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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 なんで! 春日影! やるしかない!

 やぁ、僕だよ! 劇場アニメ月間もとりあえず今作で一旦終わり。なんか忘れてるかもしれないけど、とりま現時点で予定してるのは今作の後編だけである。この作品は観ることは確定してたんだけど、いわゆる「総集編映画」かなー、と思ってそこまで期待はしてなかった。まぁ、「ぼざろ」だって総集編で久しぶりに観て満足してたし、同じくらいの撮れ高があればそれでいいや、と思っていたのだが……。

 想像以上! これを総集編だと宣伝するのはなんか勿体無いよ。そりゃ完全新作じゃないし、総集編なのは事実だから過大広告にするわけにはいかんけど……ここまではネタバレしてもいいと思ってるから書いちゃうけど、2時間映画のうち最初の30分はまるまる新作だよ!? もう、それだけでファンならマストアイテム。テレビシリーズが傑作だったのは疑いようがないのだから、それを改めて見直せる機会&更なる深掘り、これを観ずにMyGO!!!!!は語れまい。ダイレクトマーケティングなんぼのもんじゃい。これは観といた方がいいよ。あ、あくまで「ファンの人は」だけどね。総集編だと思って取りこぼしたら失うものは多い、という警告だけしとくからな!

 

<というわけで以下ネタバレ注意だけど、まぁ、楽奈の話です>

 




 いやぁ、良かったわぁ……これは良い総集編。もちろん新録の楽奈編が素晴らしかったのは言わずもがななんだけど、その後の再編集パートもさ、改めて見直したら色々新発見があってめちぇエキサイティングだった。本放送が終わった後に何度も見直した、みたいなコアファンにとっては当たり前のことだったのかもしれないけど、いうても俺は基本的にリアタイのあの1回の視聴だけで振り返りとかはしてないので、改めてスタートからの物語を見直して、劇場じゃなかったらマジでゲラゲラ笑ってたと思う。それくらいに、この作品はスタートからあらゆる要素が張り巡らされてたことが分かって最高の復習になりました。

 こちとら13話までの全ての内容を理解した上での再視聴、いわば「強くてニューゲーム」状態で全部の要素を拾えるようになってるわけだが、おかげであらゆる要素がザクザク刺さっちゃって全身性感帯みたいで大変だった。ある意味弱くてニューゲームかもしらん。そして、今回は楽奈パートのおかげで「楽奈の要素を新たに加えてもう一周」はどれだけ熱心に復習してきたファンにとっても初体験の要素であり、楽奈要素の後付け調味料の美味いこと美味いこと。きっちり最後までやった話のエッセンスを拾い上げて、そっから楽奈の生い立ちを逆算的に魅力的なものに仕上げててくれてて、本当にこのストーリーテリングには舌を巻く。こういうのが観たかったのオンパレードですわ。

 というわけでせっかくなので新しい「楽奈視点」の話から見ていくが、監督の「劇場新作は楽奈を掘り下げよう」という判断はほんとのほんとに正しいものだ。別にテレビシリーズを見てて気になったわけではないが、MyGO!!!!!の5人の中で描写が一番足りずにお預けを食らっていたのは間違いなく楽奈。愛音は半ば主人公みたいなもんだし、燈だって常にステージの中央に立ち続けたMyGO!!!!!の神輿。作中最大の台風の目となった長崎そよは必要以上にその内面を考えさせられたし、苦労人で振り回される立希さんもいろんなところで絡みがあった。しかし楽奈に関しては「気づいたらどっかから出てきて、常に外部から残りの4人を評定する」というなんとも現実感の乏しい存在。パンフの監督の言葉を借りれば「ジョーカー」である。1つのドラマを作るときにジョーカーポジションのキャラがいるのは別におかしなことではないので全然問題は無いのだが、改めて振り返って「MyGO!!!!!ってどんなバンドなんでしょうね」って問われたら、そのメンバーの1人である要楽奈だけがジョーカーの位置に居座り続けていては不完全なのだ。彼女も立派に血の通った人間であり、彼女なりの想いを持ってMyGO!!!!!に加入している。その裏側を、今回のドラマは過不足なく拾ってくれた。

