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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 綺麗な大団円、第5話。うむ、このお話はすごく良かった。色々とひねてて面倒臭いギミックを仕込むことが多い西尾維新作品であるが、このお話のメインプロットは実に単純明快。「つばさキャット」「つばさファミリー」と続いてきた羽川翼の物語の終焉としては、実に分かりやすいハッピーエンドで着地が決まっていた。これまで長きに渡って付き合ってきたキャラクターのお話だし、これだけでも充分満足出来る物語になるのだな。

 最近土日のアニメスケジュールが立て込みすぎていてなかなか今作は感想を書けなかったのだが、章の最終話くらいは総括しておきたい。年末の「猫物語(黒)」を受け継ぐ形で始まったトップバッター羽川の物語は、「阿良々木さんが登場しない」という変則構成をベースにして、放っておいても魅力を放つヒロインを中心とした進行が特徴的。これまでの「化」「偽」は基本的に阿良々木目線でシナリオが進み、全てのヒロインに対して満遍なく接点を持つことで「阿良々木暦とその他ヒロインズ」の物語として成立していた。しかし、今回はその中心人物に羽川が据えられており、「羽川とひたぎ」「羽川とファイアーシスターズ」「羽川と八九時」といった繋がりが描かれている(当然、撫子とは接点が無いので登場しない)。なかでも、同じ男に惚れた関係という非常に面倒な立ち位置のひたぎとの繋がりが濃密に描かれ、ストレートな意味でのサービスも含め、新たな視点から羽川の人物像が掘りさげられるのが非常に興味深かった。最終回まで見て分かることだが、誰よりも羽川のことを考えてくれていたひたぎの見立てはやはり正しく、彼女の指摘が、羽川の自己回帰を成立させる重要な契機となっている。思ったことはずばりと言える鉄の女戦場ヶ原ひたぎならではの友情の形である。最終的には阿良々木さんが全部持っていたようにも見えるが、実際には、これ以上無いくらい明確に「女の友情」を描ききった作品といえるだろう。たとえ男がいても百合好きにたまらないシチュエーションというのはいくらでも構築可能ということだ。

 これまで作り上げてきた羽川の人物像が複雑だった分、今回の怪異は非常にシンプルな特性(まぁ、実はこのシリーズの怪異って全部すげぇ単純なものばかりなのだが)。「嫉妬」というキーワードから一見するとガハラさんが危ないように見えるが、羽川の場合には、人生において最も重要なものは、ここ数年で芽生えたような恋心などではなく、人となりの全てを形成した家族との関係性の方にあった。家族との軋轢の中で産みだされた怪異の「妹」たちを新たに家族と呼び、全てを自己に帰結させて1人の人間として成長していく様子は、思春期の悩みをそのまま擬人化させたようなものであり、様々な含蓄を持ちながらも構図が非常に分かりやすい。戦場ヶ原家、阿良々木家と宿泊先を転々とし、様々な「家族」模様を羽川が観察していく、という流れも親切である。

 映像面でも、今回は監督手ずからのコンテ回ということで、いかにも板村さんらしい大仰な画作りが印象的(その分シャフトっぽさは薄めに見えるのだけども)。また、羽川の手紙の朗読パート(世界旅行に行くイメージ映像)はわざわざ別コンテ、別作監で完全に独立したショートムービーとして作り込む手の入れようで、全てを理解し、覚悟を決めた彼女の心情が非常に丁寧に描き込まれていた。今期は物語1本に対する尺もバランスが良くて、全力疾走で何がなんだか分からなかった1期、ちょっと尺が緩すぎて間延びした2期と比べても満足度が高い。実に恵まれた1本目であった。

 で、ここまでを前振りとして、せっかくなので思いつきで書きたかったことが1つある。それは、羽川の中の人、堀江由衣についての諸々である。今回の羽川の物語を見ていて、やたらと中の人のことが想起された。非常に勝手な印象なのだが、羽川の持つ「白無垢」「野生の喪失」といったファクターは、「声優・堀江由衣」の持っている看板に非常に近い。気付けば既にデビューから15年が経過するベテラン選手になっているわけだが、堀江由衣はデビュー直後から堀江由衣で、今現在も一切ぶれることなく堀江由衣のままだ。もちろん年相応に円熟している部分はあるだろうが(17歳だけど!)、それでも演技の基本的なラインは動いていないし、何より恐ろしいのは、ビジュアル面でも微動だにしていない。まさに阿良々木君の憧れる完璧超人羽川翼そのものである。

 ファンには怒られるかもしれないが、私は昔、嫌いな声優といえば堀江由衣の名前を挙げていた。「どこまでも作りものじみたアイドル性」に薄気味悪さを覚えていたのだろう、(当時の)相方である田村ゆかりともまた違った独自のスタンスは、他に比較する者もおらず、異物のような印象があった。しかし、気付けばその異物は業界にどっしりと根を張り、唯一無二の居場所を見つけて今に至っている。作り物めいた違和感はそのままに、それを最大の武器として確固たる「堀江由衣」を作り上げてしまっている。私はといえば、嫌いだと思っていたのは既に過去の話で、今は羽川を筆頭に、「堀江由衣でなければなし得ない役」がたくさんあることを認めて軍門に下った。そして、「堀江由衣のベストキャラクターは何か?」と問われたら、おそらく「羽川翼か櫛枝実乃梨」と答えるだろう。どちらも「作られた完成形」を売りにする、虚ろな英雄の役柄である。「仮面の下の真実」を覗かせるときの堀江由衣がたまらなく好きなのである。それが「本当の弱さ」だったりすると最高だ。

 羽川翼は猫と虎を統合して新たな世界に歩き始めたわけだが、堀江由衣の場合、既に猫も虎も合わせて食って、今の状態である。淘汰の激しい現代声優業界に高く高くそびえる圧倒的存在は、今後どのようなドラマを作っていくのか。いち声優ファンとして、あまりに特異な彼女の存在は、引き続き興味深い観察対象であるといえる。

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