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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 突発的に劇場に足を運んできました。このタイミングだったのは、10月に入るとまた新番やらなんやらでタイミングがなくなりそうだから。あとなんか、ちょっと目をはなすと上映回数減りそうな空気を感じたもので。ちなみに、作品のことはなんも知らんで行ってます。例によってテレビでCMとか観たから、なんとなくです。劇場で視聴し始めて「なんかキャラデザ見たことあるな……もしかして、これって『チ。』と同じ作者か?」って後で気づくくらいの関心度でした。

 折り返し前の一言感想としては、面白い(interesting)映画だと思いました。2時間で味わう映画体験としては色々と価値はあると思いますし、その上で色々と考える要素は多いです。それをプラスで取るかマイナスで取るかにやや好みはでるかもしれないけど。

 

<ということで折り返し。一応ネタバレ注意と書いておく>

 




 まぁ、ネタはないんですけども。さて、どこから切り出したらいい作品なんだろ。

 まず、なんの役にも立たない漠然とした感想に「これ、作る人が変わるとガラッと別方向の作品になりそうだな」と思った。わざわざ映画化されるということは原作はそれなりに評価が高く、アニメにする土台として「足りている」のは間違いないのだろうが、これをどのようにアニメ化するのかは、本当に監督の方向性で全然変わってきそう。Wikiで確認したらコミックで全5巻ということなのでおそらく2時間弱という尺は全然足りてないだろうことは容易に想像できて、実際今作はやや詰め込みすぎのきらいはあったが、この「切り出し方」もおそらく作り手によってかなり変わってくるはず。

 また、私は常日頃から「ウマ娘」の感想を描く時に「徒競走のアニメとか何が面白いんやろな」という問題提起を行った頭を悩ませているのだが、その課題は当然本作にも適用される。しかも何千メートルと走る競バならまだしも、こちとら作中で何回も言及されている通りにたったの「10秒」である。普通に描いたら、必死に10秒全力ダッシュする男たちの物語を面白く描いたアニメなんて無理難題。相当ハードルが高いが故に、その表現方法は答えが定まっておらず、監督の采配次第で色々と実験的な解決策が講じられるだろう。

 今回監督としてクレジットされている人物は、どうやらアニメ畑の人間ではなく実写映画の方に身を置く人らしい。実際、作中でもあまりアニメでは見ないな、という構造が散見され、これが独自の面白みとして機能している部分もあるし、「そこはアニメを信用できないものか」と首を捻る部分もあった。これは別にアニメが上とか実写が上とかいう話ではなく、単に普段アニメしか見ない私のような人間からすれば新鮮さと違和感が同時に感じられたというだけの話である。

 さて、そんな実写畑の監督が今作のどのような要素を主題として取り出したか。まず、限られた時間に一通りの話を押し込めるに際して絶対に欠かせないのは「100m走と人生」という珍妙なテーマ。「走ることに人生を賭け、わずかな距離、わずかな時間に全てを捧げてしまった男たちの悲劇」みたいな部分は絶対に欠かせない要素であり、作中ではそれを端的に表すためにやたらと詩的なアスリートたちがたくさん登場する。おそらく印象的な台詞回し(特に財津)は原作の台詞をそのまま持ってきたものだと思われるが、そのあたりの取捨選択により、一番伝えたかった「生き様」がどこなのかが変わってくる。そりゃまぁ、中心は主人公であるトガシの人生だろうが、その傍に転がっている小宮や経田、なんなら仁神の人生だって象徴的な言動で掘り下げようとはしている。この辺りはアニメだろうが実写だろうが変わらない采配であろう。このコアとなる部分は、普通に「こういう考え方があるものか」と感心した部分である。

 で、問題はこの「人生」というものをどれくらい切実なものとして作中に表現していくか。「実写」の強みを知っている監督が選択したのは、ロトスコープであった。アニメ界隈だとだいぶ昔に「悪の華」で採用されて話題になった、実写素材をそのまま取り込んで表層的にアニメを被せてリアルさを追求する手法である。ことに実際の競技シーンなんかは「真に迫った」モーションが欲しかっただろうし、裏側に実際の人間がいるんだからそりゃまぁ「リアルさ」ではこの手法は段違いの仕上がりになる。これを持って、「実際に生きているトガシたち」を表現しようとしたわけだ。

