２０２２年度・俺的アニメグランプリ ４／４

 

 

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＜キャラクター部門・女性キャラ＞

　もう列挙するだけでも面倒なので正直１年分の総ざらえができてない気もしますが、端折り気味でも頑張りましょう、女性キャラクター部門でございます。

　結局この部門のリストは、「各々の作品のヒロイン勢で誰が１番好き？」みたいな話になりがちで、たとえばLiella!なら死ぬまで嵐千砂都（ラブライブ！ス―パースター！！）ちゃん推しだよ、とか、群雄割拠の異世界ヒロインだけど最終的にやっぱり藤宮さん（異世界おじさん）でよくない？　とか、そういうことを延々書いていくだけになりがち。なんとか少しでも関連項目をまとめて書き上げられないもんだろうか。

　男性部門に倣って、まずは真っ当な主人公からリストアップしてみよう。何故か私は「傍で頑張ってる子の方が可愛くない？」みたいな傾向があり、たとえば「Engage Kiss」ではメインヒロインのキサラももちろん可愛いけど、不憫枠に傾きがちな一途な元カノのアヤノさん推しだったりします。「金装のヴェルメイユ」で圧倒的エロさのヴェルメイさんを差し置いて「エロ妄想幼馴染最高やろがい」ってんでリリアちゃんばかり見てしまうのは全く同じ現象ですよね。おかげで主人公がなかなか選びにくく、選ぶとなるとクセの強い連中ばかりが集まってくる。たとえば和平なごみ嬢（アキバ冥途戦争）なら流石に主人公でもエントリーさせざるを得ない。とんとことんで１人選べって言われたら、まぁなごみになるよね。他にも阿波連れいな（阿波連さんははかれない）も主人公の勝ちってことでいいかな。ここのカップルは２人して存在感があるわ。他にもクオン（うたわれるもの 二人の白皇）さん、まめだ（うちの師匠はしっぽがない）さん、柳寿雪（後宮の烏）さん、禍原デス美（恋は世界征服の後で）さん、棟梨ひより（ビルディバイド）ちゃん、エリアーナ・ベルンシュタイン（虫かぶり姫）様、etc. etc....。なんや、割と普通にメインヒロインが応援できてる作品も多かったわ。ちなみに「水星の魔女」みたいな作品だと「そりゃメインヒロイン推しでもあるが、他にも気になる子がいっぱい……」ってあわあわするので困る。でも流石にトータルでの一押しはスレッタ・マーキュリーさんってことでいいのかなぁ。多分、史上唯一「たぬきが２匹ヒロイン部門でエントリーした年」になる気がする。

　少しずつサブにずらしていくと、たとえば緒山みはりちゃん（お兄ちゃんはおしまい！）はキャリさんボイスをフル回転させつつ、「マッドなサイエンティストでしっかり者だけど最終的にお兄ちゃん溺愛」という救いようのなさが高得点だし、リコはん（まちカドまぞく ２丁目）はボイスの際立ちもありつつ、完璧な立ち位置で作品をぐるんぐるんかき回してくれた台風の目。今年度のヒロイン、タヌキとかキツネがやたら多いな？（そうでもねぇよ）。純正の可愛らしさなら他にもリリィ（万聖街）あたりも良いですし、変な声ばっかり並べたいならマルテースちゃん（エスタブライフ グレートエスケープ）とかプリマスちゃん（便利屋斎藤さん、異世界に行く）あたりもいい脇役だ。

　常に主人公サイドを盛り立ててくれるライバルキャラも愛着が湧きやすいポジションで、たとえば矢薙ソニアちゃん（ヒーラー・ガール）なんてのはツンなふりしてデレしかなかったりするし、クールキャラを気取って実は作中屈指のギャグメイカーである夜帷／フィオナさん（SPY×FAMILY）も強烈なキャラ。そして最後までトップ選出候補に残り続けた南雲杏奈（もういっぽん！）や、最終的にお前が主人公か！と思うほどのぷりん／須理出未来さん（Do It Yourself!!）もこの枠。悪口と見せかけた照れ隠しのやつら多すぎんよ〜。どうにも私はこの手のキャラが大好きすぎるようだな。南暁月さん（継母の連れ子が元カノだった）は……ちょっと違うかな？　でもキャラの強烈さは同じかも。

