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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「ユリ薬局」はまだ分かるとして、「ユリ内服薬」とはいかなるものか、第7話。キン肉マンにおける「超人」、トリコにおける「グルメ」と同じで、とにかくなんでもいいからユリってつけるとこの世界風。そもそもベアトラップの負傷(包帯グルグル)+全身やけどに内服薬ってのも謎だけどさ。あくまでもイメージの問題。全身包帯グルグルで志々雄真みたいな銀子なんて見たくないしな。

 相変わらずザクザクお話が進み、各方面から話題の種を放り込んでくる容赦無い展開。色々と勝手な妄想をしている私みたいな人間からすると、そろそろ過去の憶測が自分の中でつじつまが合わずに歪んでくるくらいの時期であるが、ちょっとくらい見当違いでも清濁併せ呑んで読み進められるイクニ作品の懐の深さよ。想像するだけなら自由で、思ってた通りの演出になればそれはそれで嬉しいし、予想の真逆を行かれても「そうなるのか!」って驚いて楽しめてしまうのだから節操の無い話である。やっぱりいくら考えても考え足りずに見られるアニメってのは本当にありがたい。もちろん、そんな余計なことせずとも「来たパンチを全部受けきる」くらいのスタンスでも楽しめてる気はするけども。今回も、プラネタリウムの光がサーモンにあたってきらめくシュールな絵面とか、戦場での銃撃がそのままアイキャッチの「LOVE BULLET」に繋がる演出とか、刺激が多くて良い。

 今回メインとなったのは、いよいよヴェールを脱いだ百合城銀子の生い立ちである。これまでのエピソードの中で「椿輝家に拾われた後」と「るると出会った後」に関しては描かれていたが、それ以前の彼女の人生は完全なブラックボックスだった。今回ようやくその箱が開けられたが、まぁ、「箱の中身もなんじゃこら」って話でね。熊の国(森の国)の内部世界の言葉を解題するなら、彼女はいわゆるみなしごであり、生まれながらに(?)被っていた王冠にちなんで「ヒトリカブトの銀子」という二つ名をつけられていた。ま、当然「トリカブト」にひっかけての呼び方なのだろうが、あの王冠を「かぶと」と呼ぶのはいささか無理があるため、この呼び名で本質的に意味をなすのは「ひとり」の方だろう。熊のコミュニティで生まれながらに孤独だった銀子。そこには明確な理由は無く、何となく回りに溶け込めずにいただけ。仕方がない「トリカブト」は毒を望んだから毒があるわけじゃない。生まれながらに毒草なのである。もちろん、トリカブトも使い方によっては薬草になるはずなのだけど。

 そんな彼女も憧れはあり、いつか「本当の好き」に出会うために教会に赴き、そこではレディ・クマスターからの啓示を受けて番熊として断絶の壁の防衛任務を与えられる。家族もなく、求められることのない群れのはみ出し者に防衛を任せるというのは皮肉な話だが、「人と熊」の境界というどっちつかずの場所に「はみ出し者」を置いておくのはある意味自然ではある。「ヒトと熊の争い」という構図は、ヒト側から見ると「惑星クマリアの影響で覚醒した熊が襲ってきた」なのに、熊側から見ると「クマリア様の承認を得るため、超えてはならない境界を犯す害獣であるヒトを排除せよ」となっているのが不思議なところだが、おそらく熊にもヒトにも侵略の意図があるわけではなく、イデオロギーの異なる2つの「群れ」の接点となる境界面では、常に諍いが起こり続けているというのが現状なのだろう。ヒトはあくまで「壁」を構えようとし、熊は「番熊」を設けて備えている。どちらも侵略の意図など無いはずで、境界を越える承認が与えられれば、番熊も壁も必要ないはずなのだ。

 しかし、この時点では、まだ銀子のような「番熊」はたくさんおり、「ヒト排除!」のためにみんなきちんと仕事をしていた。逆に考えれば、この時点で彼女は特別でもなんでもない、普通の熊である。そんな彼女に転機が訪れるのは、仕事に失敗し、命すら落としかけた戦場で、女神クマリアと紛う人間の少女に助けられたこと。ヒトと熊を断絶させるのが仕事であるはずの銀子が奇しくもヒトとつながってしまい、彼女は物語の上でも、彼女の人生の上でも、特権的な立場となる。彼女が物語の中心にいるということは、それ即ち「銀子と紅羽の関係」、つまり「月の娘と森の娘の関係」が今作の焦点であるということの証拠である。このただ1つの関係性だけを見ればお話は非常にシンプル。今回与えられた一番の問題は、何故紅羽は今の今までそんな大切な「好き」の記憶を忘れていたのかという部分だが、きっとそこには未だ知られざる銀子の「罪」が関わっているのだろう。気になるのは、冒頭で澪愛が読み上げていた絵本には間違いなくハッピーエンドとなるページが存在していたこと。「月の娘と森の娘」は、間違いなく幸せな結末があり、二人は結ばれていた。そりゃまぁ、母親が娘のために作った絵本なんだから、普通はそうなる。しかし、これを澪愛が読み聞かせていた時点で、既に紅羽の記憶は失われており、澪愛の覚えていた「クマリア様のことを教えてくれたあの子」は椿輝家から姿を消しているようなのだ。この時に銀子が何をしでかしたのか、っていうのが最後の焦点かな。

