「転生したら剣でした」 4→5
どーせ俺が「フランちゃんが可愛かったですね」とでも言うと思ってんだろ!? フランちゃんが可愛かったですね。
「幼女をひたすらに愛で続けるアニメ」としては充分な結果を残したと言えるんじゃなかろうか。どの話を見ても絶対にその中心にフランちゃんがいるに決まっているし、日常パートも戦闘パートも、とにかく彼女の愛嬌だけを見せられればいいや、という潔い構成なので狙いに迷いはない。可愛い主人公に対して、世界が一丸となり「フランちゃんは可愛いねぇ」と言ってくれるだけのお話なので、視聴者だって足並みは揃っている。映像クオリティも終始安定しており、「そういうPV」だ思えば失策はない。
あとはお話部分で興味を持たせてもらえば完璧……だったのだが、そこは残念ながらなろうの神様にどれだけ祈りを捧げたとて叶えられぬ儚き願い。「雑スキル付与チートなろう」の既存要素切り貼り展開には特に心躍る部分はなく、ただひたすらステータスウィンドウを開いてスキルをいじり倒すだけの展開はゲップが出るのを通り越してちょっと吐きそうなくらいに供給過多である。いい加減にこの「キャラクター全員が自分たちをゲームのいちユニットだとでも思ってる」世界には慣れた方がいいんだろうけど、多分これを脳死で飲み込めるようになったら、それはそれで終わりの始まりなのだろう。私はどれだけ老害だと思われても、この設定には抗っていきたい。
いや、結果的に面白いものが出てくれば別にお仕着せの設定でも構わないのよ? 例えば今作の場合、「主人公が剣である意味がないやんけ!」という当初のいちゃもんについては、終盤の「フランと師匠が分断されてピンチ!」と言う展開で一応意味を持っていたし、アマンダのキャラが強烈だったのでフランの歪んだチートが制限でもあり、武器でもあり、今後の伸びしろとしてキャラを立てていることにも思い至ることができた。トータルで見れば、まだ「考えて作っている方」のなろうだったとは思っている。ここからもう一歩、「ちゃんと自分で設定を考えよう」っていう意識からスタートできていれば、意外と真っ当なファンタジーとしても成立してたかもしれないんだけど……ま、今後のなろう視聴の1つの指針として活用させてもらおう。2期も決まってるらしいけど、多分2期の感想も「フランちゃんが可愛かったですね」から始まると思うよ。
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