忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[11730] [11729] [11728] [11727] [11726] [11725]

 花の週末、エンジョイ金曜日。というわけで、以前ちょっと言及したけど11月も劇場アニメが花盛り。そんな中でまず真っ先に試聴すべきは何か。まぁ、当然これですよね。現在は元祖シリーズをテレビ編集版で放送中で、そちらもゆるゆると楽しませてはもらっているが、やはり劇場版のボリュームはまた別格。さぁ、楽しんで参りましょう。2時間たっぷりのめくるめくエンタメ作品のスタートだ。

 

<以下、一応ネタバレ注意。今作は一応謎を追う物語ではあります>

 




 とは言っても、別にそこまで重要な謎ではないが……今作で一番大事なのはなんと言ってもその映像体験ですからね。前作劇場アニメでもその見事なアクションや軽妙な作劇に舌を巻き、「中国アニメもここまできたものか」と感心したが、今作も抱く感想は同じである。というか……改めて今回の感想を執筆するにあたり、流石に覚えてなかったので前作(だいたい5年前)の感想を確認しに行ったのだが、試聴中に考えてたことがだいたい5年前印象と同じでちょっとびっくりしちゃった。これは別に5年間この作品が進化せずに停滞していたという意味ではなく、5年前もびっくりしたし、今回もびっくりした。感心した作品に更なる感心が芽生えたという意味で、純正進化作品であることは間違いない。ただ、その上で感じたことがほんとに前作のときの「驚き」と同じラインに乗っていて、「よかった点を純粋に研ぎ澄ませて更なる一歩を踏み出したのだなぁ」と感心したわけだ。

 具体的にどんな感想を持ち、それがどう重なっていたかを確認すると、まずはなんといってもキーワードは「快」である。ほんとに見ていて気持ちのいい映像表現。これこそがアニメーションという媒体の真骨頂だと思うのだが、やはりアクション映画の国・中国。その本家本元とも言えるお国柄がアニメの映像でも存分に発揮されるのは当然のことで(?)、今作の半分以上の時間を占めるアクション作劇はとにかく気持ちがいい。これがねぇ、専門的な知識がさっぱり無いので言語化できないんだけど、ほんとに「日本人の作るアクションとなんか違う」感覚はあるんですよ。その上で、「見たことない発想が出てくる」ことがとにかく刺激的。具体的には、シャオヘイやムゲンたちが日常的に使う妖力の発揮のさせ方がすごくさりげなくて、さも当たり前のように念動力で物を動かしたり飛ばしたりするモーションが「日常生活の一部」に溶け込んでる描写が新鮮。どうしたってアニメの「特殊能力」なんてものはことさらに際立てて描きたくなるものだが、今作における妖術(って言っていいのかしら?)は本当に「自分の手足の一部」みたいにしれっと動きがついている。念力で動く包丁やまな板だけがそういうモーションならまだ理解は及ぶが、戦闘シーンで登場する金属片や刃物、はてはジャンボジェット機に至るまで、全てが当たり前のように「そう動く」もんだから、なんの説明も強調もなくても圧倒的な「非現実」がそこに転がっており、「アニメで描く意味」を静かに、存分に主張してくれている。この気持ちよさは、今作が初期からずっと維持し続けており、他ではなかなか真似できない最大の強みになっている。

 そうしてモーション作画に自信があるものだから、本作における「台詞」のお仕事は最低限である。これまた5年前の感想でも似たような触れ方をしているのだが、言葉で語らず画で語るこだわりが凄まじくて、どう見せたらどう見えるか、という当たり前の研鑽が徹底している。1カットたりともなおざりの手癖で描いているような画はなく、「どうやったら共感が得られるか」「どこから見せたら一番迫力が出るか」を常に検討しながら画面が重ねられていく。「1枚1枚の画でサボらない」なんてのはアニメ作りの最低限の部分だと思われるかもしれないが、120分これが徹底されているというのがどれだけ凄まじいことか。ひたすらに「アニメーションを観る」という目的を果たすための120分。この体験はやはりオリジナルだ。

 ここ最近はテレビ放送でも中国アニメを観る機会が増えてきたが、数が増えるとそれだけ印象も偏り、現時点では中国アニメに対しては「製品」としての見え方が強い。AI作画などをふんだんに盛り込んでいるであろうその制作理念は「とにかく動きがあった方が売れるのは知ってるし、今の技術だったら不自然さを減らした上で必要な分だけ絵を動かすことができるんやで」という「表象至上主義」に見えている。アニメというのはとにかくお話を作るために動くことが求められるわけで、「動いていればいい」のなら、それは多分にオートメーション化させることができるはずなのだ。しかし、そうして出来上がった「製品」はやはりどこか味気ない。アニメ「作品」とは一線を画すものになってしまっているような、そんな不安が付きまとう。

 しかしこの作品を主導しているスタジオはそこが違う。スタジオ名は漢字だと「寒木春華動画」と書くのだが、中国語の音を略式に記述して「HMCH」と記述されることが多い。このHMCHは、明らかに中国の作品作りの中でも特異な立ち位置におり、ともすると日本のアニメ以上に「画で語る」ことに徹底的にこだわっているように思える。今回もそんなこだわりがふんだんに盛り込まれた目で楽しめる「快」映画。もう、それだけで満足だ。

