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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  とどろく結名節、第14話。さぁ、オープンエンドも変わって心機一転の2クール目。オープニングが前期にも増して疾走感があって良いですね。女子高生の青春絵巻なので、やっぱり緒花たちは走ってナンボですよ。まぁ、一番躍動感に溢れてたのが巴さんのカラオケシーンなのは内緒ですが。喜翠荘の日常が色々と垣間見られるようで、何度も味わいたい映像になっています。

 さておき、新たな物語の口火を切ったのは、サブヒロインの中でもこれまであまりスポットが当たらなかった外様の子、和倉結名嬢であります。緒花たちの高校が修学旅行ってことで、向かった先がたまたま結名の許嫁の経営している旅館だったという、何とも都合の良い(悪い?)展開である。ちなみに、途中で結名がしゃべっていた方言によると、旅行先は宮崎らしい。宮崎に修学旅行って、どの程度一般的なものなんだろうな。石川県民のスタンダードは知らないからピンと来ないけど、そもそも修学旅行に行って海水浴を楽しんでいる時点で理解が及ばないのである。最近の学生はそんなもんなんかねー。

 さておき、今回は水着からスタートしたってことで単なるサービス回になるのかと思いきや、やはり無駄な話は作らないのがスタッフの心意気らしい。喜翠荘、福屋に続く新しい旅館を登場させることで、緒花たちの考える「旅館哲学」に新たな揺さぶりをかけようというのがこのエピソードの狙いだろうか。そして、この話を見ることで、ようやく結名というキャラクターの存在意義が見えるようになってきた。それは、あくまで「普通の女子高生としての視点」を提供すること。いや、結名自身はかなりの変人なので「普通」とは言い難い部分もあるのだが、緒花・民子・菜子と3人並ぶと、みんな真面目で猪突猛進タイプなので、どうしても価値観が片寄ってしまう部分がある。そこに一石も二石も投じる役割が、ライバル旅館の跡取りである結名のお仕事だ。

 旅行先でも旅館経営と中居の作法について目が向いてしまう喜翠荘組。しょせんは見習い連中の視点なので企業戦争とはほど遠い社会科見学レベルの視察ではあるが、それでも単に遊びに来ている修学旅行生としては異質である。緒花は喜翠荘との違いに興味津々で番頭や中居を観察していたが、そこで一抹の疑問を感じる。そのことは、民子も、そして結名も感じ取っていたようである。一言で言ってしまえば「心ある旅館経営」とでも言うべきそのファクターは、あくまで人の手でなされる喜翠荘の昔ながらのもてなしの心とは一線を画したものであり、大旅館の運営に期待を持って見ていた緒花にとって、何とも残念なものになっていた。

 そして、都合良く起こったバイト中居の離反劇。宜なるかな、という展開ではあるのだが、そこにとどめを刺すのが結名の一言。許嫁をふり、さらに旅館経営というこの作品の本質すらあっさりと蹴飛ばす結名の奇妙な存在感。猪突猛進に「ボンボって」いた緒花の価値観とは真っ向対立するその姿勢は、傲岸不遜でありながらも、何故か奇妙な人生哲学も感じさせるものである。次回、緒花は確実にこのトラブルに首を突っ込むことになるだろうが、結名との関係性は、一体どんなものになるのか。楽しみである。

 それにしても……結名のキャラが想像以上に強烈。当初は単なるふわふわしたお嬢キャラだと思っていたのだが、どこか達観しているような、何とも超越的な雰囲気もあり、夜の密会での許嫁とのやりとりは、「わがままなお嬢」として見える一方で、何かあの旅館の「失点」に気づいているような口ぶりでもある。大量の中居見習いが居並ぶ中でさらりと「旅館なんて興味がない」と言い放つ奔放さは、わがままというよりも、枠に囚われない自由さも感じさせるものだ。一体どういうスタンスに落ち着かせたいのか、未だ脚本の意図が読めないのである。

 そもそも、今回の騒動に単純な「善悪」が付けにくいのが難しい。普通の精神論だと、「働いている人間のことを考えずに徹底したマニュアル化を強いた旅館の経営姿勢が問題なのだ! もっと心を込めた経営を!」という流れなんだろうが、番頭さんが頑張って進めていた経営の効率化は、商売としては至極まっとうなものだし、努力は報われるべきだ(実際、緒花たち旅行客は旅館に充分満足している)。適当な態度でバイトに取り組んだ中居見習い達の態度こそが、見ていて不快になるものだし、どちらかというと悪役であろう。

 ただ、そうなると結名が善悪のどちらに属するのかがややこしくなる。結名の態度は、どちらかというとバイト中居たちに賛同する流れだ。「お前の旅館経営はつまんねーんだよ」と言い切ったわけだし、旅館なんて興味がない、という態度も、青春まっしぐらの緒花とは対極である。しかし、結名自身の言い分には、特におかしな点は無い。花の女子高生が若い身空で人生を決める必然性は無いし、無限の未来を自由に楽しみたいという彼女の意志は尊重されるべき。無理矢理福屋という家系に縛られる必要も無い。もちろん、告白を断るのも、許嫁をふるのも、全て彼女の自由。はっきりと意志を相手に伝えている分、誠実とも言える。じゃぁ、彼女は「善」であるのか? いかんせん、主人公の緒花から見ると、どうも「良い人」にはならないようなのである。この齟齬を、次のエピソードでどのように捻ってくるのか。本当に次が気になるお話である。

 その他、蛇足ついでにいくつか書いておくと、今回のコンテはなんと「ハガレン」監督を務めた入江泰浩。個人的には「SOUL EATER」のオープニングコンテの印象が強い作家さんなんだけど、今回はあんまりエロくない女子高生達を精一杯サービス混じりで描いてくれた阿漕な画面作りが印象的である。ただ、前回全力投球したせいで気が抜けたのか、特に中盤のシーンで作画がへろへろになってたのがちょっと勿体無かったな。あ、でも河童なこちの反則ボディは驚きのサイズです。緒花の入浴シーンもやるせないエロさです。

 そして、今回最大の焦点となった結名であるが、戸松の音域が、実は案外出てこないような部分だったので新鮮。本当に微妙な差ではあるんだけど、基本の発声からちょっとだけうわずらせて上げてやることで、結名の持つ奇妙な鬱陶しさが面白い味になっている。今期だけでも真朱・鳴子などで引っ張りだこの戸松であるが、1つ1つの役作りでこういう仕事が出来るからこその需要なんだろうと、ほとほと感心する。あと、今回メインで暴れてたバイト中居の中の人が小松未可子でしたな。ジョーイ君だと違和感無かったってことは、やっぱり女性の声として聞くとそこそこ低いな。

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 圧倒的最終回風味! 第13話。いやぁ、これやこれ。これが見たくて「いろは」を見ているのですよ。前回までの打ちのめされるような物語もひと味だけど……やっぱり緒花ちゃんは前を向いてる表情がよく似合う!

