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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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2013年度・俺的アニメグランプリ

 

 俺はこの目が潰れてもアニメを見る。そんな全く意味も理由も無い誓いを立てたのか立てていないのか、私は艱難辛苦を乗り越えながらもアニメを観ている。その先に何があるのかと、たまに問われることもある。先人たちなら「そこにアニメがあるから」と答えるところなのだろうが、いや、それにしても最近ちょっと目の前にアニメが多すぎるんじゃないですかね。誰だよ、何年か前に斜陽産業だから減少傾向に向かうとか言ってたのは……。私はこのアニメの大海原を、今年も必死に泳いできたのです。「そこにアニメがなくてもいいのに」。昨年分はこちらを参照ね。

 毎年のことなので一応断り書きしておくと、タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っており、タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。すっかりこれに慣れちゃったから、多分ずっとこのよく分からない部門設定は変わらないだろう。

 今期エントリーされたのは、「2013年4月期以降に終了した、もしくは現在放送中である」ことを条件としたある程度最後まで視聴していた以下の132作品。………………HAHAHAHA! 増えたね! しかも割と大胆に増えたね! どこにそんな時間があるんだよ。違う、時間は作るものなのさ。まぁ、確実に「ながら見」する作品は増えているので、実時間にしてどの程度の負担増かは定かじゃないが。今年度ははっきりと「切った」と言える作品が無いからな……自分で自分を褒めてあげたいのは「メガネブ!」を最後まで観たことかな。でも、世の中にはこれらに加えて朝夕の番組も全部観てる人もいるわけだろ? やっぱり人間の力って偉大だナー。

 年間132本というのははっきり言って無茶である。来年度は減らす。きっと減らしてみせる。まぁ、今期も30分枠に満たないショートアニメが増えて、うち11本はショートだから、実質は120本程度だよ。「グランプリ」の認定をはじめた年からの過去6年間の推移を観ると767459679010393)→132(121)……多分、褒めてあげるべきはうちのBDレコーダーだな。

 他方、劇場作品は今年は8本で去年よりも減っている。「アイマス」とか「WUG」とか観ようかまよってスルーしてしまったものもあったので、原因は「金欠」だと思われる。でもまぁ、7→4→6→12→8と推移してるので、大体平均したらこれくらいだと思う。ちなみに毎年のことだが、この評定枠に劇場作品は「原則として」含まれていないのでご容赦願いたい。

 

○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順)

