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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 なんなんだよ、ほんともうなんなんだよ、第10話。たった1つの事実をくるっとひっくり返すだけで、こんなにもどうしようもない画面をたっぷり楽しむことが出来てしまうのか……その発想は無かった……ほんと無かった……。

 いや、もしかしたら伏線は張ってあったのかしら。今作はあまり分析的な見方が出来てないので本当に「見たまんま」を楽しむことしかしてないのだが、過去の事実を遡っていくと、きちんとレオマブがカッパだったことが示されていた……のかもしれん。いや、でもやっぱりその発想は無かった。

 結局「カワウソ」は予想以上に概念オンリーの存在だった。カッパとカワウソの国をかけた争いが続いていたわけではなく、単にカッパの欲望が分裂して生み出されたのがカワウソ。カワウソはどこにでもいるし、何にでもなる。今回燕太にスルリと潜り込んで操ってたのは「もうなんでもありやんけ」ってレベルの所業だが、とにかくカッパが困ることなら何をやってもいいらしい。おかげで、元カッパ族の従者だったレオマブは騒動のどさくさではた迷惑な運命を押し付けられていたという。でも、レオマブは間違いなくケッピの皿のことを知っていたわけで、欲望の搾取なんかに頼らずにケッピに頼みに行けば最初から問題が解決していた気もするのだが……あー、でもそもそもカワウソ自体がダークなケッピから現れてるのか。だとしたら存命さえ危ういケッピを探すっていう発想が無かったのかな。

 とにかく、「カワウソだと思っていた中心となる二人が、実はカッパだった」というこのたった1つのどんでん返しだけで、物語の全てがひっくり返り、出てくるバンクシーンまで全てひっくり返る。ケッピが「また元のようにあの歌を歌おうケロ」とか言ってるのを聞いて「お、ソイヤァに続くまだ見ぬ新曲が隠されているのかい?」と思ったけど、単にさらざんまいの歌のことだったな。いや、でも本当にその2人が歌うっていう発想自体が無かったんだよ。ソイヤァとさらざんまいの歌は完全に排反事象で、そこが融和するなんてことは微塵も考えてなかったんだよ。過去最長となる長尺で流されたさらざんまいの歌がまさかのレオマブバージョンっていう……いやぁ、毎週歌って踊ってたせいで突然の新曲にもなんの違和感もないな……。もう、これが見られれば充分なんじゃないかと思える、意味のわからない充足感である。こうしてみるとさらざんまいの振り付けもソイヤァのモーションも、共通の部分が多かったんだなぁ。

 今回はレオもマブも率先して尻子玉を抜かれるためにいちいちケツをプリッとしてるのが本当に間抜けなんだけど、二人して決死の覚悟でその行為に及んでいるのだと思うと笑っていいやら悲しんでいいやら。特にマブの場合、「尻子玉を抜かれたカパゾンビは存在自体が消えてしまう」というルールを理解した上での行動なわけで、2人の自己犠牲の精神はどこまでいっても救われないものだ。折しも燕太が「自己犠牲なんてみっともねぇ真似すんな」と一稀を叱咤した直後であり、未来を捨てなかった少年たちと、絶望に打ちひしがれた戦士の対比が痛々しい。いや、画面は全部間抜けなんだけども。まさかこんなに悲しい漏洩があるとはなぁ……。

 結局全ての元凶はカワウソのやりたい放題である。レオは完全にその被害者であり、最終的には最愛の人の記憶すら失い、非業の死を遂げた。そして文字通りにその引き金を引いた人物こそが久慈である。なるほどね、ここにきて、ラスボスポジションが久慈になるのな……今更、本当に今更、久慈の名前がなんで「トオイ」なのかってことが理解できた。どこまで近づいたと思っても届かない思想、掛け違えたボタンのように、決して触れ合わない、決して繋がらない一稀と久慈の最後の関係性。「トオイ」は「遠い」につながり、「チカイ」とは相反する位置どりなのであるな。ちなみに、毎回マブが焼いてたカワウソのアレが「人形焼き」っていう皮肉にも今更気づいたりもした。いや、「カワウソ焼きかなんかか?」としか考えてなかったせいで、あの食べ物が「人形」の揶揄だってことに全く思い至って無かったんだよ。今回は「マブゾンビ」だったが、ある意味で「人形ゾンビ」でもあり、カワウソに踊らされた悲嘆の人形たちの末路を描くお話でもあった。残された一稀たちは「人間」であってほしいものだ。

 ハルカ曰く、「綺麗な円が歪んでしまう」という現在の不安定な絆。皿は円に通じ、円は縁に繫がる。ラストミッションは、やはり久慈とのつながりとなった。一稀は、大切な過去を、そして現在を取り戻すことができるのだろうか。

 

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 ちゃかざんまいやんけ、第9話。おっかないところやなぁ、浅草界隈。あんだけ銃撃戦が起こる観光地ってのもなかなかないだろうよ(いや、無いんだよ)。

