4月8日 ドラフト模様(SOI×3)
ピック順 【Sangriter】→【Sea-chicken】→【Mei】→【Serra】→【Alessi】→【Thraxi】→
新環境!! さぁ、年に4度のお楽しみだよ! 最近は割と環境変化が多いからそんなに待ちに待った感もないけどな! 前に新環境って言ったの2ヶ月前だしな!
しかし、今回はラージセットということで環境は様変わり。6色環境で近年まれにみるカオスだったゲートウォッチを抜け、やってきたのはやっぱりカオスなイニストラード。見慣れぬカードばかりのこの暗闇の中、真っ先に抜け出すのは一体誰になるだろうか。
個々のデッキの雑感の前に環境全体についてみておくと、大きく感じたのは「やっぱりゼンディカーって強かったんや」ということ。ここ数ヶ月の間、デッキメイクといえば「たっぷり取った使えるカードの中から純度の高いデッキを作るために取捨選択する」作業だった。コモンまで含めてほぼ無駄カードが無いという訳の分からない環境だったので、適当にピックしてもデッキらしきものは作れたのだ。無色マナが必要なカードだって、「無色マナがあればより強くなる」だけで、「忍び寄りドローン」や「コジレックの叫び手」を適当に運用するのも割と平気だった。
しかし、普通のドラフトってのはそういうものじゃないんだ、ということが久しぶりに思い出される。何気なくピックしていても、「このカードは人間がないと弱いから……」とか、「共鳴者がいないとマッドネスはなぁ」とか、ピック中にも「使えない」カードが多く流れてくる。デッキの全体像を見ながら、まとまるデザインを考えてピックするのは至難の業。さらに、両面カードのせいでまわりのピックが中途半端に情報として見えていたり、見えたところで環境全体が見えてないから全く有益な情報にならなかったり。他人の色読みやコントロールなんて出来るわけないやろが! しばらくは愚痴っぽい感想が続く環境になりそうやな!
AL SE TH SA ME CH
AL ー × × × × × 0ー5 6
SE ◎ ー × × ○ ◎ 3ー2 2
TH ○ ○ ー × × ◎ 3ー2 4
SA ◎ ○ ◎ ー ◎ ○ 5ー0 1 ○
ME ◎ × ◎ × ー ○ 3ー2 3
CH ○ × × × × ー 1ー4 5
1位 【Sangriter】 青緑 <サリアの副官 ウルヴェンワルドの謎 溺墓の探検者>
さて、記念すべき第1戦を制したのがこのデッキだったことを、この環境の指針としてしまっていいものかどうか……。最初の栄冠を手に入れたのは、この青緑ライブラリアウトである。デッキのコンセプトはあまりに明確。「調査して殺す」である。2枚ずつ揃った「束の間の記憶」と「ウルヴェンワルドの謎」が次々に調査をリソースとして回転させ、気付けばあっという間にライブラリが消し飛ぶ。何しろエンチャントが4枚並んだ状態でクリーチャーが1体死ぬだけで、人間トークン2体に手掛かりトークン2個が出現し、これでライブラリ12枚削れることが確定するのである。これに「エルドワルの照光」が絡んだりすれば、もう、なんだそれ。「いやいや、流石にエンチャント4枚なんてなかなか引けないし」と思うのが普通だ。実際、デッキ制作者も試合前は「今回は1度でもライブラリ削り切れたら満足」と卑屈に言っていたくらいだ。しかし、調査というシステムそれ自体がカードを引き増すため、必要なパーツは想像以上に早く出揃うことになる。ほとんどのパーツに手掛かりトークンがついており、何をやってもドローはまわる。「海墓のスカーブ」「黴墓のゴミあさり」「溺墓の探検者」などが地上を固め、「抗えない抑止」×2「行方不明」×2と牽制も可能。いざとなったら「行方不明」でライブラリトップに送り、削ることで除去にもなる。この技によって、開幕戦だというのにオリヴィア・シガルダ・ナヒリといった歴戦の勇者たちが次々に行方をくらませてしまい、マジでイニストラード大丈夫か。とにかく調査というギミックの強さをまざまざと見せつけた形だ。今回、6人での色使用のうちわけは青以外の4色が全部3人で分け合い、青だけは独占色になっている。そのためにここまでの完成度を持つデッキが自由に組めたわけだが、再びこんなデッキがでてくるのかどうか。恐ろしい世界だ。