「あいうら」「アウトブレイクカンパニー」「青き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」「悪の華」「アラタカンガタリ〜革神話〜」「いなり、こんこん、恋いろは。」「犬とハサミは使いよう」「IS<インフィニットストラトス>2」「ウィザード・バリスターズ」「ウィッチクラフトワークス」「Wake Up Girls!」「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」「宇宙兄弟」「宇宙戦艦ヤマト2199」「有頂天家族」「お姉ちゃんが来た」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」「俺の脳内選択肢が学園ラブコメを全力で邪魔している」「カーニヴァル」「革命機ヴァルヴレイヴ」「神様のいない日曜日」「神のみぞ知るセカイ女神篇」「ガリレイドンナ」「ガンダムビルドファイターズ」「帰宅部活動記録」「義風堂々!!兼続と慶次」「君のいる町」「境界の彼方」「京騒戯画」「キルラキル」「きんいろモザイク」「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」「ぎんぎつね」「銀の匙」「GJ部」「黒子のバスケ(2期目)」「血液型くん!」「幻影ヲ駆ケル太陽」「げんしけん二代目」「COPPELION」「ゴールデンタイム」「サーバント×サービス」「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」「咲-saki-全国編」「桜Trick」「サムライフラメンコ」「進撃の巨人」「翠星のガルガンティア」「ステラ女学院C3部」「ストライク・ザ・ブラッド」「ストレンジ・プラス」「スパロウズホテル」「スペース☆ダンディ」「生徒会役員共*」「聖闘士星矢Ω」「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」「世界でいちばん強くなりたい!」「Z/X IGNITION」「絶対防衛レヴィアタン」「戦姫絶唱シンフォギアG」「そにアニ」「ダイヤのA」「たまゆら〜もあぐれっしぶ〜」「ダンガンロンパ The ANIMATION」「断裁分離のクライムエッジ」「中二病でも恋がしたい!戀」「超次元ゲイムネプテューヌ」「ディーふらぐ!」「デート・ア・ライブ」「てさぐれ!部活もの」「てさぐれ!部活ものあんこーる」「DEVIL SURVIVOR 2 the ANIMATION」「DD北斗の拳」「とある科学の超電磁砲S」「とある飛空士への恋歌」「東京レイヴンズ」「ドキドキプリキュア!」「となりの関くん」「凪のあすから」「波打ち際のむろみさん」「ニセコイ」「のうりん」「ノブナガ・ザ・フール」「ノブナガン」「ノラガミ」「のんのんびより」「ハイスクールD×DNEW」「這いよれ!ニャル子さんW」「はたらく魔王さま!」「八犬伝-東方八犬異聞-(第2期)」「バディ・コンプレックス」「ハマトラ」「ハヤテのごとく!Cuties」「百花繚乱サムライブライド」「ファイブレイン神のパズル3」「ファンタジスタドール」「Fate/Kaleidプリズマ☆イリヤ」「フォトカノ」「ふたりはミルキィホームズ」「BRTOERS CONFLICT」「ブラッドラッド」「Free!」「フリージングヴァイブレーション」「BLAZBLUE Alter Memory」「変態王子と笑わない猫。」「鬼灯の冷徹」「WHITE ALBUM2」「マイリトルポニー〜トモダチは魔法〜」「マギ(2期目)」「マケン姫っ!通」「機巧少女は傷つかない」「魔法戦争」「未確認で進行形」「ムシブギョー」「メガネブ!」「<物語>シリーズセカンドシーズン」「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」「ゆゆ式」「夜桜四重奏〜ハナノウタ〜」「弱虫ペダル」「よんでますよ、アザゼルさん。Z」「リコーダーとランドセルミ☆」「リトルバスターズ! ~Refrain~」「恋愛ラボ」「RDGレッドデータガール」「ロウきゅーぶ!SS」「ローゼンメイデン」「ログ・ホライズン」「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」「ワルキューレロマンツェ」

 

○今期視聴した劇場アニメ作品

AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜」「Steins;Gate 負荷領域のデジャヴ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」「小鳥遊六花・改 劇場版中二病でも恋がしたい!」「魔法少女まどかマギカ新編 叛逆の物語」「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」「TIGER & BUNNY the Rising




<タイトル部門>

技術賞

‘05「創世のアクエリオン」 ’06「がくえんゆーとぴあ まなびストレート」

‘07「モノノ怪」 ’08「キャシャーン Sins」 ’09「化物語」 

‘10「デュラララ!」 ’11「輪るピングドラム」 ‘12「さんかれあ」

‘13「青き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-

 純粋に技術力を評する賞。最近は単なる映像技術というよりも、具体的なコンテ、画面構成などで現れるクリエイターたちの感性に依るところが大きくなっていた部門でもある。

 今年も様々なクリエイターの個性がぶつかりあい、大量消費の時代の中にも、きらりと光るオンリーワンが数多く作られた。分かりやすい映像のクオリティ、誰が見ても「これはすげぇぜ、金と手間がかかってるぜ!」と分かるのは、やはり「進撃の巨人」が筆頭だろう。最後まで落ちることなく描かれた立体機動のダイナミックアクションは、一切現実感が無いはずなのに何故か引き込まれてしまうほどにリアリティを持つという、アニメーションの真骨頂と言える仕上がり。流石の荒木哲郎、何をやらせてもぶっ飛んだものが出てくる。同様に「金がかかってるな!」で群を抜くのが「宇宙戦艦ヤマト2199」。そりゃね、これだけ安心して資金をつぎ込めるコンテンツも無いですからね。世代じゃない私のような人間でも、きらびやかな中にどこか泥臭さの混じった「昭和の宇宙観」のリライトには惚れ惚れしました。あとはI.G.が誇るCG技術がどんどん謎方向に高まった「黒子のバスケ」「翠星のガルガンティア」、更にロボ作画では絶対に他社に譲らないと気を吐くサンライズが送り出す作品の数々(「ガンダムビルドファイターズ」「バディ・コンプレックス」)あたりも、「手間かけてるなぁ」がよく伝わってくる、一番分かりやすい意味での「ハイクオリティアニメ」である。まぁ、アニメ業界はどこまで行ってもロボとの関係性は終わらないってことだろうね。

