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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<以下の文章は、放送当時に執筆されたものである>
 
○第8話「隣」
 脚本・三重野瞳 絵コンテ・藤原良二 演出・羽原久美子 作画監督・興石暁


 <あらすじ>
 ゆずきは、下校途中の「首無し六地蔵」の前で犬を追いかける奇妙な少女に出会う。三輪車に乗った少女は、「追い込み漁だ! 少し追い詰めた方がおいしいんだ!」とわけの分からないことを言いながらチワワを追い回す。少女はきくり。わけの分からないゆずきは、可哀想な子犬を拾い上げると、迷子タグを頼りに子犬を飼い主の元に届ける。
 
 郊外に立てられた高級集合住宅「LEGEND VIEW賽河原」が、その子犬の帰る家。飼い主の初見みおいは典型的な有閑マダムで、ちょっと世間の常識からズレたぼんやりした人物だった。子犬のモモを助けてくれたゆずきにとても感謝したみおいは、ゆずきをお茶に誘う。どこか風変わりな彼女に戸惑うゆずきだったが、断ることも出来ずにみおいと行動をともにする。
 
 ゆずきが分かるだけでも、みおいの世間離れは度が過ぎており、特に隣人の新谷みちるとの関係はちょっと見ただけでもあまり穏やかではない。新谷が得意げにぶら下げていた高級アクセサリーはうちの犬とお揃いだと喜び、新谷が悩んだ末に買った高級ブランドの靴も、本場イタリアで見たけど、もっと新しくて日本で未発表の方を買ってしまったとケロッとした表情でいう。あげくの言葉が「新谷さんって買い物上手ですね」。悪意のある言葉でないだけに、新谷にとっては余計に馬鹿にされているように響く。クレジットカードの上限という概念すら知らないみおいは、新谷から見たら鬱陶しい存在でしかなかった。
 
 乗り合わせたエレベーターでモモのおしっこを引っ掛けられたことで、新谷の怒りは限度を超える。モモの鳴き声を録音してマンション中に流したり、階段におしっこをしたように見せかける工作をしたり。何とかみおいとモモの評判を下げようと画策する。溜飲が下がった新谷が「最近しつけのなってない犬がいるみたいね」と白々しく持ちかけてみるが、みおいはしれっとした顔で「迷惑してます。でも、子供じみた悪戯だから、頭の悪い人がやってるんでしょう」とどこ吹く風。あまりのみおいの鈍感さに、新谷はいよいよもって直接的な嫌がらせに出る。ベランダ越しに生ゴミを押し付ける、壁を叩いて騒音を立てる、マンション中の主婦達にあらぬ噂を流す。そして、テレビで「犬にとって猛毒となる食べ物」の情報を仕入れた新谷は、最後の悪巧みに出る。新谷宅の玄関前でけいれんして倒れるモモ。そんな様子を見ながら、新谷は「ワンちゃんどうなさったの? ペットのしつけはちゃんとしていただかないと迷惑ですわよ」と冷たい。流石にここまでされてはいくら鈍感なみおいも新谷の仕業であると気付き、愛犬の為に復讐を決意する。
 
 動物病院の帰りに再びモモに絡んできたきくりが、「どうする? 流す? 地獄少女呼ぶ?」とみおいを煽る。その夜、おっかなびっくり地獄通信にアクセスするみおい。一応藁人形は手にするが、流石に糸を解く勇気は出ない。
 
 しかし、あくる日に更なる事件が起こる。みおいに届いたはずの宅配便の荷物を、新谷が勝手に持ち逃げしたのだ。彼女が横取りしたのは犬用のトイレシート。マンション屋上で待ち構えていた新谷は「もういらないでしょ、犬は死んだんだし」と高笑い。愛犬を危険にさらされて泣き崩れるみおい。「あんたは人の気持ちは分からないのに犬の気持ちは分かるのかい」と図に乗った新谷は、大量のトイレシートを屋上にばらまいて立ち去る。涙ぐみながらシートを掻き集めるみおい。しかし、柵の向こうに飛んでしまった1枚がどうしても回収出来ず、必死に柵を乗り越えようとする。
 
