「第10回声優アワード」結果発表のこと

　そういえば、声優アワードが発表ですってね。もう、昨年度の結果発表の時点で色々がっかりしたので、今年からはあんまり追いかけないことにしちゃった。毎年年末に書いてた予想記事も今年は書いてないし、実際に一切予想とかもせず、今日だってどこぞのニュースをみて「そういやそんなのあったな」くらいの反応である。

　でもまぁ、せっかく結果発表を見たのだから、一応雑感くらいは書いておきましょうね。このアワードがどのような意味を持つのかも、毎年改めて考えていけば良いのですよ。

 

 

 

 

○主演男優賞

福山潤(06) 宮野真守(07) 神谷浩史(08)

小野大輔(09)(14)　該当無し(10)　平田広明(11) 梶裕貴(12)(13)

２０１５・松岡禎丞

 

　まぁ、いつかは受賞しなきゃいけない人材ではあったが、いわゆる「若手」枠の中で彼が突出して選ばれた理由ってなんなんだろう。信長、石川あたりは完全に同一線上にいると思うのだけども。最近だと小野賢章あたりも元気だったわねぇ。最後まで観られなかったので知らないのだが、受賞セレモニーの生放送が時間の関係で最後に受賞した彼のコメントだけ切られた、ってのはいかにもよしつぐらしくて良いと思います。

 

○主演女優賞

朴璐美(06) 平野綾(07) 釘宮理恵(08) 沢城みゆき(09)

豊崎愛生(10)　悠木碧(11)　阿澄佳奈(12) 佐藤利奈(13)　神田沙也加(14)

２０１５・水瀬いのり

 

　いのすけ羽ばたいちゃった……。まぁ、今年の活躍を見れば別段問題はないけど、やっぱり新人賞でワンステップ置くべきな気はするよな。でもな、去年の受賞者のおかげでワンステップがどうこうとか実績がどうこう言う意味は一切無いしな……。選考理由の最初に「心が叫びたがってるんだ。」がクレジットされているので、当アワードは劇場作品で主演を務めると有利になるみたいです（適当）。

 

 

○助演男優賞　

石田彰　宮田幸季(06) 神谷浩史　小野大輔(07)

井上和彦・杉田智和(08) 浪川大輔　三木眞一郎(09)

岡本信彦・中井和哉(10)　木村良平・宮野真守(11)

小野友樹・諏訪部順一(12) 細谷佳正(13)　小西克幸・森川智之(14)

２０１５・鈴村健一・細谷佳正

 

　ダブル受賞の人と、２年ぶり２度目の受賞の人。だからさ、なんでこれだけ選択肢の広い助演賞で受賞者が被るんだっつうの。まぁ、それだけ厳正にどこぞで投票・集計してますよ、ってことなのかもしれないけども……それなら後ろでどういう審査が行われてるのかをもっと公にしてほしいんだよなぁ。同じ人の受賞が続くと、「今の声優業界はあんまり人材がいません」って言ってるみたいに見えてしまうんだよな。いや、でも細谷おめでとう。彼の紹介ムービーで「デス・パレード」に言及されていたので全てを許そうではないか。彼の受賞スピーチでしつこいくらいに「フリーになったのに、フリーの自分が」って事務所やめたことを繰り返してたのがいかにも彼らしい神経質なコメントで笑ってしまった。そんなに卑屈にならんでも。事務所とか関係無しに選んでくれる人はいっぱいおるんやで。鈴に関しては、堂々としたシェーを見せてくれたので、何もかもオールＯＫ。

 

○助演女優賞

小清水亜美　後藤邑子(06) 釘宮理恵　斎賀みつき(07)　

遠藤綾　沢城みゆき(08) 井上喜久子　堀江由衣(09)

新井里美　伊藤かな恵(10)　加藤英美里(11)　

大原さやか・戸松遥(12) 石川由依(13)　沢城みゆき・花澤香菜(14)

