○「俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件」 4
もう、こうしてタイトルをタイプするだけでもSAN値が削られるこの感じ。ラノベ文化はかくも尽きまじ。
製作がSILVER LINK、そして監督は神保氏という「プリズマイリヤ」からの流れ。「神保さんの監督作品が続けて見られるのはラッキーだし、期待してるぜ!」と言いたいところだが、流石にそこまでお花畑な期待は持てないよなぁ。タイトルから予想される通りのものがそのまま出てきましたね。残念ながらそこまでキャラクターデザインに魅力は無く、作画も1話目からそこまで力が入ってない感じ。何故か次回予告でちらっと見た2話の方が気合い入れて作ってそうな気もする。1話目は露骨なエロ描写はそこまでなかったが、2話目ではそっち方向に思い切りアクセルを踏んでいるようなので、その影響だろうか。まぁ、そこで気合いを入れてくれるなら頑張ってくれてええで。ただ、お嬢様学校っていう設定なのにあのミニスカ乳袋はどうなんですかね。ケツの描写にやたら気合いが入ってるのは誰のこだわりなんですかね。
別にクソラノベだから悪いというわけではない。そもそもわたしゃ「脳コメ」だって「がおられ」だって楽しく観られたのだ、正統にあの系譜を受け継ぐアトモスフィアを醸し出すこの作品だって、ひょっとしたら楽しくなっていくのかもしれない。もう、この舞台設定だって潔くていいじゃないか。まぁ、どう見てもエロ漫画の設定だけども……桂井よしあきにやらせろ(もうやってる)。
ただ、「脳コメ」「がおられ」などと大体同じような(?)設定ながらも、現時点ではそこまで初撃のインパクトが無い。1話目のキャラの押し出しがあまり強くないように感じるのだ。テンプレ設定の多いラノベキャラは、何をしても目新しさなどは感じられないために、ただひたすら属性フル装備で一転突破を狙わなければならない風潮がある。とにかく1つの技を磨きに磨き、斉藤一の牙突のようにその一撃で相手を仕留めるのが最上だ。「がおられ」はその分かりやすいサンプル群である。しかし今作においては、とりあえず「お嬢様学校」という設定が先にあるため、なかなかそこにイレギュラーなキャラ設定を盛り込みにくい。1話目でメインとなったヒロイン(メインヒロインと捉えていいのだろうか?)は、「素直過ぎて何でも信じてしまう」という設定ではあるのだが、その馬鹿な部分、素直な部分は、他の浮世離れした「お嬢様」たちにも共通する属性であるはずなのだ。それではキャラとして1人だけ立つ理由が無い。もちろん、1人だけ突撃してきて主人公を拉致っていくなどの奇行も目立つわけだが、あまり突飛なキャラ付けをすると、今度は「閉鎖空間のお嬢様学校だからみんなして常識が全く無く、とんちんかんな観念で生きている」という(およそ無茶な)基本設定からどんどん逸脱し、世界観そのものを揺るがしかねない。そもそもこのお嬢様学校設定の時点で色々と破綻しているのに、その破綻した設定をさらにひっくり返したところで、この世界の常識の線引きが分からなくなるだけで、キャラの掘りさげに繋がらないのである。
まぁ、真面目にそんな余計な心配をしながら見守る作品じゃないのは重々承知しているが……面白くなるといいですね。なんか、こういう設定ってラノベっていうよりも一周回って80年代くらいのギャグ漫画の設定だよな。いわば「おぼっちゃまくん」と大して変わらないっていう。そう考えると、逆に微笑ましく観られる気も……する?
中の人は、主人公に田丸氏、メインヒロインは「実は私は」に続いて芹澤優。堅実な仕事ぶり。さらに回りの多くのヒロインも若手で固められており、あまり聞いたことのない名前も多い。まぁ、この辺りから地盤固めしていくのは理想的な一歩目なのかも。しかし、そんな中で一際異彩を放つのは、学長役の本田貴子である。本田さんがあんな声出してるの初めて聞いたわ。なんて仕事させやがるんだ。
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