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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 キツいしんどい苦しい辛い、第9話。青春の痛み、成長の苦しみ。みんながみんな、乗り越えなきゃいけない何かがある。

 というわけで今期最大の難所が訪れました。ここを乗り越えればあとは晴れやかな景色が待っているだけなんですが、やはり吹奏楽部という大所帯を運営していく上で、さまざまな主義信条の違い、そして感情をぶつける先がないことへの苛立ちなど、降り積もるものはたくさんあるもので。今回はそれが「滝運営体制への疑問」という形で結実してしまい、部内各所に疑念の声が上がるようになってしまった。これだけ長いこと「北宇治吹部は実力主義」と謳っておきながら、いざ改革に乗り出せばこれだけの不信を招いてしまうというあたり、やはり何かを変えるというのはとてもとても難しい。

 一番厄介なのは、今回の揉め事に「正しい指針」がないことである。顕在化している一番の問題は「滝センが正しいのか否か」ではあるのだが、彼だって神様でもなんでもないただの人間。なんなら指導者としてはまだまだ若造レベルの成長過程にある1人のしがない教師でしかない。そんなもん、ほんとに頼っていいのかどうかは誰にも分からないし、さらに根源的な問題として「音楽の良し悪し」「演奏の良し悪し」などそう簡単に決められるものはない。結局、関係者1人1人が自分の中に何らかの「神様」を打ち立てて、それを信じて従うしかないのである。

 もちろん、これまでずっと部としての方針を主張してきたのであるから、滝支持派というか、何も間違ったことなど無いよ派も一定数いる。今回一番心強かったのはそちらの派閥に大きく寄っている1人が葉月だったことだ。彼女は去年時点ですでに後輩に敗れてステージに立てなかったという過去があり、彼女自身が語ったように、それをバネにして努力し、今年はそれが実ったからこそステージに立てた。ここで滝の判断に異を唱えられては、まるで自分の努力までもが否定されたかのように見えてしまうだろう。葉月自身はそんな僻んだ考え方をしていないとは思うが、「滝が正しかったからこそ自分は頑張れたし、結果は確実に伴っている」と、3年間の経験を基に心からそう発言できる彼女の芯は強い。また、ちょっと意外なところからは釜谷つばめちゃんもそちらの派閥。誰も触りたくないくらいにピリピリ熱々になってしまった久美子-真由間の関係性に、唯一踏み込めたのは同学年のつばめちゃんだけ。孤立無縁になってしまった真由をさりげなくサポートしつつ、そのための動機づけとして「滝先生はきちんと演奏を聞いて決めてくれているのだ」と発言していた。確かに「部長をソリから下ろす」という選択はこれ以上ないくらいに実力主義であることの標榜になり、「どうせ何らかの忖度が発生しているんでしょ?」と諦めたり、たかを括っていた人間がいたとしたらこれ以上ないアンサーになっている。つばめちゃんはしっかりとその点を見ていた。

 他方、やはり少々急き過ぎているかに見える滝の判断に疑問を持つ者は多い。今回は仲良し4人組にもその分裂が起こっており、意外にも釈然としない様子だったのは緑輝。別に彼女は滝が判断することに文句を言っているわけではないが、「久美子と真由の実力はほぼ一緒なんだから久美子の方が良かった」と発言した。この緑輝の発言はまず、客観的に見て「久美子と真由はほぼ実力が拮抗している」ということの提示である。この世界における緑輝が他者を超越した「特権的立場」にあることは何度か触れているが、そんな彼女の口からはっきりと「真由が目立って久美子よりもうまいわけではない」という保証が出たことにより、我々視聴者も問題を考え直さざるを得なくなってくる。「滝は本当に上手い人間から選んでいる」という前提が覆るからだ。自分の経験に根差し、信念を持って滝を評価する葉月と、神のごとき視座から客観でもって滝を批判する緑輝。この2人ですら意見が分かれるほどに、現在の吹部は混沌としているのだ。

 それでは肝心の部長はどうなのか? 久美子はどこまで行ってもお人好しすぎる上に部長という立場にもなまじ慣れてしまったがため、なかなか当事者として事態を客観視するのが難しい。真由からの執拗な(空気を読めない)気遣い発言には流石にイラついてしまったし、方々から耳に入ってくる滝の批判を聞けば、流石に「なんで自分が」という気持ちにもなってくるだろう。こればかりは人としてどうしようもないところである。そこにさまざまな厄介ごとの相談が舞い込めば、いちいち部員1人1人に気を遣って当たり障りのない発言をする必要もあり、おそらく久美子の中でも何が正しく、自分が何を正しいと思っているのかすらよく分からなくなったかもしれない。

 そこで変なかたちの助け舟を出してくれたのは秀一だった。彼は久美子がソリから外されてしまったことで、なんと「拗ねた」。高校3年生の男子が、後輩から心配されちゃうくらいに露骨に、「大人気なく」拗ねたのである。そんな秀一の様子を見て、久美子は笑ってしまった。そう、面倒臭いことを必死に考えて必死に理屈をつけようとしていた自分に対し、秀一は周りの目など気にせずに子供のように感情を露わにして見せたのである。この幼馴染の行動に、久美子の肩の力が抜け、救われたのは事実だろう。まぁ、だからとて解決策が提示されるわけではないのだが、自分の周りには「そういう考えをはっきり持っている人がいる」という事実を再認識し、改めて立ち位置を探るための道標になってくれたはず。何も確たるものがないこの状況で、部長は高校生とは思えないくらいに難しい判断を迫られている。

 そして、頑なに何かを信奉しているように見えて、実は一番揺れてしまっているのは多分麗奈なのだ。彼女の主張は終始一貫しており、「滝先生は絶対、逆らうなんて言語道断」という強硬派として部内でも恐れられている。疑う声は弾圧し、やる気がなければ蹴り落とす。そんなやりすぎとも言える言動で部内の空気をさらに悪くしてしまっている。しかし、彼女とて馬鹿ではない。滝昇という1人の人間が絶対的に正しいなどということはあり得ないことは承知しているはずだ。そして何より、自分が一番信頼していた久美子が隣からいなくなってしまった。今回のオーディション結果に、一番納得いっていないのは本来なら麗奈のはずなのだ。しかし彼女はそんなことを発言することはできない。自分を自分として保つために、全てをまるっと飲み込んで、反対意見を糾弾する。そうして強い立場にいなければ、彼女はすがるものを失って足元がおぼつかないのだろう。だからこそ、久美子の態度が逆鱗に触れるのもわかる。久美子のために、久美子が招いたこの事態のために、麗奈は必死に自分を「正そうと」している。世界の正しさを自分の正しさに沿わせようとしている。しかし久美子はのらりくらりと周りに合わせ、麗奈が必死に守ろうとしている「正しさ」を揺るがせにしているのだ。それが麗奈にとってどれだけ危険なことなのか、分かっていないのだ。

 ちぐはぐなのは間違いない。ただ、どこを見ても単なるエゴからくるぶつかり合いはなく、互いに互いを伺うからこそ、軋轢は起こってしまう。ここを乗り越えてこそ、黄前久美子は名実共に部長になることができる。鍵はどこにあるか。試練は続く。

 追伸:そんな中での久石奏さんの立ち振る舞い、今回も素晴らしかったです。

 

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