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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「うさぎドロップ」 5→8

 もう、今期はこれで決まり、という作品。ほんとね、死にたくなることが多くてね、見ているだけで打ちのめされて、はっ倒されて、その上で癒しになってね……こんだけぎゅんぎゅん心が揺り動かされるアニメってのは、やはりものすごいパワーを持っていたんだと思います。

 原作が女性向け漫画誌であり、放送枠も「一般向け」を標榜する(実践できてるかどうかは置いとくとしてね)ノイタミナ枠ということで、設定や内容はいわゆる「アニメ的なもの」とは一線を画す。幼女が主人公ではあるものの、それが昨今の阿漕な「萌え文化」的なものとして現れるのではなく、純粋に「子供」という要素が作中に必要だから現れているだけ。どこぞの小学生が最高なアニメとは根本から違う。そして、ドラマというのは野望や諍い、強烈な事件などなくとも、人と人がふれあう中で起こっていくものだ。そこに登場するキャラクターだって、何かがおかしいとか、ものすごく個性があるってわけではない。みんな少しずつ違って、少しずつ自分が出したいだけ。そうした人と人との関わりの中で、なにかがすれ違い、なにかが混ざることによって起こるのが、日常の事件なのである。

 本作の中で、事件らしい事件といえば、りんの存在そのものであった。80過ぎたじいさんが養っていた隠し子の存在が発覚し、あれよあれよという間に30歳独身独居の大吉が引き取ることになる。このあたりの流れは流石にお話的ではあるのだが、それ以降の、大吉とりんの交流については、全てが「普通の」生活の一部でしかない。その中で、初めて子供と関わる人間に特有の苦労があり、驚きがあり、喜びがある。だからこそ、これを見たら「娘が欲しいな」という気分にさせてくれるのである。

 作中の登場人物がみんな「良い人」であるというのも、この作品の長所を大きく伸ばす要因になっていた。大吉にとって、唯一正子だけはあまり得意とは言えず、主義主張でもぶつかり合う存在でこそあったが、それでも、どちらが悪いという話ではなく、あくまで思いが違い、その結果たどり着いた人生の到着点がずれていただけ。大吉がりんに対して持つ愛情は、ちゃんと正子にもあったし、正子はどれだけ自分の母性を捨て去ろうとしていても、どこか未練のように残っているものがあり、視聴者の目から見ても「悪い母親」というだけで終わらないだけの内面性がある。子供を前にすれば大人は皆同じ気持ちになる。そうした万人に共通した幸せな感情を描き上げることが、この作品の至上命題であり、最もうまくいった点だったのではなかろうか。この作品を作るにあたって、脚本家の岸本卓氏という人が起用されたのは、なんでも「子育て真っ最中で気持ちがよく分かると思われたため」らしい。そういう「気持ちの入り方」は、見事に結果として表れていた。

 独特の絵柄をそのまま描き起こすアニメーションの手心の加え方も職人技で、ふわっとしたどこか懐かしい絵柄の雰囲気が、そのまま「幼い子供」や「不慣れな保護者」のたどたどしい世界を作り上げるのに一役買っていた。エンディング画面にはまさかのイヌカレーまでが採用されていたが、どこか現実離れした絵柄が、不思議と「大吉とりん」という不格好な2人の関係を上手く表しているようで、最初から終わりまで、どこを切り取っても「うさぎドロップ」ワールドになっていたのが素晴らしい。子供の持つ、大人には絶対得られないような新鮮な目線、世界の見方が、こういう形で画面に落とし込まれるというのは、なかなか見られない演出だったのではなかろうか。

 最後はやっぱり、中の人の話。この作品においては、キャラクターといえばもう、りんと大吉しかいないわけで。大吉役の土田大については、木訥としながらもしっかりと芯を持ち、他人に対して最大限の心配りが出来る大吉の実直さがじわっと伝わってくるのが良かった。そしてりん役の松浦愛弓ちゃん。なんだろう、他の子役とは違う不思議な存在感が、普段なら「子供のキャラクターだからってリアル餓鬼にやらせてどうすんだよ! 声優は子供でも老人でもなんでも出来るからすごいんやんけ! 本職起用しろ本職!」とがなっている私も、文句を挟むことが出来なかった。彼女の舞台勘というか、役を作ることに対するプロ意識みたいなものは、既にこの年齢で本物の風格が感じられる。是非とも今後も声優業を営んでいるところを見てみたいものだが……まぁ声のバリエーションを出せるような状態じゃないしなぁ。出来れば役者業を続けて色んな刺激、経験を積んでもらって、もし良かったら声優業も思い出して帰ってきてもらいたい、かな。

 あとはまぁ、コウキママことゆかりさんですよ。もう、ゆかりさんなんですよ。慈母です、聖母です、マザーオブジイヤーです。「ノイタミナの母」です。日本の母親像は、この先大原さやかが支えていく。異論は認めない。

 何はともあれ、素晴らしい作品をありがとうございました。

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