 クリエイターの総体ではなく、どこか尖った感性で見せてくれる作品というのも魅力的。現代アートのように一目で「何かおかしいぞ?!」と感じさせてくれる画面作りというと、あまりにも荒削り過ぎて素材そのまんまやないか! と突っ込まざるをえない「スペース☆ダンディ」なんかが筆頭だろうか。クリエイター野放し天国。監督単体でのフルスイングが光る作品としては、他にも東映のふざけた本気、「京騒戯画」は毎回ハラハラしながら見ていたし、脚本、構成までもが全て監督の好みで埋められた「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」も、他人には絶対マネ出来ない領域。「夜桜四重奏〜ハナノウタ〜」におけるりょーちもの作劇や、「ローゼンメイデン」における畠山守のこだわり抜いたコンテワークなども、あまり取り沙汰されることが無いポイントではあるが、現代アニメを語る上では外せないキーパーツといえる。もう少し分かりやすく現れた事例なら、「鬼灯の冷徹」の愉快な地獄絵巻なんかも、油断すると見過ごしがちな高い技術力の現れ。是非ともこの辺りの作品の評価が適正にくだされる世の中であって欲しいものだ。

 さて、選出にあたって最後まで悩んだ作品は3本。1つは、賛否両論で様々な波紋を引き起こした「惡の華」。ロトスコープによる作劇の功罪については既に番組感想で議論済みだが、こうして多少の時間をおいて振り返ると、やっぱり「やって良かったんだろうな」という感心が先に立つ。何年か後にアニメの道標的な意味合いで再評価されるタイミングがあるものだろうか。そして、そんな「先駆的な技術のチャレンジ」と最も縁遠いところにあったのが、大馬鹿活劇「キルラキル」。まぁ、結局アニメーションでもなんでも、作り手側がやりたいことを、やりたいようにやるのが一番ってことですよね。

 そして、この2本と比較して悩みながらも、やはりシンプルな「技術の見得」を優先し、今年度のトップは「青き鋼のアルペジオ」とさせて頂く。フルCGによるまさかの「美少女艦隊萌えバトルアクション」。まだまだ荒削りな部分は多く、「CGアニメの新時代の幕開け!」と手放しで喜べるものではないのかもしれないが、やはりサンジゲンが刻んだこの第一歩は非常に大きなものだったと思う。「CGヒロイン」の魅力は十分に高まっていたし、多少の粗があったとしても、そこは本領である艦隊戦闘のド派手さである程度埋め合わせが効くものだ。「CGでも描ける」ではなく、「CGでしか描けない」に積極的に挑戦した画面作りは、今後の1つの指標となることは間違いないだろう。まぁ、小難しい話は抜きにしても、とにかく作品として文句なく面白かったってことなんですけどね。フルCGで動き回る熊のぬいぐるみとかな! 同じスタジオが「うーさー」も手がけているってのが、何ともね。

 

努力賞 

‘05「蟲師」  ’06「ひぐらしのなく頃に」 ‘07true tears」  

’08「かんなぎ」 ’09「けいおん!」  ‘10「世紀末オカルト学院」 

’11「ブラック★ロックシューター」 ‘12TARI TARI

‘13「聖闘士星矢Ω」

 他の部門で何かを取り上げて評するのにちょっと噛み合わないけど、とにかく個人的に「頑張った!」と言いたい部門。いわゆる「頑張ったで賞」だとお情けみたいに見えるかもしれないけど、「光るものがあたったのに評することが出来ないのは勿体ない!」と思った作品を取り上げる賞なので、きちんと価値があるものだと思ってるんですよ。

 特別な頑張りというと、今年まず目を引いたのは「惡の華」ではなかろうか。ロトスコープという選択はどのように受け入れられるか分からない時点でかなりのチャレンジであったし、そこにかかった予算、人員、そして時間を考えれば、これ以上に「努力」という言葉がぴったりくる作品作りもあるまい。もっと別次元での「チャレンジ」というと、たとえば「キルラキル」なんかは別格の手間暇がかかっているのは間違いない。1から10まで手作りのアニメオリジナル作品というのは、それだけで評価すべきものなのかもしれない。「アニメオリジナルで頑張った」枠としては、個人的に絶対外せないのが「サムライフラメンコ」。ただ、他の作品に比べると作品の画作りにまで頑張りが間に合わなかったのがちょと残念だったけど。

