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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 覚醒稲葉に待った無し、第10話。日本よ、これが沢城だ。

 先に書いておくと、今回のシナリオってかなり紙一重だと思うんですよ。こと伊織と姫子の言い合いのシーンなんかは、「流石にラノベ的だなぁ」と思うような言い回しがちらちら見えてどこか落ち着かない部分があったし、何よりふうせんかずらの振る舞いが腑に落ちない。彼が「終わらせよう」と思った契機は一体なんだったんだろう。元々「面白いから」という理由だけでやっていることに疑問を差し挟むのも無駄なことなのだろうが、「ヒトランダム」の時には伊織の入院、死の危険(のふり)という大きなイベントがあったからこその打ち切りだったと解釈しているのだが、今回の「キズランダム」において、ふうせんかずらが満足するような何かが起こっただろうか。姫子の改心がそれなのだとしたら、ふうせんかずらも随分優しい存在だったということになる。

 また、ラストでわざわざ登場して姫子を煽った動機も謎だ。あそこで姫子に余計な心配をさせた悪戯は、「ヒトランダム」のときの煽りに似たような部分はあるが、影響を受けたのが姫子1人であるという点が決定的に違う。前者は「ここで誰か一人が死ぬっていう条件を突きつけたらどうなるのかな」という興味があればやったかもしれないが、後者の場合、姫子が慌てて駆けつけて「なんちゃって」というだけで終わることは目に見えているのだから、わざわざやる必要が無い。仮に伊織と姫子の争う様子が見たかったのだとしたら、伊織の身体を乗っ取って姫子にだけ伝達したのは不充分な仕込みといえるだろう。まぁ、「何となくそうしたかったから」と言われるとそれまでなんだけども。

 などと、気になった点を挙げてみたものの、やはり今回は今作の大きなターニングポイントとして印象深い回となった。当然、主人公となるのは姫子と伊織の2人である。姫子の方にばかり目がいってしまいそうになるので、あえて先に伊織の方のメンタリティも追ってみたい。伊織が姫子の感情に気付いたのは、彼女が傷ついた自分の指を見つめて取った行動がきっかけだった。それ以前の慌てふためく様子なんかもヒントにはなっていただろうが、あれだけの仕草から的確に姫子の心情を指摘してみせたということは、おそらく伊織は以前から予感めいたものはあったのだろう。それが蓄積していたからこその、「欲望解放」だったと考えるのが自然だ。

 姫子に向かってたたみかけるような欲望解放は実に良いタイミングで発動した。彼女の持っていた欲望というのは何だったのか、今となってははっきりしないが、「真実を知りたい」という欲望、もしくは「自分の気持ちを伝えたい」という欲望だっただろうか。一目見てそれが異常な状態であると気がついた姫子は、険しい顔で自分を問いただす伊織の気持ちが、嘘偽りの無い真実であるとすぐに理解出来ただろう。だからこそ、見たこともないようなしおらしい様子で、諾々と伊織のペースに流されたのである。伊織の持っていた感情、その中でも「稲葉が好きである」というのが本当だと分かったからこそ、今までひた隠しにしてきた弱い自分を晒したのである。普通の展開なら「愛情と友情の両立なんてちゃんちゃらおかしい」ってな意見も出てくるべきところなのだが、伊織の持っている強烈な仲間意識に支えられ、この一触即発の三角関係を容易く形成する基盤が整えられた。そうしてみると、永瀬伊織というのは実に器の大きな女性である。

 対比的に、今回は弱さばかりが際だったのが稲葉姫子ということになる。自分が本当はどう思っていたのか、そして、認めたくない感情からどのように逃げていたのか。全てを白状させられた姫子は、なんとも弱々しい存在だった。伊織の言を借りるなら、それもひっくるめた「本当の姫子」ということになる。取り繕ってきた「完全無欠の稲葉姫子」は瓦解し、残ったのは年相応の可愛らしい少女であった。そして当然のことながら、こちらの方が何倍も魅力的なのだから困ってしまう。子猫のように怯える姫子も、同級生に人生相談してしまう姫子も、身も世もなくなきじゃくる姫子も、自分のしたことの恥ずかしさで身もだえする姫子も、今まで見たことが無い姿なだけに、致命的な破壊力。ほんとに、それだけ。

 個人的には、今回は女の子どうしの絡みがメインとなったので、その部分だけでも楽しかったです。でも今作は百合作品ではないのです。仕方ないので、藤島さんに頑張ってもらうかなぁ。姫子が太一とくっつくことになれば、自然と伊織はあぶれてしまうわけで、そうしたら藤島さんが美味しく頂けばいいじゃないの。よく分からないキャラ付けでどんどん良い人になってるわよ、藤島さん。この人将来何になりたいんだろうな。

 今作で実に気が利いているな、と思うのは、今回のプロットのように、「絶望的な状況、災難としか思えない設定が、最終的にプラス方向に転じる要素を見せられる」という部分である。「ヒトランダム」の時には太一の機転という訳の分からない形で唯たちを救うのに一役買っていたし、どう考えてもデメリットだらけだと思えた今回の欲望解放も、伊織と姫子の対話を成立させるための重要なファクターとなっている。欲望解放が無ければ、頑なな姫子があそこまで観念して本音をぶつけ合うことはなかったわけで、いつの間にか「終わってみれば良い思い出」みたいな扱いになっているのである。まぁ、自宅謹慎食らった唯からしてみれば洒落になってない思い出ではあるのだが。こうして表面的には「ファンタジー」な作品なのに、落とすところは「青春群像劇」で処理しているのは、なかなか上手いな、と思える部分。

 上手い、といえば。やっぱり、中の人の話ですよ。こちらも先に挙げておきたいのは、伊織の中の人、豊崎だったりする。今回の伊織の欲望解放のシーンは、普段の伊織のキャラから遊離させる必要があるにも関わらず、「意外と激しい奴」としての伊織を維持しなきゃいけないという紙一重のバランスである。しかもクライマックスで台詞が全力全開ラノベ節という、非常に厳しいシーン。これを成立させられるあたり、やっぱり持ってるなぁ、ということは感じる。

 あとはまぁ、稲葉の中の人ということで。なきじゃくるところでクライマックスかと思ったら、最後の校舎裏のシーンで憤死ですよ。あの姫子は反則だわなぁ。みゆきちの自由自在の年齢幅の上げ下げが激しく、乱高下のせいで酔うかと思ったわ。最近はかわいい系のみゆきちボイスがなかなか聞けないので、このまま姫子さんには頑張ってもらいたいものです。

 余談だが、今回のエピソードで伊織が姫子を励ますシーンで「自分が好きな稲葉をもっと信じろ」みたいな台詞があったわけだが、なんだか稲葉の中の人と後藤沙緒里のエピソードを思い出させる。イイハナシ。「お前が信じる俺を信じろ」は結構な殺し文句ってことですな。

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