いくら貞操が危険だからといって、ジャーマンは危ない気がする「とある黒子の変態性欲」第2話。なんだろこのアニメ……さんざん「ささめきこと」の感想で百合について思索したのに、もう、これはこれで一番視聴者が見たいところなんだよな……素敵です。
基本的にギャグなので、シナリオ面について語るべきことは何も無い。1にも2にもテンポが全ての馬鹿作品。序盤からの黒子が拗ねるくだりはベタな上にちょっとダレちゃったかなぁ、と思いかけたのだが、1回目に拗ねたところでは御坂が「お前が悪いんだろうが」と突っ込みをいれて電流爆破オチ、2回目に拗ねた時には「いきなり過ぎてついていけない」とのコメント。そう、見てる側の印象もまさにそれ。誰がどう見ても頭から尻まで全部黒子が悪いわけで、一方的な変態愛欲が空回りしたところで、拗ねられても「いや、お前のせいだし」というのが普通の感想なのだ。どれだけセンチメンタルなイメージの映像を流そうとも、その絶対的な視点はそうそう動くもんではない。内心「これで御坂が揺れたら興ざめだなー」と思ってたところに、普通に「ついていけない……」という感想だったのですとんと腑に落ちた。良かった。御坂さんは普通の神経の持ち主だ。
その他にも、映像的には御坂の幼少期の映像(どうみてもラストオーダーにしか見えないのは当たり前か)とか、黒子のランジェリーアピール、プール掃除で汗に透ける女子中学生、黒子のテレポート下着強奪、電流レイプオチと、とりあえずやることは全部やっている。初春のスカートめくりミッションもきちんとクリアだ。全てのシーンがご要望にお応えするために作られており、これでは「禁書目録」とは一体何だったのかと考えざるを得ない。何か冒頭アバンで誰か出てきてたような気もするけど、気のせいでしょう。
そして、この作品で最も神がかっているのは、そのキャスティングである。初春(豊崎)、佐天(伊藤)の2人に加えて、ちょい役で登場した黒子のクラスメイトは戸松と南條愛乃。ほんと、最近は若手が元気だなぁ。そして寮のおっかない管理人さん(?)役にはナバが登場。新井里美with生天目仁美といえば、「コヨーテ・ラグタイムショー」で結成された禁断の科学反応。声優業界でも貴重な、掛け値無しの「お笑いキャラ」2人。この2人のラジオ復活プリーズ。
御坂の中の人については今更褒め称える必要も無いのでおいとくとして、感嘆すべきはやはり黒子の中の人、新井里美。この作品の最大の功績は、黒子の中に新井里美を入れたことだ。過剰な性欲に裏打ちされた変態百合女子中学生というのは、非常に美味しくもあるが実は危険なキャラクターで、端的に言えば非常に下世話な設定である。下手なアイドル声優なんかをこれに当てはめてしまうと文字通り「冗談じゃない」話になるし、かといって「可愛らしくない声」を当てれば、黒子の持つ魅力は表現出来ない。そこで、珍獣新井里美の出番だ。おばちゃんと言われればどこまでもおばちゃんだが、その声に含まれる恐ろしいまでの幼児性は奇跡の一品。みっこの手にかかれば、悩殺ランジェリーを身にまとおうが、通販で媚薬を頼もうが、超能力で窃盗に及ぼうが、直接手を下して下着を強奪しようが、全てギャグで済まされる。その上でそこはかとないかわいらしさとセクシャルな部分が残り、決して単なるギャグで済まさないだけの魅力も保持される。キレる黒子、もだえる黒子、泣き出す黒子、デッキブラシをたたきつけられてうめく黒子。なんか、全部すげぇ。新井里美、来年三十路。応援よろしく。
しかし御坂と黒子が胸のことでがっかりしてるシーンは、中の人を知っていると気の利いたいやみにしか思えないなぁ。
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