 とにかく、女将・皐月・緒花という3代の対立・対話・関係性がみっしりと敷き詰められ、その1つ1つを見ているだけでも楽しい、この作品の真骨頂のようなエピソード。作画も含めて、今まで溜まってきた鬱憤を全て吹き飛ばすかのように「見たいもの」がてんこ盛りでした。

 今回のテーマは当然「家族」。どんな人間でも、どんな状態でも、「家族」というテーマは必ず人に訴えかけるものがある便利なもので、鉄板であるが故に、それを描くのは易しい作業ではない。今期、脚本を任された岡田麿里は「あの花」と本作の同時進行体勢だったわけだが、「あの花」が男女の機微を中心とした「横の繋がり」で構成されるのに対し、この作品は徹底的に血縁を中心とした「縦の繋がり」が描かれるのが対比的。ややこしくて、泥臭くて、生々しい部分があるだけに、この珍妙な「家族劇」が映えるんです。

 1人ずつ見ていくと、まずは女将。「娘の顔を見たら平手で横っ面をはらない自信が無い」というので最初はケンに回った女将だったが、皐月のわがままに付き合わされて、気づけば土俵に上がっていた。一度は縁を切った娘との久し振りの再会は、本来ならば彼女に憎悪と決別を思い出させるものになっているはずなのだが、接客のために動いた女将の手から繰り出されたのは、より的確な「歓待」の指示。よく知っている娘だからこそ、何をすれば喜んでもらえるのか、それを考えることが出来る。この姿勢は「旅館の経営者としての義務」だから動いた、というのが表面的な動機であるが、最後まで見ていれば、そこに営業理念以上のなにかが含まれていたのは明らかであった。経営者としての信念を曲げ、わざわざ調理場に立ったことがそれを如実に表している。

 女将の態度をここまで軟化させ、夢の3代対談を実現させた功労者は、当然3代目「四十万の女」である緒花だろう。皐月を呼び出すだけ呼んでおいて、いざ乗り込んでこられるとどうしていいか分からずにワタワタするのは経験の浅さ故だろうが、持ち前の責任感の強さから、「皐月をもてなして評価を変えてやる」という本来の目的は充分に果たせていた。女将の指示を受けて「対皐月戦線」の最前線で奮戦出来たのは、やはり緒花だったのだ。また、最後の対談の席では、酔った勢いに任せて「母親を認めざるを得ない」という本音がポロリとこぼれ出た。既に先週までで形成されていた「母への敬意」だが、それが夢の対談を舞台に、表面化した形である。また、今回は祖母の意外な素顔に立ち会うことが出来たのも、彼女が次のステージへ進む重要な契機となるだろう。気づけば喜翠荘は緒花が「帰る」場所になっていた。彼女の頑張りは、確実に実を結んでいる。

 そして、渦中の人物である松前皐月だ。「敵地」喜翠荘へ乗り込んできた皐月は、傍若無人な振る舞いの中にも、フリーライターとしての「仕事人」の顔を挟み、娘や従業員を圧倒して見せた。放蕩娘とは言っても、長年喜翠荘でたたき上げられてきた生まれながらの旅館の娘。その辣腕は、従業員の目から見ても純粋に「四十万の血」が見て取れる。

 そんな皐月は、はっきり言ってしまえば今回は和解目的で喜翠荘を訪れている。最後に迎えた三代対談は彼女の狙い通りの舞台であったし、そこで手にした情報と、与えた情報は、全て彼女の思惑通り。駄目だ駄目だと思っていた「母親としての仕事」だったが、女将と緒花の連携を見て、自分がちゃんと「伝統の伝達者」として機能できていたことを知る。それと同時に、緒花に「ちゃんと旅館として歓待してみろ」と挑発したのは、緒花が自分と同じで、仕事に打ち込み始めたら回りが見えなくなることまでを読んでのこと。人生で初めて失恋という壁にぶち当たった愛娘に対する、彼女のなりの発破のかけ方だろう。そして、酒に負けた年老いた母に対しても、彼女は「娘」としての視線を向けた。弱くなった母、優しくなった母。彼女は、自分を守り続けるためにそれを受け入れることは出来なかったが、それでも若さ故に作り上げてしまった頑なな関係性を解消する方向には向かうことが出来ただろう。

 一晩という短い滞在期間ではあったが、皐月にとって今回の宿泊は、「母親」として、「娘」として、自分が築き上げてきた成果が確認出来た、至福の一時だったのだろう。もちろん、そんな柔らかい部分は最終的には「女」の自分で覆い隠す。出がけに緒花に渡した手紙が「仕事人間」としての1つのけじめのスタイルをとっているのは、そうした外面的な理由によるものだろうし、「それはそれ、これはこれ」というドライな教えを娘に託す、社会の先輩としての優しさである。

 三者三様の「四十万の女」たち。仏頂面で仕事一辺倒の女将。仕事も人生も謳歌しながら、社会のはみ出しものの烙印を押される皐月。何事にも不器用で、走り出したらブレーキが利かず、初めての恋に挫ける緒花。面倒の種類は違えども、そこにはぶっとい芯に支えられた「四十万の血」が生きている。「みんな結局同じなんだ」ということが分かる会談シーンは、やってることはムズムズするような親子の対話なのだが、その一言一言にあふれ出るような愛情が感じられて、終始ニヤニヤしっぱなしの名シーンである。今回は特に、緒花の百面相が本当に可愛い。作画的にはぶちゃいくになっている気もするのだが、突っ走って、間違って、ひっくり返るのが緒花の真骨頂。ボロボロととめどなくこぼれ出る孝一への思いも、人生の先輩2人に受け止めてもらったことで、少しは軽くなっただろう。ラストシーンでは、全身全霊の思いを山の上から叫ぶ緒花の顔が確認出来るが、その目に宿る光は、皐月から受け継がれた「松前の血」が宿っているように見えた。こうして女は強くなっていくのであるな。

