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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「少女終末旅行」 6→7

 今期は本当に刺激的な作品が多い恵まれたシーズンになったが(その分とんでもない作品も多いが)、今作も、そんな見たこともない刺激の1つであった。毎年毎年たくさんのアニメを見て、全てをパターン化して分かったような顔になってみても、まだまだ我々の知らない世界というのはたくさんあるものだ。人間の想像力、そして創造力は無限大だ。

 今作だって、個々のパーツをなんらかの作品とつなげて類似点を指摘することはできるだろう。おそらく、歴史の長いSF小説のジャンルなんかを探せば、かなり似た設定の作品も存在するのではなかろうか(残念ながら私はSFに明るくないのでさっぱり知らないが)。しかし、今作はこうして「少女に」「終末を」「旅行させる」ことに意味があり、さらにそれを漫画で描き、果てはアニメに描いたことに意味がある。ただケッテンクラートに乗った女の子が2人、なんの背景も、目的もない世界をただただ旅する。そこに何が出てくるのかはさっぱりわからないし、それまで何があったのかもよくわからない。あまり動きを見せない画も、終末というにはユルすぎるキャラクターデザインも、なんだかいろんなものを無駄にしているような、どこか虚無的な不安感さえ抱かせる。しかし、それらが全て合わさり、つらつらと流されるアニメ映像になると、これが不思議と一貫した方向性が見えてくるような気がするのである。ある種ゲシュタルト的な概念構造……とまでいうと多分言い過ぎなのだけれど。

 前提条件として、もちろん個々の要素はそれぞれで楽しめる必要があるだろう。今期は色々忙しかったせいでなかなか1本ずつのエピソードで感想記事があげられなかったのが悔やまれるが、1つ1つのタイトルだけを切り取って小話として見ても説得力のあるエピソードが多く、エンディングが実に印象的だった「雨音」や、暗闇の演出が不思議な魅力を見せる「寺院」、珍しく他者との対話が様々なこの世界ならではの思想を切り出す「離陸」に、果てもしれぬ旅路の不安感を掻き立てる「らせん」。SF的な壮大さを背後にちらつかせる「生命」、そして最終話、「接続」「仲間」。どれもこれも、一筋縄ではいかぬ挿話ばかりだ。

 本作の見事なところは、「終末」という設定からスタートしているという部分である。普通に考えるなら、描かれるべき部分は「終末」ではなくそこに至るまでの「過程」であり、それが起こった「始源」であるべきだ。しかし本作はなんの説明もなしにただ少女たちの前に「終末」のみを転がしている。どう考えても絶望的で、真っ暗なイメージしか与えないはずのこの「終末」が、少女たちからすればあくまでもスタート地点。ただそこに与えられた状況であるので、彼女たちは一切この「終末」に悲観的なイメージを持っていないし、「終わっている」ことにも疑問は挟まない。ただ、何が終わった後なのか、そして、「終わりの終わり」には何が待っているのか。そこだけを目的にして前に歩くという世界。おかげで、「なんの果ての終末なのか」という部分は極力描かれぬまま、我々は少女たちと同じ世界をただ見守ることができる。本当ならば色々と突っ込むべき部分は多いのだが(彼女たちの知識の偏りはやっぱりヘンなはずなのだが)、あまりに特異な世界設定ゆえ、我々はそうした「既存の設定に疑問を挟む」ことよりも、「新たに得られる知識への興味」の方が勝るのである。世界が「終末」にあるおかげで、帰ってそこから始まる「始源」が強調されるというのは、なんとも逆説的で面白い。

 怒涛の最終話では、そうした「終末」に幾ばくかの説明も与えられ、作品としての「まとめ上げ」もつつがなく終了しており、シリーズアニメとしての体裁もしっかり整えられているのが心憎い(個人的には別にその辺りの説明はなくても成立したと思うが、やはりあの怒涛の展開は胸がザワつく)。全てが終わった世界では、当たり前のことでも全てが新鮮な驚きにつながる。チトたちはディスプレイ上に次々に展開されていく写真や動画の流れに、まるで初めて知恵の木の実を与えられたアダムとイブのごとき衝撃を受けただろうが、我々は現在、そうしたあまりに膨大な情報を、日常的に受け取り、背後へと流していく行為を続けている。現代という時代が、人の歴史の中でも極まりきった異常な状態に到達しているということが、ちーちゃんたちの新鮮な驚きから改めて確認できるのである。文明とは何か、そして何を持って始まりとなし、何をもって終わるのか。何も知らずにただ旅を続ける2人の少女が、そんなことを改めて考えるきっかけを、たくさん与えてくれるのだ。