 もちろん、原作付きアニメだって作品作りが楽なわけじゃない。作品の魅力を伝えるために全力で挑んでくれた作品の数々があり、たとえば「ムシブギョー」なんかは、充分に原作が持つ面白さを伝える作品作りが出来ていただろう。同じ枠には「ノブナガン」や「夜桜四重奏〜ハナノウタ〜」なんて渋い佳作もあるし、「いなり、こんこん、恋いろは。」や「神のみぞ知るセカイ女神篇」なんかは、限られた話数の中でどうやって原作の魅力を最大限にアピールするかを真剣に考えた結果の成果だっただろう。まぁ、尺の問題でいうなら「ダンガンロンパ The ANIMATION」が筆頭だろうが。頑張ったのは間違いないよなぁ。

 さて、残りは4作品。まず、原作の時点でそこまで大きなアニメ的盛り上がりがあるわけではないはずだが、それを見事に1つのシリーズとして完成させた労作「WHITE ALBUM2」。あんな単純で分かりやすい恋愛ドラマにああも引き込まれることになるとは思っていなかった。捻りを入れずに真っ直ぐに攻める作品作りっていうのも大事なんだな、というのを久しぶりに確認出来る良い機会だった。全く別な角度からハードルが上がっていたのが「とある科学の超電磁砲S」。前半パートは既にアニメで一度やったお話、後半はそれを踏まえた上でのオリジナル展開と、魅力を出すのに苦労することが確実になるような状態だったにも関わらず、あらゆる魅力をフル回転させて見事な「2期」を作った。人気コンテンツにおんぶにだっこではなし得ないチャレンジをきっちり果たせた功績は大きい。そして、更に真逆のハードルを用意したのは「Wake Up, Girls!」。ハードルをあげまくったのは監督自身だった、なんて問題もあるし、最終的に画面のクオリティはそのハードルを越えられなかったのが非常に残念だが、無謀とも言えるリスクまみれの勝負の中で、確実に得られるものはあったはず。そういう意味では、やっぱり「よくやってくれた」と思わずにはいられないのである。

 さて、そんな並々ならぬ努力の数々の中で、1つ選べと言われたら、どうしてもこればかりは個人的な感傷が先立つもので。「聖闘士星矢Ω」の2期目は、まさに「やって欲しい」をたくさんやってくれた極上の「おっさんホイホイ」となった。1期は1期で色々と笑える部分もあったのだが、やはり「2世もの」としての盛り上がりは、旧作との繋がり、どれだけ旧作に敬意を払ってくれているかという愛着の度合いによる。そういう要素を見ると、本当に「Ω」の2期は極上だった。まさかのオリジナル鋼鉄聖闘士やら、レジェンド聖闘士たちの活躍、星矢の告白などの諸要素が、これでもかと過去への憧憬を刺激して勝手気ままな大興奮へと導いてくれた。もう、それだけでファンとしては文句無いのです。ちょろいと言われてもいいじゃない。そこに愛があるなら。

 

ファンタジー賞 

‘05「ふしぎ星のふたご姫」 ’06「あさっての方向。」 ‘07「天元突破グレンラガン」 

’08「RD 潜脳調査室」 ‘09「狼と香辛料Ⅱ」 ’10「あにゃまる探偵キルミンずぅ」

‘11「うさぎドロップ」 ’12Fate/Zero

’13「翠星のガルガンティア」

 アニメなんてものはどこを取ったってファンタジー(fantasy:想像、空想)なのだから、どこをピックアップしたらいいのか分からなくて毎回趣旨がコロコロ変わってる感がある部門。過去の履歴を見ると何となく分かるものがほとんどだけど、やっぱり「うさぎドロップ」だけが異端やな……「幼女はファンタジー」。