 ついでに、今回は皐月さんの入浴シーンが過去と現在で計2回。豆じいの前でタオルを脱ぎ捨てる勇姿は、実にマニアックな嗜虐傾向に目覚めそうな大サービスシーン。豆じいが役得過ぎてずるい。ちなみにこのシーン、皐月の声が伊藤かな恵で、女将の声が本田貴子なんだよね。遺伝って怖いなぁ……

 更に蛇足ついでに、どうしても私は男の子ですんで、皐月や緒花よりも若旦那の縁の方に感情移入しちゃったのがさりげない印象点。女親と娘って、やっぱり色々とややこしいんですよ。そういう時に、どれだけ頼りなくても便利なのが息子っていう存在で、女将は「皐月の顔をはりたおすかもしれない」と言っていたが、実際に連打を浴びたのは縁なのである。男の子は、こういう役割を受け入れることで家族を回す役割があるんですよ。納得しろと言われるといささかひどい扱いだが、これも1つの信頼の形じゃないかと。頑張れ、縁。

 次回からは新展開。いきなりの結名回ですか。実はすごく楽しみです。水着のサービスシーンもあるみたいだけど、緒花はびっくりするくらい色気がないな!

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  ボンボるおしまくりの第12話。なんでこの町の住人はオリジナル日本語の制作と普及に余念がないのだろう。普通、自分が考えた「新しい日本語!」なんて恥ずかしくて使えないと思うのだが……あかん、ホビロンが危ない。

 さて、前回からの続き、「東京編」。今回も緒花大暴走は留まることを知らず、2つの人間関係に対して決定的な変質をもたらすことになった。視聴者としてはどちらも無視することが出来ないものだが、まず最初に、どちらとも関係無い、徹との関係について片付けてしまおう。実を言うと、徹・緒花間の間柄は、単なる憎まれ口を叩くだけの同僚レベルだと思っていた。確かに緒花は徹を信頼して必死に彼の姿を探し求め、最終的にバイクでタンデムするまでになったわけだが、あれはあくまで緒花の仕事に対して猪突猛進な姿勢が現れただけのこと。いわゆる男女の仲に進展するようなものではなかったはず。唯一おかしかったのは緒花が熱を出した際の徹の検温アクションのくだりだけだが、あれも今回緒花が言った「女性の扱い方が下手」の一部として処理してしまえるレベルだと思っていた。しかし、どうも今回の様子を見ていると、どこまで自覚的なのかは定かでないが、徹の方は視線に熱が籠もっているらしい(民子がそう分析しているのだから間違い無いだろう)。さて、徹はどのあたりから緒花に対する態度を変え始めたやら……最初から見直したら兆候が確認出来るのかな? そのあたりがどうも唐突な気がして、ちょっと気がかりなのです。

 それ以外の2つの人間関係は、やはり歪ではあるものの、描写が重いためにそれぞれの意味はじっくり考えさせられる。まず、こじれにこじれた孝一との関係性。外野から乱入してきた新たな恋人候補五十嵐との対話を経て、緒花は自分の孝一に対する思いを再確認するとともに、同じ思いを抱いていたはずなのに報われなかった孝一に思いを馳せる。ここで緒花は、ようやく大きな成長を果たすことになる。「孝一のドラマなら、自分は悪役ではないか」と。

 通話が終わった後にたまたま緒花はそのことを「ぼんぼり」に例えていたが、これまで全ての悲劇、活劇の主人公であり、ヒロインであるように動き続けてきた緒花にとって、「自分は脇役、しかも悪役であるかもしれない」という気づきは実に大きなものだ。他者の視点を経ての自己認識というのは、幼児の成長過程においても重要なプロセスであり、それを頭ではなく身体で理解し、1つの真理としてたどり着いた緒花は、ようやく1段「大人」へと進んだ。

 しかし、その気づきが孝一とのベストエンドを迎えられないのが苦しいところ。自らの「悪行」を悟った緒花だったが、孝一への好意はあくまで「生物として?」である。未だ恋愛感情というものにはたどり着いていない。その状態では、残念ながら「自分への好意」という孝一の感情を理解することが出来ない。本当の「好き」に出会っていれば、道の選びようもあろうものだが、それが無くなってしまった今、「悪役」たる緒花は舞台から去る以外の選択肢を持たなかった。孝一がどんな状態で電話を受けていたのかも、考える余裕はなかったのだ。

 そして、孝一と五十嵐に教えられた「他者の存在」が、緒花と皐月の関係性にも変化をもたらした。これまであってはならなかった「他者が主役の視点」を手に入れた緒花。駄目人間とは言っても母親の人生にもドラマはある。そして、その主人公はあくまで皐月でしかない。そこに娘である自分が入る余地は無いのである。残念ではあるが、皐月誘拐計画は一度鞘に収めるつもりだった。しかし何の因果か、結果的に皐月は喜翠荘へと向かうことになった。車内での会話から、更に松前皐月という人物の深層が彫り込まれていく。

 結局、この作品は「緒花と喜翠荘」の物語であり、換言すれば「緒花と四十万の物語」、「松前と四十万の物語」であり、血縁関係の物語だ。そして、喜翠荘にいただけでは、そこには女将と緒花しかおらず、その間を埋める存在が不足している。四十万スイ→松前皐月という関係があってはじめて、そこから皐月→緒花が構築され、その総和が女将→緒花なのである。皐月が自らの人生を費やして手に入れた人生訓が緒花を育てたのであり、それが緒花と喜翠荘の関係を生み出した。ついに、そのコネクタたる皐月が、渦中に飛び込む。

 「母親が間違っていることがどれだけありがたいと思うか」。皐月の発言は一見すると実に適当で、無責任なものであるが、これがなかなか含蓄に富んでいる。この一言だけで、数十年前の喜翠荘がどんな場所であったのか、想像出来るというものだろう。

 この作品も、いかにも岡田麿里、といった風情で「あまり正面から見たくないもの」を遠慮なく見せてくれるエグさがある。今回の東京編は、そんな側面がぐいぐいと前面に出たハードな展開であった。舞台は再び喜翠荘へと戻る。さて、一体次週から何が起こるやら……

