「マギ」 5→4
すまん、これ、分からんかった枠に入れていいですかね。真剣に見てなかったといえばそれまでなのだが、結局最後まで真剣に見るモチベーションを引き出すことの出来ない作品になってしまっていた。ホント、我ながら驚くほどにこの日曜5時枠とは相性が悪いようである。
原作を全く知らない状態なのだが、当然周りにはちらほら原作を知っている人間がいる。そういう人間のアニメ評を聞くと特に不満は無いらしく、どうやらボチボチ原作に沿って魅力は表現出来ているらしい。ただ、その魅力が今ひとつ見えてこない。もちろん何が悪いというほど大きな不満もないのだが、見れば見るほど、「別にこの作品でなくてもいい要素」しか見えてこないのである。一体何をもって視聴者を引きつけるアニメなのかが分からないままだ。とりあえず1つだけ言えるのは、舛成監督率いる映像制作陣の仕事は良い部分が多いということ。中盤、なんだか作画もへちょってた時期はあったが、全体的にはまとまっていたし、高水準な作画クオリティを維持し、魅力的な戦闘描写も多かった。重たい話が続く中、それを逃げずにきちんと描き込み、形を成したこともプラスのポイントといえるだろう。普通に考えれば平均点はとれるくらいの作品だ。ただ、この枠で放送されるアニメというのは、どう考えても予算やスタッフには恵まれている。恵まれていなければならない。つまり、「安定した作画の質」「画面映えするアニメーション」は、前提条件なのである。そりゃ「ガンダムAGE」だって面白い画面はたくさんあったわけだし、その当たりは「まぁ、日曜5時なんだし」と思うとどうしても辛くなる。
すると残る部分には何があるかというと、「この作品だけが持つ魅力を見せて欲しい」という欲求がある。そして、最後までその「独自の魅力」が見出せなかった。当初の売り文句や「アリババ」「アラジン」なんて名前を見た段階では「冒険ロマンもの」を期待したのだが、本作中で、「バラエティに富む調査困難な迷宮を探検するパート」は驚くほど少ない。ダンジョン攻略がこの世界の1つの特徴のはずが、そのシーンで盛り上がったのは見たことがない。ダンジョンに潜ったとしても、大体そこを突破するのは単なる力業であり、強い奴や恵まれた資産の人間がクリアするのである。残念ながらこれでは盛り上がらない。中盤に大きな山を作ったのは、国の興亡を巡る大規模な政治信条を抱えた重たいバトル。こちらはいくらか中心軸の役割を担っていたと思うが、最後までアリババという主人公の依って立つところが見えなかったのが気になった部分。最終話を見ても、アリババってのはなかなか成長が見えないキャラクターであり、脇にシンドバットというとんでもないキャラがいることもマイナス要因に働いている。序盤は超然とした力を持つアラジンに頼る部分も多く、主人公として肩入れしにくい。何しろ一時はクーデターの首謀者として国を揺さぶる側に回っていたのだ。作中では諸々の心の動きがあり、最終的にはモルジアナや白龍たちの信頼を得るに至り、視聴者目線では「前よりはいい男になったか」とは思えるが、主人公として恰好いいかと問われればまだまだ。多用な魔術が飛び交うことも見せ場となるこの世界では、燃える剣一本で戦うファイティングスタイルも見栄えしにくい。ことあるごとにカシムの幻影に責められたり頼ったりする傾向も、「友情に篤いな」とか「過去の重さが違うな」というよりも「まだ独り立ち出来ないんだな」という思いが先に来てしまう。どうも、中心が見えにくい設定だったのだ。
一応、こうした難点をフォローする文言としては「分割作品で2期目があるから、まだ全貌が見えてないだけだよ」というのが考えられるが、流石に2クール放送していくらかでも決着がつかないと不安になる。邪悪なミキシンボイスは退治出来たみたいだけど、国のいざこざを含めたもっと大きな問題は山積しているし、まさかの締めが謎の石田彰ボイスってのも突飛だ。まぁ、これは原作を読んでいた人間には嬉しいサプライズだったのかもしれないけども。少なくとも、現時点では「原作も読んでみたい」と思えるほどにはなってないなぁ。
あ、でもモルジアナはやっぱりかわいいや。個人的には紅玉とか全然いらないレベルでモルさん派。奴隷少女は良いジャンル選択だと思います。最大の難点は、あまりにストレート過ぎるせいで薄い本がワンパターンになって捗らないことくらい。
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