 婆さんばかりが注目されていた要家の別な部分にスポットがあたり、楽奈ママとパパも堂々の初登場。実はバンドリシリーズにおいて父母の両方が姿を見せた家庭はかなりレア。というか他に誰かいたっけ? 湊さんちは母親の声は聞こえてたけど……またこの両親がだいぶ濃いキャラなのが良いですね。母親なんてCV小清水亜美ですからね。まぁ、あの自由な野良猫が育った家、と考えると必定あんな感じの両親にはなりますかね。幼少期の楽奈ちゃん、スプーンの持ち方がめちゃくちゃなんだけど、多分そういうのを無理に直さず放任するタイプのお母ちゃん。ちゃんと「婆さん→?→楽奈」の隙間を埋めるキャラになってるのが良いね。あと、要家の設定もなんかリアルなのが楽しくて、最初に楽奈が駆け込んだマンション、割とこじんまりとしてたから「あれ、バンドリキャラにしては慎ましい家かな?」と思ったら婆さんの単身世帯だったという……(あの家で大音量のギターかき鳴らすのはあかんやろ)。でも「婆さんが娘夫婦に実家を明け渡して独居」っていう展開はあの婆さんならすげぇイメージしやすい。あのでかい日本家屋に1人で住みたくはないだろうし、かといって二世帯同居だと自分がいることで若い夫婦に気を遣わせちゃうし。とっとと自分は小回りのきく別な拠点を作って老後を過ごしたかったんだろう。まぁ、老後というにはバリバリ働きすぎだが。あと、あの旦那さんは婆さんとの同居も全然嫌がらずに色々面倒見てくれそうだが(婆さんの方が暑苦しくてイヤがった可能性が微レ存)。今作最大のハイライトの1つは、「のんびり縁側に座ってるはずなのに茶を飲むわけでもなく、容赦なくロックサウンドを奏でるババア」です。

 要楽奈というキャラクター、テレビシリーズの「ジョーカー」の立ち位置だと「野良猫」という便利な言葉のおかげで単なる「お前こそがおもしれー女」ですんでいたのだが、中心においてしっかりとカメラを向けると、さすがにそんなファンタジーな存在感でおいとくわけにもいかず、幼少期からの育ちを詳らかにされ、彼女の抱える精神性の問題も浮き彫りになった。まー本人も両親もそこまで困ってないみたいだし、周りの環境にも恵まれてるから大した悩みもなかったのかもしれないが、あの性格は出すとこに出したら間違いなく「疾患」として診断書が出されるタイプの属性。いわゆるギフテットという変な言葉で表現されるものだろうか。1つの物事に対して天才的な才を発揮するが、それ以外の部分、特に社会性の部分が大きく他人とは異なっている。最初の教室でのシーンなんかはその際立ちが激しく、描き方次第では痛々しくなってしまいかねない置き方なのだが、楽奈の場合は彼女の持つ才の描かれ方がとにかく鮮烈で、今回はもう、楽しそうにギターをかき鳴らす楽奈のカットだけでご飯が何杯でも食べられるくらいの満足感。“美少女”要楽奈の荒ぶるご尊顔が劇場サイズで見られるのはまさに眼福。今回の映画で間違いなく楽奈ファンは増えただろうし、正直私も陥落しかけているかもしれない。それくらいに、わずか30分での楽奈というキャラクターの魅力を出しきった見事なフィルムであった。