２０１５・伊藤静・早見沙織

 

　ここは割と好きです（現金）。御前がこういう舞台に立ってる姿は実に華やかでいいわねぇ。案の定ドレスがエロかったしねぇ。みさおの受賞も「いまさらかよ」って感覚こそあれど、これでようやくおいちゃんと同じステージに立ったってことで安心感があります。登壇した時のぴしっとしたスーツ姿もいかにも彼女らしい。デビュー１０年目のいいとこのお嬢様と、２０年前はゲームショップのバイトで管巻いてた不良娘が同じ舞台で同じ栄冠を手にする。なんだか、人生の機微が見えるみたいで微笑ましい。御前は「助演」っていう看板が似合うのもまたいいよね（みさおは主演っぽいけども）。

 

○新人男優賞

柿原哲也　森田成一(06) 波多野渉　代永翼(07)

岡本信彦　梶裕貴(08) 阿部敦　前野智昭(09)　

内山昂輝(10)　江口拓也・松岡禎丞(11)　

島崎信長・山本和臣(12)　石川界人・山下大輝(13)

逢坂良太・斎藤壮馬・花江夏樹(14)

２０１５・梅原裕一郎・武内駿輔・村瀬歩

 

　武内君ワロタ。確かに今年(去年)のシンデレラボーイだし、新人賞という名前がこれほど相応しい人材もいないけど……彼のスーツ似合いすぎ問題はどうしたものか。同じく割と低音域の梅原君と並び立つとイケメンイケメンで迫力があるだけに、隣のうっかりすると女子高生みたいになる村瀬君が滅茶苦茶浮くっていう。受賞者を遡っていくと、ここ数年は必ず「高音域」が１人は紛れ込んでるので、ひょっとしたら和臣が作った新しいストリームなのかもしれん。とりあえず、男性受賞者もついに高校生が駆り出されてきたから、男性声優業界も若年化が進む……ことは無いだろうな。

 

○新人女優賞

平野綾　鹿野優以(06) 加藤英美里　小林ゆう(07)

阿澄佳奈　戸松遥(08) 伊藤かな恵　豊崎愛生(09)

金元寿子　佐藤聡美(10)　茅野愛衣・三上枝織(11)

石原夏織・大久保瑠美(12)　内田真礼(13)

雨宮天・上田麗奈・洲崎綾(14)

２０１５・上坂すみれ・高橋李依・田中あいみ

 

　………………まあ、誰もが思ったことだろうが、すみぺはどうなのさ……確かにデビュー暦を確認したらWikiでは2011年デビューになってるからギリギリセーフなのか。うーむ、でも並んでる他２人と比べると「新人感」が全然違うよな。でも、年齢は割と近いからなぁ。そう考えるとやっぱりすみぺすげぇや。でも、いのすけと場所変わった方がしっくり来るんでない？　すみぺの主演、最近割と多いし。高橋李依は確実にここのところ推されてきてるので納得の受賞。田中あいみに関しては完全に「うまるの中の人」でしかないので何とも言えないな。過去の新人賞受賞者の中では一番代表作が少ない気もする(当時のみかしーが微妙なところか？)。まぁ、これで箔をつけて今後改めて主役をもぎ取っていきましょうよ。いや、箔がつくのかどうか知らんけど。

 

○歌唱賞

水樹奈々(06) 平野綾・加藤英美里・福原香織・遠藤綾(07)

中島愛(08) 放課後ティータイム(09) 茅原実里(10)　

ST☆RISH(11) 後ろから這いより隊Ｇ(12) 宮野真守(13)　μ‘ｓ(14)

２０１５・i☆Ris

 

