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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「推しの子」 7

 正直なところを話すと、来週以降のこの作品をあまり観たくないとまで思いました。ここから、1話目のインパクトを超えることは不可能じゃないかと、そう思えるくらいの1話目だったもんで。

 一応弁明しておくと、まずもって「1話目が1時間半」というとんでもねぇ形態は、正直他作品と比較できる域を超えてるので平等に評価のしようがないです。下手な劇場版よりも長い時間やってるわけで、そりゃ破壊力が増大する(可能性が高い)わけで。「尺が長い」という武器は、今作に限っては思いっきりプラスに振り切りました。そこんところは多少割り引いて考えないとフェアじゃないな、とは思うけど……ただ、初回で1時間半やって、こんだけの結果が出せる作品ってのはほとんど無いとは思いますが。

 原作未読。「かぐや様」の作者が原作、「クズの本懐」の横槍メンゴが作画、そして各種漫画賞などで話題になっていたこともあって気にはなっていたのだが、まぁほら、なんか軽そうな題材だな、と思っていたので積極的に触れることもなく、アニメ化が決定したあとは「ほなアニメでええかぁ」ってんで意識的に避けていた。そして、その回避のおかげでアニメ1話目が最大のフィードバックをもたらした。まさかこんな作品だとは思ってなかったんで。いや、「どんな作品か」ってのは1話目を見終わった後でも受け止めかねている部分はあるのだが。

 私のように初見で触れる視聴者もいることを考えると、この「初回1時間半」という業界を揺るがす大チャレンジは大きな意味があったと言えるだろう。おそらく最初の30分だけでも文句なく作品としては成立するだろうし、今回やったところを3話分割で放送してもそこそこの話題性はあったとは思うのだが、やはり3話まで見てもらうハードルってのは現代社会では相当に高いものだ。「1話目」にあたる内容ってのは、言うてしまえば「今死んだら推しの子に生まれ変われる」というネットミームを取り上げた一発ネタにしか見えないわけで、面白おかしくもあるが、ぶっちゃけ「キモい」。キモオタ根性に慣れてしまっている人間ならそこで視聴をストップする理由にはなるまいが、「ハイハイ、キモいオタクの妄想劇場ね。アイドルアニメでもあるだろうし、キモいだけだからパスパス」となってもおかしくはない。

 しかし、(私はこの後の展開がどうなるか知らんが)今作はそんな単発ネタだけで終わらせるような作品ではなかった。いや、作者が何を思って連載をスタートさせたかは分からんし、マジで思いつきで「推しの子に生まれ変わる」シチュエーションがやりたかっただけの可能性もあるが、あれよあれよと展開するストーリーはそんなネタの範疇から軽々と飛び出し、あまりに多方面に刺激をばら撒いている。90分の放送の中だけでも、永遠のアイドル・アイの物語があり、その娘として生まれ変わって生きる意味を与えられたルビーの物語があり、最終的には復讐鬼と化したアクアの物語がある(社長の奥さんの物語だってある)。マジで下手な劇場アニメなんかよりもミッチミチに激動のドラマが詰まっており、私なんぞラストで号泣してしまった。開始30分の「キモすぎるオタクの妄想スタート」から一気にここまで駆け抜ける90分。これはもう、戦略的大勝利であろう。まぁ、だからこそこの先を見るのが怖くもあるのだが……。

 これだけの大勝負に挑んで勝ちをもぎ取ったスタッフには賞賛の言葉以外出てこない。制作は最近振るわないイメージがついて回っていた動画工房。しかし、そんな動画工房が「わたてん」を作り上げた平牧大輔とがっちりタッグを組み、どでかい看板をぶち上げた。作画にかけたカロリーが凄まじいというのもあるが、1カット1カットの演出力でこの「キモくて壮絶な」作品世界を1つ1つ根付かせ、説得力を増大させる。個人的に打ちのめされたのは、最初にキービジュを見た時に「どないやねん」と思ったアイ一家の抱える目の中の星の扱い。どう足掻いても違和感の出る妙なデコレーションにしかなってないやろ、と思って見始めたのに、あの星を駆使した演出が実に多彩で、星を見せるだけであらゆる情報を伝えてやろうとしているかのようである。使える要素は全て表現のためのツールとして機能させ、90分という「盛りすぎの時間」をさらに濃密にさせる。これだけの内容を90分で回し切ったのは神業である。こんだけのことを1話目でやってくれたのだから、残りの話数も責任もってやってくれるってこと……だよねぇ!

 繰り返しになるが、もうここから先を観たくないという気持ちは来週まで怖々と抱え続けるだろう。何しろ原作は未完なわけで、どう足掻いてもこのアニメは満点の最終回を持ち得ない。それなら、To Be Continuedが一番綺麗(?)だったこの1話目だけでやめといたらいいんじゃないかと、「そういう劇場アニメだったのだ」と思えばいいんじゃないかと。チキンな私はそう思うのです。……そういうわけにもいかないんだろうけどね。覚悟を持って、今作スタッフがどこに辿り着くのかは見届けていきましょうね。みんな、がんばろ。

 最後に蛇足でしかない中の人の話。当たり前だけど、これだけの作品だとキャスティングも一分の隙もないわね。1話目のMVPが高橋李依だったことは議論の余地はなかろうが、ルビー役の子がド新人というのもびっくりである。こんだけ重要な役に引っ張り上げられたというのは、キャスティング側の期待の表れなんじゃなかろうか。まぁ、作中の言葉を借りれば「業界全体の投資」なのかもしれないけど。1話目の幼児期は、転生慣れ(???)してるゆーみんにうまいこと引っ張ってもらったし、今後の展開も楽しみである。あと渋くいい味出してたのは社長の嫁さん役のLynn。1話でこんだけ印象が変わる役どころを、あくまで主役連中を食わない範囲でのプランでしっかり盛り立てる。バイプレイヤー声優(?)の面目躍如である。

 

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