　あと、なんか知らんけど歳をとると娘くらいの歳のロリっこに対する目線が変わってきてしまうようで、桜樹八重花ちゃん（組長娘と世話係）とか海坂ミリちゃん（Buddy Daddies）とか、雪平一果ちゃん（であいもん）とかを見てると、なんか泣きたくなる感情までが同居してくる。病気かもしれないので、YESロリーター、NOタッチの精神を大切にしていきたいですね。

　そういや今期は「クッソムカつく悪役部門」ってのがあんまりエントリーされていなかったのだけど、思い出してみるとたとえばラナー様（オーバーロードⅣ）なんて結構インパクトのでかい悪役（？）でしたよね。あの子、作中で一番幸せになっちゃいけないはずなのに幸せなのずるいよな？　あと敵キャラっていうと……えっと、ヴィペールさん（BIRDIE WING）とか……。急にキャラの器のサイズが超圧縮されたな？　あ、そうだ真っ当なバトルの敵キャラとして見応えがあったレディ・ナガン（僕のヒーローアカデミア）は良いですよ。悲運の敵将、あとＣＶが種さん。

　というわけで最後はベスト３……と行きたいところだが、最終選考まで残った他のキャラをここで一気に紹介。今年１年、ずっと可愛かった。分け合う美味しさを焼き付けるヒロイン、芙羽ここね／キュアスパイシー（デリシャスパーティプリキュア）だ！　やっぱり僕はここねちゃん推しでした。視聴前はらんらんでカタいと思ってただけに意外。まぁ、やっぱり名前をあげとかないと消化不良だよね、錦木千束さん（リコリス・リコイル）だ！　リコリコ、典型的な「嫌いじゃないけど突出したところがない作品」なので要素が拾いにくくて不憫。全ての悲しみを背負いきった英雄、ヴエコ（メイドインアビス 烈日の黄金郷）だ！　ほんとに彼女の生き様は切なくて、優しくてねぇ……そりゃ泣くよ。しょうがないよ。萌えとかあざとさという概念を吹き飛ばした異次元存在、キャロル・オールストン嬢（トモちゃんは女の子！）だ！　ほんと、何をどうやったらあんなド畜生な女の子をデザインすることができるんでしょうね。メインカップルがベタすぎるアニメのサブで出していいキャラじゃねぇだろ。毒の名を冠するからこそ、沁み渡れば命に関わる、トキシッコ・ダナー（不徳のギルド）だ！　不徳は各ヒロインが本当に鎬を削ったが、やはり最後に勝つのはトキシッコなんだよ、旦那。私の魂はリズム隊に縛られ続ける、伊地知虹夏ちゃん（ぼっち・ざ・ろっく！）だ！　そう、私は喜多ちゃんよりも虹夏派。やっぱり苦労性のリーダーを応援したくなるし、虹夏には必殺の一撃「自販機前」があるので。ドラマー少女はみんな幸せになってほしいんだ。そして最後の最後までなんとかトップ３に捩じ込めないかと悩み続けたヒロイン、朝井アキラちゃん（よふかしのうた）だ！　もう、世界一正しい花守ゆみりボイスの使い方なんですよ。こんな幼馴染がいるのに、コウくんったら吸血鬼に憧れやがる……。そっと隣に立っているだけの幼馴染ヒロインとしては史上最強。早く、朝が来ないかな。

　さぁ、残り３名！

 

 

第３位
‘10　「会長はメイド様！」より「鮎沢美咲」
‘11　「４７都道府犬」より「愛知犬」
’12　「しろくまカフェ」より「笹子さん」
’13　「サムライフラメンコ」より「真野まり」
’14　「デンキ街の本屋さん」より「先生」
’15　「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」より「ヘスティア」
’16　「響け！ユーフォニアム２」より「吉川優子」
‘17　「ヘボット！」より「ナグリ・ドツーキ女王」
‘18　「SSSS.GRIDMAN」より「新条アカネ」
’19　「バビロン」より「曲世愛」
‘20　「メジャーセカンド２」より「沢弥生」
‘21　「不滅のあなたへ」より「ハヤセ」
’22　「シャインポスト」より「青天国春」

