「前橋ウィッチーズ」 4→6
だーいぶ採点には悩まされたが……まぁ、やっぱ中盤から後半にかけてのなんだかんだで楽しんじゃった経過はインプレッションとして大事にしたいので、それを尊重しての加点。何はともあれ「思い切ったことをやるオリジナルアニメ」は積極的に評価したいとは思っている。
先にダメだった点を挙げてしまうと、基本的には1話目での印象と変わらない。クドいキャラの造形はだいぶおざなりで「女子高生を描こう」という理念が捻じ曲がっている気がするし、何よりも「ご当地アニメ」としての誘致要因はかなりグダグダ。前橋である必要が全くなかったし、今作をみて前橋に聖地巡礼者が押し寄せるとも思えない。もしも自治体から出資されて今作が作られてたりしたら、構造自体が手酷い裏切りである。シナリオラインだってとにかく毒の強い要素を盛り込んだだけで立て付けはだいぶガタガタだし、思いつきレベルの設定が消化されていない。ことにアイドルとしての設定は本当に余計な要素にしか見えず、「アイドルアニメは売れる」みたいな(割と間違った)思い込みから強引にアイドル設定にしちゃったとしか思えない。ウマ娘のライブくらいのちょっとした要素なら作品の邪魔にもなるまいが、今作はライブシーンと楽曲はそこそこのウェイト。そこに大きく意味を持たせられず、「とりあえずなんか歌っとけ」になってしまったのはセールスの方向としても問題があるんじゃなかろうか。
と、ここまでスラスラとネガティブ要素が溢れることからも、決して手放しでほめられる作品でないことは分かるし、1話目で不安に思った要素が改善されないままで終わりを迎えた部分も多い。多いんだけど……なんかね、そうしたディティールをぶち抜いて「うるせえ、俺たちはやりたいことをやるだけだ」とフルスイングした結果、たまに飛距離が出ちゃうのがなんか楽しい、みたいな付き合い方になった。上で挙げたネガティブ要素も、「まぁ、それって裏を返せば……」みたいな解釈になっちゃってるところもあり、特にグダグダなキャラクター造形については、いつの間にやら「薄さ」という信じられない要素を最強の武器として振り翳したユイナ、初っ端に大きなインパクトを残してくれたアズ、そして作品の拠り所、ぐう聖だったチョコちゃんなど、気づけば案外キャラが嫌いになれない自分に気づく。あんな嘘くせぇキャラのくせに。絶対に隣にいたら殴りたいくらいムカつくはずなのに。こうした「開き直り」によるネガティブな雰囲気の「消臭」ならぬ「爆散」は、もしかしたら制作側の思う壺だったのだろうか。
いわゆる「魔法少女モノ」のダークな部分を少しだけ拝借して「オタクはこんなん好きなんでしょ」を匂わせつつ、最終的には「まぁ、それも全部茶番でしかないけど」と別軸からちゃぶ台をひっくり返されてしまい、腹を立てたらいいのか、呆れたらいいのか、笑い飛ばしたらいいのかもよく分からない。ただ、そうして何かしらの感情を逆撫でしてくる感覚はもしかしたら小さな小さな「感動」の一部といえるのかもしれない。こういう経験を繰り返し積み上げることで、傑作は作られていくのかも知れませんよ。まぁ、作中の言葉を借りるなら「無理無理の無理」ですけど。
クソガエルがよりによって2期の可能性まで匂わせて終わりやがったし、設定上、もしかしたらマジで2期が出来ちゃうんじゃないかと思わされるのがなんか悔しいが……。わざわざ最後のお客が花澤ボイスなんだもん……。
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