 ただ、正直いうとここが私は一番疑問だったというか、もっとはっきり言えば残念だった部分である。技術の進歩により、「悪の華」の時代よりもロトスコープは確実に進化していた。もしかしたらAIによる自動処理なんかも使われているのかもしれない、常に細かい仕草で動き回る人体をしっかりと追いかけてアニメとして表現し、そこに落ちる影や、微細なフレームでの動きにCG的な補正を混ぜ込む手法だ。なるほど、確かにリアルには違いない。まぁ、背景との噛み合わせが変になったり、複数の人物でパースがずれたり(高校時代、みんなで下校するシーンの歩き方がなんか変だった)、なんか微妙にまとめきれてないカットもあった気がするが、まぁ、その辺は必要経費である。

 ただ……そこまでリアルな「動き」が欲しかったなら、それこそ実写ドラマを作っても良かったんじゃない? とは思ってしまう。今作で多用された超遠距離からのロングのカット割りなんかも、確かに実写ではよく見られる技法だし、そのワンショットから得られる情報、感じ取れる情動がある。ただ、アニメの場合には「遠景のワンショット」は「細かくなりすぎてディティールが掴めなくなる画面」でもある。だからこそアニメではあまり見かけない類のものなのだろう。そうして実写的演出に近づけたが故に得られた特別さも間違いなくあるのだが、「アニメ側」のファンとしては、「もう少しアニメを信じても良かったんじゃないか」とは思ってしまうのだ。

 ロトスコープはリアルだ。微細な動きも「本当の人間」をトレスしているのだから当たり前だが、アニメには、「あらゆる人間の細かい動き」は必要とされていない。何度も何度も言及していることだが、アニメというのは捨象の芸術である。実写から取り込んだ情報を全て盛り込むよりも、もっと見せたい対象に絞り込む演出で、今作の画面を見てみたかったという気持ちは割と強く出てしまった。

 ただ、もちろんリアルだから良い部分もあることは言及しておく必要があり、印象的なのは(高校生編だったと思うが)競技前に各選手が軽くリハーサルしたり、ブロックの調整したりする様子を見せ、その後の整列、スタートまで全部長回しのワンシーンで処理したところなんかは、本当に「競技場の雰囲気」になっていて面白かったシーン。そういう「リアルならではの良さ」みたいなものを感じ取れる部分も結構あったのよね。

 他にも細かい点を挙げていくと、例えばエンディングがあそこで終わることは1つの作品の美学としてはふさわしいのかもしれないが、「走ることに生きる男たち」を描く物語であるならやはりそこに「生きた結果」が見たいとは思ってしまうし、要所要所で試合シーンの結末を描かずに匂わせることで伝えることがあったが、そこは別にぼやかしたところで美しくはならんと思うのよね。「描かないこと」があけすけになるアニメ媒体だからこそ、「描いてほしい」ものがあるというのもなんとも因果な話ではあるが。まぁ、いろんなところに「察してよ」が混ざってた理由は純粋に尺の問題もありそうだけど。「小学生編」「高校生編」「社会人編」と3部構成のこの作品、そりゃ2時間弱は厳しかろうよ。

 ただ、そうして独自路線をとったが故の不満というか戸惑いもあるのは間違い無いのだが、最初に書いた通りに原作の筋立てというのは興味深いものであったのだろうし、これだけ「考える余地がある」画面が出てきたというのは結果的に悪いことだとは思っていない。たまたまちょっと私の好みに合わない部分はあったかもしれないが、別にロトスコープを使ったからサボりだなんていうつもりは毛頭無いし、このデザインにしたおかげで費やしたリソースだって相当大きかったものだろう。1つのアニメの表現形態として、今作が見せてくれた全体像は興味深いものであった。

 もう中の人の話とかは……いいかぁ、種さんは仕事減らす言うてんのになんでこんなにあらゆるところで出てくるんだよ。「天才種﨑少年を、悠木碧少年がパッションだけでなりふり構わずぶち抜く」って構図はすごく好き。あと出てきた瞬間に「ツダケンっぽいな」と思った海堂がツダケンボイスでしゃべり出したのめっちゃ面白かった。ちなみに海堂が準決勝で勝った理由が実は一番分かってない部分です。早そうに見えないよな、ビジュアル的に。

 あと、ポンポさんに影響を受けた身としては最後に「決着まで10秒」って言ってスタートした後にスローの演出入れたらあかんやろ、とは思いました。マジで10秒で処理してたレースもあっただけに、余計にね。

 
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