2位 【Serra】 赤黒 <癇しゃく 殺人衝動 悪魔の遊び場>
上のデッキは、どこかで「青の調査をかき集めてグダらせるクソデッキが案外いけるらしいよ」ということを小耳に挟んでチャレンジしたらしいのだが、いわば邪道。環境前の下馬評で言えば、こちらのデッキは目に見えてプッシュされていた大本命。上のデッキがちょっと異常すぎただけで、こちらのデッキもコンセプトのまとまり方はかなりの高水準、存分に新しいギミックを見せつけてくれた赤黒吸血鬼マッドネスである。「癇しゃく」→「放たれた怒り」→「流城の導師」というピックから見るに、もうこの赤黒は決め撃ちだろう。幸い上とは喧嘩せずに済んだし、吸血鬼ギミックは誰も狙いにいかなかったのでそれなりの収穫量。中でも3パック目の怒涛のレアラッシュは圧巻で、「悪魔の遊び場」から「戦場に向かう者、オリヴィア」→「災いの狼」→「罪を誘うもの」という訳の分からない集まり方。これらの単体押しに加えて、「貪欲な求血者」や「傲慢な新生子」から的確にマッドネスを繋ぎ、「癇しゃく」「ステンシア仮面舞踏会」「マウアー地所の双子」などをたたき込んでいく。様々なカードのパワーが注目される中で、個人的に一際気をつけたいと思ったのは「傲慢な新生子」だろうか。マッドネス役として小粋に仕事ができる他、1ターン目に動ける上に威迫のおかげで案外長い間クロックを刻める。さらに「仮面舞踏会」の他にも「甘やかす貴種」「流城の導師」など、吸血鬼は成長させる要素も多いので威迫持ちのボディは後半までかなり効いてくるのだ。事実上の決勝はかなりアツい試合だったが……惜しかったなぁ。
3位 【Mei】 白黒 <収穫の手 苦渋の破棄 スレイベンの検査官>
上2つのデッキは完全決め撃ちデッキだった。まぁ、初めての環境なんてある程度決め撃ちで挑むか、1引きのカードに依拠していくくらいしないと対処しきれないと思うのだが、そういう逃げを打たずに正々堂々パックと戦ったのがこちら。まぁ、1引きで無色のカードを引いてお茶を濁すのが正々堂々かは分からないが。とにかくその結果流れ着いたのは白黒というカラーリング。2パック目で「苦渋の破棄」が引けたことでこれが決定的になった。白黒はあまり求められるアーキタイプがはっきり見えない色であり(一応トークン系らしいのだが)、こちらのデッキは調査・昂揚・マッドネスなどの新ギミックをちょいちょいつまみながらの幕の内弁当。今回意識的に昂揚を狙ったデッキメイクをしているのはここだけで、装備品もアーティファクトを墓地に置く1手段として用いられている。昂揚がプラスになるカードは大して多くないのだが、「天翔る月銀の魂刈り」が昂揚することがこのデッキの主な勝ち手段。何しろ「近野の司祭」が2体とれているのでスピリットトークンの生産高がかなり高く、空から数で押すビート、「魂刈り」で押し切るビートの2つの体制を選択出来るのだ。そういう意味では、昂揚というよりは墓地にカードを送ってのフラッシュバック戦術ってのがこのデッキの肝だったのかも。上手いこと渡り歩いてるなぁ。
4位 【Thraxi】 白黒赤 <ファルケンラスの後継者 マルコフの戦慄騎士 内面の葛藤>
今回最もみっともないデッキメイクをしてるのは私だろう。毎回環境初回はある程度決め撃ちしていたのだが、今回はそこまで考えてなくて、1つやりたいと思ってたこともタネが全然揃わないので脳内だけで終わってしまった。そりゃまぁ、ライブラリアウトだってやりたいとは思ってたけど、あんだけ普段からアピールして1戦目から決め打ちってのもお下品ですし、何より今回はそんなデッキに行けそうな気配は欠片もなかったのでそもそも想定にほとんどのぼらなかった(キーパーツである「束の間の記憶」は2枚とも逆回りの時なので1枚も見てない)。で、何をしたかっていうと「ファルケンラスの後継者」1引きからの手なり。