 が、みおいはバランスを崩し、屋上のへりで宙づりの状態になってしまう。必死に助けを求めると、そこに助けにきたのはモモ。口には藁人形をくわえている。もちろん、所詮チワワには人を助ける力などなく、みおいが必死に伸ばした手は、モモのくわえた藁人形の糸を掠めたのみ。両の手はむなしく宙を掻き、みおいはそのまま、赤い糸だけを握りしめて屋上から転落した。そして、糸を解かれたことによって新谷は流される。
 
 ゆずきが重体のみおいを見舞いに行くと、彼女は相変わらず「モモが心配だ」とうめくのみ。突然消えてなくなった隣人のことなど、気にも留めていない様子だった。
 
 
<解説>
 
 先に断っておくと、「三鼎」の中でも屈指の、どうでもいい回である。初見の時にはいつものように真剣に見ていたのだが、あまりの「何もなさ」にぽかーんとしてしまった。最後の最後、屋上のシーンでは「転落と同時に糸を解く」というギミックが見えたので「あぁ、なるほど。ここで地獄流しを果たした直後に転落死か。一応ターゲットと依頼人の同時地獄行きの記録更新かな?(これまでの最短記録は「乙女のアルバム(2期20話)」) 大切に思っていた愛犬のせいで地獄に行くってのは、なかなか皮肉が利いてるじゃないか」と思ったのだが、ラストシーンで依頼人は生きてた。もう、ギミックとして残った部分は何もなく、普通に「単に愛犬をいじめられて復讐した」というだけのストーリーである。「今回の脚本はいくら何でもおかしすぎるだろ。誰だよ、こんなん書いたの」と思ってエンドロールを見ていたら、なんかもう、納得した。
 
 三重野かよ。なにしてんだ、こんなところで。ちなみに知らない人のために説明しておくと、今回の脚本を書いている三重野瞳は、歌い手である。「歌い手であった」の方が正しいと思えるくらいに最近はそっちの活動をしてないんだけど、だからって脚本家として活動してるっていうほどでもない(現注:これを書いてる当時はね。最近は流石に構成作家などの仕事も重ねてきている)。もちろん、これまで「地獄少女」シリーズの脚本に携わったこともない。一応の関係性としては、1期エンディング「かりぬい」の作詞を担当していたことくらいである(今期エンディングの「いちぬけ」の作詞も担当)。つまり、シリーズ脚本の勘所が全然伝わってないわけで……ある意味やりたい放題。ただ、多分三重野は脚本家としての才能には恵まれていないと思われる。いや、作詞家としてはいいんだよ。「ワクガイ(「仮面のメイドガイ」ED)」なんかぶっ飛んでるしさ。でも、わざわざここで出てきた意味が分からん。何のボーナスやねん。
 
 というわけで、今回はプロットがしょうもないとか、筋立てが無茶過ぎるとか、何がやりたかったんだとか、そういう疑問、不満のオンパレードではある。が、まぁ、いちファンとしてはこれをギャグだったと受け取りたい。つまり、ちょっとした番外編くらいの扱い。
 
 「三重野版」の最大のポイントは、きくりの起用法である。冒頭でモモを追いかけ回すきくりの「追い込み漁だー、追い詰めた方がおいしいんだー!」という台詞からして訳が分からない(山童は律儀に「えぇっ、食べるんですか!」と突っ込んでくれてるけど)。また、中盤では道ばたで別なチワワを見て「正直びみょー、変な顔」といちゃもんをつけるなど、終始物語に絡もう絡もうとしてくる。そして、復讐を誓ったみおいの脇を通りながら「流す? 地獄少女呼ぶー?」との殺人教唆である。2期の輪入道の台詞を借りるならば、あいの配下の三藁達は「介入は御法度」のはずなのだが、わざわざまったくそんな意思がなかった人間を地獄通信に誘致している。2期ラストの紅林拓真の時とは訳が違う、完全にアウトな行動であろう。
 