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  何がなにやら11話。舞台が一転東京へ、そして、緒花の暴走一切止まらず。

 先日の覆面取材記者騒動の余波が突然現れた。喜翠荘だけでなく、湯乃鷺の旅館勢は軒並み低評価という厳しい採点に、緒花たち喜翠荘の面々はもちろんのこと、福屋を含めた旅館組合は額を寄せ合っての緊急会議、善後策を講じることになった。しかし、そんな中でも女将は冷静に「他人の評価の意味を受け止めろ」とにべもない返事。自分の努力が報われなかったことに不満たらたらの緒花が、それで納得出来るはずがなかった。

 頑張るときには前のめり過ぎて前転する勢いなのが緒花という娘。女将が止めるのも聞かず、そのまま東京の出版社まで殴り込みをかけると、強引に記事の責任者の所在を探り当てる。しかし、そこに記されていたのは唯一の親族である母親の名前。すぐに問い詰めに向かうが、こちらも「仕事だから」とすげない返事。怒り心頭の緒花は、座り込みを含めて反省を促す強攻策に出るも、たかが小娘1人にどうにもならない問題はある。久し振りに叶った孝ちゃんとの再会も心の渇きを癒すどころか、更なる難問を突きつけることとなり、緒花の悩みごとは臨界点を越えてしまう。

 

 ふむ、本当にこの娘はよく分からない。青臭い理想論を振りかざすだけならば「若いね」で終わりなのだが、その行動力が尋常ではなく、あれだけの発端からわざわざ出版社に押しかけて脅迫まがいの行動にまで出てしまうのだ。更に、主犯格に母親がいると知った後も、「仕事だからああいう記事を書いたのも仕方がない」と渋々認めつつも、落としどころとして提案したのが「ちゃんと喜翠荘を訪れ、自分なりの正しい評価を執筆しろ」というもの。確かに社会に飲まれて駄目になった(と緒花は思っている)母親の更正策としては意味のあることなのかもしれないが、既に当初の問題は投げ出してしまっていることに気づいているのだろうか。今更皐月が何を書こうが、既に記事として載ってしまった事実は変わらないし、喜翠荘が受けたダメージは回復しない。いくら母親が喜翠荘に対する認識を改めたところで、それは緒花の自己満足以外の何ものでもないのだ。

 それでも緒花は止まれない。自分が信じた正義が負けるのが我慢出来ない。それが松前緒花という女の子なのだから、仕方がないのだろう。だが、自分が正義だと信じられない状況で、彼女がどうなるか? それこそがまさに、再会を果たした孝一との関係性である。

 話の流れから「相手に対して誠実な返答をしなければならない」と説こうとした緒花だったが、これまでの自分の態度こそが、最も不誠実なものであったと思い至ってしまい、押し黙ることに。孝一はちゃんと態度で示してくれていたのに、自分は忙しさを理由に、その返答を誤魔化し続けていた。突然そのことに気づいてしまった緒花は、喜翠荘のこと、母親のこと、そして孝一と一緒にいた知らない女性のことなどがグルグルと頭を回り、わけが分からなくなってしまった。すると、彼女は更に走るのである。ただただ走って、泣いて、転げ回って。本当に何も出来なくなって。次回のサブタイトルを見ると、このどうしようもない独り相撲は、まだまだ底の見えない転落劇となってしまうのか。わざわざ東京を訪れていた徹と民子の手により、本当のどん底の一歩手前で救出された緒花だったが、ややこしい彼女の内面を考えると、今回の「心が動き続けた」事件は、後々まで尾を引きそうである。

 正直、彼女の心理面は追い切れないところがあるので、なんだか置いて行かれたような気になる突拍子も無いお話だったが、まるまる1本緒花が暴走する様子だけを延々描き続けるというしんどいシナリオだったおかげで、その痛々しさは違和感から極限状態の倒錯感に変わったような気もする。緒花の主張する論理はおかしいし、馬鹿馬鹿しくすらあるのだが、それは一朝一夕で生まれたものではなく、皐月という破滅的な母親の下でこれまでの人生を歩んだ、1つ1つの積み重ねで得られた彼女の歪みである。今回の対峙でそれが浮き彫りになり、最終的にはそれを是正し、大人への階段を上るエピソードになってくれれば、ドラマとしても見栄えのするものになるだろう。孝ちゃんとの関係性ばかりはどうにもならない気もするが……何とか胸のすく終わり方になって欲しいもんである。

 まぁ、幼女緒花のくしゃくしゃ顔とかは可愛かったし、とにかく突っ走っている方が彼女は可愛く見える。多少の無茶も若さ故の魅力と思えば、これだけの無茶な展開も、いわゆる1つの萌え要素、かもしれません。

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  ゆらりふらりと第10話。このタイミングでこういう話を持ってくるあたり、この作品の構成は憎たらしいなぁ、と思いますね。緩急つけて見せられるおかげで、視聴モチベーションが下がらないのはありがたい。

 今回のエピソードは、2つのポイントから「うまいなぁ」と思わせる佳作。複合的なものなので明確な分化は難しいが、一応脚本面と構成・映像面から見ていこう。

 脚本としては「緒花がいない日」というのが1つのテーマになっている。それまで甲斐甲斐しく働いていた緒花が倒れ、喜翠荘は数ヶ月前までの「緒花がいない旅館」になるはずだった。しかし、従業員のみんなは、入れ替わり立ち替わり緒花の寝室を訪れ、忙しい中でもあれこれと世話を焼いてくれる。民子や菜子が見舞うのは自然な流れだろうが、次郎丸や徹、そして女将までが見舞いに顔を出したことで、喜翠荘が数ヶ月前とは全く違う世界になっているということがよく分かる。

