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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 太陽と星、そのあまりに違う人生航路、第19話。舞台の上にたくさんの人生が交錯する。

 有馬かな、彼女の人生も波乱に満ちたものだった。芸能界、子役の世界を語る時に、やはり避けて通れないのはその親の話。どんだけ天才だろうと、どれだけ早熟だろうと子供が自分の足だけで芸能界にやってくることはないわけで、そこには大なり小なり親の思惑がついて回る。2世タレントなら「それが当然」という思惑が、そしてそうでないなら、「子供を芸能界に入れたい」という思惑が。有馬家はそれがちょっと残念な方向に出てしまったご家庭だったらしく、たまたま娘さんが才能を持ち合わせているという不幸も重なり、かなが子役になってしまったばかりに家庭崩壊のきっかけを作ってしまっていた。かな自身に何1つ悪いところはなく、彼女の口ぶりを聞けばきっと今でも決して母親のことが嫌いなわけではないだろう。それでも皆が不幸になってしまったのは、もはや芸能界に限らず、あらゆる人と人の交わりの中でも単なる不幸というしかない部類のものだ。

 むしろかなは幼いながらに必死に戦い、芸能界からフェードアウトしないというギリギリのところで踏ん張った。それが親のためなのか自分のためなのか、一時期のかなはすでに分からなくなっていたかもしれないが、アクアたちの協力もあって業界で前向きに生きられるようになり、自分がこの業界で楽しみを覚えていたという一番大切な事実を思い出せた。それでもなお、先週までは長らく鍛えていたブレーキが適度に機能していたが、この度、強火のファンである黒川あかねがそばにいたこともあり、周りの連中みんながグルになってかなを焚き付ける。ほなもう、燃え上がるしかなくなってしまう。

 有馬かなの本来の持ち味は、泣きの演技などではなく弾けるような眩しい存在感だったという。そのことを一番よくわかっていたのはあかねで、先週のサブタイトルは「太陽」。有馬かなという「役者」は、周りの人間にもバシバシ影響を与えて燃え上がらせる、太陽のような存在だ。そんなかなの影響を受けて看板役者にまでのし上がったあかねの輝きはさながら月といったところか。今作において「目の光」がさまざまな意味を持つ重要なファクターであることは1期1話から繰り返し示されていた重要な事実であり、先週もメルトくんの覚醒には「目の中の光」が重要なサインとして用いられていた。これまでたくさんのキャラクターが、独自の輝きを目に宿し、その生き様を示してきたものだ。

 そして有馬かなの「目の光」はどんなものか。そりゃもう、他の追随を許さぬ程に煌びやかに光る、無数の光源である。「太陽」の光は周りのすべてに拡散して明るく照らす。そのあまりの存在感にあかねもメロメロだし、観客だって一気に「主役」に引き込まれていく。今作にこれまで存在しなかった「太陽」という中心の存在、それが有馬かなの正体だった。

 それでは転じて、今作で一番最初に「目の光」を宿した人物は誰だったかといえば、もちろん星野アイである。その名に示され、「アイドル」の歌詞で「一番星の生まれ変わり」と表されたアイの目の光は「星」。太陽と比較することはできないが、これまた自分から光を発し、常に人々を魅了する唯一無二の光。ただ、そのあまりの距離に人々はいくら手を伸ばせども届かぬ存在でもある。そんなアイの「星」を受け継いだアクアとルビー。ルビーはまっすぐに「一番星」への階段を登っている最中だが、アクアは自己に内在する「星」を拒絶している。いや、別にアイを拒絶しているわけではないが、自分自身が輝きを発することを拒否している。芝居で輝きを発した時に自己矛盾から心を壊してしまう程に、身体が輝きを拒絶している。それは今回監督が分析していた通り、自らにとって最大の「輝き」であったアイを救えなかったという罪悪感からきているのだろう。アイを差し置いて、何を自分がのうのうと輝いていいものか。たとえその才能の断片を受け継いだとて、自ら押さえ込んではそれもそれで撞着を起こす。かくしてアクアはその目に「黒い星」を宿すこととなる。

 有馬かなは輝いた。周りに光をばら撒き、全てを照らして揺さぶった。しかし、光を飲み込む闇もまた存在する。ブラックホールの如きその漆黒に、かなの光も映らない。ただひたすら底の底に押し込めて、1人アクアは辛苦の道を往く。

 感情芝居にはいくつもの側面がある。役者が楽しいと感じればそれは最高の才能であり、観客にアピールできる格好の武器にもなるだろう。しかし、感情はポジティブなものばかりではない。苦痛だって立派な感情だ。よりにもよって「目の前で最愛の人を殺される」というシーンで求められる感情芝居。アクアは全く別方向から、パニックを起こさない方法で感情を呼び起こす。どれだけ身を削ろうとも、どれだけ黒く染まろうとも、それが彼にとっての生きる意味。

 彼の舞台は、未来につながっているのだろうか。

 
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