 そして、メインのプロットもこれまた非常に分かりやすい。が、どこか変。まず、視聴者がどこに感情移入すべきなのかが分からない。一応の「被害者」であるみおいも、あまりの常識のなさと空気の読まなさについて行けない。「ベランダに生ゴミを押し付けたのも、壁を叩いて騒いだのも、新谷さんなんじゃないですか?」って、目の前で嫌がらせされてるんだからそれくらい理解しろ。「人の気持ちは分からないのに、犬の気持ちは分かるのかい!」という新谷の悪態も、さもありなんと頷いてしまう。かといって彼女に嫌がらせをする新谷の方も、あまりに幼稚な考え方に飽きれてしまう。わざわざモモの鳴き声を録音して流したりする小細工を使ったかと思えば、ダイレクトに毒餌で殺しにきたりするし、自分の嫌がらせに気付いてほしいのか、気付かれたくないのかもよく分からない。「引っ越しー! 引っ越しー!」のおばちゃんがモデルなのかしら。とにかくどっちもどっちの構図なので、別にどちらが流そうが、流されようが、見てる側としては知ったこっちゃない。
 
 そういえば、「ペットの世話」「隣人関係」といったキーワードからは「遠い隣室(2期11話)」という過去のエピソードが思い出される。壁をガンガンと叩く隣人の嫌がらせに耐えきれずに地獄流し、なんて構図も同じだ。ただし、「遠い隣室」は「地獄少女」というシリーズの中でもかなり異色なとんでもネタがメインの秀逸な回だったが、今回は決してそんなことはない。わざわざ過去のエピソードとイメージを重ねてきたのは何か意図があるのか、それとも単に脚本家がネタ被りに気付かなかったのか。多分、後者だろう。
 
 他にも、たった1枚のシートのために柵を乗り越えようと必死になる意味が分からないとか、病院送りで瀕死だったはずのモモがクライマックスでどうやって屋上まで登ってきたんだ、とか、細かくみていくといちいち物語に没入出来ない要素が多い。
 
 もう、そうした脚本面の不備はどうでもいいと判断したのか(?)、演出面ではいくつか遊びも見られる。特に地獄コントから地獄流しへのシーンでそれが顕著で、今回の地獄流しは、新谷が乗る謎の巨大ロボットを、チワワ型ロボット(といっても、そのフォルムはあまりにチャチだが)が一斉に攻撃するというもの。意味がまったく分からない。次第に新谷は犬の鳴き声しか出せないようになり、「きゃんきゃん」と吠え立てる新谷に向かって、一目蓮はいつものように「だってよ、お嬢」。知らんがな。地獄送りの船上では、自分がばらまいたトイレシートにどんどん吸い込まれて行く新谷。あいが「抜群の吸収力」と小ネタを披露するが、その頭にはまったく意味のない犬耳。どないやねん。
 
 一応、地獄通信にアクセスした際に、あいがモモを抱いて登場していたのだけがちょっと興味を引いた。「夕暮れの岡」には依頼人とあい、それに藁人形役の3人しか入れなかったと思うのだが、今回初めて、「4人目」の入場が許可された。あいの腕の中で大人しくしているチワワはちょっと可愛い。
 
 結局、このエピソードは息抜きだったのか、そうでもないのか。よく分からんかったが、ま、シリーズ通して60話もやってりゃ、こういう回もあるってことだろう。
 
 今回のキャストは、底抜けポンコツマダムのみおい役には、稀代のポンコツ声優ゴトゥーザ様こと後藤邑子。ほんと、ポンコツ。彼女が必死で「新谷さん、新谷さん!」と叫んでいるのを聞くのはちょっと面白い。ひだまり的な意味で。そして隣人の典型的オバハンである新谷役は鈴木みえ。じゃなくて一龍斎貞友。個人的には初めて知った時期のせいで「鈴木みえ」名義の方がしっくりくるんだけど。あんまり最近のアニメに出てる人ではないので、随分懐かしく思った。そして、今回はこの2人だけだと思っていたのだが、ず〜〜〜と「キャンキャン」しか台詞がない「モモ役」に、「三輪勝恵」という名前がクレジットされていた。「わざわざ犬役にキャスト立てたんかい。新人かね」と思って調べてみたら……代表役「パーマンシリーズ・ミツ夫(パーマン1号)」「あさりちゃん・あさりちゃん」「カリメロ・カリメロ」。ひえぇ〜、大ベテラン。恥ずかしながら名前をまったく知りませんでした。何この無駄なキャスト。

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