 ここまでのエピソードにおいて、明確にインタラクトしていく主体となったのは、当然のことながら主人公の緒花だった。無茶をしたり、努力したり、失敗したり、色々と波風を立てる中で、彼女の成長と交流を描いてきたのが、この作品だった。しかし、今回のエピソードでは、そうした「緒花からのインタラクト」がぴたりと止まり、明確に描写されたのはコウモリ退治や早朝清掃など、必死に喜翠荘の一員になろうと努めていた緒花の影の姿。そして、そんな彼女に対し、今度は他の従業員から積極的にインタラクトしてくる様子を描いたのが、今回の焦点であるといえる。中でも徹のアクションは一番意外で、まるで彼女に気があるかのように甲斐甲斐しく食事を振る舞っていた。これが、今まで緒花が築き上げてきた喜翠荘でのポジションを如実に表したものなのだ。他にも、自らの病床に見舞いに訪れたこともある緒花を見に来た女将や、同じようにまだ新参者の次郎丸は「動けない緒花」を面白おかしく見守っていたし、菜子はいつも通りの細やかな気遣いで彼女をサポートしてくれる。奇しくも最後に訪れることになった民子も、偶然見付けてしまった彼女の悩み、心の弱さを察し、頬を赤らめながらも最大のデレを見せてくれた。これら全てが、今まで精一杯頑張ってきた緒花へのご褒美なのである。10話という区切りで、ひとまず「喜翠荘の一員たれ」という緒花の第一ミッションがめでたく結果を残したことが、ハプニングをきっかけに明示されたのである。何とも心暖まる話ではないか。

 そして、そんなシナリオを描く何とも不思議なコンテ構成が、今回2つめの見どころ。「病床から見るぼんやりした世界」という得も言われぬ対象の描き方が、非常に面白い。例えば時系列を多少いじった演出であるとか、この作品では珍しい、夢の中の非現実的な景色であるとか、多少阿漕ではあるものの、弱った緒花が見せた珍しい泣き言を、あまり後ろ向きな面を出さずに、さらりと一夜の夢のごとく描出している。この作品ならではの、精緻かつ自由な外界描写があってこそ可能になった演出といえるだろう。また、菜子がやたら気にしていたテレビの音声だとか、少しずつ変わっていく外の景色、回りのお客や従業員の声など、あの「風邪で休んで寝ているときの何とも言えない異世界な感じ」が絶妙な情景として浮かび上がるのも面白い。何となくベッドから降りて、見るともなくテレビの前に座ってしまう描写とか、普段自分が活動している時間に床に臥せっていることに対する不安感、優越感みたいなものが、緒花の真面目な性格と絡んで不可思議な共感を醸し出してくれる。長いような短いような、布団の中から見える景色というのは、何度経験しても慣れないものだが、それがちゃんと「違和感」として浮き上がってきたのは面白かった。

 余談だが、「違和感・異世界観」の描写というのはアニメならではの遊びが色々と模索できる面白いモチーフで、個人的には印象の強いエピソードが過去の作品にも多い。いくつかあげておくと、夢のような不可思議な世界を旅する情景がどこか懐かしく、寂しげに見える「フタコイオルタナティブ」3話「エメラルドマウンテン・ハイ」。今作同様に風邪で学校を休んだときの不安感がエキセントリックな夢として表れた「ひだまりスケッチ」5話「こころとからだ」。夢とうつつを彷徨い、最後の最後まで謎が漂い続ける「地獄少女三鼎」17話「藁の中」。寝不足の制作進行が夢との狭間でひたすら猟奇事件に舞い込まれる「妄想代理人」10話「マロミまどろみ」など。アニメ独自の演出が傑作を作り上げる例がたくさんあり、今作も、その例に漏れずになかなか印象的なエピソードになったのではなかろうか。

 ただ、2つ気になることがありました。1つ、若かりし頃の女将と思しき写真が飾ってある喜翠荘。その写真自体はよいのだが、隣には従業員が全員集合したような写真が確認出来る。……なんか多くね? 昔の喜翠荘はもっと流行っていたのだろうか。

 2つ、今回夢の中に現れて緒花を東京に連れて行こうとした存在、孝ちゃん。もちろん緒花が勝手に見た夢なのでフィクションには違いないが、アニメ的な演出から考えると、彼は「緒花が仕事に挫けて東京に戻ることの体現者」になっているのか? ……だとしたら、孝ちゃんは作品的には「悪役」になってしまう気がするのだが……畜生、いちご唇にドキドキしてる徹とかとくっついたらただじゃおかねぇ。あー、でも風邪引いた緒花はどこか艶っぽかったのは事実だなぁ。デコとデコで検温とか、確信犯だろコラァ。

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  次郎丸役立たずすぎワロえない第9話。基本的に悪役がいない作品ではあると思うんだけど、お仕事繁盛記っていう性質上、怠惰と無能は悪に見えますよね。

 行ったり来たりのせわしないエピソード。7組の追加客で全室埋まり、追加の予約も取れなくなってしまう喜翠荘。元の予約が何組あったかは知らないが、大体従業員数から想像出来るくらいの規模かね。外観は立派だけど、ざっと見積もって10部屋前後ってところだろうか。ピーク時に中居3人、厨房3人で回すのは確かに大変そうだ。そして、そんな忙しい時間に一人空回りする緒花。確かに「徹を呼び戻せばどうにかなる」という思いつきは結果オーライだったものの、式場でのタイムロスと無謀なプランニングはハラハラし通しである。あげく途方に暮れたら昔の男友達と長電話まで始めてしまい、見ている方の焦る気持ちとキャラクターの行動がなかなかシンクロしなくて大変だった。実際は晩ご飯の時間に間に合えば良かったんだからそこまで慌てなくても良かったのかなぁ。

 「一体今何時なんだよ!」ってのが気になって仕方なかったので必死に情報を探してみたのだが、孝ちゃんが湯乃鷺駅についた電車が、時刻表から13時35分着のものか、14時44分のもののようである(その前の緒花への発信履歴は12時40分頃なので、大体つじつまは合う。また、東京を朝7時過ぎに出れば金沢には大体12時くらいにつけるようなので、時間的にも矛盾はしない)。ってことは、徹さんを捕まえた時刻は遅くとも15時前。まぁ、間に合いそうだな。残された謎は「お客さんたちのチェックインが1時とか2時ってちょっと早くね?」という部分なのだが、単なる温泉宿なら、やることもなくぶらぶらするためにそれくらいの時間に宿に入る可能性もあるのかもしれない。まぁ、細かく見てもあんまり意味のないデータであるが、「緒花、ゆっくりしすぎやろ!」という私と同じ意見を持った人は、これを見て胸をなで下ろすと良いと思う。

