最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
涙、涙、涙の第20話。今回ばかりは何を書いても野暮としか思えないのだが、敢えて言語化しないと落ち着かない業の深さは御容赦願いたい。
まず、真っ先に言ってしまうと、ライブ中のあれこれについては、正直ダレ気味である。既に2回の学園祭を経験してきた放課後ティータイム。学園祭ライブに向かうほど良い緊張感こそあるものの、唯の超人的なMCパフォーマンスへの耐性などもあり、初々しさは感じられなくなっているし、トーク自体も特に目を引くものではなく、むしろ素人芸としても甘い部類だ。過去のエピソードで学校の生徒達とバンドメンバーがそこまで仲良くしていた描写もなかったので、あそこまで人気を博し、大勢から祝福、応援されるノリも理解しにくい。たかだか年1回2回のライブしか披露しないバンドが、あの程度のパフォーマンスで熱烈なファンがつくとは思いがたいのである。 そして、ライブの演奏シーン自体も、この作品のクオリティのベースを考えれば、特に驚くようなレベルでもない。どうしてもライブシーンというと「God knows…」を熱唱したハルヒのそれと比較してしまうのだが、「歌唱シーン」としての単体の迫力は、あれと比べるべくもない。ひょっとしたら、1期のラストで決めた「ふわふわ時間」のときよりもユルいものだったかもしれない。そう考えると、個々のシーンをパートパートで見てしまうと、「何故ここまでクるものになったのか」は分かりにくいエピソードである。 しかし、である。改めて確認するが、今回の話は、クる。視聴後に放心してどうしようもなくなってしまう、そんなエネルギーに充ち満ちている。過去に放送してきた約30話の物語を、放送してきた2年という歳月を、そして唯たちが過ごしてきた3年間の学園生活を収束させるだけのスケールを持っている。この演出力。当然と言えば当然だが、ライブシーン込みの回のコンテは石原立也氏。流石というしかない。 今回のエピソードにおいて、勝手ながら2つのテーマ性で大きくくくってみた。これが面白いことに、作品を彩る2つの楽曲、後期オープニングとエンディングに繋がっている。1つ目は「Utauyo!!MIRACLE」の曲のラストを飾る「ありがとう」のリフレインだ。今回披露された「U&I」が唯と憂の関係性をクローズアップした曲であることからも分かる通りに、今回のライブでクローズアップされた要素は、「ありがとう」に代表される「関係性」と「感謝」の妙。 ライブシーンがユルい、と評したわけだが、ユルくなっているのは手抜きや描写不足などではなく、そのユルさ自体が放課後ティータイムそのものであり、この「けいおん」という作品の骨子であるため。1人果敢にライブに挑み、観客を圧倒してみせた涼宮ハルヒと違い、放課後ティータイムの至上命題は、冒頭のTシャツサプライズにもあるような客席とのインタラクションにある。そのことはオープニングアニメーションからも確認出来るだろう。1期ライブシーンはさわちゃんなどの具体的な支援者の姿だけがかろうじて描写された程度だったが、今回のライブにおいては、和や憂やさわちゃん、そして客席を埋めるたくさんのクラスメイトの支えを得て、彼女たちはステージに立つ。愛し愛されて成立しているスタイル自体が、回りの全てを必要としているのだ。そうした「全てを巻き込んだ楽しさの形」としての「けいおん」が、今回は余すところ無く発揮されていたと思う。 色々と細かい部分を見ていけばきりがないが、例えばロミジュリの配役決定の時に凄く興味が無さそうだったクラスメイト(いちごちゃん)が講堂の外でTシャツを配るのに協力していたり、前回誘致したオカルト研の部員が客席で拍手していたり、ここまで一切姿を見せなかった唯の両親(だよね?)がついにその存在を明かしたり、1つのガールズバンドという小さな小さな集まりを中心に広がっている「けいおん」ワールドがここに来て1つの形として結実したことを感じさせるのである。