 相変わらず「そんな展開でトラブルが?!」と思っていた部分も「そんなところから解決が?!」という処理が乱れ飛ぶ。一番ぶっ飛んでるのはやっぱりケッピ様だろうか。前回の「氷漬けになった!」だけでもわけわからんのに、今回は冒頭から「移動中」を経ての大破。そして決死の再生手術。最後にアナルが塞がり復活成功(?)。まぁ、もともと不定形生物みたいなもんだからあれで大丈夫やったんや。そのあと何事もなかったかのように活動してるしな。まぁ、彼とサラの掛け合いは今作の中では唯一と言っていい、「どこをひっくり返してもギャグでしかない」パートなので気楽に見られるのは本当に助かります(今後、こいつらがシリアスやり始めた時が一番怖い)。

 そして、そんなカッパ陣営に負けじとわけのわからない展開になっているのがカワウソサイド。前回大暴れしたおかげで色々と事態が転がっているようで、ちょいと浮かれすぎだったレオさん。残念ながらそんなに簡単にコトは運ばない……のはいいんだけど、まさかのダークカワウソがよくわからない設定を引っ張り出してきての反乱である。「カワウソは概念としてこの世に存在している」の時点でよくわからないが、「すなわち欲望とはカワウソなのだ」でますます分からないし、「お前の欲望が私だ」で最高にわからない。結局、これまで2人がせっせと「搾取」してきた欲望と同様、膨れ上がったレオ自身の欲望がカパゾンビを超えた「カワウソゾンビ」とでもいうべき存在として暴走し、過去の怪獣事件のようなとんでもない展開を巻き起こしていたということなのだろうか。もしそうだとするなら、此度の顛末は全てレオさんの救いようの無い独り相撲ということになってしまうが……心折れずに戦い続けられるんでしょうか。というか、レオさんは今後どこに向かって戦い続けたらいいんでしょうか。希望の皿で救難できる問題なのかしら。

 こうしたカッパ・カワウソ陣営の顛末に比べれば、人間の少年たちの展開はまだお話として理解しやすい。前回こじれにこじれた一稀と燕太の関係性だったが、死人に口無しというか、瀕死人に悪人無しというか、これまで燕太がどれだけ一途に(病的に)一稀を想っていたかが他者から語られることで、先週までの悪行は許されてしまったようだ。正直「どやねん」とは思うのだが、一稀はどうにも視野が狭い傾向にあり、怒る時も瞬間的に感情が爆発するが、他の情報が入るとまたすぐそちらにばかり目がいってしまうらしい。燕太憎しの感情も、あっという間に転げて燕太への信頼に早変わり。未だ命のタイムリミットを刻み続ける燕太のために、今度は自らの命を賭して戦う所存。敵がカワウソだってことはまだ気づいてないんだろうけど、どんな戦いになると想定しているんだろう。ケッピはそのあたりの話は全然してくれてないのよね。

 そして、本来なら今回最大の注目点であったはずの久慈兄弟の顛末。ドラマティックではあるんだろうが、まぁ、こうなるだろうことは大体予測できていたことで……むしろ先週まで、チカイの方がよく我慢して善人面できてたよな、という気もする。舎弟をぶっ殺してしまった時点で何もかもが台無しになってしまった感があるが、最後の最後で「つながり」を訴えて事切れたあたり、結局「悪人が生き残る」街で死んでしまったチカイ自身の抜け切らないあまっちょろさみたいなものを感じさせる結末である。弟に呆れていた兄貴だが、やはり血は争えず、二人が互いに尊敬し、忌避し合っていた部分も映し鏡だったというわけだ。最後に「回送」と書かれた船に運ばれる演出、「out of service」のニュアンスが嫌でも伝わってくることに加え、毎回の「回想 海藻」にかけたネタになってるあたりが周到すぎて腹立つな。毎回ボコボコと水底から浮き上がってくるような「回想」。それはまるで「海藻」から見たかのような視点だったが、今回の「回想」は海ではなくて川を引き返していく。チカイの魂は、三途を超えるというのにね。

 煮詰まってきてるんだか、どうなんだか。すでに「これって最終回じゃね?」と思うような展開が何度も繰り返されている本作だけに、どこがどう収束したらおしまいなのかも定かで無い。救われなかった久慈の想いは、再び一稀とまみえることで救済を得ることになるのだろうか。いっつもやっていたさらざんまいポーズが、共通の「好きだったサッカー選手」からもたらされたポーズだったことが判明したわけだが、最後はビシッと「幼い日の思い出」で3人がゴールデントリオになることができるんでしょうか。

 

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 断絶、第8話。今回はあからさまにこれまでのエピソードとは違うという転換のお話であることが強調されている。バンクの類が一切なかったことでそれが明白だが、ご丁寧にバンクの化身であるケッピを氷漬けにしてまで「いつも通りをさせない」というのは徹底している(サラの占いもなかったし、カッパサイドの動きがかなり異質)。

 「切れてから初めて気づくつながりもある」。つながりが大きなテーマとなっている今作の中においては色々と考えさせる久慈の一言。この発言をしているのが現在の久慈ではなく、回想の中の幼少期の久慈ってのが驚きだ。彼は幼い頃から過酷な家庭環境で育ち、すでにあの事件の時にはずいぶん達観した人生観を抱えていたようだ。同じ町に住んでいた同い年の少年たちの交流がわずかばかりあったとしても、それがすれ違いになるのは致し方ないところ。久慈にとって、一稀に託したミサンガは「切れて初めてわかるもの」。そしてそれを受け取った一稀にとって、ミサンガはシンプルに「つながっている」ことの証だった。これだけの違いがあれば、そりゃぁ現在の少年たちが邂逅したところで、なかなか「つながり」を再構築するのは難しい。