黒ならマッドネスで青黒行ける目もあったのだが、流れ的に白が余ってそうだったので白を2色目にし、強いてコンセプトとして独自のものがあるなら「療養所の骸骨」を上手く回転させるデッキ、というところか。黒も白もパーマネントをサクるカードが多いからね。しかし、2パック目で下からプレインズウォーカーがこんにちはしてしまったところで揺らぎが生じ、さらに逆回りになると当然上2人がやっている赤の流れが濃くなる。ここで「まぁ、ナヒリに触るならどうせなら……」ってんで赤にも手を伸ばし、「内面の葛藤」や「狂気の預言者」を選択。最終的に、赤をタッチというには多すぎるくらい入れた白黒タッチ赤で今回唯一の3色デッキ。マナサポートのアンコ土地が偶然このマルドゥに合う色だったのはラッキーだったが、それでも色マナサポートは乏しく、圧倒的マリガン回数を誇って駄目な時は為す術もなく死んでいった。それでもそこそこ勝てたのは、「内面の葛藤」×2に「天使の粛清」といった除去が優秀だったおかげだろう。ナヒリも充分活躍してくれたし、マッドネスの運用感もそこそこ。白赤ビートを組むならマッドネスを活用するためにも「厳格な巡邏官」は結構なキーパーツになりそうやな。
5位 【Sea-chicken】 緑白 <優雅な鷺、シガルダ 狂気の一咬み ナッターノールズの隠遁者>
こちらは1引きレアからの決め打ちパターンだろうか。シガルダさんが来ちゃったからさっさと下に色主張。正直、白緑らしいシナジーとかはあんまり無いけど、とりあえず色があって戦力になりそうなカードを全部突っ込んでおこう、というデッキ。まぁ、環境1戦目なんだからとりあえずこうやって体裁を作っておいて、個々のカードの関連性は実体験で探っていくしかないわな。しかし、残念ながら今回の環境はそうした愚直な肉にあまり優しくない。愚直さを鼻で嗤うライブラリアウト、狼男なんて悠長な生き物を待ってくれない残酷な吸血鬼、墓地からホイホイスピリットが出てくる理不尽なリソース詐欺など、土俵の上で組み合ってくれない連中ばかりではどうにも分が悪いのである。実際、シナジーが薄いために「鼓舞する隊長」や「剛胆な補給兵」といったシステムが機能せず、単に4マナ3/3の肉として提供されることが多かったことからも改善の余地は窺えるだろうし、「霊体の羊飼い」も単なるフライヤー。カードがまだまだスペックを発揮していないのである。全部これからの話だが……前の環境で勝てなかった分、なかなかフラストレーションは溜まる。私生活でもストレスフルな生活が続き、限界も近い様子。「知らないどこかの誰かさんの応援が必要な時期かもしれん」と藁にもすがる思い。窮状のシーチキンに愛の手を。
6位 【Alessi】 赤緑 <古き知恵の賢者 壌土のドライアド 既決殺人犯>
当然一番予習をしていないのがこちらで、「両面カード引いてればええんやろ?」というどこで聞きつけたかもよく分からない情報のみを頼りにピックスタート。まぁ、1引きはレアだからそれはそれでいいんだろうが、そこからも有言実行で狼男へ一直線。次々に両面カードを引いていくが、やっぱりそこでおしまい。何しろ上も赤をやっているわけで、低マナ域を埋める吸血鬼、そしてピンポイントの除去などは目減りする。狼男なのでどうしたって動きはもっさりしてしまい、3マナ以降で展開した人狼は裏返すのにさらに1ターン、トータルで2手遅い。「ガツタフの放火魔」クラスなら表で充分戦えるので構わないのだが、今回ネックとなった「既決殺人犯」がいまいちポジションを取れてない印象だった。一応狼男サポートには「ウルリッチの同族」や「上弦の月の教団」などもとれているのだが……まだしばらくは正解の見えない模索が続きそうだ。
今回のピック表
【Sangriter】(青緑)→ 【Sea-chicken】(緑白)→【Mei】(白黒)
↑ ↓
【Thraxi】(白黒赤)←【Alessi】(赤緑)←【Serra】(赤黒)
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