　「シャインポスト」からは絶対に誰か一人は上がってくるだろうという予感はありました。問題はそれがTINGSの誰になるか。個人的な好みで言うたら理王なんですよね。「持たざる者の悲哀」を描いたシナリオ上の立ち位置もバッチリ好みに合い、単体なら多分理王推し。ただ、異質なメンバーたちを飲み込むお嬢の存在感も強烈で、乗り越えた試練を思えば杏夏だってランキング入りしてもおかしくない人材。紅葉だけちょっと出番が足りなかったが、世界の全てを見ていた雪音だって、そこいらのアイドルアニメなら充分トップを取れるはずだ。

　しかし、残念ながら「シャインポスト」という作品自体が、青天国春というたった１体の怪物を中心に回っていたのは認めざるを得ない事実。単体で可愛いキャラ、好きなキャラはいるが、いちアニメファンとして、アニメの土台となり、そこから全てが始まったキャラクターの大きさを無視するわけにはいかないのだ。すべては青天国春のための物語。人類が、たった１人のアイドルに立ち向かうための物語。それが形成された時点で、春は神なのである。

　まぁ、アイドルアニメっつってこの構造が出来上がった時点でもう勝ちよね。完全に方法論としては少年漫画のそれなのに、TINGSの５人は最終的に立派な「アイドル」へと上り詰めている。倒さなければいけないラスボスをその内に秘め、「倒し、乗り越える」ことこそが最終的な融和を生み出す。そんなドロドロの坩堝を生み出した化け物をここで取り上げないわけにはいかないのだ。史上初の「怖くて見てらんない系アイドル」、刮目して見よ。

 

 
第２位
‘10　「刀語」より「否定姫」
‘11　「花咲くいろは」より「四十万スイ」
’12　「人類は衰退しました」より「“わたし”ちゃん」
’13　「戦姫絶唱シンフォギアＧ」より「雪音クリス」
’14　「selector spread WIXOSS」より「蒼井晶」
’15　「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」より「アンナ・錦ノ宮」
’16　「クズの本懐」より「皆川茜」
‘17　「メイドインアビス」より「不動卿 動かざるオーゼン」
‘18　「ポチッと発明 ピカちんキット」より「ギバさん（柳葉ヤバ美）」
’19　「グランベルム」より「アンナ・フーゴ」
’20　「アサルトリリィ BOUQUET」より「楓・Ｊ・ヌーベル」
’21　「明日ちゃんのセーラー服」より「明日小路」
’22　「ぼっち・ざ・ろっく！」より「後藤ひとり」

　これもなぁ……「部門被りを極力排するためにも、あらためてここで取り上げない方がいいよなぁ」とは思いつつも、今年のキャラクターランキングに後藤ひとりを上げないわけにはいかないのよ。こっちの都合で、そんなわがままは許されないのよ。せめてもの抵抗が、タイトル部門と分けて１位に選ばなかったことですかね。それだけ巨大な小宇宙（コスモ）が渦巻き、ドス黒い深淵を覗き見ることになる稀代の不定形ヒロイン、後藤“ぼっち”ひとりである。

　ぼっちの凄まじさは今更語るべくもないが、個人的に今作の凄さは「１話目でその深淵の底まで全部予感させた」ってところにある。「自称陰キャのくそダサヒロイン、それでもバンドをやるために立ち上がって青春やるぜ」なんて本物の陰キャに喧嘩売ってるとしか思えない設定のくせに、ぼっちは最後の最後まで陰キャの殻を脱ぎ捨てない。回を増すごとにむしろ病状が深刻化し、お薬の量が増え、視聴者もトランス状態へと巻き込んでいく。ここまで自由自在に暴れ、やらかし、沈んだヒロインは後にも先にもぼっちだけだろうが、それでも気づけば我々はぼっちワールドから抜けられなくなっている。沼と例えてもまだ聞こえが良い。やはり深淵。悪より酷い最悪。承認欲求モンスター、ツチノコ。お前はいったい何者だ。