 その代わりと言ってはなんだが、今回は別なところで妙なつながりも発生した。その中心にいるのは燕太。前回本当に迷惑なとんでも行為に及んだ、三人の中でも最大の爆弾魔である。以前の「漏洩」の時には一稀がの天然っぷりも働いて強引にごまかせていたが、今回ばかりはあまりに露骨。一稀の方は理解不能な燕太の行動に怒り心頭だし、燕太は燕太で「なんで気づいてくれないの!」とやさぐれてしまっている。つながっているようで全く繋がれていなかったゴールデンコンビ。彼らの間に立ち、大人の視点を提供してくれるのは、なんと久慈の兄・誓(ちかい)だった。チカイはたまたま出会った燕太が久慈の友人であることには気づいていないが、世知辛いこの世界で、つながりがどのように形作られるものかを諭してくれる。その上で、善悪の境が他人のための行動を考えた時に大した意味を持たないなんて人生観も諭しているかのようである。燕太の無茶苦茶な行動を後押しするようでもあり、なりふり構わない彼の行為を自分たちの後ろ暗い人生と重ねて揶揄するようでもあり。久慈以上にダーティなチカイと接して、燕太は自分の立ち位置を、そして久慈の心境をどのように考えたのか。

 久慈と燕太の間には共通認識が生まれた。それは過去に久慈と一稀がつながっていたという事実でもあるし、燕太の秘められた想いの話でもある。こうしてみると三人の間の関係性というのは実にいびつなもので、一稀はまるで他の二人に支えられながら道化として振る舞うマリオネットのようだ。どこかで二人の手から糸が放たれた時、一稀はどんな崩れ方をするのだろう。そして、今まさに久慈はその手を離そうとしている。燕太の存在は、かつての少年たちの思い出をつなぎとめるきっかけとなるのだろうか。

 そして、そんなめちゃめちゃになってしまった三人の関係性とは別に、カワウソ側の暗躍もその激しさを増している。直接カッパ族たちの本拠地まで乗り込むレオマブ。彼らにとって人心の掌握など容易いことのようで、ここにきておおっぴらに往来で銃を撃ちまくったり、目的のためならやりたい放題。ケッピが勝手に凍っている状況では、一稀たちも一方的にやられっぱなしになってしまいそうだが……ここからカッパが巻き返す方法ってあるんでしょうかね? とりあえず、あの秘密基地めいた場所にラーメンを用意してくれたのが誰なのかが気になります。

 

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 自分の浅はかさを恥じ入るよね、第7話。正直、「もうこれ、全部予定調和じゃん」とか思ってた。終了3分前くらいまでマジで思ってた。そんなわけないのにね、そんなはずないのにね!

 だってさ、本当に順風満帆で、綺麗に既定路線に乗ってたと思うじゃん。矢逆家の問題が全て解決して、一稀は溌剌とした好青年に、ハルカとの関係性も改善されて幸せ一色。そんな一稀を見れば燕太だって幸せになるわけで、あとに残された火種は久慈とその兄のトラブルだけ。それでもあっという間に下の名前で呼ぶくらいまで距離を詰めてきた一稀が、きっと久慈の悩みだって解決してくれるに違いない。そう考えれば、途中で久慈の兄貴から電話がかかってきたのだって予定調和だし、きっと次は久慈家のトラブル解決がゴールだろうと思う。

 そのほかの部分では「カワウソサイドのモチベーションも色々知りたいンゴねぇ」とかいう感想も書いていたが、順調にレオ&マブの関係性も掘り下げられていく。なんとまぁ、ソイヤの際に輝いていたマブさんのあの心臓は人工(カワウソ工?)心臓だったという。過去の大災害でほぼ全てを失ってしまったカワウソ陣営。固い絆で結ばれたレオマブコンビだったが、事実上命を失ってしまったマブと、どうしてもそれを助けたかったレオ。望まざる形で戻ってきた相棒を前に、レオは行き場のない葛藤を抱えながら現実と戦い続けている。目の前のマブをどう扱っていいのかもわからないし、自分たちが必死にエネルギー源としての人の欲望を搾取し続けることの意味すら危うくなってくる。それでもただ、レオは「つがなりたい」というただ一心で戦い続けているのである。

 カワウソ陣営の目的もわかり、さらにさらに加えることには、以前予想した通りに今回のテーマは「タマ」である。きちんと久慈が過去にサッカー少年だったらしい伏線まで回収されたし、今回は最近数話とは趣が異なり、1話目で展開されたバンクシーンもかなり丁寧に再現されていた。いわば原点回帰のような構成である。「これ、ここから先は何をすればええんや?」とすら思ってしまった。「今回は誰がメインってこともなさそうだし、単に持ち回りで燕太がセンターに入ったのかなぁ」とか適当なことを思った。あまりにいい加減にスルーされるタマゾンビのひでぇ機密漏洩にクスッとするくらいで終わるかと思った。それなのに……。

 「これからこれをやります」。……漏洩ィ!!!! ちょっと待てやぁ! クソ燕太がぁぁぁ!!!! もうね、アゴがガクンてなりますよね。確かに思ったよ、「あんなどうでも良さそうな川辺の空き地、わざわざ狙ったように汚していく奴とか誰やねん」とは思ったよ。2日続けて同じように汚してるなら明らかに一稀たちを狙った犯行なわけで、「そんなやつ、今までのキャラにおるわけないし、もしかしてさらに新勢力でも追加されるのかしら……」とか呑気に考えていたよ。それなのに……知られてしまった!じゃねぇよ! いや、漏洩するのわかってたやろ! さらざんまいしたらそうなることくらい知ってるやろ! ほんと最低やんけ!

