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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ○「放浪息子」 6

 今期のノイタミナの密度はものすごいものがあり、ヤマカン・岡田麿里のコンビがお送りする「フラクタル」の後には、この作品が待ち受けている。監督があおきえい、シリーズ構成はなんと、岡田麿里だ。……関西だと「フラクタル」と同じ時間に「GOSICK」もやってるんですが、こちらも構成は岡田麿里だ。1時間で彼女の仕事が1時間半分楽しめるという、矛盾した状態だ。……マリー、過労で死ぬなよ。

 さておきこの作品。原作は未読で、実家にいた時に実兄がこの作者のファンだったので漫画は置いてあったのだが、何かの作品をちらちら流し読みして結局触らずじまいだった。後になってから「ささめきこと」のいけだたかしが対談をしており、そこで「男の娘」について熱く語っていたことで改めて興味をもったのだが、結局この作品がアニメ化することになり、「まぁ、アニメになるならその前に原作は読まない方がいいよな」ってことで保留していた。あおきえいの監督作品ってことで、少なからず期待もしていたし、ニュートラルな状態で観たかったのである。

 で、1話だが、なんと言っても特徴的なのは画面の配色だろう。ホワイトバランスを間違ったんじゃないかと思わせる、徹底的に光でトバした白、白、白。ものすごい光量だ。そんな状態だから一瞬「これって作画の手抜き?」とか思ってしまうが、実は白い中にもものすごいクオリティの描き込みが施されている。予想外の方向から、「見たことのない画面」が現れたものである。そんな中で微妙に顔の区別が付きにくいキャラクターたちが動くわけだが、白い中でキャラクターまでもが白く、ちょっと油断すると浮き上がるかのような不安定さを持っている。そして、そんな状態なのに、一切の「浮き」が感じられないのが紙一重。

 「フラクタル」との連続視聴だったということもあろうが、特にこの作品、一切緊張感が途切れる瞬間が無かった。1話目だというのにとんでもない人間関係が説明無しに流れていったことも理由としてあげられるが、中学1年生という微妙な年頃のキャラクターたちの落ち着かない心情がこちらにも伝染してしまったかのように、終始そわそわしてしまうのである。確かに思い返してみれば、6年という長い小学校生活を追えた後の「大人の第一歩」である「中学校」という舞台は、子供心に不安一杯、期待一杯の奇妙なフィールドであった。こういう年代を描いたアニメって案外少ない気がするのだが、普段なかなか刺激されないような奇妙なノスタルジーもあり、少年少女たちの多感な精神の揺れが、白い画面にジワジワとしみ出してくるのを止める術がない。初めての自己紹介でのやきもき感や、旧友との下らない会話での安堵感、そして過去の「恋人」との奇妙な関係性。女装男装というイロモノ要素を取り除いたとしても、この作品で描かれているモノは、どこか敏感な部分に触り続けている。

 そして、ぶっ飛び要素としての「男の娘」。今となってはオタクの萌え要素の1つみたいに拡散したファクターだが、おそらくこの作者にとっての「女装趣味」はそんな浅薄な理念から描かれたものではない(「バカテス」の秀吉のような、単なるキャラクターの1要素では終わらない)。女装趣味は主人公修一の人生を表すものであり、この作品のテーマそのものである。1話では恐ろしいことに「女装」という言葉はほとんど使われず、気付けば修一は「男の子」と「女の子」を自然に行き来する存在となっている。かろうじて姉からは責めを受けているものの、他の登場人物たちは、そんな修一の趣味について、完全に許容している状態になっているのである。

 おそらく今後の展開で改めてこのことについての「禁忌感」みたいなものは出されてくるのだろうが、これだけ「濃い」設定が「進学」という緊張感の中でするりと入ってきてしまう導入はどこか異様だ。おそらく、こういう「濃い」テーマを描くための1つの裏技が、画面を覆い尽くす「白」なのだろうと思われる。桜が舞い踊る「白」の中を闊歩する女装少年。そこには奇妙さ、異様さはあるのだろうが、どこか美しく、尊いものであるようにも見えてくる。この背徳感と隣り合わせの甘美さこそが、この作品そのものなのではなかろうか。予断を許さない作品です。

 最後は一応キャストの事。主人公の修一役は、完全に素人の子。微妙な年頃の微妙な声音を表現する手法として、まさかリアルで中学生男子を持ってくるとはおもわなんだ。確かに、このポジションをやろうとするとどうしたって女性声優になるのだろうが、それだとあまり切迫感が出ない可能性はあるので、キャスティング側の英断といえる。小学校からあがりたての幼さが残る感じは、拙いながらも面白い配役。同様にヒロインよしの役も新人だ。このあたりの先入観を抱かせない布陣が、今後吉と出るか凶と出るか。他の面々も色々と面白い名前が並んでおり、例えば千葉紗子・南里侑香のtiarawayコンビが久し振りの共演。千葉さん、産休明けで久し振りの顔見せでしょうか。また、南里侑香は南條愛乃と並べると南南コンビで、やたらアーティスト色の濃い布陣である。なんか、新鮮。

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