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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  真夏の昼の夢、第17話。シナリオ的には予定調和の展開と言ったところですが、昼ドラとして有名な本作の割には、意外にも丸く収まる良いお話になりました。今回の「縁編」とでもいうべき2本は、男の子目線だとかなり印象深い、いいエピソードになったと思っとります。

 映画騒動はやはり詐欺。あれだけの準備とはったりをかました詐欺行為ってのも実に手が込んでいて「元が取れるんかいな」と思ったが、やはり映画撮影云々とかになると相当な額が動くんでしょうな。監督以外のスタッフもどうやらほとんどが担ぎ上げられた善意の第三者だったらしいので、痛い目を見たのは喜翠荘のみ、といったところだろうか。遠隔地で聞きかじった程度の皐月でも手に入れられる情報を貴子がチェックしなかったのは片手落ちとしかいいようがないが、こういう「花形職業」みたいな業界って、一般人は分からないコトだらけだからねぇ。意外に嘘みたいな詐欺の手口でも騙されてしまうもんなんですよ。

 しかし、そんな手痛い被害にも、終わった後の喜翠荘は案外元気。それもこれも、縁が1人で全てを抱え、従業員や来客たちにことの大きさを伝播させなかったことによる。もちろんすちゃらか3人娘たちは撮影の中止を残念に思ってはいるみたいだが、その裏で動いたであろう巨額の資金については特に知らされていないのだろう。「自分で全てをやる」と宣言した縁なりの、一応のけじめの付け方だったのだろう(知らされなかった次郎丸は不憫だが……)。

 さて、今回は誰がどう見ても縁(と貴子)が主人公の物語になっていた。そして、前回に続き、そこに現れるのは家業を巡って展開される1つの「家族劇」である。2話ともあの西村純二の手による脚本・コンテだったこともあり、一貫したコンセプトで構築されたプロットが、様々な内面性を巧みに描き出していて実に見事である。読み解くことは難しくなかろうが、改めて「家族」のあり方について、どのように描出されたのかを確認していこう。

 主人公となった縁は、女性に手を上げようとしたら逆に反撃されるという、本当にどこまで言ってもヘタレ要素が無くならない駄目な奴。しかし、今回のことで「喜翠荘のために何かをやろうという意志」は本物であることが確認されたし、その熱意を認められ、女将からはきちんとフォローが得られた。前回「全権を任せる」と縁に判断を委ねた女将は、今回の一件をもって、息子を正式な喜翠荘の後継者として認定する儀式としたのである。結果的にはその結果は思わしくないものになってしまったが、そのことはあまり重要ではない。あくまで、「喜翠荘のために力を尽くせるか」というのが重要なのである。

 経営者としての先人たる女将、その女将の軛から逃れるために飛び出し、新たな道を追い求めた皐月、そしてそんな女性2人の後を必死に追いかける縁、その傍らの貴子。この4人の関係性は、今回もプールのモチーフで描かれている。前回の回想では、「浮き輪がなければプールにも入れない縁」が、「プールサイドで見下ろす女将」と「プールから跳ね上がる皐月」を見上げるという構図が印象的だったが、今回の回想においては、ついに皐月はプールから上がり、一人「外の世界」へと歩き出している。代わりに、現在の時間において縁がプールの中に引きずり込んだ人物こそが、貴子だったのである。

 縁は、未だにあの日のプールから自力で上がることすら出来ず、一方的に落ちるばかり。それは、貴子の手を借りても結局変わらず、憧れたあの日の皐月の背中を追いかけることは叶わない。しかし、既にプールに「足がつく」ようになった縁は浮き輪を使わずにプールに立つことが出来るようになったし、そこから必死に引き揚げようとしてくれる貴子という女性もいる。そして、現時点においては、未熟な縁も、向こう見ずの貴子も、2人でプールの中をもがき続けるしかない。あの夏の日、プールサイドの皐月ははるか高みを滑空する戦闘機を見つめ、まだ見ぬ世界に狙いを定めた。今回の貴子と縁も、1対に並んだ2機の戦闘機に、2人の未来を思うのである。四十万の家の人間しか入り込まなかったプールの中に初めて飛び込んだ貴子は、今後も縁と共に、この家における新たな女性像を刻んでいくことになるのではなかろうか。

 今回初めて「今は母さんでいいよ」と「母親であること」を許容した女将、そして、外界からの視線を常に送り続けながら、喜翠荘の経営とは完全に決別し、姉としてのバックアップを約束した皐月。面倒ながらも力強い女性達に支えられ、喜翠荘はまたやり直せるに違いない。あとは、本当の主人公である最後の「四十万の女」、緒花が何をしたいかである。ま、今回は完全に観客でしかなかったけどねー。

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