 さておき、今年も「作品内世界構築の妙」という部分で何作か見ていくが、たとえば「ログ・ホライズン」のファンタジーは王道中の王道。そこにネットゲーム由来の諸要素を絡め、最終的には大地人との関係性を含めた「人と人の繋がり」に収束していく何とも不思議な後味は、シロエたちと一緒に少しずつ世界を探索、理解していくという、世界構築そのものの楽しさによるものだろう。更に救いようの無い「世界」ならば、神の気まぐれでポンと生まれてしまった都を描いた「京騒戯画」、神にすら見放されたような絶望的な生き方を夢想させる「進撃の巨人」などが、1つの箱の中に収まった「ifの世界」としての完成度が高い。現代アニメの多様性が、こうして並べてみるだけでも感じられるだろう。ちなみに、日本以外の国でファンタジーを作ると「マイリトルポニー」になるようです。これはこれで凄まじい……。

 一転、アニメーションの本流といえば、やはり「日常系」が無視出来ない。上記の「うさぎドロップ」の例じゃないが、ありそうでなさそうな「非日常」をどのくらいの距離感で作り上げていくのか、というのも、日常から乖離した非現実を楽しむアニメには欠かせないものとなっている。その筆頭にあげたいのは、なんと言っても「有頂天家族」。人とタヌキと天狗のおりなす、どこまでも嘘で、どこまでも所帯じみた京都の町並み。イラストレーションの独特さのために一歩間違えれば本当に「漫画的非現実」でしかないはずの世界が、物語としての呼吸を整えるだけで突然血肉のあるものに変わる。アニメの世界を外から見ているはずなのに、突然グンと中に引き込まれるような感覚に襲われるのが本当に気持ちいい。同じくP.A.Worksの産みだした「非日常」の極限には「凪のあすから」が控えている。「あり得ない現実」の代表格ともいえる汐鹿生の生態が、何の説明も無しにポロリとこぼれて、そこにどうしようもないほどの共感と、日常性が生まれる。これこそが究極の「ファンタジー」の体現ではないだろうか。

 更に卑近な場所に寄ってくると、日本人にとっては本当に「日常の一部」となっている霊的存在とのコンタクトを描いた作品は、どうしても憧れをもって見てしまう。「ぎんぎつね」「いなり、こんこん、恋いろは。」の2作である。「いなこん」の見せてくれた京都も魅力的だが、より「世界構築」の強さがあったのは「ぎんぎつね」だろうか。銀太郎やハルちゃんが見えるというただ1点を除けば、そこに見えるのは本当の日常風景。そこに描かれる神の姿ってのは、日本文化の独自性が強く表れたどこかノスタルジックな姿である。また、もういっそ神や霊といった非日常も全部取っ払っちゃった完全な「日常世界」だってファンタジーたり得る。僕が言いたいのは「ゆゆ式」のことなんだ。日常ものだよ、でも、あんなファンタジックな世界は無いと思う。何を言ってるか分からない場合は……「そにアニ」みて下さい。ほら、こんなにもファンタジー。

 というわけで、色々な言い方でどんなアニメでも「ファンタジー」を持っているわけだが、今期は割と真っ当な方向で1つの世界を作り上げたという点を評し、「翠星のガルガンティア」をここに持ってきましょう。いつとも分からない地球世界、全てが海に沈んだ青の星、そこに育まれた人とヒディアーズの悲しい歴史。それらの「世界」を切り開き、順応するという過程は、視聴者とレドが同時に体感出来るこの上ないファンタジーだ。レドに至っては基本となるはずのあらゆる感情、人間存在すら無い状態からの学習であり、その内面は、おそらく我々がユニコーンやドラゴンを見たときと大差無いくらいにショッキングなものだったはず。そうした「インパクト」が非常に端的に、効果的に現れたのがこの「ガルガンティア」の世界。アニメーションとして目を引くための独自性を押し出しながらも、その裏側ではきちんと人間の普遍性を謳い、「誰もが持ちうる変わらぬもの」を見せてくれるシナリオのそつの無さも見事だ。1クールオリジナルでこういう切れ味の作品が出てくると、本当に嬉しくなりますね。

 

演技賞 

‘05「地獄少女」 ’06RED GARDEN ‘07「魔法少女リリカルなのはStrikerS」 

’08「紅」 ‘09Phantom ~Requiem for the Phantom~」 ’10「屍鬼」

‘11「Cシーキューブ」 ’12「夏雪ランデブー」

’13「戦姫絶唱シンフォギアG」

 中の人たちの良い仕事を作品ごとに評する部門。声優部門とは分けて考えるあたりは一応意味がある……のかな?