　こんな無茶苦茶なキャラなのに、全編通して見たらちゃんときらら漫画の主人公ができてるし、欲しかったものが全部満たされてるは本当に何故だったんだろう。山田が何か企んだせいか？　虹夏が必死に駆け回ったおかげか？　喜多ちゃんのカリスマによるものか？　否、やはりぼっちがいなければ何もなし得ない。世界を作る主人公、本当に偉大。

 

 
第１位
‘10　「けいおん!!」より「田井中律」
‘11　「よんでますよ、アザゼルさん。」より「佐隈りん子」
’12　「中二病でも恋がしたい！」より「凸守早苗」
’13　「魔法少女まどか☆マギカ新編　叛逆の物語」より「暁美ほむら」
’14　「PSYCHO-PASS２」より「霜月美佳」
’15　「ガールズ＆パンツァー劇場版」より「ドゥーチェ・アンチョビ（安斎千代美）」
’16　「この素晴らしい世界に祝福を！２」より「ダスティネス・フォード・ララティーナ」
‘17　「魔法使いの嫁」より「羽鳥智世」
‘18　「リズと青い鳥」より「傘木希美」
’19　「まちカドまぞく」より「シャミ子（シャドウミストレス優子）（吉田優子）」
’20　「戦翼のシグルドリーヴァ」より「六車・宮古」
’21　「劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト」より「大場なな」
’22　「このヒーラー、めんどくさい」より「カーラ」

　いやお前１位はないやろ！　ここまで散々色んなキャラを持ち上げといて、よりによって１位にお前はくるなよ！

　そう思ってる方も多いでしょう。私もそう思ってます。大量のキャラをピックアップし、比べ、削除し、吟味して、並べて。とても素敵な女の子たちが今年も顔を連ねるんだろうなぁ、と期待していたのに、気づいたらキーボードがこの名前を入力していました。もう僕はダメかもしれません。

　でも、ほんとにツボっちゃったんだもん。アニメキャラとして、飛び抜けて可愛いキャラ作画があるでもなく、愛嬌を振り撒くキャラソンを歌うでもなく、感動のストーリーで視聴者を引き込むでもなく、ただただアルヴィンさんをおもちゃにして思いついたことを右から左に垂れ流してるだけのダークなエルフが、なんでこんなに見てて安心するのだろう。もしかしたら、この安寧を感じているのは世界でも僕だけなのかもしれません。でも、いつか現実でも僕の前にうまくウィンクができずにしかめっ面にしかならない女の子が現れたなら、「あぁ、君だったのか」と運命を感じるかもしれません。対話が何一つ響かないとしても、そこに充足があるのかもしれません。

　ウザいってことは、それだけコミュニケーションが密であるということ。怒りの感情が湧くということは、それだけ心を許している相手であるということ。それはアルヴィンさんもそうでしょうし、きっと僕ら視聴者だって同じことなんですよ。伝わりますか？　伝わりませんか？　うるせぇ、鉄山靠ぶつけんぞ。

 

 

 

 

 

 

＜声優部門＞

　さぁみんな、ここが正念場。俺なりの声優アワード。日々、世間に溢れる受容可能な媒体は増え続けているはずだが、残念ながら声優ファンにも限界はあるため、おっちゃんは本当にアニメ以外の部分での声優キャッチができてないぞ。おかげで、今年あげるラインナップはやたらと去年までとかぶってる気もするけど、まぁ、１年２年でそこまで大きく業界の勢力図は変わらないからね（全力での逃げ）。とりあえず事前のお断りとして、本企画は同一候補の連続受賞を認めないことにしているため、過去に選んでしまった人はどんだけ今年大活躍したとしても候補からは除外することになる。市ノ瀬加那の選出がすでに３年前というのは自分でも驚きだ。あとはまぁ、連続受賞が可能だと毎年「種﨑敦美」「花守ゆみり」って書いとけば大体事足りるわけだし。私は声優アワードとは違うのだよ。

