最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「異世界失格」 6→6 ヤッター! 他人の人生をめちゃくちゃにしてなおあまりあるタイプの上田麗奈だ! ……1クール作品観た結論がそれかい。 というわけで今期はやたらと多い気がしますが俺たたエンドでしたね。まぁ、原作が未完も未完なので分かりきっちゃいたことなんですけども。ただ、今作の場合は残念ながら現状アニメ2期の発表はないんですよね……こういう安定した作品こそ2期があって当然みたいな気がしていたので、報せが無いのは素直にしょぼん。 まぁ、地味と言えば地味な作品なんですよ。冒険譚としては破天荒な部分はありつつも、それでもヒューマンドラマとしては割と真っ当な路線に乗せたお話が多いので、シナリオラインでグッと目を引くというほどのことはない。ただ、だからって退屈ということは決してなくて、センセーのひでぇキャラはちゃんと作品の独自性を下支えしてくれているし、魅力的なヒロイン勢と無体なギャグ展開も決してなおざりなものではない。あたしゃこういう渋いところで押さえるところ押さえてくれてる作品に文句はないよ。その上でAtelier Pontdarcの手による丁寧な映像も加わるわけで、1クール終わった時点で減点要素は特にない。まぁ、上述のような地味さのおかげで毎週感想を書くことはなくなってしまったのだけどね。 気になる点があるとすれば、センセーはキャラが酷いとはいえ、やはり異世界チートの文脈には乗っているわけで、彼の無敵さがやや説明不足になっているのは単なる描写不足なのか、それとも後に続く伏線となっているのか。「送還」の能力はもちろんスペシャルなのだろうが、それ以外にも命懸けの肉弾戦で特に大きな怪我もなく毎回しれっと生き残ってるのは不思議といえば不思議。「死にたがりすぎるせいで怖いもの知らずなのがプラスに働いている」と好意的に捉えることはできるのだが……センセー自身が「死んでもいいから」と思ってあんな行動に出ているのか、どこかに「どうせ死なない」とたかを括っている部分があるのかはまだはっきりしてない。死にたがりのくせに全然死なないところに胡散臭さもあるからね(設定上しょうがないのだが)。 とまぁ、1クールで気になる部分がゼロというわけではないが、その辺は賑やかなヒロイン勢で埋め合わせてあまりある。常々言ってるように大久保・鈴代(&中原)のとにかくエネルギーに満ちた面子が牽引してくれているのは本当にありがたかったし、最終話ではさらに富田美憂まで参戦してエネルギーがキャパオーバー。こんだけの大群を相手にうえしゃま1人で太刀打ちできるだろうか。うん、できる(俺判断)。 2期欲しいなー。ないかなー。原作読むしかないかー。今期も原作欲しい系作品多いなー。 PR 「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」 5→6 「エグミレガシー」の後に放送される枠だったので理不尽に打ちのめされた状態で常に視聴しており、完全なる癒し枠として受け入れてたんですが、冷静に考えてみたらこっちも結構な理不尽枠だよな。 理不尽とは言っても作品のコンセプトは1話目から明快、なんならタイトルでだいたい説明しちゃってるし、1話目で見た光景を1クールずっと続けられているだけのさっさと爆発作品。ただ、そうなればあとはメインヒロインがどれだけ可愛いかで勝負できる。ショート枠ということもあって映像部分は終始安定しており、独特のデフォルメも活用しつつ本能レベルに訴える「可愛い」が実現していた。そこにエロとか下世話もほいほい混ぜ込み、御使い連中のせいもあってエグさもいい具合の毒として機能している。おっきな括りで言えば「恋せか」と同じ構造ではあったのだが、もはや「敵対」を描くことすら放棄して一心にイチャイチャを見せつける構造が、15分作品でみっちり詰め込まれる幸福感は、きっと「エグミレガシー」の口直し以上の意味があったに違いない。このプログラムで良かった、ありがとうAT-X。 中盤以降は悪の幹部連中もさることながら、絶対YouTubeで放送できない火花の登場で刺激が増した。Fワードで人を幸せにすることもできるというのは新しい発見だし、ここで中原麻衣VS伊瀬茉莉也という俺得マッチメイクが構築されてるのもありがとうございます。