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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「へうげもの」 6→8

 結論からいえば、文句なしである。開始当初に期待されていた通りの仕事を、1年を通じて果たしてくれた。決して世間を巻き込んだ話題になどならないが、こういうアニメが作られているという事実だけでも、まだまだアニメを頑張って見なきゃならんなぁ、というやる気が起きるのは実にありがたいことだ。そして迷惑なことだ。

 ほぼ毎回視聴後に感想を書いていたので、番組終了のこのタイミングで改めて書けることはそれほど多くないのだが、簡単に本作の良さをまとめると、とにかく現代アニメの流行からはどこかズレた「描くこと」に対する真摯な姿勢が一番の魅力だったといえるだろう。ビートレイン&真下耕一という我が心の拠り所であるクリエイター集団は、本当にぶれずに的確な仕事をしてくれている。視聴開始時には「真下演出と原作つき作品の相性がどうなってしまうのか不安で仕方ない」との予測もあり、実際、放送中には原作者のクレジットが「原案」に変えられるなど、裏で何か起こってるんじゃないかと思わせるような不安な事件もあった(あとオープニングアーティストがつかまったりね)。しかし、結局1話たりともそうした「不安」が実現したことはなく、最後の最後まで、「これが真下監督の作りたかった『へうげもの』なのだ」ということがよく分かるシリーズであった。この作品が持つ得も言われぬ可笑しさや、圧倒的な緊迫感、心臓にグッと来るような圧力は他の作品では味わえないものだと思うのだが、何故これが大して話題に上らないのかと、不思議で仕方ないのである。つくづく現代の流行とは違う方向なんだろうか。

 原作コミックもちょいちょい読み始めたのだが、やはり原作も面白い。アニメでしった「へうげ」ワールドよりも、癖の強い絵で描かれた原作の方が優れている部分も数多く存在している。それを認めた上で、本作はアニメになって力を増していると思う。「絵の並び」でドラマを展開する漫画媒体と、時間軸に沿って強制的に流れを生むアニメの媒体。その方法論は全く違うものでありながら、製作スタッフは、きちんと漫画が産み出したかった「流れ」を把握しており、一番「見たい」形を必死に考えてくれている。そして、その「流れ」の生み出し方は、真下監督が得意とする分野と絶妙にかみ合っていたのだ。この相性の良さは、本当に奇跡的な幸福だったと思う。過去に「ツバサ・クロニクル」などを手がけた時には、どうしても素材と調理の相性の悪さばかりが目立ってしまい息苦しい部分が多かったのだが、この作品の場合、非常に特殊であるはずの真下演出の「アクの強さ」が気にならず、むしろ原作のヘンテコな作りの妙味を加速させる方向に機能している。止める画、静かな画、そしてしゃべらないキャラクター。必要以上のことを台詞で語らず、画があるならば画で見せる。これこそが、アニメーションとして生まれた物語の真骨頂といえるのではなかろうか。

 脚本が素晴らしく、構成も作画も見事。モリヲカヒロシ、澤井幸次、山本秀世など、本作で見事な構成力を発揮してくれた関係クリエイターの名前を覚えるのにも役立ったし、真下監督の統制力がきちんと発揮されたことが分かったのも嬉しかった。当然、作画枚数がある程度楽な作品とはいえ、毎回毎回絶妙なキャラ作画などで見せてくれた作画陣の長きに渡る努力にも感謝を表したい。

 そして最後はやっぱり、中の人の話。主人公・織部役の大倉孝二氏は、始めから織部のどうしようもないキャラを見事に掴んでおり、流石に役者さんだなぁ、という感想。今後こうした声優業をやってくれるかはしらないが、次に名前を見た時にも「あぁ、あのフルオリの」と快く迎えられそうである。そして、その周りに配置された一癖も二癖もある濃いぃベテラン勢。信長役を力ちゃんがやっていたのも楽しかったが、そこから運命にもみくちゃにされた光秀役の田中秀幸、秀吉役の江原正士の両名が素晴らしかった。秀吉は「猿」「関白」「臆病者」という3つの顔を1つの軸上で並べなければいけないとてつもなく難しい役周りだったはずだが、江原さんにそんな心配は無用。久し振りに江原さんの看板になる役だったのではなかろうか。その他にも三成役の関俊彦、政宗役の中井和哉、家康役の鶴見辰吾など、見事な大河ロマンを演出する素晴らしい役者陣。男性の名前だけを挙げてこのパートが満足出来るというのも贅沢なお話。

 この作品の話のトリを務めて下さるのは、やっぱり田中信夫ということになるだろう。化け物の役を演じきる役者もまた、化け物。まだまだ聞きたい日本を代表する声でございます。

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