 で、すったもんだの末に徹を確保出来たあとは、綺麗にハッピーエンドに向かうだけだ。蓮さんも再起動に成功し、危惧されていた「平等なおもてなし」についても、必勝の女将ノートのおかげで万全の体制。可哀想なのは次郎丸にいらん接待を受けたお客くらいのもの。更に民子は徹の指示で初の揚げ物チャレンジまでさせてもらうというサブイベントが発生し、従業員一同は全員一斉にレベルアップを果たした印象である。1話であれだけ怒られていた緒花がちゃんと一人で接客できるようになっていたのは感無量ではないか。

 しかし、そんな中で振り回されっぱなしだった可哀想な男が一人。そう孝ちゃんこと種村孝一君だ。わざわざ一念発起して石川県まで出てきたというのに、結果はまさかの空振り直帰。安く見積もっても石川への往復は2万以上かかるようで、いくらバイトしていると行っても勤労学生には辛い出費だ。あこがれのあの人の背後には別な男の影がちらつくし、何を言っても暖簾に腕押し、感謝はされるも好意が見えにくい。かてて加えて東京のバイト先には怪しげな視線で見つめてくる同僚の女性までいるではないか。遠距離恋愛は大変だというし、更に相手が緒花では苦労は倍率ドン、更に倍。これは……いかにもこの作品らしい「昼ドラ展開」あるで。

 悩ましいのは、孝ちゃんは努力がいまいち実らずにぐらぐらと揺れる要素が多いにも関わらず、その原因となった緒花は全くぶれていないという点。彼女からしてみれば今回は遠くに置いてきた恋人(仮)に気を遣っている余裕など無かったし、そもそもその必要すら無いという判断であった。彼のエールに対しては彼女が出来る最大限の謝意を表しているし、彼女なりに充分にそれは伝えていただろう。電話口から見え隠れする徹という男の存在だって、緒花からすれば「徹はみんちの思い人」というのが分かっているので、ちょっと憧れたりはするかもしれないが、恋愛対象っていうカテゴリには決して入らない。バイクでタンデムしてメットを借りても、そこに思い起こされるのは勿論東京にいる孝ちゃんのことなのである。緒花は緒花なりに一途なのだ。ただ単に壊滅的なまでに鈍感脳なので、孝ちゃんにどんな影響を与えているのかを想像する余裕が無い上、自然に2人の男のイメージを重ねてしまっている自分自身の現状すら認識できていないだけなのだ。うーむ、罪作りな女よ。

 視聴者の意見としては、「あれだけ緒花から感謝感激を雨あられと受けてるんだから、男孝一、それくらいで満足してやれよ」とは思うのだが、一日かけて無駄足踏まされた上でそんな広い心を持てるのは、多分草食系なんてレベルじゃない。喜翠荘の繁盛記としてはハッピーエンドの今回だが、緒花と孝ちゃんのラブストーリーとしては、致命的なまでのバッドエンドともいえる悲惨な回であった。頑張れ孝一、お前の見ている女の子は、それくらい日常茶飯事の娘だ。

 逆に、一歩も二歩も進んでいる感があってずるいのが民子のスタンスである。初のメイン調理がいきなり揚げ物って、大丈夫なんだろうか。でも、これまで見取り稽古を繰り返してきただけに、ちゃんとミッションはクリア出来てましたね。「天ぷら粉を付ける時はちゃんと氷水で冷やす」「あがり具合は油の音でチェック」。あ、これ『美味しんぼ』でやったところだわ!(進研ゼミ風に) 最後に賄い飯で大量の天ぷらが出ていたのは、支度が終わった後に徹が民子に個別指導をしてやった結果なんだろうかねぇ。人数に比してやたら多かった気がするので、多分そうした裏の事情を仄めかす意味があったと思うんだ。イイハナシダナー。今回のコンテは篠原俊哉氏ですよ。ほんと、なかなかクオリティの落ちない作品である。

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  ばば抜きー、な第8話。やっぱりかな恵ボイスはアホな発言してナンボですよね。今期はかな恵ヒロインが多いんだけど、その中で一番好きなのは……エルシィです。2番目が明日葉です。でも、緒花ちゃんも好きです。

 前回は巴さんメインのサイドストーリーだったわけだが、今回は久し振りにこのお話が「緒花が飛び込んだ旅館経営物語」であることを思い出させてくれる、なかなか苦々しい展開。あれだけ必死に「お客が増えればいいのに」と願っていたにも関わらず、いざ客が増えてしまうとそれはそれで大変という、接客業の悲哀を描いた内容である。うん、まぁ、ちゃんと事前に予約を入れてくれる客ならいいんだけどねぇ。

 久し振りの稼ぎ時だというのに、あまりに暇だったもんだから徹と菜子が休み、更に奮起しちゃった女将さんは持病が出てしまって無念のリタイア。残された従業員は、接客部門が巴・緒花(一応若旦那)、料理部門に蓮さん単体という、ちょっぴり不安な陣容(豆じいはどこにカウントすべきなのかね)。何とかこれだけで回そうと努力していく過程が、緒花の成長物語として描かれていくことになる。

 胡散臭いコンサルタントに頼ってしまったせいで、どこかチームワークも整わない不安な喜翠荘。あげく余計なことを吹き込んだために、案の定蓮さんが機能しなくなるというとんでもないハプニングまで発生。時間勝負のかき入れ時は絶体絶命のピンチ。実を言うと、旅館経営なんて全然知らない世界だし、料理がちょっとばかり遅れるのがどの程度の打撃になるのかは今ひとつピンと来ない部分はあるんですが……まぁ、多分まずいことになっているんだろう。緒花は自分に出来ることを模索した結果、とにかく非番の菜子を呼び出して負担を軽くし、そのまま自分は徹を出迎えるために一人街へと駆け出すことに。……って、大丈夫なんかな。

 街までどの程度の距離があって、夕食までの時間がどれだけ残されているのか定かじゃないけど、とてもじゃないけど徹を引っ張り戻して作業させるだけの時間は残されていない気がするのだが。普通に考えてお客さんのチェックインなんて早くても3時くらいだろ。既に何組かの客が部屋に入っているわけで、夕食までの時間はせいぜい3〜4時間。街までの往復は、短く見積もっても電車を使っていることを考えれば1時間はみないと駄目だろう。あげく結婚式の会場で徹がどこにいるかも分からず……緒花ちゃん、いっそあんたが手伝うとか、もしくは福屋にサポートメンバーを頼んだ方が早かったと思うのだが。「ピンチっぽさ」は充分伝わってくるのだが、冷静に考えると、どこまでヤバい状態なのかイマイチ分からず、正解となる行動が見えてこないために、コンサルタントの判断VS緒花の心配り、という対比の構図もうまいこと浮かび上がらない。ちょっと描写不足な勿体無い切り出し方な気がするぞ。