 まず、仕事内容云々よりもとにかく中の人の贅沢さに驚かされる作品といえば、「 -saki- 全国編」がある。よく「キャストが贅沢ってどういう意味だよ」みたいな議論を見かけるが、この作品の場合にはとにかく人数である。中盤以降はそれなりに現実的な範囲で落ち着いたが、序盤なんかはホントにありとあらゆる高校が登場したせいでキャストロールが恐ろしいことになっていた。まぁ、4人でやるゲームの団体戦ってんだからそりゃやばいことにはなるけども。また、似たような豪華さを誇った作品には「でぃーフラグ!」もある。黄金世代を中心に構成された謎の高密度キャスティングは、そっち目的の人間にとっては非常にありがたいものでした。

 かわってある程度新鮮なキャストで盛り上げてくれた作品だと、たとえば「きんいろモザイク」なんかは声の魔力で1段も2段も魅力が増した作品ではなかろうか。アリス・カレンのコンビなんかは「イギリスアニメ」そっちのけで完成度が高く、そこに禁断の麻薬である鬼畜こけしが加わる完成度はかなりのもの。中の人繋がりでもうひとつ禁じ手をあげておくなら、やはり「てさぐれ!部活もの」シリーズは無視出来まい。半分以上を文字通りキャストが作り上げている作品である。レッツどんちき。その他の若手枠だと「いなり、こんこん、恋いろは。」のお友達軍団を含むチームいなりの仕事や、「未確認で進行形」におけるみかくにんぐっの活躍もチェックしておきたい。今後に期待が持てるキャスティングってのは楽しいよね。そういう意味では「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」における特撮コンビの活躍なんかも、この後が楽しみな成果の1つかもしれません。

 作品全体よりも、ピンポイントでの「ドラマ作り」を見るなら、「わたモテ」におけるもこっちの役作りなんかはインパクト抜群。同じことは「惡の華」における仲村さんや春日の演技なんかにも言える。「げんしけん二代目」の斑目、波戸の演技なんかも含めて、「鬱屈した感情の発露」っていうのは役者さんにとっても楽しいお仕事なのかもしれない。そういう意味では「強烈な失恋」が描かれた「神のみぞ知るセカイ女神篇」も重要な作品か。

 さて、最終候補はあと4つ。1つは、まさに作品全体で空気を作り、1つ1つの演技で世界を積み重ねていった「たまゆら〜もあぐれっしぶ〜」。柔らかい風景の竹原を作り上げる1つ1つの演技プラン、音響効果が重なり合って出来る平和な世界には本当に助けられた。また、多少毛色は違うが、「超次元ゲイムネプテューヌ」におけるキャラ作りにも、どこか近い暖かみが感じられた。まぁ、単に麻薬クラスで破壊力のある声が集まっていたからなのかもしれませんけども。そして、まさにドラマ、まさに役者業の本道といえる仕事を見せつけてくれたストレートな作品として「WHITE ALBUM2」を忘れてはならない。クライマックスにもつれ込む雪菜とかずさのせめぎ合い。1つ1つのシーンの魂の籠もった演技は役者陣の面目躍如であった。

 そんな数々の名演技、名勝負の中でも、やっぱり1つ異次元だったのは「シンフォギア」の世界だ。どこかでネジの外れたシンフォギアワールドの丁々発止のやりとりは、更に歌の要素まで巻き込んで前人未踏の荒野を突っ走るごとく。歌えばなんとかなる世界だからこそ、その歌に込めた魂が試されているわけで、そこで手を抜かなかった時点でこの作品の勝ち。短い尺の中に窮屈に詰め込まれた各キャラクターの救われない熱情にも注目だ。あとは歌え。歌えば分かるさ。

 

ユーモア賞 

‘05「アニマル横町」 ’06「ひだまりスケッチ」 

‘07「俗・さよなら絶望先生」 ’08「ひだまりスケッチ×365」 

‘09「そらのおとしもの」 ’10「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」

‘11gdgd妖精s」 ’12「しろくまカフェ」

’13「マイリトルポニー〜トモダチは魔法〜」

 個別賞の中で最もカテゴリとして偏るのがこちらの部門。まぁ、ギャグアニメってそれだけで別次元を目指したアバンギャルドな奴も多いしね。やっぱり簡単にアニメを楽しむには笑わせてもらうのが一番である。