 もちろん、そんな余計なことを考えずに、ただちーちゃんとユーの2人の女の子の友情譚として見ても問題なく楽しめるだろう。百合というのは流石にちょっと違う「バディもの」というのが無難なところだが、無茶苦茶なユーを(ときに本気でぶん殴りながらも)愛しているちーちゃんと、そんなちーちゃんに無条件の信頼を寄せながら、旅の楽しさを提供してくれるユー。この2人のコンビネーションがあって初めて、この旅行は見るに耐えるエンターテイメントになっている。ただひたすら「2人ぼっちの世界」が続いていながらも、一切退屈せずに眺めていられるこの2人の関係性はそれだけで特別だ。頑なにつぶれまんじゅうであり続けるキャラクターデザインは、最初は「異物なのでは」という印象で見ていたものだが、それは当たり前のことだった、2人は見る側、世界は見られる側。2人が世界から切り出されて初めて作品は成立している。そのことを絵的にもはっきり表すのが、愛くるしいつぶれまんじゅうなのである。それにしても酔っ払いちーちゃんはかわいかった……。

 酔っ払いちーちゃんの歌もそうだったし、今期最も印象的なアニメソングといっても過言ではない「雨だれの歌」もそうだし、無音の中でケッテンクラートのエンジン音だけが唸る今作の音響演出も実に秀逸。きっちり「ただ画を見せられる」という世界観の作り込みがなければ実現し得ない構成である。それだけ本作スタッフは原作の持つ力を信頼していたし、それを映像として起こすことができるという自信があったのだろう。本当に恵まれたアニメ化だったと思う。

 最後は中の人の話だが……まぁ、2人だけだしな。水瀬いのりのこういう役、本当にずるいくらいにハマるのは天賦のものだろう。そしてそんないのすけのナチュラルボーン無気力を引っ張り上げるしかこのユー。本当に良いコンビネーションでございました。

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「このはな綺譚」 5→6

 可愛かったです(素直)。まぁ、今作の場合はそこが満たされていれば充分という話ではあるな。

 ケモミミ少女のお話ということで、開始時には「うらら迷路帳」との類似点が意識されていたが、こうして1クールが終わってみると、多分一番近い作品設定は「ARIA」であろう。純朴まっすぐで世間(その施設がある世界)をさっぱり知らない田舎の少女が、接客業に挑むことでまっさらな状態から努力を重ねていく。そして仕事を通じて、または同僚や先輩の同業者とのふれあいを通じて、様々な感動を織り重ねていくのである。感動屋さんで頑張り屋な柚のキャラクターはウィンディーネを目指す灯里に重なり、たくさんの(ヘンテコな)お客さんがやってくる街並みも、和洋の違いこそあれ、どこかネオベネツィアに通じるものがある。

 別に「パクリ設定だ!」なんて叫ぶ目的で類似点を強引に結びつけているわけではなく、「ARIA」シリーズだって面白かったのだから、同種の楽しさと癒しが得られればそれは素敵なことですね、と言いたいだけである。加えて、今作はメインキャラクター達が狐であるという謎要素があり(火星の場合は社長が猫だったが)、こちらの可愛らしさも独自のセールスポイントとして売り出すことが可能になっている。ぶっちゃけ「ケモだから」という特別な楽しみ方があったわけでもないのだが、単にデフォルメの時の四角形デザインがとにかく可愛かったのである。デフォルメされた時にケモ要素が強めになるので、あわよくばモフれるんじゃないか、っていう絶妙な「動物的愛らしさ」と「少女の愛らしさ」の間を行き来できるのが良い。お話の方も、ふんわり温かいものをベースにしつつ、単に癒しを求めるだけではなくてきちんと柚の成長譚を構築し、脇では皐の悩みを描いたり、ちょいちょい百合要素を加えてみたりと決して単調になりすぎないバランスもある。「日常もの」の路線での旨みを確保しつつ、独自のプラスアルファが邪魔にならない味わいににある。このさじ加減はなかなか狙ってできるものではないだろう。

