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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ワンダンス」 5→5

 まず今作の評価軸を明示してしまおう。「興味を持たせようとしてくれたこと」。それが最大の焦点となる。

 おそらく今作を論じる上で真っ先に話題にあがるのは、ダンスシーンのCGモーションだろう。せっかくのアニメなのにダンスパートが完全にモーションキャプチャーからくるCG作画。どう足掻いても周りのパートから浮いてしまうし、大して描き込みがあるわけでもないので「合わない」とか「サボりだ」とか、そういう視点から評価が下がりがちになりそうな気がする。実際、私も1話目を視聴した際には「CGが浮いちゃってるのは残念要素だなぁ。せっかくなら作画でやる気を見せてほしかった」みたいなことを書いた。そういうアニメになった方がシンプルに楽しめたのは間違いないだろう。

 しかし、視聴中にちゃんと制作スタッフの狙いというか、覚悟みたいなものが理解できたのでその部分は減点として取ろうとは思わなくなった。そのあたりはちょっと言及する必要があるだろう。まず、この作品の最大の目標は「ダンス」、ひいては「ダンスバトル」というものをなんとかしてアニメで表現することだ。アニメのメイン視聴者たるオタク連中はダンスバトルなんて全く縁がない人種だろうし、この媒体で初めてきちんと触れる人間が多いはず。そんな連中に、「アツいダンスバトル」の漫画を伝えるには、まずは「ダンスバトルとは」を理解させてやるしかない。そして、そんな「ダンスとはなんぞ」を伝えるのに、既存のアニメーション作画という媒体はあまり向いていないのだ。

 アニメというのは「動かないものを動かす」媒体である。「動けないものを動かせる」媒体である。つまるところ、その動きは嘘っこであり、視聴者はハナから「無い」ものとして見ているのだ。おかげで、アニメキャラがどんな動きをしたところで、そこに「実際のダンスの凄み」を感じさせるのは難しい。どこかで言及したこともある気がするが、たとえば「アイドルグループが大人数で一糸乱れぬダンスモーションを作り出す」なんてのは現実世界では感動的な情景だ。成し遂げるためには凄まじいトレーニングが必要だし、寸分狂わぬモーションの波を見せつけられれば、人は感動もする。しかし、アニメではむしろそっちの方が簡単。1人1人に違う動きをつけて差を出すよりも、全員に同じモーション作画を適用して「揃える」方が処理が楽。つまり、アニメと現実では「難しさ」の質が全く異なるのだ。それは「人体の動き」についても同様で、現実の人がやったら感動的な「ダンス」も、アニメにしてしまったらその凄みが削ぎ落とされる可能性がある。「嘘っこのダンス」を見せたところで、今作の最大目標である「ダンスの凄さを伝える」ことは叶わず、あくまで「良いダンスアニメ」になるだけ。

 もちろん「良いダンスアニメ」を目指すという方向性もあっただろうが、上述の通り、今作は違ったのだ。あくまでリアルなダンスバトルの見方を、見せ方を伝えたかったのだ。そのために、必要以上に「人」に寄せる必要があり、露骨なモーションキャプチャーで「背景に存在する現実の人間」を想起させる作劇にした。こうして「実際にその動きをしている人」がいればこそ、細かく解説されるダンスの機微がアニメでも感じられるようになるのだ。通常のアニメでは、おそらくアイソレーションだのなんだのと専門用語を解説されたところで、「都合のいいフィクション」を見せられたらそれで満足してしまっていただろう。「本当の事例」を見せられたからこそ、「ダンスの良し悪し」を考えることができたのだ。

 そうして、本作はあえて見栄えの悪そうな茨の道を進んだ。私としては、その精神は評価したいと思っている。ただ、その上で加点にまで至らなかったのは、「本当にこれがベストだったのか」という部分についてはやはり考慮の余地があると思ったためだ。「モーションキャプチャーだからこのクオリティでしょうがないよね」のもう1つ上が、現代日本のアニメーションには存在している気がするのだ。残念ながら今作ではその「次の時代のモーション」にはたどりつけなかった。ちょい厳しい評価かもしれないが、この方向性の先に何か新しいものがある気がするので、期待を込めての据え置きとさせていただく。続編があるなら、ぜひ「次」を見せてほしい。

 なお、羊宮ヒロインの御多分に洩れず湾田さんは可愛かったです。作品関連で羊ちゃんにいっぱいダンスしてもらったのも良かったですね。今の若い子らは本当に芸達者だねぇ。

 
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