良い話じゃねぇか! 第71話。一週休んだ後の回のくせにぽっと出の新キャラがメインでまた捨て回なのかと思ってたのに、予想の上を行く大事なエピソードになった。作画状態もぼちぼち回復してきたし、折り返し点になるこの時期、いいタイミングでのてこ入れやね。流石の東映。
2週間前なので既に忘れかけていたが、前回ははっちゃけはぐれパラサイトミラーさんによって青銅軍団フルボッコの回だった。今回もその傷痕ははっきりと残っており、ほぼ全員が聖衣半壊、栄斗に至っては既に生身の状態である。そんな窮状でも相変わらずどこをどう歩いてるのか分からないのがパラスベルダ編最大の謎であり、幼女をいじめようとしていた雑兵パラサイトに「何故ペガサスがこんなところに!」とか驚かれる始末。一体どこにいるんだ、光牙。しかし、そんなダラダラした進軍も無意味だったわけではないようで、救出した幼女・セレーネちゃんから地下で何とか生き残っていたレジスタンス組織(?)に繋がり、今回の主役、小馬座のケレリスと出会う。実に珍しい「おっさんの青銅聖闘士」であるケレリス。突然「何でお前が知ってるねん」と突っ込み待ちの龍峰が語り出した小馬座聖衣の呪いの話なんかもあり、「どんだけ適当なキャラなんだろうな」と思って見ていたが、Ωにしては珍しく(?!)、話に破綻もなく、彼がパラスベルダの地下で頑張っていた理由も割と納得出来るものだった。「ペガサスの兄弟分」という設定も適当ながら面白く、次週以降への繋ぎにさりげなく活きているあたりが心憎い。
バトルとしては、今まで必死に隠れていた民間人集落についにパラサイトが襲撃をかけた、という防衛戦。今回の相手はなんと異色のタッグ、テーベさんとハティである。タイタンさんに「2人で行け」って言われた時のお互いに嫌そうな顔がリアルでよいね。そりゃなぁ、あの2人は相性悪そうだよなぁ。無骨に「強さ」を求めて泥臭い仕事も真面目に取り組もうとする努力型のテーベさんに対し、何かというと出世出世、こすっからい手を平気で使いたがるハティ。更に耳が良いことが武器のハティに、轟音を上げる隕石を落とすテーベさんが組んでも本当に意味が無い。実際今回も、結局ハティさんは単なるサンドバッグにしかなっていなかったので、実質テーベさん1人部隊みたいなもんである。ハティがおっさん一人にボコられてる間、テーベさんは残りのブロンズ軍団全員を引きつけてたんだから、今まで登場した3級パラサイトの中では一番しんどい任務だったと思うぞ。最終的に蒼摩とユナまで合流した時には、本当に絶望したもの。何故かテーベさんに肩入れして観てしまう私である。仕方ないよね、多分3級パラサイトで一番好きなのテーベさんだし。
今回のお話は、もちろん昴とケレリスの関係性が次週へ続く一番大事な要素であるのだが、今週だけを観ると、エデンさんがちょっとデレるというお話でもある。実に東映作品らしい、ちょっと古くさいながらも実に可愛らしいデザインだったセレーネちゃんと心の交流を深め、今までどうやってお友達や民間人と接していいのか悩んでいた「神の子」エデンが、素直にお礼を言ったり、人のために戦えるようになった。エデンさんの心動くときは、ほぼ確実に幼女絡みなのがどうかと思いますが、あんだけ可愛い子にちょっかいだされたら仕方ないよね! 親族が故人ばっかで戦う理由がなかなか見つけられなかったエデンだけど、ようやくこれで目標が出来たのかもしれない。一撃で街ごと吹き飛ばしかねないテーベさんの最終奥義も、本気を出したエデンならば一撃で粉砕である。でも、粉砕した流れ弾でテーベさんが潰されてしまったのはなぁ……流れ弾単品であのサイズってことは、他の破片も周りに甚大な被害をもたらした可能性があるのだが……たまたまテーベさんのところに一番でかい破片が飛んできてしまったのだろうか。なんと悲劇的な因果応報。テーベさんには死んで欲しくないのだが……あの描写だと多分リタイアだろうなぁ。これでもう、残っている3級も随分減ってしまった。何が腹立つって、今回何もせずに逃げ帰ったハティはまだ生きてるってことよね。アイツこそさっさとやられればいいのに。
そして昴である。相変わらず「神の子」エデンに噛み付いてブーブー言っているわがまま昴。彼のやんちゃ振りを見て、ベテラン聖闘士ケレリスさんが割とマジ説教。そして、おっさん聖闘士が身体を張って昴や一般人を守り通す姿を見て、(多分)昴も心動いたに違いない。戦うこと、相手を倒すことばかりを考えて暴れる昴に、「守ることの強さ」を教えてくれた偉大なる先生である。散々フラグを立てまくっているし、次週ケレリスがどうなるのかは丸わかりなわけだが(というか、「呪われた聖衣」って言われて今週生き延びた時点で意外だったが)、その聖衣がいよいよ昴のところへ行くわけか。エデン同様に「護るべきもの」が無かった昴にも、ようやく大切な思い出が出来るわけだね。「小馬座はペガサスの兄弟分」っていう設定も、昴が受け継いでくれることで凄く綺麗に収まる。いいねぇ、まさか「聖闘士星矢」シリーズを見ていて「青銅聖衣を受け継ぐ」ことでエピソードが作れるとは思ってもみなかったよ。来週のケレリスがどんな最期を迎えるかはまだ分からないが、是非とも恰好いいおっさんの姿を見せて欲しいものである。
ちなみに、今回登場したケレリスのキャストは、大ベテラン安原義人氏。こういう飄々としながらもどこかに貫禄を感じさせる仕事が実にしっくりくるのである。ここ最近はほとんどアニメの仕事が無いのであまり印象は無いのだが、何故か個人的には「巷説百物語」の3話の印象が根強く残っていたりする。あのアニメ、好きだったのでね。ちなみにセレーネちゃんは本多真梨子である。本多さんも良い仕事するわよね。
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