　というわけで今年のラインナップを急ぎ足で見ていこうと思うが、まぁ、市ノ瀬加那の名前をあげたのでその流れでLynnの名前もあげておくがよかろう。これまで「あんまり主演っぽくないけどクレジットされるとインパクトが大きいのでよく目にしてた気がする」くらいの立ち位置だったが、いよいよ印象的なメイン級も一気に増えて説得力が増した１年になった。似たような印象は雨宮天とか石原夏織にも言えるかな。「若手」という時期を抜けてぼちぼち中堅に差し掛かってくる頃合いだが、しっかり自分の持ち味を理解した上でキャラの幅を広げている理想的な展開。声が聞こえるだけで嬉しくなる役者ってのはいるもんですよ。主演の数で言えば、じわじわ勢力図を拡大しているのは大西沙織。もともと主演クラスも結構こなしているはずなのだが今一つ抜けて出る印象がなかったところに、今年度は「らしい」ところからいいポジションがもらえていた。式守さんとか、「夫婦以上」のギャルとか、その辺のきゃぴきゃぴしきらない枠が持ち味よね。残念ながら本来メインヒロインであろうはずのヴァレン某にあまり出番がなかったけども。

　中堅ポジといえば、それよりもさらに上の世代ではあるが、多くの女性声優が「若手」を抜けると仕事を減らしていくことが多い中、ますます脂がのって見応えが出てくる役者というのもいる。個人的にはその筆頭は金元寿子で、特に年度後半はマジでどの作品にも出てるんじゃないかというくらいに仕事が多かった上に、一つとして印象を固めず、千変万化で見せてくれていたのが痺れるお仕事ぶり。過去に受賞歴がなければ今期のトップはひーちゃんでもよかったと思ってるくらい（10年以上前に選出してるんだけどな！）。同様の枠は、例えば伊瀬茉莉也の渋い活躍も大好きなや〜つで、彼女の場合はショタもこなせるおかげで本当に色彩をガラリと変えられるのが魅力。レグもやるし、「吸死」のサンズみたいなところでひょいと顔を見せた時の飛ばし方が格好いい。そして変わらぬキャラでもメインをかっさらうのは大空直美。俺は受賞もさせずにそらそらの名前を何年あげ続けるのだろう……すまん。本当に巡り合わせが……。他にもヴエコ役で素晴らしい仕事を見せてくれた寺崎裕香、性別フリーで自在に魅力を振り撒く大地葉、未だに底が見えず、静も動も見事な緩急で魅せる高橋李依などなど、「なんでこの子らまだ選出されてなかったん？」という人材は山ほどいる。まぁ、逆にいえばそういう人がいてくれると、今後のこの枠も選択肢がなくなるって心配しなくていいので助かります。ここで名前をあげた人らには、来年度以降も更なる活躍をしてもらうってことで。

　流石に繰り返しの名前ばかりになってしまっては申し訳ないので多少なりとも「今年から」の名前を拾い上げていこう。まず、「取り上げるべきか、いかにすべきか」と真剣に悩んだのは青山吉能。彼女の実力は間違いなく本物だが、流石にここでも引っ張り上げちゃうと部門被りが……という毎度の忖度もあり、いくらなんでも１キャラに依りすぎてる選出になりそうだったので流石に自粛。となれば当然その並びでの新人、水野朔あたりはここで取り上げることになりそうだ。まだ代表役が２つしかないが、その２キャラでの失点が０、そして加点が膨大。来年以降、彼女がどのような起用になるのかは要注目。同様に１キャラ２キャラでのしあがった存在といえば稲垣好。彼女も基礎はかっちりしているようだし、あとはキャラを増やし、露出を増やしてアピールの場を増やすだけである。永瀬アンナも出たての気鋭でしょうかね。抑えめの演技で稼げればいい具合に「やるべきポジション」が見つかりそうな声質だと思いますよ。