この作者、ほんとに「変な女の子」の造形がかっ飛んでて素敵なのよね。こないだ狸アニメを見たせいでなんか色々と思い出してしまったものでね。 短いながらもちょっぴりの幸せをありがとう。 「エグミレガシー」 ―→6 あらゆる意味でイレギュラー、どう処理したもんかも分からんアニメ世界の異端児。どう評価したもんかさっぱり分からないが、今作を視聴している際の困惑の坩堝は、それ単体で体験として評価してしまえと、そう判断してショート枠にも関わらず点数をつけてしまった。 全力の予防線を張っておくが、私のこの評価を見て「なんだこれ、そんな不思議な作品があるんだ、ほな見てみるか」とか思って視聴されても一切責任は持てない。基本はギャグなので合う合わないがあるってのは前提だし、これを作品として認めない人もいる可能性はある。さらに認めた上で「いや、別に全然面白くもないが」と思う人もたくさんいるんじゃなかろうか。でも、あたしゃ「なんじゃこりゃ?」と思ってしまったんですよ。ほんで「なんじゃこりゃ?」が12週続いたんですよ。それって、すげぇことじゃない? 理不尽ってのは突然突きつけられるから驚きに繋がるし、面白みも感じられると思うんだけど、だからこそ1クールにわたって理不尽であり続ける脚本って難しいと思うのよ。 いやぁ、でもどうなんだろうなぁ、いわゆる「セカイ系」の作品になったとは思うし、これがふつーの画で、ふつーの語り口で90分くらいの劇場アニメにでもなってたら「陳腐な作品だなぁ」と思ったかもしれない。今作独特のクソみたいなキャラデザ、アニメを馬鹿にしてるとしか思えないような雑演出。そうしたものと噛み合って不条理が世界の1つとして認められてしまったからこその評価なのかもしれない。ちょっと冷静になればクソつまらん可能性もある。ギャグとしても、例えばヒゲちぎりデビルみたいなしょーもなさが爆発するシーンもあったんだ。でも、今となってはそのダレた感じすら計算づくだった気がしてくる……よくもまぁ、脚本書いた人はこのキャラをぶん投げられてここまでの話を考えたもんだ。「ヤクキメたみたいなキャラデザだし、ヤクキメねぇと書いてらんねぇぜ」とか思ったかもしれん。要所でサスペンスやホラーとしてやたら光ってたのなんだったんだろう。招かれざる客とか、ハチベーとか、最初は「単に中の人にドタバタさせるだけの身内の遊びだろwww」とか思ってたのにいつの間にかどのキャラもキャストをフル活用してんの本当ムカつく。 まぁ、気になる人は1話目で挫けず、3話目くらいまで見てみてください。その時点で1ミリも心が動かなかったらそっ閉じでいいです。多分、そっちの方が賢いと思います。 「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」 6→5 なんとまぁ、2クールやって更に2期まで決定しているとは。……よっぽど気合の入ったプロジェクトなのかもしれないが……なんか、作品自体からそうした気合はあんまし感じられなかったのが残念。 元の作品は好きだったし、総監督名義で高橋丈夫もクレジットされている。名義貸しみたいな状態だったらヤだな、とも不安になったが、割とコンテ作業にも参加してくれており、ちゃんと旧スタッフから関わりがある人間が出てることも分かった。そうしてみれば制作姿勢に文句はないはずなのだが……旧作の方が身が入ったのは単なる思い出補正なのかしら。正直、あんまりそうは思ってないのだけど……。 こっちに責任がある部分を先に挙げておくと、さすがに「2回目」となると本筋を追う意欲は低下する。何しろ10年越しとはいえ筋立ては知ってるわけで、ドキドキしながら先を見守るなんてことにはならないだろう。前作アニメとは映像化された範囲が違ったり、一応今回だけの見どころもあるにはあるのだが、そこは今度はコミック版が押さえている。途中で放り投げてしまったとはいえ、漫画である程度知ってる状態なのでやっぱり新鮮味には欠ける。いや、そんなこと言ったらキン肉マンなんて細部まで全部知ってて楽しんでるやんけ、と言われるかもしれないが、そこはまぁ、原作への思い入れの差だよね……。「ページやコマ単位まで読み込んでる漫画」と、「数年前に読んだけどあんま覚えてない漫画」では、リメイクを追うにしてもモチベに差が出るのは申し訳なくもしょうがない。 