 しかしまぁ、そうした「なんかよく分からない緊迫感」以外にも、今回は何点かのポイントが点在しており、それらをかき集めると結構密度の濃い物語になっているので、まとめるのはなかなかの難行だったとも見える。例えば、なんだか扱いの悪い考ちゃんの存在。思い立ってわざわざ石川くんだりまで小旅行しちゃう行動力は、一人の女の子を思ってのものだとしたらなかなか偉い。都会のもやしっ子だと思っていたけど、案外気骨のある若者かもしれない。向こう見ずな緒花との相性は悪くないんだろう。

 また、冒頭で倒れてしまった女将と、緒花の心の交流もなかなか見応えのあるパート。救急車を呼ぶのを制止したり、病室にいた緒花を追い払ったり、女将は相変わらず旅館経営に厳しい性格が前面に押し出されているが、緒花に対して素直に「ありがとう」といってみたり、全てではなくともこそっと客のデータを記録した帳簿のことをもらしてみたりと、最初の頃よりもずっと緒花に対して心を開いている様子がうかがえる。対する緒花の方は正面からそのことを喜ぶような描写こそ無いものの、常に経営のことを考えるときには「女将ならどうするか」という思考を行うようになっており、単なる意地悪婆としてではなく、ちゃんと「大先輩」「経営者」としての女将を見るようにもなってきた。それに加えて、「松前」「四十万」という名字の違いから逆説的に血のつながりを意識するという家族的繋がりを想起させる描写もあり、仕事上の上司部下としての接点以外にも、頑固なその性格には共感を覚える部分もあるのかもしれない。緒花が最終的に喜翠荘の住人となるためには、女将からの太鼓判が必須。そうした「ハッピーエンド」を迎えるためには、今後もこの2人の関係性には要注目である。まぁ、このまま緒花が喜翠荘に骨を埋めると、東京住まいの考ちゃんが不憫でしかたないけどさ……

 今週の結名の方言は沖縄。胡散臭い、うざい、なんかムカつく、という、お嬢キャラとしては完璧な立ち回り。あの子、クラスではマドンナ的存在なんだよなぁ……ちょっと鬱陶しくない?

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  能登輝いてるよ能登、第7話。いやぁ、これまでのレビューを見てもらっている人には分かると思うんですが、私がこのアニメで一番気に入っているキャラが、何を隠そう巴さんなわけですよ。そんな彼女の魅力やらアレやらコレやらが全開の今回のエピソード。楽しくならないわけがない。

 能登麻美子+行き遅れになりかけの働く女性っていう組み合わせは、つい最近「たんすわらし」でも見かけた組み合わせ。なんだろう、そんなに焦っているような、幸薄いような声に聞こえるんだろうか。公式の設定を見たら巴さんは御年28歳。まぁ、確かに田舎で働く一人暮らしの女性ならばそろそろ焦りが見えて、親戚からも声をかけられる歳ではあるが、最近は女性の婚期も遅れ気味になっているし、まだ慌てるような時間じゃないとは思うのだがね。巴さんは美人で気立ても良いんだし、あとは出会いの無さだけを何とかクリア出来れば……ねぇ。田舎の旧友達が片付くのが早すぎるだけなんですよ。そもそも、28歳で婚期に焦る女性なんて描いてしまったら、中の人の立場はどうなるってんだよ。気づいたらもう31かぁ……麻美子の結婚発表が出たら、流石に各方面から荒れそうなのが悩みどころだな。

 とまぁ、全編通じて中の人が透けて見えて仕方ないお話だったのですが、掛け値無しのコメディ回というのは、意外にも初めてでしょうかね。緒花は相変わらず、菜子は徹底した被害者体質、民子も単細胞なので基本が可哀想な子(ほんとチョロいな)、男性陣は頼りにならない。そして今回はなんだか女将までちょっと妙。巴さん、確かにこの職場は危ないかもしれません。そんな妙な旅館を訪れた客達もそれに輪をかけて妙な連中であったが、あまりの捻れっぷりのせいで、巴が何を企んでも全てが裏目裏目に出てしまうという展開は、実に分かりやすいシナリオながら、暗い要素を全てひっくるめて笑い飛ばせるだけの勢いがあり、余計なことを考えずに楽しむことが出来た。「冷静に考えて、法律すれすれとかいうより、完全アウトだろ」とか、「巴さん、なんでそんなにミリタリー用語に詳しいんすか」とか、突っ込んだら負け。フルメタルジャケットに精通した旅館の中居頭は、確かに嫁のもらい手は見付けにくいかもしれない。

 今回も作画レベルは高品質を維持したままで、特に最大の焦点となる巴さんの百面相がいちいち面白格好いい。端的に言うと、嫁に欲しい。泣きぼくろが特徴的な巴さんのお顔だが、にんまりと悪だくみするときの笑顔が実にチャーミングであるし、中居さんらしい和装をぴしりと身にまといながら、ポンプを振り乱して暴れ回るギャップが痛快である。実家に帰るだのなんだのと暗い話題も出ていたはずなのに、実は今回巴さんが素直に落ち込んで暗い表情を見せたシーンって無いんだよね。「はいぃっ! 私の○○人生終わったぁ!」って、今後テンプレで使われそうな名台詞だよ。

 他にも、サバゲー組のぶっ飛んだアクション描写とか、それに対抗してのシャキシャキした巴さんの動きとの対比描写とか、やたらと大見得切った動きの見せ方にキレがあった。誰の手のものかと思ったら、なんとコンテが岡村天斎である。いやいや、こんなとこで楽しんでないで「青の祓魔師」の方に全力を注ぎなさいな。いや、嬉しかったですけど。

 そして、もう今回はこの話に終始してるけど、やっぱり中の人が魅力的。能登石川弁可愛いよ能登。「〜がいね」っていう語尾は、昔、能登トークで初めて知ったんですよ。47都道府犬の石川犬は例によって新谷良子との頂上決戦があるが、多分麻美子が配役されるんじゃないかと期待してます。「婚期が気になって、地元に帰るとか、そろそろ仕事を辞めるとか悩んでるけど、後輩も可愛いし仕事も向いていると思うから頑張ってみる女性」。能登麻美子も、そうあって欲しいと思います。間違っても「はいぃっ! 私の声優人生終わったぁ!」とか言わないようにね。ご家族の方々が方言指導に入っているのはどんな繋がりだったのやらね。この作品は、能登家の存在の上に成り立っているのだなぁ。

