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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<以下の文章は、放送当時に執筆されたものである>
 
○第14話「怨みの街角」
 脚本・川崎ヒロユキ 絵コンテ・藤原良二 演出・星野真 作画監督・日高真由美


 <あらすじ>
 時間は前話と前後して、六文灯籠の当日。柏木秀美は、新宿で一人途方に暮れた。塾の模擬試験のために東京まで出てきたのだが、帰りの電車を間違えて終電を逃し、あげく携帯電話まで壊れてしまった。まだ中学2年生の秀美は、一人都会で立ち往生してしまう。
 
 新宿は夜も眠らない街だが、そんな中でたくましく生き抜こうとする男が一人。都筑欣也は、漠然とした夢だけを抱いて都会に出てきた考えなしの若者。フリーターまがいの生活で何とか生き延びてはいたが、今日もチンピラとの金のトラブルで袋だたきにされ、路地裏で倒れていたところをホームレスの老人に助けられる。「悪いことは言わないから故郷へ帰れ」と諭すホームレスに対し、欣也は「俺はでっかくなって新宿の街を闊歩してやるんだ。その夢が叶うまで、絶対に帰ったりしない」と虚勢を張る。そんな欣也に、ホームレスは缶ビールを一本渡してよこす。「俺みたいな生活をしてるとな、たまに誰かに優しくしたくなる時があるんだ。誰かに優しくすると、自分も心底落ちぶれてない、まだまだ余裕がある、そう思えるんだ」と語る。欣也は分かったような分からないような顔で奇妙な老人を眺めながら、缶ビールを飲み干す。
 
 丁度その時分、あいは四藁達につれられて新しい住居に移っていた。過去に棲んでいたあの家屋に似た建物には、何も無い室内にぽつんとパソコンが置かれている。全てが整い、地獄少女が完全復活を果たす。
 
 一方、帰るあての無い秀美は、あかりを求めて深夜のゲームセンターへ。UFOキャッチャーに夢中になっていたが、回りには深夜徘徊の若者を補導する警察官の姿が。慌てて外へ逃げるが、行くあても無く、結局路上でしゃがみ込んでしまう。そして、そこにたまたま欣也が通りかかる。困っている風の秀美を見て声をかけた欣也は、怪しむ秀美をなだめすかして、何とか手助けしてやろうと持ちかける。賽河原はあまりに遠いためにタクシー代を出してやることは出来ないが、自分の働いているコンビニの控え室に保護することくらいは出来る。気を許さない秀美だったが、他にあても無い、チャラチャラと信用出来ない風貌の欣也の後におそるおそる従う。一人控え室に通され、すぐに事務所の電話に手をかけた秀美だったが、電話の脇には小さな猫のぬいぐるみが置かれていた。それは、彼女がUFOキャッチャーで必死に狙った愛らしいぬいぐるみ。それを見た途端に、秀美は電話をするのをやめた。何となく、欣也を信用してみようという気になった。
 
 バイト先のコンビニの後輩は、突然女の子をつれてきた欣也に「また手込めにするのか?」と尋ねるが、欣也にはまったくそんなつもりはない。「誰かに優しくしてやれば、俺もまだまだ余裕があるって思えるだろ」と、今聞いたばかりの説教を得意げにしてみせる。控え室の中で菓子パンとお茶の食事をとる欣也と秀美。話せば話す程、2人の人生はまったく違うものだった。学年で2位という学業成績優秀な秀美に対して、勉強は小学校で諦めたという欣也。自分の話にいちいちオーバーなリアクションを取る欣也に、次第に秀美は打ち解けていく。予想外の事態になった一夜だったが、秀美にとっては、楽しい時間だった。
 
 翌朝、盛り場を通って欣也に見送られる秀美。そのまなざしには、僅かな憧れが含まれている。しかし、そんな彼女を、物陰から覗き見る視線があった。明らかにチンピラと分かる欣也と早朝の盛り場を歩く中学校の優等生。その様子をたまたま学校関係者に見られてしまったことによって、秀美の人生は次第に歪んでいく。
 
