12/25【声優100人名鑑 No.007】洲崎綾

　クリスマス声優、あやっぺ、ぺっちゃんである。今回のラインナップでは割とキワモノ寄りの扱いを受けがちなぺっちゃん。まぁ、キワモノには違いないのだが、そこに横たわる魅力というのは間違いなくあるわけで。

 

 

・馴れ初め

　これはもう、わざわざ説明する必要もなさそうだが、世人はおよそ同じだろう、「たまこまーけっと」がぺっちゃんとの出会いである。出てきた直後だけは（ほんとに「だけ」は）「田舎から出てきた純朴な娘っ子が純朴な役で当てたなぁ」みたいな印象だったよね。そこから化けの皮が剥がれるというか、真価を発揮するまでほとんど時間はかからなかったけど……。

　今確認したら「たまこまーけっと」の放送が2013年初頭、そして「洲崎西」の放送開始が同年の夏ということで、ほぼ同タイミングで動き出していたのだね。ラジオプロデューサーもよくこんなもん見つけてきたもんだよなぁ……私もこのくらいのタイミングはまだギリギリ声優ラジオに触れられているくらいの時期だったので多分初回からがっつり聴いていた。しばらくはざきにしにどっぷりハマってた気がするなぁ。それくらいにぺっちゃんあっちゃんコンビは中毒性が高かった。

　ちなみにこの先のネタバレであるが、大変申し訳ないが当企画にて西明日香の項目は用意されていない。もちろん選定時点での候補としては残っていたのだが、あっちゃん側は「代表的な当たり役」をピックアップしようとしたら忍はまだしも残りのキャラが「フジイ／鈴木結愛／西明日香（洲崎西 THE ANIMATION）」とかになってしまい、いくらなんでもキャラじゃなくて中の人すぎるやろ、ってんで今回の企画趣旨から外れてしまったのだ。

　もしかしたら「西が外れるなら洲崎も外れるやろ」と思う人もいるかもしれないが、２人の「役者業」については割と明確に差はあると思っていて、その辺りの話のために（そしてあっちゃんについて触れるために）ぺっちゃんをエントリーした次第である。

 

 

・良きところ

　洲崎綾の良きところといえば大きく２点、もちろん１つ目は「声」であり、どこかほわっとした包み込むような発声はデビュー作のたまこを筆頭に、人の脳を軟化させ、警戒心を解く魔力を持っている。中の人の様子を知ってしまえば流石にガードは固くなるが（？）、それでもなお、ぺっちゃんボイスには人をへにゃへにゃさせる力がある。そのくせ、本人の性格に根差したものなのが、どこか生真面目さというか、不思議な統制も残している気がするのが面白いところで、眼鏡な委員長からクレイジー極まる埒外存在まで、洲崎ワールドは理不尽な広がりを見せる。個人的にはこの辺の「ちゃらんぽらんなことやってるように見えて、実は下地がすごく強固にできている」みたいな性格を「アイムの血脈」と呼んでいる。日笠、佐倉、おめぇらのことだ。

　そして当然無視できないあやっぺの魅力の２つ目は、あまりに破壊的で攻撃的な本人のパーソナリティ。あれはもう、持って生まれたものなので声優という仕事とは分けて考える必要があるのだが、ラジオパーソナリティとしての不動の地位を確立したサクセスストーリーを考えれば、やはりそれは「アニメ声優」とは別の道行き。結婚相手が放送作家だったあたりも、彼女の「使いどころ」が非常にわかりやすくて良い。あらゆる局面で「マイク前に立つ仕事」を要求され、それにフルスペックで応えるぺっちゃんスタイルこそ、本当の意味で「声を武器にする仕事」、声優といえるのかもしれない。まぁ、邪道だというならそれは否定しないし、当企画でここまでラジオが理由で選出されてるのはぺっちゃんくらいのものだが。

 

 

・お勧めキャラ３選（ぐらい）

 

・「キルラキル」より「満艦飾マコ」

　ほんとは筆頭にたまこをあげなきゃいけないはずなんだけど、もう上で出しちゃったのでここではもう１つの巨頭、マコの話をしよう。改めて確認したら「たまこま」と「キルラキル」って同年の作品なのかよ。まさに「世界が洲崎綾を見つけた年」なんだよな。マコの凄まじさはとにかく人智を超えた、否、「人智を完全否定した」徹底したアホオーラ。人の声ってのはここまで知性を掻き消せるものかと愕然とするくらいに理不尽なまでのアホ、バカ、ノータリン。何も考えず、ただ勢いのみで動き続けるマコという怪奇生物に対し、当てられる声はここしかなかった。そりゃまぁ、こんだけのキャラを作り上げたスタッフもすごいんだが、なんでこれに応えられる才能がたまたま若手に生息してたんだよ。おかしいだろ。

 

・「暗殺教室」より「茅野カエデ」

　知性と「非知」とでも呼ぶべき極北を容易く反復横跳びできるぺっちゃんボイスであればこそ、二面性の表現など容易いもので。作中屈指の問題児にして最大のギミック、カエデをぺっちゃんに任せたことはスタッフの大手柄だ。きちんとアニメが最後まで制作され、初期にはギャグ要員としてメインで活躍したカエデのぐるりと反転する人物像がアニメでも綺麗に提示される。常々語っている通りに「声優の輝きが見えやすいのは吹っ切れたギャグと悪役」って話で、その中でも特に「巨悪」であるなら眩さは増していく。洲崎ボイスの闇に震えながら、その奥にひっそりと横たわるどうしようもない人間味を堪能する。声優ファンが一番楽しめるのはやっぱりこういう要素。

 

・「アイドルマスターシンデラガールズ」シリーズより「新田美波」

　アイマスはあんまり本気でフォローしていないのでここで名前を出させてもらうのは少々申し訳ないのだが……本気でフォローしてないおかげで、いまだに私はこの新田美波を飲み込めてない節がある。あのぺっちゃんが、声優「洲崎綾」が、作中屈指のエロキャラ（？？？）である新田さんをやっているのである。あれだけおっぱいがないことで知られているすざきあやさんが、作中屈指の母性を発揮しているのである。界隈ではむしろ新田さんがぺっちゃんの代名詞だったりするのである。なんだそれ、詐欺じゃん。よくも騙してくれたな。もっと騙してくれ。一生騙し続けてくれ！

 

 

　今年は残りあと１人の予定です。

 

 

・関連リンク集

番組感想・たまこまーけっと

番組感想・キルラキル

映画「たまこラブストーリー」

洲崎綾トークショー in 京都大学

つうかあ#06「Dual Purpose」

 

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