 もうね、ハッピーエンドで半ばドラマが終わったような気にすらなっていたのに、ものの数分でそれをひっくり返して台無しにする作劇ね。これはいたたまれないわ……これまでも、一稀が立て続けにとんでもない機密を漏洩させたことはあったけど、周りの人間が空気を読んで穏当に処理してくれたから助かった部分はあった。堂々の犯罪告白だったが、周りの人間に直接迷惑をかけてなかったから「終わったことはしょうがない」くらいのノリで許されてる部分はあった。でも今回の燕太はあかんやろ。一稀にも言い訳できないし、久慈からしたら最大級の裏切りだし、何もかもがおじゃんじゃないの? 最後に出てくるサブタイトルが「つながりたいけど、裏切りたい」って、いやいや、繋がれないよ? それは無理だよ? このままどこに進んでいくことになるやら……。

 しかし、回を増すごとにどんどんソイヤが見たくなるこの心理状態はなんなんだろう。今回は特にたっぷりイントロから流してくれたおかげで、スタート時の「待ってました!」感が尋常じゃなかった。ソイヤ音頭の振り付けレクチャー動画とかどっかにありませんかね?

 

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 こどもシュレッダーじゃん……第6話。すげぇ、今まで以上に情報量が、というか、設定ダイレクトアタックが。何事もなかったかのようにとんでもねぇ設定ぶっこんでくるのやめろ。

 前回ついにテンプレートが歪み、1話だけでカパゾンビを撃退することができなかった一稀たち。そのせいでカッパの姿から戻ることができず(そんな設定なのかよ!)、ついでにハルカに全部バレてしまったことで一稀は自暴自棄。もうカッパとしての人生(カッパ生?)でいいやってんで、仲間二人と現実逃避のカッパプレイ。そうだね、カッパが好きなものといえばやっぱりきゅうりと相撲だよね(あと尻子玉)。単にカッパの嗜みとして相撲に興じる一稀、そしてそんな一稀と肉のぶつかり合いで絶頂する燕太。「ゴールデン」コンビって言葉に合わせて股間を蹴り上げるのはあまりに意味深すぎるからやめろ。それにしてもカッパ形態でちょこちょこ動くといちいち可愛いなこんちくしょう。

 そしてわけのわからないテンションになってしまった一稀を心配する燕太が「でも、これって一稀と2人ですげぇ秘密を共有してることになるんだよな」ってハァハァしている間、その隣で2人を甲斐甲斐しく世話してくれているのは久慈である。久慈のやつ、今回は何一つヒールっぽいムーブをしてないんだよな。とにかくカッパ化した3人の下支えをし、クライマックスとなるカワウソ工場では十年来のマブダチかよ、ってくらいに一稀のために全力を尽くしてくれている。「その場のノリ」ってのが一番重要な要素だとは思うが、それ以外にもやっぱり3人だけの仲間だっていう意識は強くなっているし、何よりも「弟を想う兄の気持ち」を最も尊重したいと考えているのが久慈だ。(少なくとも現時点では)久慈とその兄のつながりは絶対的なものであり、兄は久慈の人生そのもの。それを考えたら、なんとしても「弟」であるハルカを救いたいし、そのためにもがく「兄」である一稀を手助けしたいと思うのも当然のことなのだろう。まぁ、それにしたって友情が格好良すぎるが……。

 やけっぱちの一稀がこのまま現実から逃げ続けていれば物語も進みようがなかった気がするが、そこはもちろん、毎回ジェットコースターなこのアニメのこと。さっさと次の段階へと歩を進める。なんと、警官コンビの1人であるレオがハルカに直接コンタクトを取ってきた。今まで基本的に交番(と関連施設)から外に出ることがなかった彼が、いきなり陽の光の下に現れ、カッパと繋がりがあるハルカに接触したのは何か狙いがあってのことだったのだろうか。今回の顛末でケッピの存在が知れたのはたまたまのような気がするのだが……あくまでハルカは「多数ある犠牲者のうち1人」として箱詰めされたってことなのかしら。

 ようやく「カッパVSカワウソ帝国」という対立構図がはっきりしたわけだが、急に出てきた「帝国」という言葉に燕太がクエスチョンを浮かべるのは致し方ないこと。何しろこの世界には「帝国」など影も形もないのだから。ケッピの歴史説明では「カッパが滅亡した」理由は分かるのだが、「カワウソ帝国が今どうなっているのか」まではわかっていない。Cパートの映像を見る限り、おそらくどこかで隆盛を極めたカワウソたちも、欲望を集めすぎて、その欲望の怪物(文字通り)に飲み込まれてしまったのだと推察できるわけだが……そうなると、カワウソ側もカッパ同様、一度滅んでしまった過去の栄華の再建が目的ということなのだろうか。