そうしてこちらの視聴体制に責任があることは認めつつも、やっぱりアニメ自体のクオリティにも難はあったと思う。旧作の映像部分がしっかりしていただけに、現代技術でふわっとリメイクされただけの画面だと、「作品作って魂入れず」みたいな手応えのなさを感じてしまう。実際問題、今作は作画に関しては相当外注でばら撒いてるっぽいし、どこか工業製品じみたそっけなさが出てしまっている。まぁ、単純にCG処理が増えたからそう見えるだけなのかもしれないが……でもキャラの表情のディティールとか、やっぱり力がなかったよね。そういう部分でじっとりと執拗に見せるのが高橋丈夫監督の真骨頂だと思っているので、上っ面だけを流れていくような作劇はご不満である。 第2期は多分漫画でも読んでないようなところが映像化される可能性が高いためにちょっとは新しい楽しみが出てくることを願っているが……どうなるだろう。でもまだ前作のエーブ編とかもアニメになってないのか……さて、どういう切り口で出てくるものか。
「真夜中ぱんチ」 6→5 毎度! P.A.WORKS大好きおじさんだよ! ただ、今期は過去に例を見ないP.A.作品3本同時放送という稀有なシーズンだってのに、あんまり最大火力が出てないことにはちょっと悩んでいるよ。 というわけで、あんまハネなかった完全オリジナル作品がこちら。まー、P.A.的映像部分に落ち度はないんですよ。キャラデザも立ってるし、作画には減点要素が無い。ただ、いかんせんシナリオがパッとしない。はちゃめちゃ怪物コメディを狙ったのか、P.A.名物「お仕事」アニメの一環として処理するのか。せっかく「吸血鬼」と「動画配信者」という2つの要素をレッツラまざまぜしたおかしみを狙っていたはずなのに、どちら方向にも振り切れた印象がなく、なーんか小利口にまとまってしまった感がある。 これが1つ前の「アキバ冥土戦争」なら脚本自体もぶっ飛んでて最高にクレイジーでクールな作品だったんですよ。「メイド」と「極道」というハイブリッドが見事に唯一無二のネタに昇華されていて、そこにP.A.にしかなしえないような無駄に真面目な映像を載せることで各方面に不協和音を生み出して際立ちを発揮していた。それに比して今作は割とポップなデザインで万人受けを狙ったせいか、なんかJ.C.STAFF味があるというか、平均点やや上あたりに「置きに来た」ように見えるというか……最初にキャラの配置を説明された時に想像していた救いようの無いはちゃめちゃとは程遠い、「そこそこギャグでそこそこ人情」くらいに収めてしまったのはとても勿体無い。ハナからこれくらいの着地点を狙っていたというならその「安全策」に文句を言うものでもないが、「もっとできたんじゃない?」という印象は絶対に拭えない。 一応フォロー……というか「乗り切れなかった理由」の掘り下げをしておくと、最大の要因として「配信者」という職種自体がまだモチーフとして完成系が見出せていないというのは大きかったかもしれない。これがアイドルアニメであれば「アイドルがたどり着く頂点」というのはなんとなく作り手側にも視聴者側にもコンセンサスがあり、「すごいライブをすれば盛り上がる」みたいなルートが作りやすい。それに対し、「配信者」は何をやったらすごいのかが分からないし、「面白い配信者」ってのがなんなのかも、人によって認識が大きく異なる部分。そのせいで作中でまさ吉が繰り出す「動画のアイディア」みたいなものがすげぇぼんやりしたものになってしまっているし、どっかで見たような動画を雑多に繰り出しているようにしか見えず、「すごい力を持つ配信者」にはなりえなかった。今のところ「配信者の力」を見せつける基準が「登録者数」と「視聴者数」しかなく、画面上の数字で状況の遷移を伝える以外の方法が無いってのも、画的に、シナリオ的に盛り上がりにくい部分だろう。もしバトル漫画でスカウターに表示される戦闘力の大小だけで次々勝負が決まったら面白いわけないものね。 もちろん本作もそんなことは分かっているから「非常識で無茶を連発するヴァンパイア」というキャラ設定にして枠組みを壊そうと思っていたのだろうが、結果的に壊れなかった。