 そうして楽奈が「持っていた」要素を今度はRiNGに持ち込んで……さぁ、改めて我らがMyGO!!!!!の結成秘話を見直していこう。「我々は全てを知っている」とは言っても実際はまだ明かされていない要素も多々ある(それは来年1月から語られる)のだが、とりあえず一番強烈な隠しカードとしての「長崎そよ」はオープンになった状態で、改めて地獄のような季節を追いかける。……もうさ、そよさんの一挙手一投足が全部地獄の振る舞いに見えてたまんねぇよコレ。MyGO!!!!!の最大の特徴って、本人たちも「バラバラ」って言ってるけど、他のバンドではありえないくらいに不協和音を奏でていて、みんなしてマジで自分のことしか考えてない畜生の集まりなんですよ。それこそ楽奈のわがまま勝手が可愛く見えるくらいには。そして今回の振り返りで、我々視聴者はそんな鬼畜どもの内情を全部知った上で見てるもんで……めちゃめちゃ面白い。

 クソ野郎には違いないが、あまりにその悪い部分が見えやすすぎるせいで逆に聖人ポジションに置かれそうな女、千早愛音。彼女のわがまま勝手はテレビシリーズの時からあまり印象は変わらず。むしろそれを迎え撃つ元CRYCHIC組の闇の深さを知ってしまっているが故、そこにわざわざ自分から片足突っ込んでいく彼女には同情を禁じえない。今にして思えば、こんなパンドラの箱を開けてなおMyGO!!!!!が成立したのは、愛音の人徳があったおかげなのかもしれない。

 結局自分しか見えてない究極の没入型ぼっち、高松燈。こいつはこいつで、楽奈とは別な「疾患」として判断されそうな人間だが、与えられたギフトはさらに見えにくい。それは楽奈のように完全に独立独歩でスキルを磨いてきたわけではなく、常に周りには理解者がおり、甘やかされた部分があるから(いや、楽奈も充分甘やかされてるけどな。婆さん、孫にパフェ食わせすぎだ)。今回描かれた前半部分では彼女は本当にただの神輿でしかなく、(一部カフェバイトのような狂信者を除けば)優しくしている周りの人間も、あくまで自己の利益を優先させているだけで燈の幸せは第一ではないというのがあまりにも寒々しい。この後真っ先に「燈の幸せ」を考えてくれるようになるのが愛音だからこそ、彼女の「一生」は大きな意味を持つようになる。

 アニメのヒロインとは思えないほどのヒステリー常時発動型、椎名立希。今回見ていて「楽奈の次に内面への切り込みが少なかったのって実は立希だったかもしれん」と思った。テレビシリーズでは「燈のためならなんでもやるマン」「燈第一主義」みたいな御旗の下でなんとなく彼女の行動原理は納得されてきたが、改めて単なる「元バンドメンバー」としては立希の燈への執着は異常すぎる。そこに百合だろうがガチレズだろうが好きなラベルを貼ればいいとは思うが、立希の本当の気持ちの起点はまだ分かっていない気もする。今回の映画はMyGO!!!!!以外の要素を極力排したもんで、立希を多少落ち着かせた上で客観的に精査するためのツールである「八幡海鈴」がまだ導入されていない。あいつが好き放題やり始めて、もう少し立希を評価できる軸が生まれるのかもしれない。一応、今回劇場版で「立希の闇堕ち展開の最大の原因って祥子の呪いだったんやな」っていうのを再確認できた。結局立希もCRYCHICの亡霊に怯える人間の1人であり、過去のトラウマから勝手な劣等感を抱え、それを刺激されることでヒスを爆発させていたのだ。まぁ、回想シーンの豊川さん、常に輝いてたからな……。いつの日か、穏やかな笑みをたたえ続ける立希さんを見てみたいものですね。……バンドリシリーズだとまだ珠手さんでも実現してないので、当分先の話にはなるかなぁ……。