　さらにインパクト絶大の１キャラで全部持っていたのは天城サリー。後になって「あぁ、あのやくものスペイン人！」と思い至ったわけだが、トリリンガルの萌えボイスを業界が放っておかないとは思います。とても武器が多い不穏な新人。逆に下積みが長くてようやく突き抜ける場を与えられた感があるのが貫井柚佳。声が可愛いのは最大の武器。Wikiの履歴なんかを見ると相当数のモブで経験を積んでもいるので、一度路線に乗ったら強いタイプだと見るね。そして案の定、期待通りに伸びてきているのは会沢紗弥。こちらも声質が大きな武器になっているので、日の目を見れば一気にファンを獲得して表舞台にたてるんじゃなかろうか。

　さらにもう１ジャンルぐらい別枠を作ろうとリストを眺めていて気づいたのだが、昨今奪い合いの激しいパイの１つに「インクレディブルロリボイス」というのがある。つまりは木野日菜枠である。5年前にこの枠の不可侵領域である久野ちゃんに言及したわけだが、その久野ちゃんは当然久野ちゃんであり続け、さらに歴戦の猛者である日高里菜も盤石の牙城を譲る気など毛頭無かろう。それでも、下からロリは上がってくる。長縄まりあは完全に領域を展開して版図を拡大している。和多田美咲もついに看板役を確保して並み居る強敵への足がかりを得た。世は、大幼女時代。ちなみに高野麻里佳をここに入れるべきかどうかというのは、専門家たちの間でも意見の分かれるところである。ロリ原理主義者はまりんかのレンジの広さはロリ専科だと認めない可能性が高いな（私は何の話をしている？）。

　というわけで、今年もまだまだ上位３名という狭き門を争う名将たちが熾烈なトップ争いを繰り広げているわけだが、残りは最終選考まで残った10名。うち7名はここで残念ながら来年以降を待っていただく。まずは、「まだその時期ではない！」と私の中の万尾獅子がひたすらに抑え込んだのは羊宮妃那。まさか去年出てきたタイミングで「出てきそうな子やな」と思ってたら今年の時点でもう一線級になるとは思ってなかった。声の強さが桁外れ。今後の業界の台風の目となる存在だが、まだその時期ではない！　去年もこのあたりの欄にいた名前なのが本当に申し訳ないのだが、やはり近藤玲奈は何もかもを吹き飛ばすだけのパワーを持っている。すげぇ変な言い方になるが、私の中では「種﨑敦美と同じ枠」に入っている役者。いつの日か彼女の時代が来ることを私は疑っていない。

　時代が来るかどうかは分かんないけどきて欲しいのは伊藤彩沙。どうしてもレーベルに縛られた仕事に偏るのでなかなか正当な評価が難しいのだが……いつかブシロードの御旗をも乗り越え、ずんぐりピンクが業界を牽引する日が来ることを願っている。そんでやっぱり去年も同じ位置で選出してる、白石晴香をもう一回この位置で。気づいたら本当に「何気なくそこにいる声優」になってくれているのよねぇ。一番好きなタイプの円熟み。主演とかが少ないから上位選出しにくいのだけど、わたしゃそういう声優こそ応援したいと思っとる。

　今のところ何かに埋もれる心配もなかろうが、芽が出るかどうかが極端に分かれそうなのが大西亜玖璃。どうしても仕事の制限が大きいラブライブ声優ってのは、突き抜けた「本職」へと到達するまでのハードルが色々と多いのは先輩連中が証明しちゃってるのよねぇ。私はそこをカーラがぶち抜いてくれたと信じたいのだが、まだ彼女がどっちに振れるかは見守る必要があるだろう。同じくアイドルもやりつつだが着実に「役者」としての幅を広げ続けて希望に満ちているのが夏吉ゆうこ。彼女もステップアップはかなり早い方な気がしますね。いろんなメディアミックスプロジェクトで中核をなしているのが、彼女のキャリアにとって吉と出るか凶と出るか。

　そして最後にギリギリこの枠に残ってしまったが、まぁ、長谷川育美は来年以降にもいくらでも選べるでしょう。ほら、ぼっちを選ばずに喜多ちゃんだけ選ぶと色々とややこしいから……いや、デス美さん単体でも充分受賞権利があると思うが？！　これより上に３人もいるってのかい？！