 さて、今年まず不意打ちを食らわせてくれたタイトルというと、「DD北斗の拳」がある。「なんか昔やってたやつやんけ、30分番組になったのかよ。どうせおもんないだろうけど、大地監督作品なら一応見ておくか」と思ったらジワジワ来てしまったのがなんか悔しかった。同様に無警戒のところに予想外のダメージを与えてきた作品だと、最近だと「鬼灯の冷徹」も近いジャンルかも。どちらの作品も「いきなりオープニングがずるい」っていうのが共通。あ、オープニングのずるさで言ったら「てさぐれ!部活もの」に比肩する作品は無いね。引き続き、石館作品は注意が必要なジャンルであることが分かります。

 その他にストレートにギャグで狙いに来ている作品では、直近だと「のうりん」の捨て鉢なネタ回しはいかにも現代風。業界での千和の扱いが酷すぎて楽しい。そして、「千和使い」の熟練度を考えると、やっぱり水島節は強かった、黒水島全開の「よんでますよ、アザゼルさん。Z」が相変わらずの破壊力だ。また、白水島であっても、「ウィッチクラフトワークス」のシュールなネタ回しはいちいち笑ってしまう勢いがあった。2期目で強かった作品といえば後は「中二病でも恋がしたい!戀」かな。まぁ、「萌え」なのか「笑い」なのか微妙な路線ではあるけども。「燃え」と「笑い」の間にあるのが「キルラキル」ね。

 破滅的な笑いの傾向ってのもあって、一部では「笑えねぇよ」とすら言われてしまった「わたモテ」のやるせなさは、人を選ぶ上に一回きりの劇薬だった。同時期には更に人を選びそうな「ファンタジスタドール」なんてのもやってましたけどね。「スペース☆ダンディ」は……一体誰が選ばれし者だったのかすら分からない次元だな……。

 そして最後まで悩んだ作品はこの部門も3本。1つは、ギャグの勢いとシリアス要素、それに真っ当な少年漫画的要素が上手く統合された「はたらく魔王さま!」。毎週毎週、やたら笑わせてもらったのは、ネタの設定が上手かったからなのか、単に僕が勇者ちゃんの大ファンだったからなのか。日笠にはもっとネタキャラをどんどん提供してあげましょうよ。そして、別次元からの刺客として最後まで悩んだのが「ワルキューレ・ロマンツェ」である。これをギャグとしてピックアップするのもどうかと思うが、独自の世界観から導き出される救いようの無いエロバカギャグの数々は、外面が無駄に恰好いいジョストだったせいで一際目立つものになっていた。まさかの「お前たちは俺の馬以下だ」エンドは色々なものを犠牲にしすぎていて脱帽である。

 そして、これらの多方面にわたる笑いの数々の中で、今期最も打ちのめされたのは、海外からの風であった。「マイリトルポニー」は、作品自体は既に数年前のものではあるのだが、普段洋画も見なければ海外アニメーションも見ない私にとって、この容赦無いアメリカンジョークアニメは本当に新鮮な驚きに満ちていた。「これ、幼い女の子が楽しんで観るのかよ……」という絶望感がまず先立つが、本当に倫理観や世界観ってのはお国柄によって全然違うのだな、というのがよく分かる遠慮ないネタ回しは、下手に狙ったギャグラノベなんかよりもよっぽど破天荒で、救いが無く、笑いに繋がる。というか、笑うしかない。登場人物がみんなクズであり、クズがクズを罵り、クズを打倒してクズの上に立つという徹底した性悪説に基づいた作品作りは、サブタイトルの「トモダチは魔法」をとても空しく感じさせる。いや、こんな世界だからこそ、友達というのはマジカルな存在ということなのだろうか。私は、何があったとしてもラリティとだけは友達になりたくないけど。ポニーの交友関係を見てると、女子中学生どうしでギクシャクしていた「いなこん」のいなりちゃんなんてまだまだ可愛いもんだってことが分かりますよ。ポニービルの連中は人の皮を被った、否、馬の皮を被った悪魔ばっかりだ。

 