 中の人の話をすると、どうしても個人的に無視できないのはお菊役の渡辺明乃である。当ブログ右柱をみてもらえばわかる通り、私は長年彼女のファンである。声質のおかげでなかなか「可愛らしいメインヒロイン」なんてものが回ってこないのだが、今作では珍しく、可愛らしいレギュラーヒロイン(?)の役をもらって存分にその呪いの人形っぷりを見せつけてくれた。そこそこのキャリアの役者にぽろっとこういうキャスティングが回ってくるのはとても楽しい。あとは触れるべきはやっぱり柚役の大野柚布子。圧倒的に「可愛らしい声」を存分に活かしての熱演。「天使の3P」に続いての大役を無事に果たしここからのステップアップが期待できるだろう。

 そして何と言っても……うか様! うか様じゃないか!!! なにこれ?! え? まじ? 狙ってキャスティングしたの? どういうこと?! なんと、最終話で登場した宇迦之御霊神、つまりはうか様のキャスティングが、桑島法子である! どういうことなの? そりゃね、京都の伏見稲荷大社にいたうか様だって、こっちの世界のうか様だって、同じうか様なんだから声は同じで然るべきなのだが……調べてみたけど制作会社も、原作の出版社も全然関係ないので、キャスティングが被ったのは本当に偶然……いやぁ、どうなんだろ。スタッフの中に「わかってる」人がいたってことなんだろうか……。もう、それだけで本当にびっくりしてしまった。うか様、いなりちゃんは元気にしておられますかね? ちなみに、こちらの世界のうか様は柚の育ての親、八尾比丘尼(CV:大原さやか)と仲良しなのである。なんだこの作品。此花亭は、私にとってのパラダイスなのである。

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「いぬやしき」 6→5

 小日向文世の演技が実に良い。まずはそれ。よく誤解されるんですが、僕は専業声優以外が嫌いなわけではないんです。仕事ができない役者が嫌いなだけ。こんだけハマってる役者さんには何の文句もありません。

 「格好いいじじい」というなかなかハードルの高い課題に挑んだ作品。普通「格好いい親父」と言えばハードなボイルドでCVが大塚明夫だったり藤原啓治だったりするキャラクターのことを言うものだが、今作はその真逆をいく犬屋敷さんである。体もひょろひょろだし元の生活は本当にパッとしないただの爺さん。それでも、力をもらえばヒーローにもなれる。サイバー爺さんの活躍を描くのには、これ以上ないくらいにしっかりした作品だった。

 点数を下げたのは、筋立てがあまりにもシンプルだったことであまり1話目の印象からプラスになった部分がなかったからだ。ラストの展開もどう考えても打ち切り漫画の展開だろうし、ショッキングな大量虐殺シーンも、さすがにこんだけ連打されると飽きも来る。2人の最強マシーンの対立構図がもう少し中心にくれば見栄えのするシーンも増えたのだろうが、今作は1人1人の内面を掘り下げる方向に展開したので、いかにも「アニメ的な」見せ場はちょいと減ってしまっただろうか。でもまぁ、それは別に悪いことではない。「どれだけ最強でも庶民的な何か」を持っている爺さん達の等身大の戦いとの噛み合わせが面白みだったわけで、ぶっ飛んでいるのにどこか卑近な、妙な違和感を抵抗なく描けたのだからそれはそれで成功と言えるだろう。まぁ、欲を言えば本当の意味でのハッピーエンドが見たかったところではあるのだが……。

 こういうヘンテコ作品でも臆せずそれなりのアニメとして仕上げられるのがノイタミナの持ち味なので、今後もよくわからない原作を拾って展開していってほしい。

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「王様ゲーム The Animation」 4→2

 支離滅裂、という言葉が一番しっくりくる作品だったんじゃないでしょうか。途中から本当にろくすっぽ観てなかったのでもしかしたら作品の中では何か統一された意思が有ったのかもしれないが……いやぁ。