 そう考えると、カワウソ帝国の生き残りであり、帝国復権の尖兵であるレオとマブが警察官をやっている理由もわかる気がする。犯罪者を取り締まる存在ということは、それすなわち人間の純粋な「欲望」の最前線ということでもある。過去5話分のエピソードではそうして特殊な欲望を持った人間をカパゾンビとして育て上げていたし、今回のように警官として振舞って一般市民を拉致することだってできるのかもしれない。まぁ、あれだけの箱を一気に生産しているとするなら、既に浅草の人口は半分くらいに減ってそうな気もするが……(それとも、あの工場は世界中に散らばるカワウソたちが加工品の原料を送り込む一大生産拠点なのだろうか)。まぁ、なんにせよこの世界の構図がきちんと描けるようになってよかった。

 対抗勢力であるカワウソがはっきりと表に出てきたことで、これまで垣間見られた様々な対立構造も確定的なものとなった。カワウソが「欲望」ならカッパは「愛」。つまり「繋がり」を求める生き物だが、そのために繋がりの根源たる尻子玉を搾取しちゃうあたりは結構残酷。現時点でケッピは一稀たちと協力関係にあるので問題視されないが、今後、カッパサイドが力を取り戻すことを考えるなら、カッパと人間は必ずしも協調路線には無い。最終的にケッピが人間とどのように共存関係を見出すのかは気になるところだ。

 そしてカッパがまぁるく広がって世界につながる「皿」であるなら、カワウソ側は外界との断絶を示す「箱」。何をするにしてもとにかく箱を使うカワウソは閉鎖や遮断の象徴といえるだろうか。彼らが箱をないがしろにするのは、「欲望」ではなく「愛」だと判明した対象をシュレッダーにかけるときくらいである。まぁ、あれをシュレッダーと呼んでいいものかどうかも微妙だったが……。ほんと、あの工場は一体なんなんだろうね。あんなに簡単にケッピの侵入を許していいもんかよ(まぁ、おかげでケッピの存在が割れてしまったようだが)。

 ひとまず、今回の一件で矢逆家のトラブルについては一段落ということになりそうだ。まだまだぎこちない関係かもしれないが、そもそも問題の発端は一稀の自意識だったわけで、彼がハルカの「愛」を認めて繋がれるなら、両親との関係性も自ずと回復することだろう。そうなると、次に話が進むとしたら久慈の家庭事情かなぁ。今のところ一番きな臭いのがそこだからね……あとは、レオ&マブのガッチガチの関係性もさらに掘り下げられることになるのかも。カワウソ側のモチベーションがもうちょい見たいところですね。

 

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 ヘソで茶ぁ沸くわボケェ! 第5話。ケッピさん、ほんとに何がなんだかわからないキャラになってんな。そしてそんな瑣末なことはどうでもいいくらいに情報量が多い。「これは最後まで引っ張るネタかな?」と思ってる部分もことごとく分解されていくスピード感が恐ろしい。

 一稀とハルカ、そして家族のお話。前回「大嫌い」という言葉を残して度肝を抜いてきた一稀と弟の関係性だったが、その種明かし(の一部)は「家族だけれど、つながっていない」という実に下世話でダイレクトな設定だった。必要最小限の描写でこの家族の問題を切り出しているので詳細は依然不明ではあるのだが、なぜか矢逆家で一稀だけが血の繋がらない「もらわれっ子」であるという。父母は愛情を持って一稀に接し、幼少期にはそんな気配をまったく感じさせなかったというのに、よりにもよって祖父が今際の際でぶちまけていくという傍迷惑な展開。まだ幼かった一稀が「お前の母親はだらしない女だった」という身も蓋もない遺言を受けてすぐさま真相にたどり着いてしまったのも驚きだが、案外、訳も分からずに父母に問い詰め、親御さんの方も「隠し立てできまい」というので誠実な姿勢で一稀に向き合ったのかもしれない。こういう家族ってのは、いつかどこかで親御さんが子供に真実を伝える時がくるものだ。

 しかし、残念ながら一稀にとってこの「真実」は重すぎたようだ。まぁ、年端もいかない子供時代に叩きつけられる真実としてはヘヴィーなのは間違いないだろう。自分がこれまで信じてきた「理想の家族」が、実際は違っていたというのだから思い悩むのも無理はない。別に両親の方が一稀をないがしろにしたりはしないはずなのだが、あくまでも一稀本人の内面の問題。特にハルカという「実の息子」が生まれたことにより、両親との間に明確な差ができてしまう(と一稀が思い込む)ことは避けられない。こうして、一稀は「つながれない」子供になった。

 しかし、そこで一稀を「つないで」くれたのが外でもないハルカだった。一稀よりもさらに幼いハルカのこと、特に深い意味もなく「兄」に向けて放った言葉なのだろうが、無垢であるが故に救われる部分がある。一稀はそれまでの迷いを振り払い、せめてハルカとだけでも繋がりを維持しようと必死になった。その結果がああした暴走行動なのだから、結局「修復した」「つながった」とはとても言えない状態なのだが……。歪んだ世界であっても、どこかに本当の「絆」があるように見えるのは贔屓目だろうか。今回の一件で、一稀は本当にハルカとの縁が「切れた」と思っているだろう。ここでハルカがどんな言葉をかけにくるのか、そこが次回以降の山場となるか。