アイディア賞 

‘05「アカギ」 ’06「地獄少女二籠」 ‘07school days」 

’08「地獄少女三鼎」 ‘09「大正野球娘。」 ’10「魔法少女まどか☆マギカ」

‘11TIGER&BUNNY」 ’12「戦国コレクション」

’13「ガンダムビルドファイターズ」

 「ナイスアイディア!」を評する部門。どのアニメもアイディア一発で成り立っているわけではないわけだが、「その発想は無かったわ」とか、「マジでそれをやるとは思わなかった」という思い切った構造のアニメを取り上げることになる。

 ストーリー的な着眼点の面白さで言うと、たとえば「アウトブレイクカンパニー」なんかは個人的にいい狙い所だな、と思った。「オタク文化」としてのアニメがジャンルとして(いい意味でも悪い意味でも)煮詰まっている昨今、既にパロディ、自虐を伴ったネタ作りは飽和状態で食傷気味なわけだが、そんな中でも必死に先を模索する姿勢は素直に感心した。1本のシリーズとしてまとまっていたかどうかは別として、「パロディをメインにする」という方向性での一つの指針として面白い。同様に飽和状態のジャンルからいくつか「これはどこかに突き抜けられたかな?」と思う作品としては、たとえば「はたらく魔王さま!」なんて作品がある。「魔王もの」がここまで増えた理由は全くもって謎であるが、その中でも素材の扱い方が丁寧で、異能バトル、ラブコメ、ギャグとして様々な見方が出来る贅沢な一本。萌え・エロ方面での先鋭としては、たとえば「そにアニ」なんてのはどうだろう。たった1人のキャラクターからアニメを1シリーズ産みだすなんてのはかなりの難行であるが、それを、メインシナリオ無しの日常ものとしてまとめてしまうという奇策。突き詰めた「萌えアニメの真髄」がここには眠っている。同様の日常枠では、私を混迷の渦にたたき込んだ「ゆゆ式」が忘れられない。未だにこの作品が自分を縛り付けている原因がよく分からないくらいに、ぬるりと体内に浸透してくる危険性はエポックメイキングである。

 商業上のワンアイディアとして、今年度のトピック「Free!」は避けて通れないだろう。萌えの伝道師たる京アニが正面から「そっち向け」に戦いを挑み、見事勝利した記念碑的作品。個人的にはどうしていいのか分からない作品ではあるのだが、それでも苦もなく見せられてしまう作品作りは、やはり「具現化したワンアイディア」の賜物だ。また、原作の筋をまさかのダイジェストですっ飛ばして美味しいところだけをつまみ食いするという暴挙に出た「神のみぞ知るセカイ女神篇」も、思い切った戦術が功を奏した作品である。原作再現に拘って構成をいじっていたら、おそらくあれだけのカタルシスは得られなかったであろう。同じような「続編」繋がりでは、「次の時代」を描きながらもきちんとオリジンに決着をつけた「げんしけん二代目」の構成もかなり好きだった。こういう作品群を見ると、やっぱりアニメのシリーズ構成ってのは結果を大きく左右する要素だということがよく分かるのである。そして、最後まで選出に悩んだ「思い切った脚本」と言えば、ナイス問題作「サムライフラメンコ」をあげないわけにはいかない。「その思いつきを、マジでアニメにするのか」というハラハラ感で言えば他の追随を許さない作品であった。

 そして、そんな様々な野心作の中でも、今年1番の衝撃はなんと言っても「ガンダムビルドファイターズ」ではなかろうか。はっきり言って、ガンダムというコンテンツ自体は翳りが見えたと思っていた。新作を作っても「ガンダム」という看板は重圧にこそなれ、新たな地平を切り開く起爆剤たり得ない。あまり思い入れの無い人間からすると、そう見えてしまうのも致し方ないことだ。しかし、そんな「ガンダムはもういいんじゃないかな」という気分を昔ながらの手法でぶっ飛ばしたのが、このBFだったわけだ。「今更プラレスかよ!」という下馬評を蹴散らし、「うわぁあぁ! ドリームだらけだあぁぁぁ!」と大きなお友達を狂乱させた「なんでもアリ」の精神は、ガンダムの持つ長い歴史をそのまま一本のアニメの武器として振り回したもの。こんな簡単なことで、ガンダムというコンテンツはいともたやすく刺激を生み出せたのである。このやらかした感がアニメ業界に与えた影響はあまりに大きく、今後はどんなBF路線が続くことになるのか、今から不安で楽しみで仕方ない。



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Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
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