最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
過去編突入、第2話。どうやらしばらくはこの八雲さんの過去話で展開していくようですね。三つの声が聞こえてくる八雲さん、時代の感覚が次第に曖昧になる変な感覚。 今回も相も変わらぬ緊張感。畠山監督はよくもまぁこれだけピンと張り詰めた緊張感を毎回維持出来るもんだ。見終わった後にへとへとになってしまうんだよ。基本的にシナリオラインはおよそ予想のつくものであるから、今作で見るべき点は「どのように心情をみせるか」と「どのように落語をみせるか」の2点。後者については落語を知らない人はちょっと追いかけるのが大変かもしれないが、前者の方は普通にアニメの文脈で解題出来る部分だ。 第2話はいわば「顔見せ」の段階ということなるだろうか。ここで描かれるべきは菊比古(後の八雲)と初太郎(後の助六)という水と油をなす2人の対比。冒頭、師匠の門前で出会うところから、この数奇な運命の2人ははっきりとした対比を成して描かれている。興味深いのは、どちらも「親に捨てられた」という暗い生い立ちが共通している部分。初太郎がどういう家庭環境だったのかは厳密には描かれていないが、普通に考えたらたとえこの時代だとしても辛い幼少期であるのは間違いない。「この歳じゃ辛いよな」と本人が言っていた通り、幼いながらに苦しい人生を歩んできたはずだ。そして、一見すると恵まれた家庭に生まれたように見える菊比古。実際、衣食住に足りないという経験は一度もしていないだろうが、それでも彼には親との隔絶という辛さがある。「捨てられた」と本人が認めている(もしくは思っている)時点で、2人の経験した「辛さ」は似たり寄ったり。その上で、初太郎の方は持ち前の明るさでもってそれを感じさせないように生き抜いているだけである。 興味深いのは、門前で二人が初めて出会い、初太郎が手を差し出したシーンの光源の位置取り。普通に考えると、底抜けに明るい初太郎の方を「光」側、沈んだ表情の菊比古を「影」側に置きそうなものだが、このシーンでは菊比古の後方に真夏の太陽があり、門の陰になった初太郎が薄暗く、日なたから入ってきた菊比古の腕が真っ白に光って映し出される。言葉で見ると「最初からどん底で生きている初太郎が、暗い世界に菊比古を引きずり込む腕」に見えないことも無いのだが、このシーンで際だっている色彩は、どちらかというと菊比古の腕のあまりの白さ、江戸っ子っぽく言えば「なまっちろさ」である。陰にいる初太郎の方がよほど活き活きしており、日なたにいるはずの菊比古は汗を浮かべて今にも倒れそうで、何ものかに打ち倒されそうにすら見える。「綺麗な身」でありながら人生に行き詰まってしまった菊比古が、薄暗く、時に汚くすら見えてしまうような初太郎の「芸」の道に転がり込み、そこで新たな生命を繋ぎ始める、そんな始まりのシーンに見えるのである。 その他、実際の落語との絡みでは、2人の初高座のシーンははっきりと対比を成して様々な側面から2人の違いを際だたせる。今回一番息が詰まるのは、当然菊比古の初高座だ。今回も石田彰の見事なさじ加減でもって、若かりし八雲がまだ何も分かっちゃいない菊比古として、流暢ながらも、上滑りする落語を見事に披露してくれている。初高座とはいっても、とちったり詰まったりしないあたりがいかにも彼らしい。口から言葉がすらすら出るのは真面目に続けた鍛錬の賜物なのだろう。しかし、その噺には魂が宿らず、演じている菊比古が一番焦りを感じている。「仔褒め」は典型的な与太郎話で、いかにも間抜けな登場人物の台詞のちぐはぐさを楽しむものだが、それが笑いに繋がらず、客の頭の上をスルッと抜けてしまう「無様な噺」は、この道の厳しさ、そして菊比古の当時の落語へのスタンスがはっきりと分かるものになっている。 転じて、高座に上がるなり第一声からいきなり空気を掌握してしまう初太郎の初高座。彼の高座になった途端にカット数がグッと増え、彼の表情・芝居に合わせてカメラがぐんぐん動き、所作の勢いの良さがにじみ出る。でたらめな部分もありながら、彼のエネルギーは全ての客を引きこみ、気付けば菊比古にすら笑顔を与える。一瞬で吹きさった嵐のような「時そば」。強引極まりないオチの付け方、勝ち誇ったように引き上げる初太郎の顔と、それに呼応するかのように本人の意志とは無関係に浮かんでしまう菊比古の笑み。師匠には「まったく正反対」と言われていた2人の表情が、初めて一致した瞬間である。 さぁ、ひとまず2人は「噺家」になった。次のステップは「どんな噺家になるか」だ。我々視聴者は、「名人」と言われる八雲の落語は知っているわけだが、現時点ではとてもそこに結びつくような様子もない。また、この後助六がどんな人生を歩むのかはまだ分からない。奇縁が紡ぐ2人の男の物語、この緊張感は、まだまだ続きそうだ。 PR |
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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