 今回のテーマは「サシェ」。作中でも言われていたが、なるほどあまりなじみのないアイテムである。少なくとも「ハコ」「ネコ」「キス」「ソバ」よりも「なんだこれ?」と思われる可能性は高いだろう。わざわざ出撃時のカッパロードで「サシェとは匂い袋」と説明してくれてたりする(パフェとはスイーツのこと)。そしてそんなアイテムと絡めるようにして、今回は「匂い」というのが様々なシーンで喚起されるような設計になっている。以前もどこかで書いたがアニメにおいて「味」や「匂い」を想起させる作劇ってのは本当に難しく、わざわざ「匂い」をアニメで主軸に持ってくるのはなかなか勇気のいることだ。今回どんな部分が演出で捻られていたかというと、例えば冒頭の家族の食卓で印象づけられた桜の花びらなんかがある。桜(花)といえばやはり「匂い」の代名詞。春の明るさ、華やかさを象徴する桜の花びらがひらひらと舞い、オムライスを彩る真っ赤なケチャップの上に落ちる。さしもの桜も、ケチャップに混ざってしまってはその匂いも形無しであろう。ケチャップにまみれた花びらは、一稀のいう「幸せの匂いが分からなくなった」ことの象徴である。

 その後も、一稀は実の母と再会して真っ先に「匂い」に言及し、さらに今回捕まったカパゾンビも「嗅覚記憶は死ぬまで脳に残り続けるんだ」と言っている。「本当の親」のことなど全く知らなかったはずの一稀でも、「匂い」の記憶が残っていたからこそ、その女性が実の母だと気づくことができた。つまり、一稀にとっての「繋がり」とは匂いだったというわけだ。そんな「匂い」を、なんとハルカが持っていたという事実。一稀は大いに取り乱し、迷いが高じてカパゾンビ戦初の水入り(文字通り)に終わるという体たらくを見せてしまった。それでも漏洩が行われるあたり、やはりカッパの世界は残酷である。

 そして、毎週ラッキーアイテムを提示していたサラの正体もカッパであった。まぁ、カパゾンビが盗むものを毎回先回りして朝の占いで告げていたわけで、そこに何らかの超常的な力を想定することはできたわけだが……結局この世界におけるカッパって何者なんだろう。サラもヘソで茶ぁ沸かせるんだろうか……。

 さらにCパートでは、これまで完全にニコイチだった警官コンビの間にも何らかの思惑の齟齬があることが描かれた。ソイヤァ!と踊るだけのキャラではなく、そこには上役との関係性も含めた、見るべきキャラクター性がきちんとあるということだ(当たり前だ)。さて、次は一体どこから掘り下げられるのか……とりあえずサシェゾンビとは再戦しないと人間に戻れないんですかね。

 

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 関俊彦→檜山修之→津田健次郎とかいう信じられないヤクザ組織、第4話。関俊彦演じるヤクザの兄貴の名前が「由利鴎」っていう名前だったんだが、なんか意味あんのかな。

 今回は久慈のターン。ここまで順当に一稀→燕太とエピソードを回してきたので、最後に3人目の久慈にお鉢が回ってくるのは自然な流れ。今作はちょいちょい「3」というモチーフが現れており、カップ麺の容器に残っていた具材(キュウリなのか?)も3つ。三者三様の秘密の漏洩で、ひとまず準備段階が終わったという印象だろうか。

 久慈の生きる道はとにかく兄のためのもの。かつてひたすらに「正しく」生きた両親が無念の死を迎え、自分も窮地に立たされたというその大ピンチを救ったのが、「悪い人間だけが生き残る」というポリシーを持つ兄の誓(ちかい)だった。実際、兄のおかげで何とか店の暖簾を守ることだけはできたし、何よりも久慈は命を長らえている。善悪は差し置いて、その事実だけでも兄を支え、「悪の道」に生きていく動機としては充分だ。まぁ、だからって車上荒らしや薬物売買に手を染めていい理由にはならないが……一度倫理観がスイッチした久慈にとって、一般的な道徳観念など瑣末な問題ということなのだろう。

 今回のテーマは「ソバ」。作中で何度も触れられている通り、蕎麦が「側」に通じるのは日本古来よりの伝統的な地口であり、「絆」の物語である本作のメインテーマにも無理なく(?)絡んでいる。引越しの際のあいさつ品として使われることなどからも、蕎麦はそれこそ昔から「つながり」を示すツールとしても使われており、切っても切れない、長いつながりの象徴とも言える。切れやすいという不安こそあるものの、生まれながらにして血の繋がりを持つ久慈と誓の間には、生家の家業たる「ソバ」のモチーフが一番の絆に見えたことだろう。そのほかにも今回使われたソバモチーフとしては、バトル中のわんこそばの演出などがあり、食べられないと判断したらそっとおわんを閉じることで戦いに幕を引くことが可能。逆に言えば椀を閉じるまでは無限に供給され続けることの暗示でもあり、次からカワウソサイドが多少本気を出して攻め込んでくることを匂わせる働きもしているかもしれない。

