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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 綺麗だなぁ、可愛いなぁ……最終話。ホントに良い物を見せてもらったわ……ボロボロ泣いてるんだけど、何も悲しくないのでニヤニヤしながら泣いているという、傍から見たら気持ち悪さマックスの状態での視聴になりました。

 正直、そんなに明確に泣くようなポイントがあったわけじゃないとは思うんだよ。実際、るるの最後を看とった冒頭のシーンなんかは、前回たっぷり味わったのでそのまま自然に流せるようになっていたし、そこさえ乗り越えてしまえばあとは「悲しい」部分は一つもない。しかし、これまでの蓄積が1つ1つしっかりと答えを出していくごとに、やっぱり感極まる部分はあるものでね。二匹の熊が喜び踊り狂うシーンなんかでも、無駄に泣けてくるのはどうしたことだろう。

 今回最大のトピックは間違いなく「紅羽の真実と、紅羽の選択」である。ここまで3人の主人公を中心にして様々に視点を変えながら物語は展開していたが、やはり最終的には紅羽の物語に落ち着くことになった。言われてみれば確かに不自然な部分ではあったのだよね。「銀子がヒトになることを望んだために紅羽が記憶を失う」っていう因果関係は。「銀子が好きを失う」というのであれば、それは「銀子が記憶を失う」べきだった。実際、真実は裏返しの構図になっており、あの日銀子がヒトになることを望んだのは、銀子自身ではなくて紅羽の方だった。断罪のコートは、それは彼女を傲慢であると責めたが、幼い子供にそれを判断しろというのは無理な話だろう。「彼女が熊だからいじめられるのだ」と認識すれば、「彼女が熊でなければ」と思うのは当たり前のこと。そこに代償としての「好きの剥奪」を迫られても、小さな子供にはそれが釣り合った条件なのかどうかを判断することは出来ないだろう。結局、紅羽はこうして一番の「好き」を失い、銀子は熊の世界へ戻され、「ヒトと熊の間」で長い年月を待つことになった。これまで銀子は自分のことを罪熊だと言い続けていたが、改めて見れば、自分勝手な想いから銀子に厳しい人生を強いた紅羽も充分に「罪人」だったのかもしれない。

 その後の時代についてはこれまで語られた通りであるが、この記憶を紅羽が思い出したことで、彼女の決心は確固たるものとなった。銀子から紅羽へとかけられていた愛情は純粋に彼女の本心であり、彼女が壁を越える願いを抱え、ここまで苦労し、命を投げ出すまでの指命を果たそうとしていたのは、全て紅羽自身の責任だったのだ。となれば、もう彼女にこれ以上の負担を強いることは出来ないし、今度は紅羽の側が責任を果たす番である。クマリア様に改めて願う。壁を取り除きたい、二人で壁を越えて本当の好きを手にしたい。彼女を嵐に巻き込み、鏡を割って手を差し伸べてもらったのだから、次に紅羽がするべきことは、手を伸ばしてそれに応えること。自分を破壊し、紅羽は熊との境界を越える。

 好きが届き、クマリア様は再びその姿を取り戻す。これまでのモノローグなどから分かっていたことだが、その姿は泉乃純花のものである。純花の姿をした眼鏡のクマリア様が降臨し、ユリを承認する。そこでの紅羽は、純花の姿を見ても一切の躊躇いを持たず、その視線の先には銀子だけがいた。純花は大切な友達であり、彼女の「好き」を取り戻してくれた大切な人であることに変わりはない。しかし、今彼女が応えるべきは銀子であり、彼女を受け入れ、彼女に受け入れてもらう時に、そこに純花を介入させる余地は無かった。二人のユリは承認され、本当のキスを交わした2匹の熊は、そのまま次の次元へと旅立つのである。

 「次の次元に旅立つ」という結末は、常人には理解し得ないものである。彼女たちは一体何を成し、これからどのようになっていくのか。それは誰にも分からないが、少なくとも物語はここで間違いなく終わる。澪愛の描いた絵本もここで終わり、アニメもここで終わるのは間違いないだろう。しかし、それでも時間は進み、世界は続いて行く。彼女達が去った後にも、この世界には断絶の壁が残りつづけているし、学園はそのままの姿でヒトの世を作り続ける。その代表となったのは、最後までヒトとして、嵐の中心を維持し続けた大木蝶子である。残された「ヒト」として、蝶子は最後までめざましい活躍を見せてくれた。「壁を越える者への嫌悪」を強く示し、最後まで「私たちは透明であらねばならない」「悪は排除すべし」の姿勢を崩さずに透明な嵐を維持し続けた。「透明になったら、誰があなたを見つけてくれるというの」という紅羽の訴えに対しても、彼女は一瞬の躊躇いこそみせたものの、最後の最後まで、理屈ではなく信念で「透明であること」を崩さなかった。なるほど、これまでたくさんの「ヒト」が透明であることを望み、そのたびに熊に滅ぼされてきたが、最後の最後まで残った蝶子こそ、ヒトの体現者、嵐の体現者として最良にして最適である。熊へ辿り付いた紅羽を見て、他の生徒たちがその力を維持出来ずに挫けていく中で、彼女は必死に叫び続けていた。「迷うな」「考えるな」。それこそが「透明な嵐」であるための条件。彼女もまた、自分の世界を求め、貫き通したもう一人の主人公であったのかもしれない。

 透明な嵐には、常に「悪を排除する」ことが求められる。このことは、不可思議な矛盾を孕んでいる。何しろ悪になってはいけない、異分子はいけないと言い続けながら、その異分子を常に内部に見出し、排除することでシステムが回るのだ。椿輝紅羽という「悪」が消え去り、ヒトの世界は平穏になった。しかし、システムはまた次の悪を求め続けている。新たに登場した亜依撃子は、クマリア様をその目で認識してしまったおかげなのか、サーチイビルの最中に集団を抜け出し、排除された百合川このみに手を差し伸べた。彼女は新たに壁を越える存在として、嵐の中に飛び込んでいくことになる。最終的にこのみさんはとてもとても美味しい役回りになってちょっと嬉しい。サイボーグ熊にされたときには本当にどうなるかと思ったものね。毎週ゲスゲスビリビリいうだけの機械になるのって、どの熊よりも悲惨な扱いじゃないかと思っていたのだけど、最後にこういう救いが差し伸べられるのは良いな。常に嵐があり、熊があり、そこにユリがあるのだ。

 また、当然といえば当然だが、るるの物語にもきちんと結末が用意されていたのは嬉しいところ。そうだね、るるは銀子に想いを伝え、好きを、未来を残して退場したわけだが、彼女にはまったく同じようにして無償の愛を訴え続けていた大切な弟がいたのだった。ひょっとしたら、最終話で最大の救い、ハッピーエンドが与えられたのはるるだったのかもしれない。初めて心からの笑顔で会話出来た姉弟の笑顔は、本当に眩しい。みるんと2人で幸せに過ごせるといいなぁ。

 いい最終回だった。ユリに幸あれ、熊に幸あれ。


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