 映像部分についてはディティールまで掘れないのでこれくらいにしておくとして、具体的な中身についてもちょっとだけ触れておこう。シナリオラインについては正直そこまで驚くようなもんではない。おそらくドラマの盛り上がりだけで見たらムゲンとの出会いを描いた1作目の方が面白いのだとは思うが、だからといって今作が物足りないということもない。タイトルは「羅小黒戦記」だが、実質的な主人公は間違いなくルーイエ。ちょいとぶっきらぼうな「姉弟子」の登場でシャオヘイがどうなるかと最初は不安だったが、すぐにこの「姉」がどこか愉快なところもある素敵なおねーさんだということが分かるし、彼女が抱える重たいドラマも、簡単には片付かない命題も、全部ひっくるめて今回は1人で飲み込んでくれる。キャストの悠木碧のお仕事ぶりも評価されるべきところだろうが、最強チート兵器ムゲンの直弟子のルーイエが画面狭しと暴れ回るアクションが延々続き、それがさっぱり飽きないってのが今回の根源的な面白さである。まずは彼女の存在に拍手を。

 そしてぶっちゃけ、今作はルーイエさえ導入してしまえば、シャオヘイと2人だけで作品としてはほぼ完結しており、ところによりムゲンをちょい足し、残りはだいたいモブと言ってしまっていい(ナタだけはだいぶ特異な立ち位置だったが)。そうなると、この2人の活躍をいかにして描いていくかだけが問題になるわけだが、「ハイパー妖術活劇映画」だけで2時間引っ張るのは結構大変。大変なはずなんだけど……成立してるんですよね。何度も繰り返し山場となる戦闘シーンがあるわけだが、それが毎回違った面白さを見せてくれるのはなんなんだろね。

 個人的にはやはり飛行機バトルが最大の見どころ。あれはもう、ほんとに発想と映像の勝利だよ。よくもまぁ、あれだけ型破りなバトルシーンが実現できたもんだ。そしてどれもこれもとにかく気持ちいい。ドラゴンスカルとの対決は下手したら訳が分からなくて(文字通り)空中分解しかねないシーンのくせに、終わってみれば「なんか気持ちよかった」しか残らない。AIが苦手としている(ような気がする)重力を上手く使った重さの描写が本当にすごい。他にも日本のアニメじゃあまり見られないようなカメラの使い方もそうだし、当然過去の「飛行機墜落もの」で見たことがないような斜め上の解決策もあまりに想定外で度肝を抜かれる。高度を下げていく飛行機を見ながら「悠木碧、前に飛行機墜落から守ってたんだよなぁ」とか思ったりしたが、どんな作品でも、さすがにここまで思い切った「救出」方法は思いつかんて。すげぇぜルーイエ。

 もちろん、バトル以外の部分でもルーイエのキャラがよかったってのは純粋にプラスでしょうね。個人的には高級ホテル宿泊時の「その気になればなんかエロいこと教えてくれそうな素敵な年上おねーさん」仕草のルーイエが本当に好き。まぁ、この時点で飛行機計画は全部まとめていたのだろうからひでーことはひでーのだが、ちょっとずつシャオヘイとの交流を深めた結果「2人で美味しいものをたらふく食べる」シーンにたどり着くのがすごくいいのですよ。またホテルのキャビアがうまそうなんだわ(さすが中国アニメ! 料理の気合いが違うぜ)。

 バトルのギミックでいうとナタVSムゲンも短いながらにインパクトのあるシーン。互いの目的意識が見えづらいというのはやや難点だが、ナタの個性的なバトルスタイルは「早くそういうギミックの格ゲーとか出してくれ」と思っちゃうくらいだし、ムゲンはその前からやたら個性的な執行人をばっさばっさと薙ぎ倒していくやりすぎ最強ムーブがたまらない。こにたんキャラはちょっと可哀想だし、「石田彰出てきてんのにこいつマジでなんもしてないな……」とかは笑っちゃったけど。あ、でも一番笑ったのはやっぱラストの最強チートすぎて絵がシュールになっちゃったムゲンの単独要塞突撃シーンだな。コロニーレーザーすら通用せず、微動だにしない直立不動で敵中枢に文字通り風穴開けちゃう最終兵器ムゲン。前作でもそこまでひどいことはしてなかったのでは? まぁ、面白ければなんでもいいんですけど。この師匠の下で育っているからこそ、お弟子さん2人もイカレたスペックになってるんでしょうしね。

 とにかく頭空っぽにして手に汗握るシーンの連続を魂で堪能できる作品。劇場アニメかくあるべしという、1つのお手本には違いない。日本さん、これくらいの劇場アニメをいっぱい作れるようになったら最強ですよ。中国さん、日本に遠慮せずにこんなタイトルをじゃんじゃん作ってくださいよ。

 
Amazonアフィリンク

拍手

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


忍者ブログ [PR]
カレンダー
10 2025/11 12
S M T W T F S
15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[11/12 とみしの]
[10/29 とみしの]
[10/22 とみしの]
[10/15 とみしの]
[10/10 とみしの]
バーコード