 久慈の家の事情はそこまで複雑なものではないが、久慈本人のメンタリティを考える上でのヒントは散らばっていたように見える。個人的に気になったのは、実家の壁にベタベタと貼られていたサッカー関連のスローガンの存在である。今のところ、サッカーといえば一稀と燕太をつなぐ要素であり、そこに久慈が絡むことはなかったはずなのだが、どうやら彼も幼少期にサッカーをプレイしており、しかもそれなりに本気でやろうと思っていたようだ。結局家庭の事情がゴタゴタしすぎてプレイを続けられなくなったのだろうが、ここにきて3人をつなぐ新たなファクターが現れたことで、今後のエピソードでの絡みも増えてきそうだ。何話目かのテーマが「タマ」なんてのは普通にありそうよね。

 そして、そんな久慈の物語の影でも着実に刃を研ぎ澄ませているのが面倒系主人公の一稀である。まさかのリアルイベントでハルカとサラが出会ってしまうというピンチ。そこで彼は「悪党」である久慈にケロリとした表情で誘拐を持ちかけるのである。やっぱり善悪という意味では一番ナチュラルに危ないのが一稀なんだよな……。

 一稀が最後の最後で特大の地雷を炸裂させたことで、まだまだ彼の家族には謎が残っていることが示唆されている。そういえば、どうやらハルカは歩けないってことで確定みたいね。今まで一度たりとも立ち上がった姿を描かれなかった事にくわえ、今回矢逆家の中を描いたカットではバリアフリーのためのスロープも映っている。弟が身体に障害を持つことと、彼が「大嫌いだ」と言った事に何か関係があるのだろうか。まだまだエグい兄弟のお話は続きそうである。

 

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 スルーしてたけど、前回のって「ねこざんまい」だったのかよ、第3話。いや、流石にそこまで言葉の意味がかかってないとは思いたいが……。

 少なくとも今回は「ざんまい」が「さんまい」とかかってましたからねぇ。「キスを3枚におろすのが好きだったんだ」って意味わかんないんだけどさ。そして今更、なんで主人公チームが3人構成なのかも理解するっていう(皿三昧→皿三枚)。まぁ、今回はちょうど「3皿目」だったわけだしね……。はこざんまい、ねこざんまい、きすざんまい、毎回異なる2文字ワードをサラが提供し続ける展開になっているが、このパターンがどこで崩されるのか。

 今回は徹底して燕太サイドのお話が描かれ、前回確認できたバンク部分もおよそそのまま。どうやら「何か業の深い欲望を抱えて警察に捕まる奴がいる」→「警官チームがそこから『欲望の抽出』を行う(その際に被害者は変死体となる)」→「カパゾンビによって町から対象のものが消える」→「知らせを受けた一稀たちが尻子玉搾取からさらざんまい」→「カパゾンビを退治して皿ゲット」というのが基本的な流れになっているらしい。そして今回新たに出現した「帝国の声」とやらに黒田崇矢がキャスティングされており、警官コンビの目的もなんだか見えてきたような、そうでもないような。一応「欲望搾取」からなんらかのエネルギーを抽出して上層部に送っている(?)ということらしい。カパゾンビがフルで活動できれば問題ないのだが、ここ最近は見事に邪魔されているので活動がはかどっていないとかなんとか。ということはケッピと警官たちは対立関係にあるってことなのかしら。

 警官側のトレードマークとなっているのはソイヤソイヤなカワウソ(看板のおもて面が「ア」なのがよくわかってなかったんだけど、あれって浅草の「ア」ってことでいいんだろうか)。「かわうそとカッパが対立する意味ってあるのか?」と思ってググったらすでに考察サイトっぽいのがいっぱいヒットしてしまったので(あまりよそで先入観を得たくないので)あんまり調べられなかったのだが、一応「カッパはもともと、その正体がかわうそだと思われていた」ってことでいいのかな。それが直接浅草の事件に関わっているかどうかははわからないが、カッパ(ケッピ)がカワウソの活動を阻止しようとしているのは事実であり、さらにそのカワウソ側の活動は人間社会に悪影響を及ぼしているのだから、一応カッパが正義の味方ということになるんだろうか。やってることはえげつないし、救世主となったはずのヒーローは「秘密を漏洩される」という1ミリも得しない処遇なのだが……これで銀の皿ごときで埋め合わせができているのかは甚だ疑問である。最初だけ金の皿が出てきた時にカッパ巻き頼んじゃったからなぁ。

 多分「かっぱ」が「かっぱらう」とかかってるんだから、すぐに「かわうそ」と「嘘」もかかってくることだろう。そして、現時点でカパゾンビサイドはあんまり「うそ」はついておらず、どっちかっていうと嘘にまみれていたのは主人公サイド。だからこそ次々と嘘が漏洩されてとんでもないことになっているわけで、どちらが「嘘つき」なのかはわかったもんじゃない。むしろ欲望を解放してゾンビ化の手助けをしているカワウソ側は(欲望に)正直な陣営といえる。まぁ、流石に3人に残された秘密なんてもうそんなに残ってない……と思いたいが……久慈がまだ残ってんだよなぁ。あとはハルカにも嘘があるのかどうかとか、その辺も気になるところではある。「一稀はハルカの前でも笑わない」っていう現状が明るみに出てしまい、単に「弟が大好きで、彼のためならなんでもやろうとしている」っていうだけの構図ではなさそうなんだよな。「釘宮ボイスの弟キャラ」っていうだけで、どこぞの熊が思い出されるので気になってしょうがないしなぁ……。