動画配信者って、結局どこまで行っても無難と万人受けの極致を狙うしかない現状で、そこに際立ったドラマは作りにくいよね……そう言う意味では、VTuberという存在そのもののグロテスクさやミステリアスさを取り扱った「Vでん」の方が将来的な可能性に繋がった作品だったのかもしれない。 あとはまぁ、結局最後までなんでりぶがそこまで真咲にぞっこんなんだよ、みたいな部分へのエクスキューズが不足してて、キャラだけで観るにも足りない部分が多かったのは単純にマイナス点。今期は「茅野愛衣ボイスの動画配信者」が同時に2人出現するという変なクールになったわけだが、しげゆきと赤ちゃんカエルでどっちのキャラの方がエグいかを比べたらその差は歴然。いや、あの汚ねぇVTuberの方がいいかどうかは分からんが……。かやのんは適当に飲んだくれてる動画を垂れ流してくれればそれでええで。 「しかのこのこのここしたんたん」 6→4 このアニメ、あれだな、鹿が邪魔だな……(真理)。 世間的には「オープニング(のイントロ)が公開された時点がピーク」みたいな扱いを受けているアニメだが、すまん、だいたい異論はない。新番チェック時の点数もオープニング効果に引っ張られた感はある。人間はかくもチョロいのである。 シカし、そっから1話目時点で「なーんかもっさりしてんな」という印象はあったわけで、どこか底が割れてた感はあったのかもしれない。ギャグアニメの難しさを改めて確認させてもらいましたね。基本的にわたしゃ太田雅彦&あおしまたかしのコンビは信頼しているし、それなりに波長は合うと思っている。しかし、本作は既存の創作法から大きくズレたものではなかったはずなのになんか刺さらないものになっている。「可愛い」によせたデザインも作劇も加点要素になってシカるべきだったのだが、やはり常に「もっさり」感が付きまとう。なんだろうね、もう「原作が悪い」っていうことにして逃げちゃダメ? あんまりアニメにして旨みのあるデザインじゃなかったとシカ……いや、もシカしたら単にこの作劇法に飽きたっていうだけなのかもしれんけど。シュール系の笑いって、依って立つところが定まらずにただ野放図にネタをばら撒くだけだと回収のしようがないんだよなぁ。そこまで密度が高いわけでもなく、「数打ちゃ当たる」みたいな対処にもなってなかった気がするのでシカたない。 でも「可愛い」は維持してたとは思うんだよな。やっぱ鹿がいらなかったとシカ……。いや、だったら「何が要るんだよ」って話だけど。日本国民の「鹿感」に決して消えない変なインパクトだけ残して去っていった歴史上唯一の鹿作品として年表の隅にこっそり残しておけばいいのではなかろうか。 シカらば。 「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」 5→5 おっさんにはついていけない新しい文化を反映するアニメ。……だったのかどうかは良くわかりませんが、少なくとも「絆のアリル」よりかは視聴するモチベは圧倒的に維持できてましたね。「馬鹿だなぁ」という突き抜けたギャグの免罪符を手に入れた時点で、作中のシュワちゃん同様、無敵の人のポジションを手に入れた感はある。 「Vの話なんてどうせ分からんしおもんないやろ」というおっさんの諦めだか僻みだかよく分からない感情は割と序盤で無くなった。いや、そりゃまどこまでいっても共感とかは無いんだけど、今作は「VTuberを楽しむ方法」とはまた違った部分でVの側面を切り出しており、アニメとして別次元でちゃんと成立してたとは思うのよね。もちろん細かいネタ回しはVへの理解がないとついていけない部分はあるはずなんだけど、そういうならではの「あるある」みたいな部分と、そこまでマニアックでもない番人向けのネタ回しのバランスは悪くなかったと思う。まぁ、下ネタに振る部分とか、ネットミーム前提のパロディとかがてんこ盛りだからどう頑張っても人は選ぶわけだけど……元々Youtuberなんてそんなもんだしな。 個人的に無視できない要素だったのは制作のティーエヌケーと監督の浅岡卓矢という「不徳のギルド」の座組みで、前作が怪作に仕上がったことを考えれば何か革新的な部分もあるんじゃないかと期待していた。そして、今作においては「Vの存在感とアニメならではの見せ方」という部分できちんと爪痕を残す作劇になっていたと思う。特にVの表層の描き方が一工夫あって面白かったですね。