることでプラス能力の効果を相対的に高めるのも狙い目かもしれない。 総じて見ると、1枚で自己完結出来たジェイスに比べると、こちらはデッキも選ぶし、脆くもあるので使い方が難しい。しかし、やはり3ターン目に出せるプレインズウォーカーというのは、それだけで相手の脅威になるのは確実なのである。黒のコントロールデッキが「ソリン or リリアナ?」と尋ねられたら、やはり迷わずこちらを選ぶのではなかろうか。さぁ、姉さん出番です。 |
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