「PROJECT A」最後の作品となる4本目は、Production I.G による、何ともゆるゆるなこの作品。驚いたことに、監督は黄瀬和哉である。作監のイメージなんだけど、多分これが初監督作品ってことだよね。
内容としては、これまで放送されてきた4本の中でも最も平坦なものとなっており、「おぢいさんのランプ」のような不思議な力強さを感じるわけでもないし、「キズナ一撃」のように無茶な遊び心を感じるわけでもない。ただ、それ故に「アニメーター育成」という雰囲気は伝わってきて、線が少なくシンプルなキャラクターデザインを自然に動かすのは、案外難しそうに見える。いかにも黄瀬さんらしい独特なデザインコンセプトになっているのに、それがとても親しみやすいものになっており、起伏の少ない物語の中でも、ちゃんと息づいて動いているのは流石である。面白がって何度も見たいような作品ではないかもしれないが、30分のショートフィルムとしてセールスする分には悪くない出来だし、このまま「毎日かあさん」みたいな自然な日常アニメになっても何となく見続けられそうな、そんな暖かみがあった。個人的には、今回放送された4本のアニメに敢えて順列をつけるならば、「おぢいさんのランプ」→「たんすわらし。」→「キズナ一撃」→「万能野菜ニンニンマン」の順番で気に入ってます。もちろん、どの作品もちゃんとクリエイターの個性が出ているし、手間もかかっているので質が高いのは間違い無いのだが、やっぱり30分一本勝負だとそれなりに向き不向きは出てくるものだからね。
で、あとは完全な与太話になるのだが、今作の場合、もう「三十路を回っていい加減嫁がないと世間が不安になる時期になってきた独身声優能登麻美子の日常」という見え方ばかりが気になってしょうがない。アニメ自体がすごく身近に感じられる良い空気をもっていただけに、独身生活を続ける中の人のことが頭をよぎって仕方なかった。本当に悪い視聴姿勢である。麻美子のところにも、実家の石川県から不思議なタンスが届いて花嫁修業をしてくれないものだろうか。何故か分からないが「ファンなんだけどとにかくさっさと結婚して生活を安定させて欲しい声優」っていうカテゴリがあって、彼女はそっちに入ってるんですよ。ちなみに、この部門のトップはナバです。千葉紗子みたいな粋な結婚報告が見たい今日この頃。
PR