 しばらくして、賽河原中学校の裏サイトで秀美は一気に有名人になっていた。欣也と歩いている写真がサイトにあげられ、あらぬ噂が一気に広まったのだ。ゆずきは友達を通してそのことを知ると、秀美との接触を試みる。ゆずきは、六文灯籠のあの夜以来、奇妙な能力が身に付いていた。たまたま道ばたで秀美とすれ違った時に感じた言いようの無い不安は、その能力の現れであった。四藁が言うには、「地獄通信にアクセスしようとする人間を感知出来るようになった」らしい。ゆずきは秀美の地獄流しを止めるために動くことを決意する。四藁達はそんな様子を、「いつか無駄だと気付くだろう」と難しい顔で見守る。
 
 秀美に接触し、事情を聞き出すゆずき。秀美はたった1枚の写真から人生がめちゃくちゃにされたので、写真を撮った人物を地獄に流したいと語る。ゆずきは、自分の友人が何の罪も無いのに流されたことを取りあげ、復讐の空しさを説く。もっと別な解決法を模索すべく、もう1度新宿に戻って欣也に会うことを提案する。欣也が説明をすれば、少なくとも両親などの誤解はとけるだろう、と。
 
 しかし、新宿についた2人を待っていたのは、傷害事件で警察に拘留される欣也の姿だった。彼は、あの夜親切にしてくれたホームレスに金の噂を聞きつけ、何とか一儲けしようと痛め付けていたところを警察に見つかったのだ。縄につきながらも得意げな欣也。夜の街で「ハクがつくからかえっていいくらいだ。もっとでっかくなって帰ってきてやる」と子分に叫んでパトカーに乗り込む。回りの野次馬は、そんな愚かしい欣也の様子に好奇の視線を送るばかりだが、一気に血の気が引いたのはその欣也を探していた秀美だった。欣也が最低の人間だったばかりか、万一彼が新聞にでも載ってしまえば、あの写真で一緒に写っていた自分の立場もどうしようもないものになってしまう。
 
 取り乱した秀美は、深夜の公園で携帯電話から地獄通信にアクセスして藁人形を受け取る。一方、突然駆け出した秀美を見失ったゆずきは、街角に閻魔あいの幻影を見る。突如現れたあいに対し「秋恵を返せ」と叫ぶゆずき。しかしあいは「それは出来ない」と一蹴すると、「見届けなさい、怨みの末路を」と言い残して消え去る。
 
 秀美を探して彷徨うゆずき。ようやく見つけたのは警察署の前。丁度その時、署内で拳銃を奪って逃げ出した欣也が署内から飛び出してきた。たまたま目の前にいたゆずきを人質に取ると、拳銃を突きつけて警察と対峙する。そんな様子を見て「欣也さん、もうやめて!」と叫ぶ秀美だったが、欣也の返事は「お前は誰だ! 何で俺の名前を知ってる?!」。一時の気の迷いで人助けをした欣也は、秀美のことなどコロッと忘れていた。ゆずきが秀美の名前を叫ぶとようやくあの日のことを思い出し、「あぁ、あの時の……」と言いかけるが、秀美は涙を流し、「もう、遅いよ」。
 
 糸が解かれ、欣也は地獄に流された。
 
 後日、ゆずきは再び町中で秀美を目撃した。あの日から何があったのか、秀美は髪を染め、ピアスをあけて、すっかり派手な装いに変わっていた。あの事件で、彼女の人生は変わってしまったのだ。彼女のポーチには小さな猫のぬいぐるみ、胸元には見覚えのある刻印。「それでも、私は諦めない」。決意を固めるゆずきだったが、回りの人ごみからは、大量の怨みの思念が洪水のように襲いかかる。人の心は、あまりに怨みに溢れている。
 
 
 <解説>
 あいが復活して、改めてスタートする新たな「三鼎」。今回は事件自体は大して目新しいものではないが、ゆずきが新たな接点としての奇妙な能力を得て、地獄少女とどのように対峙していくかが描かれている。ただ、山童が「地獄通信にアクセスしようとする人間を感知出来るようになった」と言っているのだが、具体的にどのようなセンサーが彼女に宿ったのかはちょっとよく分からない。今回、ゆずきが六文灯籠の翌日に秀美とすれ違い、その時に何かを感じていたようなのだが、本当ならば、この朝の時点では秀美の中に怨みの念はまったく存在していない(写真のことが明るみに出るのは流石にもう少し先だろう)。もしこの時点でゆずきが何かを感知していたとしたら、それはちょっとした未来予知のようなものということになってしまう。まぁ、描き方が微妙だったからこのゆずきと秀美の出会いが六文灯籠の「翌日」なのかどうかがはっきりしないので、ひょっとしたらもっと先のことだったのかもしれないが(ただ、どうもタイムラグがあるようには見えない)。
 