 そして今作最大の鬼門にして地獄の釜、長崎そよ。全てが判明した上で見るこの序盤の「そよコミュニケーション」マジで怖いからな? ほんとこいつ最低やぞ。長崎そよの至上命題が「CRYCHICの再生」であることを理解した上で初期のバンド結成までの流れをみていると、ほんとに愛音が可哀想になる。そよは「燈とバンドを組みたい」という愛音の発言を聞き、「燈が釣れるなら立希も釣れる」と判断して立希を勧誘。その時点でパート分けが云々を持ち出すのだが、彼女が真っ先に出したのは「キーボード」である。おい、そいつが一番ダメなんだって。その後もそよは「みんなで頑張ろう」「みんなで考えよう」と「みんな」という言葉を再三口にするのだが、彼女の中でのゴールがCRYCHICである時点で、この「みんな」の中に実は愛音は含まれていない。あくまで「燈・立希・そよ」の3人の話であり、この3人でのライブ活動を見て、残る祥子・睦を釣り出そうという魂胆。いや、彼女のその後の立ち振る舞いを見ていると、もしかしたら「最悪、愛音が居座り続けた場合は睦ちゃんなら切っていいかぁ」くらいは考えてるような気がする。優雅にカフェで茶ぁしばきながら、長崎そよは「祥子ちゃんを召喚できるなら睦をサクるのもやむなしか」くらいは考えてるし、前提条件で「愛音はいずれいらなくなる」は決めている。春日影の演奏についてものらりくらりと結論を先送りしながら必死に予防線を張っているし、彼女にとって「燈の幸せ」は二の次だから自分が容易くコントロールできると踏んでいる燈への触れ方もぞんざいだ。まぁ、一応「CRYCHICが元に戻れば燈ちゃんも幸せだよね」みたいな感じで自分を納得させてはいるかもしれないが……とにかく、今や貴重な「外面バージョンの長崎そよ」をたっぷり拝める最後の機会である。この劇場版で地獄の群像劇をたっぷり味わうがいい。

 そしてクライマックスは訪れる。ライブ当日、改めて確認すると祥子と睦は最初に入ってきた時は割と楽しそうにしてるんだよな。そういやなんであの2人はライブを観にきたんだろう。そよは彼女たちの来訪を知らなかったのだから当然呼んでない。立希や燈が呼ぶはずもないだろうし、ほんとにたまたま入ってきちゃったのか、それともどこかから情報が漏れたのか。あの雰囲気からすると、睦が祥子を呼んだようにも見えるが……。

 1月の放送に向けて、改めて誤解しちゃいけないな、と思ったのは祥子自身は別に燈たちが新たなバンド活動をすることを嫌がってはいないということ。燈に喝をを入れて声を出すきっかけを作ってくれたのが祥子だし、燈の晴れ姿を見て満足そうにしていた。ただ、春日影があまりに地雷だっただけである。おそらく、彼女にとっての春日影は「自ら捨ててしまったもの」の象徴なのだ。ご家庭の事情でバンド活動ができなくなった、もしくは「もっと金になるバンド活動をしなきゃいけなくなった」豊川さんは、それまで自分を信頼してくれていた仲間たちを裏切ってバンドを解体。なぜか忠臣の睦だけを伴っての単独行。おそらく次の物語の焦点は睦になりそうだが……まぁ、その辺は冬を待つしかないね。とにかく、そうして「本人が望んだわけでもないのに」捨てざるをえなかった過去の美しい思い出、それが春日影だったもんで、いきなりやられてブチ切れるしかなかったわけだ。この後の長崎そよ土下座事件の時にはダイレクトに「あのバンドはどういうつもりですの?」と悪態をついているが、バンドそのものが嫌なわけじゃなく、過去の自分の行為への後悔の念から直視できていないだけなのだ、という部分は考えてあげた方がいい。まぁ、だとして豊川祥子に赦しが訪れるかどうかは分からないが。

 あー、やっぱいいっすね、1コマ1コマが名シーン、後半戦も楽しみだし、MyGO!!!!!としては初のフィルムライブもじっくり観させてもらいたい。個人的には八幡・三角という後半のキーパーソンからも目が離せないですね。(祐天寺、お前に出番はあるのか?)

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