　個人的にはここもいいと思います。昨今のアイドル文化とアニメ文化、そして声優文化の融合が進んだ形態を体現してるグループの１つがi☆Risだと思うので。まぁ、僕はプリパラおじさんじゃないのであんまり触れる機会は無いのだが、実は昨年末だかに放送されたアニサマのステージを観て度肝を抜かれたので、「i☆Risはすごい、i☆Risはすごい」とうわごとのようにつぶやくこともあるのです。声優としては芹澤優ちゃんが１人突出しているが、それ以外の面々もジワジワ上がってきてるし、「戸松と彩陽だけが出たての頃のSphere」を見てるときみたいな楽しみがある。でも、どっちかっていうとアイドル業の方に力入れて欲しいけどね。あのパフォーマンスはもっと見せる機会が増えてほしいと思うからさ。

 

○パーソナリティ賞

浅野真澄(06) 鈴村健一(07) 神谷浩史(08) 小野坂昌也(09)

豊崎愛生(10)　井口裕香(11)　岩田光央(12)　該当者無し(13)　小野大輔・神谷浩史(14)

２０１５・鈴村健一

 

　２年前にも書いたけど、こういう受賞歴だと「声優のパーソナリティは新しく選出できる人材がいない、つまらないジャンル」と思われてしまうようで嫌なんだよなぁ。いや、鈴が悪いわけでなくてさ。もうちょっと何か広げようという努力はないものか……。まぁ、どこぞのデリケートさんや剃毛声優を選出しろとは言わんが。最近は声優ラジオがあまりにも多すぎて、かつてのように業界を牽引する大看板ってのが生まれにくい土壌になってるのが問題なのかもね。

 

○功労賞　・　千々松幸子・中村正・野村道子

○シナジー賞　・　ちびまる子ちゃん

○富山敬賞　・　森久保祥太郎

○高橋和枝賞　・　井上喜久子

○キッズファミリー賞　・　ピエール・コフィン

○特別賞　・　Ａ応Ｐ

○最多得票賞　・　神谷浩史

 

　というわけで、今回の最大の見せ場は、神谷兄ぃが期待通りに登壇し、殿堂入りという名の出禁をくらうというオチでした。もう、名前を「神谷浩史賞」に変えて今後も続けていけばいいんじゃないかな。「今年度の神谷浩史賞は神谷浩史さんです」を毎年やるっていう、一種の通過儀礼にしておくとか。それくらいの偉業ではあると思うよ。さて、来年から誰の名前がここにクレジットされることになるのか。……櫻井かな。今回のノリだと鈴村もちょっと怪しい。

　それ以外では、今年は故人を悼む「特別功労賞」が廃止され、今年逝去した功労者の名前を読み上げるスタイルに変更。あまりに多くの大物が逝ってしまったということである。そして、たてかべ和也や小川真司といった重鎮たちの名前の中に、あの松来さんの名前も。そういえばとも蔵もアワードでちゃんと名前を挙げて特別賞として弔われていたっけ。残念なことではあるけど、こうして改めて名前を刻むっていう行程が大事なのかもしれない。

　高橋和枝賞で17歳というのは何となく分かるが、はてさて森久保さんはどっからでてきたやら。いや、楽しいからいいんだけどさ。「業界で最もものまねされた声優に贈られる賞」とかだったら納得。キッズファミリー賞の人の名前を見ても「誰？」ってなるのはしょうがないよね。海外映画、観ないからなぁ。でもまぁ、あのキャラを見て子供が喜ぶってんならこういう受賞形式は面白くていいんじゃないだろうか。声優って職業は日本の中だけじゃないんだしね。１人で３役こなしてるってのは素直に凄いな。今度レンタルして観てみようかしら。

 

　こうしてみると、去年よりも火種は減ったような気もするし、それでもやっぱり腑に落ちないところは多い気がするし、真面目に予想とかして張り付いてなくてよかったな、とは思う。でもまぁ、肩肘張らずに見られるようになると、案外「こんなものか」って受け入れられるようにはなりますね。いや、何で去年まで肩肘張ってたんだよ、って話だけどさ。「こちとら遊びじゃねぇんだよ！」って、偉い先人が言ってた。

　来年も同じように追いかけて……るかな？