今回のライブを見終わったあとで改めてオープニングを聞くと、「大好きをありがとう。愛を込めてずっと歌うよ」という唯の切なメッセージが強く印象に残る。 そして2つ目のテーマ性は、やはり「思い出」である。1期の締めは2年生の学園祭。そして、ここで1つの終局としてふさわしい舞台、3年目の学園祭。そこには彼女たちの歩んできた3年間がぎっしりと詰め込まれている。 具体的な演出で言えば、過去のエピソードを嫌でも刺激する細かいカット割り。ライブ冒頭で唯がすっころんで立ち上がるポーズは、あの伝説となった「出番だよ、ギー太」。また、「転ぶ」というアクション自体が、1期学園祭エピソードで唯の成長を表すツールとして用いられていたし(1話では転んだシーンが、12話では転ばなくなった)、ギー太との思い出は、唯が軽音部として取り組んできた3年間そのもの。開幕前に2年目の学園祭の話が出た時には唯が申し訳なさそうに縮こまっていたが、「U&I」演奏中に唯がメンバーの方を振り返って楽器を演奏するシーンは、その2年目学園祭のクライマックスと重なるだろう。 他のメンバーについても、特に澪の成長は分かりやすい部分で、急にロミジュリのネタを振られて一度は嫌がった彼女も、案外すんなり客のニーズに応えることが出来たし、最後の「U&I」演奏中の彼女の満面の笑顔は実に印象的。これまで散々ヘタレた姿を見せてきただけに、大舞台での雄姿は感慨深いものがある。また、意外なことに今回最後の最後まで一切涙を見せなかった梓。普段ならば真っ先に泣きそうな彼女だが、これまで散々面倒をかけてきた4人の先輩達の立派な姿に、彼女だけは少し異なる達成感を覚えている。「来年も続く」という点において彼女だけ立ち位置を異にするのは嬉しくもあり、寂しくもあり。自分はまだ涙を流すだけのことをやっていないという自負みたいなものがあるのかもしれない。 そして、歴史に残る名シーンとなるであろう、最後の部室。心配していたライブが大成功に終わった達成感と心地よい疲れ。みんなで演奏できる楽しさ。そんなもので必死に覆い隠そうとする「終わり」の事実。「来年の新歓ライブは……」という一番「辛い」台詞を切り出したのは澪。そこに全員が乗っかってみせるが、突っ込みをいれたのは、やはり部長であった。あとはただ、涙、涙。蓄積があり、思い出があるということは、そこに必ず終わりがやって来るということ。今まで影の様にぴたりとつきまとっていたそんな恐怖が、今回一気にメンバーの前に吹き出した。ただ膝を抱えて嗚咽する澪、子供のように泣きじゃくるムギ。普段のふわっとしたノリで堪えてみせようとする唯、そして必死に明るく乗り越えてみせようとする律。そんな辛さに痛いほどの共感を覚えながら、支えていく梓。5人の気持ちが完全に1つになって、最後の「思い出」が出来上がる。 見事な流れで迎えるエンディングテーマ「No,Thank you」。「思い出なんかいらない」と力強く熱唱する澪。「思い出浸る大人のような甘美な贅沢」は「まだ遠慮したい」と訴えるが、時間の流れは止めることが出来ず、大好きな「今」が終わっていく切なさを訴える。かけがえのない「思い出」のエピソードの締めとして、これ以上の形があるだろうか。 「成長」「足跡」という2つの青春の因子を見事に結実させたこのエピソード。非の打ち所はありません。これがこの作品の全てだと思います。 最後に立場上、蛇足と分かっていても一言。ラストの部室のシーンがあそこまでの完成度となったわけだが、やはり中の人のことも考えないわけにいくまい。「泣き」は演技のハードルが最も高いジャンルの1つであり、今回はキャスト全員が満点と言っていい出来である。ムギの号泣、澪の嗚咽、唯の涙声、律の強がり。まだ若くてキャリアも浅いメンバーだけに、軽音部の悲しみはきっと彼女たちキャストにも全く同じように響いていたんだろうと思う。最大級のお疲れ様とありがとうを。 ま、まだ最終回じゃないからね! 来週以降もお楽しみに! PR |
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