1話目を見た時点で「あれ、Vのガワと中の人ってビジュアル的に変えずに描写するのか」と疑問に思ったが、今作におけるビジュアルってのは全て「認識」の表れであり、時に視聴者が、時に作中のキャラが対象を「VTuberだ」と認識した時にその姿が立ち現れるっていう、きちんと意味のある設定になっている。そしてV以外の人間は全て顔の無いピクトグラムで描かれ、Vとしての存在感が得られた時に鮮やかなキャラクター像を手にいれるという演出はまさに「仮想現実」としてのVの危うさや、自由さを表現したものになっている。晴先輩が声だけではずっとモブだったのに「あれが先輩の中身だったのか!」と気づいたとたんに姿を得る演出とか、してやられたもんね。中心にいるのが「ガワも中の人も同一化してしまったおかげで伝説になった淡雪だった」という設定自体が一種のミスリードになっているのも心憎い。多分、今作の「アニメ化」として出来そうなことは全部実現してくれていたんじゃないだろうか。 まぁ、アニメ的に色々とみるべき点があったとはいえどこまで行っても内輪ネタだとは思うので、バズることもバズらないことも全てネタ扱いになるという、落とし前のつけ方がよく分からん作品ではあったのだが……ぼかぁ「Vそのものの存在よりはアニメの方がよっぽど受け入れられる」という結論です。単に佐倉×日笠のヨゴレ先輩後輩コンビが楽しかったという話は置いとくとして。汚ねぇAfterglowありがてぇ。またどこかで伝説の佐倉さん泥酔ラジオが見たいなぁ。 「烏は主を選ばない」 6→7 最近のNHKはほんとにいいアニメばっかり立て続けに展開してくれてて助かる。我々国民の受信料が良質なアニメになるなら言うことなしやで……(私は波風立てるのが好きじゃない人間なので当然文句も言わずにせっせと受信料は払い続けてますよ)。 繰り返しになりますがいいアニメでしたね。常々私は「ミステリとアニメという媒体は根本的に相性が悪い」というスタンスを取り続けているわけですが、振り返ると過去に成功したアニメもゼロではなく、個人的には12話、13話の感想で言及した通りに「六花の勇者」が大好きな作品だった。そして今作の謎解きクライマックスは、「六花の勇者」最終回に負けないだけのパワフルなものだった。 さて、この2作が他のミステリアニメと一線を画すことになる共通する要素はなんだったのか。単純に考えると「ファンタジー活劇との組み合わせ」ってことになりますかね。「六花の勇者」は魔王討伐を目指す勇者たちのパーティという設定に「人狼」の要素を組み合わせたコンセプトで、今作は閉鎖された和風ファンタジー世界での権謀術数をめぐる政争に犯人当ての要素を盛り込んだ。そうして単なる謎解き一辺倒ではない構造があるおかげでアニメにした時に画面も賑やかになり、それなりの尺を退屈せずに見られる、というのは間違った分析ではないだろう。ちなみにここに肉薄したのが最近では「アンデッドガール・マーダーファルス」であった。 しかし、実際は「アニメ映えする要素と混ぜ合わせればいいんですね!」ってんで解決するほど簡単な話ではない。例えば「虚構推理」は怪異譚と組み合わせた上に「虚構」といういかにもアニメ向きなギミックまで盛り込んでいたのに、どうにも中だるみ感が否めなかったし、ミステリアニメの殻を破った感はなかった。ファンタジーとの組み合わせというなら「薬屋のひとりごと」だって似たようなデザインだったはずなのに、あちらの謎解きに心躍ることはなかった。はてさて何が違うものやら。 答えは、……分からん! そんなん俺は知らん。ただ、今作はとにかく肌に合ったというだけの話なのだ。マジで何が違うかを言語化はできないのだが、振り返ってみれば、私は3話目時点ですでにこの作品の感想を書いているし、そこから毎週毎週ちゃんと書くことがあったおかげで休まず更新し続けている。この「序盤から興味を惹かれる作劇」というのはとても重要で、ミステリの楽しさってのは、それまで蓄積してきた諸々(つまりは伏線)が最後に一気にバッと解放され、繋がれていく部分が快楽物質を生み出す。それってつまり、「貯める」だけの意識がなきゃダメなのだ。そして、えてして失敗したミステリアニメってのは、この「貯める」段階がどうしても作業的になってしまい、そこで興味が途切れて解決までモチベーションが維持できないことが多い。