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 欲望ノンストップ、第2話。知ってたよ、ブレーキなんて無いってことくらい。しかし覚悟の上を軽々と乗り越えてくるなぁ……。

 幾原作品第2話は非常に重要なポイントである。いや、全話大事なのは当然なのだが、第2話には特別な意味があって、「1話目と見比べて、どこからどこまでがバンクシーンになっているのかを確認する」という作業が入るからだ。まぁ、今作の場合は特に厳密な意味でのバンクはあまりないのだが(全部早回しにされたから)、どの画面、どの演出がルーティンとして存在している部分で、どこからが「今回の話数で切り取られた事象」なのかを判断し、作品のベースを探っていくことになる。今回で言えば、「尻子玉搾取シーンは変身バンク扱いなのかよ!」とか、「毎回歌うのかよ!」とか、そういうことが確認できるわけですね。まぁ、だいたいにおいて、こうして「バンクだ」と認識したシーンも最終的には意味が変質し、破壊されていくことの方が多いのだけど(ユリ裁判しかり、生存戦略しかり)。

 あとはまぁ、2話目までで注意する必要がある基本設定を確認し、今後の展開の焦点を絞っていくことが目的だろうか。幸いにして、今回のお話の表層部分は比較的シンプルになっており、本当にルーティンだけのお話だと割り切れば旧作に比べるとわかりやすくはなっている。基本構造は「ケッピに目をつけられた主人公トリオが、毎回指令を受けてカパゾンビを退治する」という構造。プリキュア的といえばそうだし、戦隊ヒーローものに近いとも言える。一応カッパ形態での演出を見れば古式ゆかしいヒーローもののテイストは意識しているだろう。無理やり幾原作品に繋げるなら、ほんとのほんとにこじつけて「ウテナ」の構造に近いともいえるかもしれない。いや、無理があるけど。

 主人公チームは3名、メインとなる一稀は1話のテーマとなった「ハコ」を抱えた男の子。この世界の「箱」は秘密を隠し持つことの暗喩として使われており、おそらく同じように「容器」としての性質を持つ「皿」がこの作品のタイトルにまでなって重要な位置を占めることと対比をなす。「箱」は「何かを入れて、蓋をして、閉じる」ところまでが前提とされるが、「皿」は載せられたものが常に開示された状態で、むしろ陳列することを目的とし、外界との「つながり」を持つ。「箱」が開かれ、「皿」にのせられることが、今作では「秘密の開示」につながるわけだ。おかげで、「箱」の主人公たる一稀には秘密が多い。1話目の時点で最大の秘密が明かされたんじゃねぇかと思われたのに、2話目でもナイスピッチでとんでもないネタを投下してきた。ぱっと見には善良そうな主人公が、文字通り「蓋を開ければ」どんどん悪行を吐き出していく様子を「漏」の一文字で表現しているのはなんともシニカルである。

 チーム2人目は目つきの悪い久慈。あっという間に手繋ぎデートにまで発展した関係性には笑うしかないが、彼はアニメの主人公としては珍しいくらいにストレートに悪いことに手を染めている。1話目では大胆に車上荒らし、そして2話目では兄貴とつるんで人を湯船に沈め、さらに麻薬(野菜??)の密売にまで加担しているようである。ここまでストレートにあくどいことをしている人間なのだからどう考えても「正義の味方」然としたさらざんまいに参加できるとも思えないのだが、なぜかそこはファニーな関係性ばかりが目立ち、気づけばトリオの息も合っているという。彼のあくどさは、上述した一稀の「隠されたあくどさ」との対比の意味もあるのかもしれない。すでに2話目時点で本人の口から「大して変わらない」という言葉も出てきているしなぁ。ちなみに久慈兄弟を象徴するアイテムとして「金属製のものさし」があるのだが、ここにも意味があるのかどうかは現状では不明。

 そして残る3人目はメガネの燕太。彼だけは1話目時点でキャラが薄く、2話目でも3人の共通項として確認できた要素は「弟」というキーワードくらいだろうか。一稀は弟のために身を捧げ、久慈は弟として兄貴に信頼を寄せている。そして燕太も、お姉さんがいる「弟」であることだけは確認できているのだ。そしてそんな彼には別に何もないのかと思っていたら……Cパートである。あれまぁ、本当に綺麗なカットでしたわよ。こういうところで全力の作画を使ってくる制作チーム、本当に心得ている。そうかぁ、ベストコンビって言ってたしなぁ……。彼の行動原理の一端が見えたわけだが、今後この3人の「チーム」にどんな変化が生まれるのか、その辺りが主なシナリオの焦点になっていくのかしら。

 そのほかにも、今回いよいよ正式に参戦したいい声すぎる警察官コンビの立ち位置もまだまだ謎のままだし、ケッピが何者なのかも実は一切説明されていない。冷静に考えりゃ変死体が出ている時点で浅草はかなり殺伐とした状況のはずなのだが、この大事件は収束する方向に進むんだろうか? 多分、そういう部分はあまり問題にならないくらいにもっとでかいお話になっていくんだろうなぁ。とりあえず、猫はいじめるな。

 

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