○「彼方から」 5
ともよの甲高い悲鳴からしか得られない養分もある……それにしたって喉大丈夫か。
なんも知らない身からするとこれもヘンテコな作品である。スタート直後の主人公の顔を見て「こりゃまた微妙に古臭い絵柄だな」と思ったわけだが、それもそのはず、原作は90年代の少女漫画だというじゃありませんか。しかも「異世界SFの金字塔」とか言われてましたわよ。そこまで言われてる作品でさっぱり知らないってのは、単に誇大広告なのか、触れないジャンルだからとことん触れられないのか、単に私が無知なのか。……Wikiを見るとシリーズ発行部数400万部とか描かれてるし、私の無知の可能性が一番高そうだ。
このタイミングでの90年代の少女漫画のリバイバルということでどうしても比較してしまうのは「レイアース」……よりも、現在も放送している「天は赤い河のほとり」だろう。いや、3つ並べて「90年代少女漫画的異世界転移作品群」とまとめてしまってもいいか。こうしてみると、なろう云々とか俺らが文句を言い出す20年以上前に、少女漫画雑誌は異世界転移しまくっていたんだろうか。しかも今作はやや変形気味ではあるがトラック転生の走りみたいな状態でもある。古き少女漫画の鉱脈、いろんな可能性が日の目を見ずに眠ってるのかもしれない。
とはいえ、1クールを終えた「赤い河」の方は「まぁ、こんなもんじゃね」くらいのだらっとした展開が続いていてそこまでヒキがない状態であり、古いものは古いなりに、程度の付き合いになってしまっているが、非常に形が似ている今作はどこまで伸びるだろうか。ちなみにこっちの作品は単行本で全14巻、「赤い河」は28巻だそうです。長い方がいいのかどうかはわからないが、アニメとしてまとめて視聴しやすそうなのはこちらの作品だろうか。転移先も「古代オリエント」よりは「純正ファンタジー」の方がいっそ馴染みやすいだろうし。キャラデザの古さはどちらも似たようなものだが、アニメとしてブラッシュアップされてる感もこっちの方がやや上かなぁ。制作がディーン、監督はベテラン・阿部記之である。革新的な「新作」が出てきそうにはないが、手堅くいけそうな感触はあるか。
個人的に面白かったのは、例によって平成時代の作品をアニメ化するにあたり、一応は舞台を現代にリライトしてる様子が伺えたところ。まぁ、どうせ開始数分で転移してしまうので令和だろうが平成だろうが大した差はなさそうだが、一応スマホだけ持たせて、とっとと処分するくだりを入れることで「あ、一応現代から来ました」という体にしているという。どんだけ意味があるかは知らんけど、まぁ、その方が後になって調整しやすいってことなんだろう。
「異世界行ったら言葉が通じない」というなろうにはあまりないハードモードなのは「赤い河」と同じ。そして、その通じてない言葉を男側とスイッチングしていることが一目でわかる演出が斬新でちょっと面白かった。「赤い河」の方はすぐに翻訳装置が機能して問題なくなっていたが、今作ではいつまで言葉の壁が立ち塞がるのだろう。ちゃっちゃと解消されるとそれはそれで興醒めだが、ずっと言語が通じないままだと余計な翻訳描写が必要になって視聴者は飽きてしまうという……。「サンダー3」、お前のことだぞ。
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