 

 

第３位
’10「日高里菜」　‘11「伊瀬茉莉也」　’12「茅野愛衣」　
‘13「種田梨沙」　’14「大久保瑠美」　‘15「小澤亜李」　
‘16「水瀬いのり」　‘17「黒沢ともよ」　‘18「久野美咲」　
‘19「市ノ瀬加那」　’20「赤尾ひかる」　’21「古賀葵」
’22　「加隈亜衣」

　上で取り上げた「円熟みを増した中堅層」には、実はもう１人の候補がいた。そう、くまちゃんである。毎年本当に申し訳ない気持ちになりながら「候補だけど、受賞じゃないなぁ」と取り上げていたが、もう我慢できないので今年はくまちゃんの決定イヤーとしてしまおう。まぁ、プリキュアは良い機会ですよ。

　加隈亜衣の最大の魅力は、とにかくその声に落ち着きがあるということ。落ち着きってのは本人の落ち着きじゃなく、声を聞いた時にこちらの精神にもたらされる安寧のことである。人気の声優、話題の声優って、やっぱり声に特徴がある刺激物が多いじゃないですか。きゃぴきゃぴと可愛らしい声、耳を疑う変な声、ドスを効かせた迫力のある声。くまちゃんくらいのキャリアになれば、もちろんそうした変化も自由自在で、ひと所に捉われないキャラメイクなどお手のもの。その上で、加隈ボイスはただ耳を癒す多幸感を持っている。くまちゃんが喋ってくれるだけでα波が脳に満ちる感覚がある。これはもう、天性の才としか言いようのないものなのだ。

　思い起こせば本格的に彼女を認識したのはもう10年近くも前のこと。「WIXOSS」のるう子で出てきた時じゃなかっただろうか。あれだけのど畜生展開のアニメで、最終的に生物兵器の如き進化を遂げたるう子であったが、最後まで彼女は「平凡な女子中学生」のラインを譲らなかった。本当に「心優しい少女」の像がブレない。その翌年にはもう「うたわれ」でルルティエを担当しており、今年度までのお仕事の足跡がはっきりと見えるのである。一応選定期間である今年度だけに絞っても、「転生したら剣でした」のフランちゃんのように純正萌えロリを真正面から突き抜け、「英雄王」のラフィニアのように愉快なツッコミに回しても主人公をしっかり支えられる。「転天」のイリアのように渋く硬めの役でも声は引き立ち、「ちみも」のはづきのように毒のある役回りでもどこか憎めない愛嬌を孕む。そして輝くキュアプリズム。ただただそこには包容力が満ちている。

　本当に良い役者になった。ただそれだけを思い、私は今日も後方で腕を組むのです。

 

 
第２位
’10「喜多村英梨」　‘11「豊崎愛生」　’12「金元寿子」　
‘13「佐倉綾音」　’14「Ｍ・Ａ・Ｏ」　‘15「安済知佳」　
‘16「小松未可子」　‘17「上田麗奈」　‘18「種﨑敦美」　
‘19「富田美憂」　’20「藤原夏海」　’21「田中美海」
’22　「鈴代紗弓」
　ぼっちを外したら山田や喜多ちゃんを選ぶわけにはいかないからね……でも虹夏を選ばないとは言ってませ〜ん！　知りませ〜ん。俺がルールで〜す！

　というわけで鈴代紗弓を選ぶ時間がやってまいりました。まぁ、長谷川育美とどっちにするかは正直最後まで悩んではいたのだが、今年1年での飛び道具っぷりというか、「良さの根幹がはっきり見えたな」という感覚があったので、今年は鈴代イヤーとした。虹夏の存在感は言わずもがなだが、直接の理由となったのはやはり世紀の大怪物・青天国春。そしてちょっと意外かもしれないが、「魔法使い黎明期」のホルトあたりである。

