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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 生きてる人間の方がずっと、第6話。よく引用される言説ではあるけど、その話をこういう使い方にしてくるのか。

 初の「個人名に言及しない」サブタイトル。別にやろうと思えば今回だって絹枝さんをセンターに置いた話だと見ることもできるし、伊吹先生と小さな因縁を持つかつての学生、伊福部(住吉)との関係性を描いた物語としても切り取ることができる。いくらでも個人名のタイトルをつけられたとは思うのだが、今回はそうではないということ。

 本作は淡島を舞台とした群像劇であり、それ即ち最終的に描かれるべきは舞台上の役者の1人1人ではなく「淡島」という世界そのものである。だからこそ、本作は個人のエピソードも鮮烈ながら、俯瞰して見た時には異常なくらいにディティールに言及しない。ここまで描かれてきた人々の人生についても、大枠で何があったかは全て伝わってくるのだが、その大部分は視聴者の想像の余地を残しており、まるでスモークガラス越しの像を見るかのように、淡い輪郭でもって描かれている。この描写で何故毎回何らかの感情に肉薄できるものかと不思議ではあるのだが、5話が終わった時点でも、未だ「この人はこんな人で、周りのこういう人たちとの関係性がこうで」みたいなことを仔細に説明できるようなキャラはいなかったはずだ。それもこれも、今作は「淡島」を描く作品であり、個人の人生の過程も結末も、あくまでそのためのいち素材にすぎないためである。

 そう思っていても、いざ名前無しのサブタイトルが出てくると面食らう。今までと何が違うのだろう、と。そして「怪談」というタイトルが示すものがこれまたスモークガラス越しに輪郭を作り始めると、小さく焦点を結ばないが故に見えてくる景色があることを殊更に気づかせてくれるのである。

 「淡島」という学校が舞台の世界で、「怪談」がしっくりくる題材であることは作中で散々語られた通り。この手の施設で怪談が流れない場所などないし、歴史の重みも、その存在意義も、普通の「学校」以上に「怪談らしさ」を持った場所だ。しかし、今回は別に花子さんも出てこなければ血まみれの死体やおどろおどろしいおばけが出てくるわけでもない。校舎内に「過去の学生の思い残し」がコロリと転がっているだけ。結局、ここで生活している人間は分かっているのだ。生きている人間の情念以上に、何かを生み出したり、何かをダメにしてしまうものは無いということを。

 普段から「個人にスポットを当てることで世界を描く」作品だからこそ、そのピントを少しずらして淡島という世界そのものに当てたような今回の話は、かえって一人一人の顔がよく見えるような気がするのは何とも逆説的。文字通り舞台の中心に立つ絹枝さんのところに、久しぶりに良子が訪ねてきた。かつて舞台を退かざるを得なくなってしまった伊吹のところに、かつての顛末を知っている者たちが集まった。それぞれが淡島に「残る」「離れる」を選択した人たち。そこには決して明るいばかりではない人間の生の感情が渦巻き、淡島という空間/世界に押し流されるか、飲み込まれるかで今の立ち位置が決まっている。

 絹枝さんと良子の間には、「淡島に来てしまった者」と「来る前に忌避した者」という溝がある。それでも、良子は溝を跨いでこの校舎へとやってきた。そこにいる絹枝の姿を見て、「あり得た自分」の姿までもを幻視したかもしれない。本来なら淡島には縁もゆかりもなかった良子に、何かしらの「懐かしさ」をも与える絹枝の力。彼女は後悔を抱えたままで良子と再会を果たしたが、彼女が抱える良子への想いは、この先また淡島に1つの「怪談」を積み重ねるものになるのだろうか。

 「淡島を去った者」の歴史を知るのは、自分同様に娘を淡島に送り出すことになった伊福部(旧姓:住吉)。「怪談よりも厄介な生きている人間」に絡め取られて淡島を去ったかつての自分を思えば、娘に対してキツく当たるその態度も仕方ないものだし、淡島なんて二度と見たく無いとすら思っていたかもしれない。しかし、いざ「怪談の地」に再び訪れてみれば、そこには何かに縛られたようなかつての知人たちが指導者として立っている。岡部絵美を追い出してしまった伊吹。そんな伊吹の「悪行」について一緒に嘆息していた押上。当時は恐れるものだったり、恐れられるものだったり、立場は違った者たちが、図ったようにこの地で過去と向き合い続けている。そんな連中を見てもなお、伊福部はやはりこの地を「懐かしい」とは言い難い。どこまで行っても押上の気持ちは理解できないし、もちろん伊吹の感情など理解する気もない。それでも、この地には「懐かしさ」に類する何かがあるのだ。それが何か分からずに時ばかりがすぎていくせいで、結局はそれが「怪談」として落ち着くのだろう。

 「異界」は都市伝説の1つ。この世にはまだまだ、理解の及ばぬ世界が横たわっている。

 
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