 また、ラストシーンでゆずきは町中の人の怨みの念に頭を抱えてうずくまってしまうのだが、まさかそんなにたくさんの人が「地獄通信にアクセスしてやる」と思っていたわけではあるまい。ひょっとしたら漠然とした「怨み」の念を感知するだけの能力なのだろうか。さらに今回、秀美が藁人形を受け取っている間、ゆずきは必死に秀美の姿を探している。つまり、これまで行われていた「視覚共有」の能力が失われているということになるか。何やらこの辺が微妙に分からない。ただ、今回の脚本は川崎ヒロユキなので、いくらかディティールが適当である可能性は否めない。
 
 脚本のずさんさは、本来最大のクライマックスである地獄流しの直前にも現れている。「ハクがつくからありがたいくらいだ」と言って意気揚々とパトカーに乗り込んだ欣也が何故警察署から逃げる気になったんだろうか。そもそも警察官があっさり拳銃を取られるなんてこともないだろうし(そもそも普通の巡査クラスは携帯してないんじゃないか?)、突然道ばたの女の子をひっ捕まえて人質にするという凶悪さも、それまでのどこか間の抜けた欣也の人物像にはそぐわない。そして作中では描かれていないのだが、警察署の前で地獄に送られた欣也はまず間違いなくその場で姿が消えているはずなのだが、一体警察は何をしていたのだろう。すぐに署内から追いかけてきていたら突如逃亡犯が消え去るという超常現象にパニックが起きてもおかしくないはずだし、見ていなかったとしたら、拳銃を持った凶悪犯相手に何をのんびりしていたのかという疑問が出る。流石にご都合主義の感が否めない。
 
 他方、秀美の心情面の描写についてはなかなか気が利いている。例えばそれまでまったく信用していなかった欣也に対して、コンビニの事務所にたまたま自分の欲しかったぬいぐるみを見つけただけで何となく信用する気になる辺り、ちょっと浅慮であるとは思うが、見知らぬ街で不安だらけだった女子中学生の心理としては面白い。猫好きに悪い人はいないとか、自分と同じ趣味の人間なら信用出来るとか、そういう感情だろうか。この「猫のぬいぐるみ」はラストシーンのすっかり変わってしまった秀美のポーチにもついており、複雑な彼女の感情を考えるヒントになっている。普通に考えるならば、自分の人生をめちゃくちゃにしてしまった欣也のことなど忘れてしまいたいはずなのに、何故か彼女は欣也との思い出と切り離せないはずのぬいぐるみを携帯している。彼女がラストシーンで遊びに出てきていたのも多分新宿だろうと思われるが、すっかり「ギャル」化した秀美にとって、冒頭では見知らぬ街だった新宿も、すっかり自分のホームにしてしまったのだろう。「でっかくなって新宿を闊歩してやる」という欣也の馬鹿らしい妄言を、彼女は猫のぬいぐるみの形をもって受け継いだということだろうか。元々真面目一筋だった人間が遊びを覚えると、本当に質が悪い。
 
 余談であるが、この時に重要なアイテムとなった猫のぬいぐるみは、「夏目友人帳」というアニメに登場するキャラクター、ニャンコ先生によく似ている。偶然の相似かもしれないが、「地獄少女」シリーズを2期まで務め、現在もアフレコ演出で参加している大森貴弘が監督を務めているのがこの「夏目友人帳」。そして、首都圏ではどうか分からないが、関西地方では2期となる「続・夏目友人帳」の放送がちょうど地獄少女の放送時間と重なっており、この14話が始まった時に、「友人帳」の第1話も放送していたりする。よく分からない形で裏番組の宣伝……かどうかは定かでない。
 