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  チャイナ気分でハイテンション! な第6話。やっぱりP.A.作品といえばチャイナですよね。いのちなんだよね。ほんと、「true tears」「Angel Beats!」と固定ファンの多い作品を連発し、この「いろは」も話題沸騰のスタジオなのに、「CANAAN」だけは知名度が上がらなかったんだろう……名作なのになぁ。

 愚痴はさておき、しばらくはギャグだのエロだのとよく分からないサービスに邁進していた喜翠荘が、久し振りに初心に戻って商売と経営を考える旅館経営アニメに戻ってきましたよ。怪しげな経営コンサルタントのおねーさんに振り回されてお約束のサービスシーンを披露したりはしたが、皆さん真剣なのは間違い無いのです。そして、そんなに簡単に田舎の旅館の経営が上向いたら苦労はしないのです。ばあちゃんもそのあたりのことは承知してるからこそガタガタ言わずにどっしり構えているのだろうね。この手の「経営が危ないから頑張ろう」シナリオの場合、主人公たちが何か画期的なアイディアを思いつくパターンとしては、大体地元の名産を使った地味な新商品を開発したり、地の利を利用した名所名物を生み出して客を呼ぶのがお約束だと思うのだが、そう簡単に喜翠荘に名案なんか生まれてこない。それを、「昔女将が使っていた衣装」というものすごく身近にあるもので何となく決着させた着地点は、ほど良く納得出来る良いバランスだったと思う。

 この作品のうまいところは、あくまでドラマの流れを重視して無茶なご都合主義を引っ張りすぎないところで、例えば今回のシナリオなら、何となくハッピーエンドっぽく見せてはいるが、女将の古い衣装を純粋にプラス要素として喜んでくれたお客というのはほとんどおらず、家族連れは何となく険悪な雰囲気が解消されただけだし、衣装に気づいてくれた2組は、それが女将のものであると知っていた、いわば常連客である。そんな連中は別に営業努力をせずとも顔を出してくれるわけで、新規の顧客獲得には何の役にもたっていない。緒花のいう通り、これで「明日からお客が増える」なんて虫のいい話はないのである。ただ、それでも「緒花と女将の接点」としての衣装を引っ張り出してくる流れが自然に「良い雰囲気になった」ことを表しているし、前半のハレンチ衣装のインパクトがあったおかげで、その対比として出された地味な和装が、視聴者目線にはすごく由来のある、良いものに見えてしまうのである。冷静に考えればあんまり意味のない挑戦ではあるのだが、それを感じさせずに「イイハナシダナー」させてしまう構成は見事なものだ。

 また、個々のキャラクターの配置にも無茶をせず、着実に歩を進めている描写も上手い。具体的には、今回の「衣装案」は緒花の努力が実を結んで表に出た企画であるが、実際には、彼女の思いを受けた豆じいが提供してくれたアイディアである。つまり、旅館経営のド素人である緒花は、全体を見直すと、川尻コンサルタントのアホなアイディアに感心してとんちんかんな挑戦を試み、から回った結果、うまく落としどころを見付けただけなのである。なんでもかんでも「主人公が熱意を持って取り組んだから素晴らしい解決策が見付かったよ!」というご都合主義にならず、緒花なら緒花なりの、身の丈にあった解決レベルで収拾を付けてくれているのはありがたい。

 また、緒花は今回、何故かやたらとコンサルタントの川尻さんにこだわり続けている若旦那の縁とも関係性を深めた。店に愛着があり、何とか経営を上向きにしようと奮戦する縁だが、その方策はいささか見当外れ。それでも、緒花から見たら「失敗するとしても、やらないよりはやった方が良い」という精神は共感出来るものであり、積極的に彼のサポートに回ろうと奮起していた。そして、そんな二人を繋ぐ役割を果たしたのが、緒花の母親、皐月だったわけだ。同じ人物の弟と娘が、同じように振り回された経験から仲を深め、どこか似た部分を共有しあう。なかなか愉快な親族模様である。

 そして、そんな血縁の深さは、オチの部分であの頑固婆、女将とも繋がる。女将も、過去には喜翠荘を守るべく、「何か新しいことを」と悩んで悩み抜いたことがあった。その結果が緒花のたどり着いたあの衣装であったが、彼女のアイディアも、過去には旦那に反対された「斬新な案」だったようである。保守と革新のバランスというのはいつの時代も難しい問題だが、女将も長い人生の中で、絶妙なバランス感覚を養っていたようだ。女将→縁という親子関係と、皐月→緒花という親子関係の対比と類似が見事にオーバーラップして色々と想像させてくれるし、何故女将が皐月を勘当したのか、などの過去にも興味が持てる。細やかな人間関係に、まだまだ色々と面白さが隠されていることを予期させる、良いシナリオであった。

 一応他の連中にもちょっとだけ触れておくと、今回も素敵だったのは「中居頭」という立場をよく忘れそうになる巴さん。川尻さんの衣装作戦が失敗であったことを真っ先に見抜き、使えない従業員たちにとにかく頭を下げさせるためにひたすら平身低頭。若いのに大変なお仕事です。次回予告でなんだか大変なことになっていたみたいだが、彼女が暴れると作品の空気が変わってとても楽しいので、今後の活躍も期待したいところ。他は……前回までメインだった民子はホビロン役、菜子は……乳揺れ役。

 そういえば、今回コンテ演出を受け持った人物が許琮という(おそらく)韓国人なのだが、スタッフロールを見ると、今回は制作がほぼ海外委託という状態で、グロス請けをしているのがUNION CHOというスタジオのようである。調べていて気づいたのだが、P.A.作品はちょいちょい関わっていたところですな。一昔前なら海外丸投げの制作は「三文字作画」と呼ばれる粗悪品の代名詞みたいなものだったが、P.A.の管理体制が良いのか、それとも格段に技術が進歩しているのか、スタッフロールを見るまで一切気づかないくらいのクオリティであった。ふぅむ、隣国の技術も馬鹿に出来ないな。

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