まぁ、要するに「捜査シーンやそれまでの筋立てが全部面白ければいいんだね」という話になるのだが、これだけじゃ「とにかくいっぱいおもしろかったです」というアホの感想でしかないのでなんも言ってないのと同じなのである。ほら、言語化できない。 でもマジでなんなんだろね。ざっと感想を読み返してみると、序盤の興味はこの世界そのものの構造についてだったのかな。「どういう世界なんだ?」「なんで烏?」「四家ってどういう存在?」みたいな個々の要素が全部「気にさせる」パワーを持って描かれていたんだろう。実際、こちとらネタバレには細心の注意を払いながらも、作中でよく分からなくなった人間関係とか名前なんかは公式ページで確認しながら見続けていたのである。退屈なアニメなら、そうまでして調べて視聴を続けようというモチベーションも起こらないわけで、「気にさせた」時点で今作の勝ちである。 まぁ、最低条件としては毎週見たいと思わせるだけの画面のクオリティ、それに謎は孕みつつも最低限何が起こっているかが理解できるだけの描写力が必要なのは間違いない。さらっと書いたけどこの2つが揃ってるアニメっていうだけでも相当なもんですよ。改めて、今作で京極義昭監督の評価は揺るぎないものになったんじゃないでしょうかね。 さて、続編は作られるんでしょうか? ダメ? 原作読まないとダメ? 「魔王軍最強の魔術師は人間だった」 4→3 特に何もなく。まぁ、無いとは思ってたからいいんだけども。 その辺のシミュレーションゲームの攻略サイトに書いてあるTIPSをそのまま書き下したような内容。しかもそのゲームは割とレトロゲーである。「内政と外交にこれくらいパラメータ割り振るとベストです」みたいなことがちょこっと書いてあって、戦争の時のユニットの配置のコツとかが書いてある。まぁ、だいたいはマニュアル見た時に想定できる程度のものでしかないが。 別にそれでも作品は成立する。こんだけ大量のアニメが粗製濫造される中で完全オリジナルなどそうそう生み出されるものじゃないってのは何度も確認してることだし、ベタならベタの使い方があり、描き方がある。オーソドックスな軍記物でもちゃんと面白くなる可能性はあるはずだが、この作品はそうではなかったと、それだけの話である。 だってさぁ、「人間の中に魔族が1人」っていう設定が何か有効に働くと思うじゃん。タイトルでそう言ってるんだから、そこにオリジナリティを探すじゃん。そしたら「生まれは人間だからあんまり人間殺したくないけどなー(必要とあればじゃんじゃん戦争はする)」くらいのふわっとした設定だけで、あとは「最強の軍師に育てられたのでとても賢いです」って言ってるだけで、豚やら狼やらを相手に知性マウントを取る寂しい王座。そんで対戦相手の人間どもはモンスターに比べりゃまだ知性はあったのかもしれないが、その分品性が欠如したやつばかり出てきて勧善懲悪のお膳立てをするばかり。まぁ、脳死でスカッと物語を描こうと思ったらどうしたってこういう設定になっちゃうんでしょうね。 いや、でももうちょい「魔王軍」的な部分を活用しろよ。なんで今更ファンタジー世界で火縄銃の三段撃ちをドヤ顔で解説されなきゃいけないんだよ。今時小学生でも知ってるわ。普通に考えたら「知恵が足りないモンスターが人間の開発した兵器にやられる」っていう構図にしなきゃダメなのに、なんで知恵の足りない雑魚モンスターに銃を握らせてドヤ顔できるんだ。モンスターたちにもっとモンスターらしい活躍させてやれよ。 お約束のハーレム展開もピンとくるものはなく、映像部分も並かやや下。全体的にテイストの統制は取れていたとは思うが、やっぱわしゃあのCGで雑多に動かすモンスター描写は好かん。魔王軍にいるのにモンスターに「生きてる」感が薄いのは勘弁してくれよ。その辺にこだわりがないならなんでアニメ化したのさ。 世の中になろうアニメへの不満を書いた数だけお金がもらえる仕事があればいいのに。 |
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声優のこと全般
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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