　この子の強みは、その声の持つ底抜けの明るさ。大雑把にくくると私の中では本渡楓と同じカテゴリに入っているのだが、どんなキャラであっても、どんな音域であっても若々しいエネルギーに満ち溢れていて元気がもらえる、そんな声。彼女の第一印象は「ぼく勉」のうるかだったと思うが、そこからずっと変わらずに元気印のキャラを中心にキャリアを繋いでいる。ただしそれはワンパターンということではなく、その声の力を見込まれての配役ということである。ここまでがっつりキャラ特性を業界に認知されればこそ、今後の様々なキャラクターへの広がりも期待できるというものだ。

　若手声優を評する話になった際に、「今の若い子はみんなおんなじような萌え声ばっか」みたいな言説を見かけることが多い。多分、そういう耳と性根の腐ったやる気のない連中からすれば、もしかしたら鈴代ボイスは代表的な「紋切り型の萌えボイス」に該当するのかもしれない。しかし、彼女が魂を吹き込んだキャラの息吹を感じられる感性があれば、そんなド鈍い分類が全く無意味であることが理解できるはずだ。可愛いは正義、元気は真理。世界を動かすエネルギー！

 

 
第１位
’10「藤村歩」　‘11「福圓美里」　’12「内田真礼」　
‘13「内山夕実」　’14「早見沙織」　‘15「山本希望」　
‘16「日笠陽子」　‘17「井澤詩織」　‘18「本渡楓」　
‘19「鬼頭明里」　’20「花守ゆみり」　’21「ファイールズあい」
’22　「石見舞菜香」

　そしてこのタイミングでこのカードを切るぜ。満を持して、整った石見ディメンション。「1年前でも2年前でも3年前でもよかったやんけ」と言われた「ハイ！　そうです！」と元気に答えるしかないですが、それだけ溜まってしまったものを吐き出せるのは今年しかなかった。「円熟み」「エネルギー」ときて、最後の最後はやはり「オンリーワンの声」で締めるのがよろしいかと。

　石見舞菜香の名前を認識したのっていつだろうと思って確認したら、遡ること6年前、ほぼデビュー直後にはもう耳に残ってたんですね。当初は「茅野愛衣に似てて区別がつかない」とか言ってたわけなんですが、今となっちゃぁそんな先人とは別方向への進化を遂げ、石見ヒーリングを確立させるに至っている。2年前のライスシャワー大爆裂の時にも部門被り配慮してグッと選出を堪え、ようやく何の問題もなしに彼女を取り上げられるタイミングが訪れた。

　彼女の声が流れてくるだけで脳がヤバいというのは日本国民だったら誰もが知っていることと思うし、本当にただ「石見ボイスが聞けるからいいだろ」という理由だけで製作された作品が多いことも論を俟たない。どこぞの天使様とか、字幕で観る意味など皆無だろうよ。そうしてただただ石見沼にハマっていたいという根源的欲求はもちろん最大級の選出理由ではあるのだが、一応断っておくと、今年踏ん切りをつけられた最大の理由は、意外にも「処刑少女の生きる道」で彼女が演じたマノンというキャラである。そう、念願の「石見ボイスのイカれ悪役」である。私の上田麗奈への盲信などからも分かる通り、声優を追いかけていてシンプルに脳汁が溢れる役ってのは、「吹っ切れたギャグ担当」か「クソみたいな悪役」が多い。どちらも感情の振れ幅が大きい上に、現実では得られないようなぶっ飛んだ声が得られることが多いからだ。しかし、なかなか若手で可愛い系を売りにした声優がそういう役を回されることが多くない。おかげで「ぶっ壊れを担当して初めて１人前」みたいなハードルがどうしても高くなってしまう。そこを飛び越えられたことが、今年を石見イヤーとして決定づけた。もしかしたら視聴してない人も多いかもしれないので、是非「処刑少女」を観て新たな石見ワールドを確認してほしい。まぁ、出てくるのは後半10話目とかだけどな！　見返りを考えたら安いもんやろ。

　おーい、磯野。今日も最強議論スレで石見ＶＳ市ノ瀬の激論をぶつけようぜ！

　

 

 

 

 

 

今年も、良きアニメに巡り会えますように。