 さて、今回新たに説明された部分はせいぜいこれくらい(あと、針島さんがクマショックされたことくらい)だが、相変わらず1つ1つのファクターを巡る絡み合いが興味深い。今回は大きく2つのタームについて、また新たな視点が与えられたので確認していこう。1つは「排除」。これまで「排除」という言葉が用いられたのは、ほぼ全て透明な嵐によるなんらかの行為を示すものである。排除の儀が行われ、その結果として「群れ」から除外させられること、それが排除である。今回は熊サイドの話がメインだったので「透明な嵐」について語られる文脈はほとんど無かったが、興味深かったのは学園内でうわさ話をしていた女生徒たちが、紅羽のことを「回りを不幸にする女」とだけ呼び、その名前さえろくすっぽ覚えていなかったことである。排除の儀の際には対象の名前が必要であり、排除する側は必ず名前を認識しているはずなのに、いざ儀式が終わってしまえば、矛先を向けていた者の名前すらろくに覚えてもいない。このあたりの捉えどころのなさ、「過ぎるのを待つばかりで後に何も残さない」虚無感が、「透明な嵐」の透明たる由縁である。

 翻って、今回語られた熊サイドの場合、「排除」はより明確に行われる。銀子が理不尽に迫害されていた構図は、紅羽が学園内で無意味に排除されていた構図に非常によく似ている。そして、誰とも知らぬ「透明な嵐」の排除と違い、熊側が「ヒトリカブトの銀子」を迫害する時には、どの熊にも1人1人細かく名前が設定されており、クマ美やクマーガレットやクマカロンたちが直接手を出してくるのである。熊たちは決して、透明になることを願ってはおらず、むしろ排除された身寄りのない熊たちこそが、「本当の好きを知らない透明な存在」に近い状態であった。こうして排除された銀子は、番熊となって同じ境遇の熊たちと一緒に戦場へ駆り出され、そこでクマリア様を待ちながらヒトを「排除」し続ける。だが、ヒトの反撃を受けて満身創痍となった銀子は、最終的に仲間達の群れからも「排除」されてしまう。この時に排除された理由は明確に語られており、「足手まといは排除する」「力の弱い者、まわりと同じ行動が取れぬ者が排除される」という。再び「いらない熊、ヒトリカブト」になってしまった銀子は、こうして2度目の「排除」を宣告される。ここで興味深いのは排除に至る動機付けである。「足手まとい、力の弱い者」が排除されるというのは明確に弱肉強食、鮭肉サーモンの熊側の理を表したものだが、「まわりと同じ行動が取れぬ者」が排除されるというのは、確実に「透明な嵐」によるヒト側の「排除」を意識した文言となっている。ヒトと熊の境界となる断絶の壁において、銀子がこうした「中間的排除」を受けているというのはなんだか面白い。そして、こうして「どちらからも排除される可能性がある」銀子が、紅羽と出会い、ヒトと熊を繋ぐきざはし(絵本の中で言うならば「はしご」?)になる権利を得ている。紅羽が現在悩まされている透明な嵐の「排除」に対し、有効な打開策があるのだとしたら、それはひょっとしたら「熊側の排除」を経験している銀子からもたらされるものなのかもしれない。

 そして、「排除」に抗う銀子が拠り所として持ち続けたもう1つのタームが「承認」である。今回、ナレーションを除くとジャッジメンツが一切登場しない初めてのお話であり、当然ユリ裁判も行われていない。これまでユリ裁判の中を中心に使われていた「承認」という言葉が、女神クマリアの行う救いの一環として用いられている。クマリア様を信仰し、ヒトの排除を続けていれば、いつかその者は承認され、本当の好きを与えられるという。これまでユリ裁判で行われてきた「承認」と、「クマリアの施し」が同じものを意味するのかどうかはまだ不明である(そもそもユリ裁判がなんなのかすらよく分かっていない)が、1つ明らかに異なっているのは、「クマリアの施し」は、ただ妄信的に救いを求めるだけのものであるのに対し、ユリ裁判で「承認」を受けるためには、自分の心に明確な「好き」を持ち、それを訴える必要があるという部分。銀子は既に「紅羽への好き」を持っているからこそ断絶のコートに入場することを許されているわけで、身寄りのない捨て熊が集まっていた教会とは一線を画す。そして、「本当の好きが承認」されるとどうなるのか、という部分が判然としないと、この物語のゴールは見えてこないだろう。与えられるのは誰で、与えるのは誰なのか。どうやら銀子にはそれが見えているようであるが、紅羽がそこに辿り付くまでに、あとは何が必要なのか。

 個人的に気になったのは、紅羽やるるが読み直していた絵本の声である。今回、シナリオだけを考えれば一切必要無かったはずなのに、絵本を読んでいたるるの声は、次第に泉乃純花のナレーションにスイッチしていった。そして、「境界を越えるのは大きな罪である」「好きが本物であるなら友達が待っている」「貴方の好きは本物?」といったクマリア様の言葉は、純花の声で語られるのである。「境界を越えることが罪である」ならば、銀子は既に罪熊であるが、それを乗り越えるためにも、銀子の「好き」を本物だと認め、「承認」してくれる第三者が必要になる。そして、紅羽の方も、現段階では「本当の好き」の対象が銀子に決まったわけではなく、これまでずっと大切にしてきた純花という存在が彼女の心から消えたわけではないだろう。最後に再び、「好き」の行方を巡る物語には泉乃純花が関わってきそうである。

 さて、Cパートでるるに向けて銀子の「罪」を告げたのは一体誰で、何が目的なのか。そして、銀子の「罪」とは一体何なのか。早くも(そしていつものことながら)クライマックス感満載である。ガウブルしながら待ちましょう。

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