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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 なんかもう、色々各方面にすげぇ、第9話。「どないやねん」が「もういいや!」にかわっていくこの持って行き方、一体何の感動か。

 筋立てはもう、本当に無茶苦茶だった。「13番目の並行世界」の真実が明かされ、むしろ鏡都よりも外の方がびっくりな状態であることが分かったのだ。「神社」と呼ばれていたのは本当の意味での施設ではなく、この世界を統べるべく、神が統治していた管理機構。そして、そこに鎮座する神というのは、宮司と稲荷のことであるという。いや、正確にはその2人を産み落とした「創造神」が更にいるはずなのでもう1つ上の次元があるはずだが、とにかく、これまで「鏡都の生みの親」というレベルで神的存在だと思われた稲荷は、より高次の存在として神性を持っていた。そして、そんな神の頭を悩ませるイレギュラーの数々。「稲荷が気まぐれである」というのが既に神の配剤としてちょっとおかしなところがあるが、そんな稲荷でも予想もつかないイレギュラーが、訳もなく起こるのがこの世界だという。勝手な秩序が出来上がる、勝手な存在が生まれてくる。稲荷のかたわらに産みだされた「イレギュラー」こそが、新たな稲荷のコピーとして存在したコトであった。

 「稲荷が創造主」「コトは稲荷の模造品」。この2つが世界の真実。そして、今回はそんな無茶苦茶な世界設定を無理矢理丸め込むためにかなり思い切った作劇方法が採用されている。なんと言っても稲荷の吹っ切れ方が一番ぶっとんでいる。呵々と笑った稲荷は、全てを認め、語り尽くした挙げ句に、複製存在であるコトを刺し貫き、更に「兄」である宮司も手にかけた。実際に殺したというわけではないだろうが、とにかく、ここにきて自分の好き放題に暴れはじめたのである。彼が望んでいるのは世界平和でもなければ家族団らんでもない。全てを創造・管理出来る存在であるはずのおのが身でも予想出来ないような、とんでもないイレギュラーを観察し、世界の真理を見ることにある。稲荷の力を受けたコトは暴走をはじめ、奇しくも先週のラストで自ら宣言した通りに、世界をぶっ壊してしまった。

 この、「コトと稲荷のリンク」にかこつけるまでの一連のコンテは、本当に無茶な作り方がなされている。見ている誰もが度肝を抜かれるのは、世界の仕組みを朗々と語る稲荷とコトが2人連れ添って歩くシーン。なんと、話し始めてから終わるまでの信じられない長尺を、たった1つのカット、右から左に2人がゆっくりゆっくり歩くだけで終わらせたのだ。「どう見ても手抜きやないかい!」と思いながら見ていたわけだが、その後、「コトが稲荷の複製である」という事実が明かされると、あのシーンの意味が見えてくる。複製とはいえ、コトは彼女なりの人生を歩んできた「別個の」存在ではあるだろう。そんなコトを自分の管理下に置き、再び統制を図るために、稲荷は彼女と寄り添って歩くことにした。見れば2人の歩幅も、歩き方も、何もかもが一緒だ。2人はてくてくと歩き続けることによって、その存在の「距離」を縮めていった。延々歩いたゴールはどこにあったかといえば、稲荷がコトを突き刺すという衝撃の展開。そこにいたるまでの準備段階として、稲荷は延々「歩み寄る」必要があったのである。

 全てをぶっ壊す覚醒状態のコトを手に入れ、「役者は揃った」と歌い上げる稲荷。彼の手に残されたのは、コトでも鏡都そのものでもなく、たった1人、薄れて消えかけた古都だけだった。それにしても、CV石田彰で「役者は揃った!」みたいな台詞って、一体どれくらい聞いたのだろう。もう、今回の稲荷のキチピー状態も、「まぁ、仕方ない」って思える程度には心の準備は出来ていた。個人的には、同じようなシチュエーションなら「舞-HiME」16話が至高。古今東西の石田彰ボイスの中で一番震えたのはあのシーンです。

 閑話休題。そんなこんなで崩壊してしまった鏡都。おそらく外では残りの12の世界もヤバいことになっているのだろうが、少なくともこの鏡都だけは、他と少しだけ違うことがある。それは、稲荷がかつて名乗っていた「明恵」を受け継いだ存在がいるということ。数珠やら名前やら、とにかくそんなものを無理矢理わたされた薬師丸は、稲荷をして「始まりになってみせろ」と言わしめた特殊な立ち位置にいる。全て稲荷が作り出した鏡都において彼だけはイレギュラーであり、彼が本当に明恵を受け継いだのだとしたら、作る力同様の、「守る力」があってもおかしくないだろう。もちろん、こんなドタバタの中では当人にそんなやる気など湧くはずもないのだが、そこにはっぱをかけるのはやはり「兄弟」という存在である。鞍馬と対峙した回想シーンでは「薬師丸を慰めるための偽りの兄弟」と述懐していたが、今回の鞍馬と八瀬の立ち位置を見れば、決してそんなことは無い。やはり、最後の最後に薬師丸を立ち上がらせることが出来るのは、切っても切れない「兄弟」だけなのだ。鞍馬が力強く未来を諭し、八瀬は優しく過去を慰める。今にも消え入りそうな「偽りの」家族たちに支えられ、明恵は「明恵」としての最後の戦いに臨む。

 良い。すごく良い。本当に「家族愛」っていうファクターには弱いのだが、今回の明恵の復活劇は本当に涙無しには観られないものだった。あれだけいがみ合っていたはずの鞍馬が見せた笑顔、そして記憶を失ったはずの八瀬から語られる思い出話。どれもこれも、長い年月に裏打ちされた絆が感じられるものだ。ここに来てついてに、「三人議会」はその完成をみたのではなかろうか。

 次回はいよいよ最終回。結局、稲荷がああなってしまった以上、明恵たちが望んでいた「ただの家族」の姿は帰ってこないのかもしれない。しかし、「稲荷」は現時点で既に「2人いる」のだ。「もう1人の稲荷」として揺らいでいたコトを再び引き戻し、新たに「稲荷」と同じ家族として迎え入れることで、兄弟達の見ていた夢は帰ってくるのかもしれない。是非とも見せてくれ、必殺の大団円を。

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