 余談ついでにもう1つどうでもいいトピックスに触れておくと、新宿で途方に暮れた秀美に欣也が「タクシー代を貸してやるよ、家はどこだ?」と尋ねたところ、「賽河原って知ってます」と秀美が問い直し、「賽河原かぁ……知ってるけど……流石に遠いなぁ」との返事をしている。冒頭で秀美がすんでのところで乗り遅れた電車には「森ノ宮」というプレートがかかっていたが、果たして賽河原市はどの辺りにあるイメージなんだろうか。電車で2時間以上かかる北関東くらいかな。あぁそう、時間繋がりでもう1つ不満混じりの疑問を提示しておくと、2度目に秀美とゆずきが欣也に会いに行った時間が、流石に遅過ぎる。町中で欣也を探している最中に秀美は地獄通信にアクセスしたわけで、彼女達が新宿を彷徨っていたのは夜中の11時過ぎである。終電逃してエラい目にあった割には、あまりに考え無しの時間ではないか。ゆずきは両親と離れて一人暮らしとはいえ……ちょっと非行が過ぎる。(現注:後になってみれば、これもある意味伏線だったといえるのかもしれない)
 
 ま、些事はさておき、今回最大の問題点である「ゆずきの状態」について改めて四藁の発言をまとめておくと、彼女は「地獄通信と関わる者」を察知する能力を得て、それを使って地獄通信の行使を未然に防ごうとする意志がある。それに対して山童は「無駄なことを」といい、「自分の行動の空しさを知ることになる」と淡白な様子。そしてそれに対する一目蓮のレスは「それがお嬢の狙いかもしれないぜ」。やはり今回も、あいの真意は四藁達には伝えられていない。前回首謀者側だったきくりも、今回はずっと四藁と行動を供にしていることを考えると、関わっていないと見る方が自然だろうか。そして輪入道はゆずきのひたむきさに同情しながらも、やはり努力が実らないのではないか、と語る。その際の口上は「『怨みつらみと嫉みの念は、鼎にはえた足のように、人の心のした支え』っていうしな」とのこと。ようやく「三鼎」というタイトルに込められた意味が匂わされるが、きくりはせっかくの名文句を「いわなーい」と一蹴。ちなみに番組のラジオで監督自らが「鼎、っていう字は見た目に画数も多くて何となく格好良いですよね」とまったく考えてないかのようなコメントを残している。別に深い意味は無いかも。一応「3」という数字の意味は、毎回冒頭で流れるYOUの口上を参照すべし。
 
 とにかく、今回も「あいが何を考えて地獄流しを行っているか」というのが物語の焦点になるのは間違いない。1期で柴田つぐみに繋がったのは先祖伝来の復讐が目的、2期の紅林拓真はきくりが用意した成仏のためのイニシエーション。では、今回のゆずきは? まだ分からない。ただ、ゆずきから分化した割には、今回の事件も依頼人は賽河原在住。あまり賽河原から動く気はないのか、それとも今期の「地獄通信」は賽河原市のローカルネットからしか繋がらないのか……この辺もすっきりしないねぇ。(現注:これも後になれば理由が分かる。改めて、良くできた構成である)
 
 そうそう、今回からあいの「家」が復活し、それに伴い何とあの「あいの祖母」も復帰。お約束の「長襦袢を用意しておいたよ」という台詞(のみ)が登場した。あいの帰還にあわせて四藁達は「元のままだろ」と得意げに「あいの家」を披露してくれたのだが、パソコンなどの備品に混じって「祖母」もいたんだろうか。よく分からないけど、久しぶりにあの「仕事人出撃」のテーマと供に威勢のいい輪入道の咆哮が聞けて嬉しかったです。
 
 今回のキャストは、2クール目でようやく登場、ミュージックレイン最後の1人である戸松遥が柏木秀美役。まぁ、来ないはずはないけど。昨年末に「かんなぎ」の最終回を前にしてこの回の次回予告を聞いてしまい、「来年も戸松かよ!」と突っ込んでしまったのはいい思い出。年齢的にはリアル中学生と大して変わらんちゅうのが驚きだ。そして街のチンピラ都筑欣也役には、カズ中井こと中井和哉の登場。彼の朴訥とした人柄も好きだし、いっぺん聞いたら忘れられない声質もいい意味で分かりやすい。彼も割と空気を作る役者だ。

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