 もともと原作がかなりぶっ飛んでいたのだと思うが、基本姿勢は「とにかく人が死ねば何となくドラマになるんじゃね?」という程度のもの。直近の「十二大戦」の感想では「デスゲーム好きだけど大体やれることはやり尽くしちゃったから新奇性のあるものなんて出てこないよね」ということを書いたが、今作はドラマ作りという最低限の仕事を完全に放棄し、とにかく「死」という要素(断片)のみに特化しているという意味ではある意味新奇では会ったのかもしれない。もちろん、それが面白いかどうかは別として。とにかく適当に人を殺す。殺し方には何の意志も働かず、その場その場で思いついた「何となくこうしたら悲惨じゃね?」という趣味の悪さが滲み出る。もちろん、人に衝撃を与える凄惨な死の光景なんてものは思いつくわけもないので、「酷そうな死」を用意してみても、実際は何ともチープな悪ふざけレベルの画面にしかならない。「デスゲーム設定」の上澄みをすくったというか、匂いだけ嗅いで別なものを詰め込まれているかのような作品であった。

 もともと、こうした「クラス全体でデスゲーム」は非常にハードルの高い設定なのだ。「バトルロワイヤル」のおかげで安易にこの設定に走る作品は本当に多いのだが、1クラス最低でも30人以上のキャラが出てくるし、しかも全員が「学生」というステータスは必須なのでなかなか個性を発揮させづらい。「ネギま」の31人だって大変だったのに、こんなぽっと出の作品でキャラを魅力的に作れる訳がない。そのくせ、中盤以降には全く印象に残っていないクラスメイトが突然しゃしゃり出てきてお涙頂戴を演じようとする。無理難題である。

 アニメ制作側もそうした無理には気づいていたのだろうか。何と、2つのエピソードをレッツラ混ぜ混ぜしてさらなるカオスを生み出すことで、ドラマ部分の脆弱さをごまかそうという驚天動地のアイディアを持ち出した。時代と場所が行き来することで筋立ての粗はさらにかき回され、もうどうでもいいレベルにまで達する。訳が分からないってんで匙を投げさせたという意味では制作側の狙い通りなのだろうが、問題は、その狙い自体が完全に間違っていたということだ。さらに増えるクラスメイト。スピーディに死んでいくモブの方々。それに加えてアニメのクオリティも安心の低さで、むしろそういうギャグなんじゃないかと思わせる効果は高かった(炎上しながら淡々と後の計画について相談する女子高生は最高にイカしてたな)。あとはもう、「いかに堀江由衣にゲスなことを言わせるか」っていう勝負だけになってた気がする。案外堀江由衣主演のライブ公演の演目とかでギャグたっぷりにやったら面白いかもしれませんね。

 今期はこういう「逆の意味で」パワーのある作品も多かったなぁ。ある意味豊作だよ。

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「魔方陣グルグル」 5→5

 想像してたよりも随分真っ当な作品だった。自分が知らないところで(知らない世代で)人気の定番漫画ってことだったのでもうちょっと破天荒な部分がクローズアップされるものなのかと思っていたが、なんだかんだでファンタジー部分も筋立ては(形式的には)スタンダードだし、さらにニケとククリのラブ部分がかなり重要なポイントで、ラブコメとしての面白さがかなりのウェイトを占めていたのも意外。もっと小さい時に出会っていたらどんな印象になるのかは確かに気になるところだな。

 ぶっちゃけ、そこまで真剣に観ていた作品ではないのだが、この作品を正座して観るのもどうかと思うので扱いとしては多分間違ってないと思う。まぁ、展開が超速なので脇目で見てる程度だとあっという間に訳が分からなくなるのが難点だが(最終回で勢揃いしたキャラの半分も覚えてねぇや)。正規のファンからするならこの超速展開は思うところもあるのかもしれないが、軽く触れたい程度の人間からすればむしろありがたい。あんまり引っ張ってじっくり見たいってものでもないし、この映像を作った時点で、「サクサク進めてとにかくテンポで勝負」っていう方向性は決まっていたのだろう。それなら適材適所。省エネ作画も原作のテイストを考えればむしろ再現性の高さとみることもできる。デジタルな雰囲気が強まったおかげで、中心要素である「よくあるRPGのパロディ」という部分が見えやすくなったのもプラス要素ではなかろうか。2クール作品として穏当にまとまっていたので入門書としてはありがたかったです。

 個人的に気に入ったのは、本当に徹頭徹尾ククリが恋する女の子のままでブレなかったこと。放っておくと小学生向けのパロディやら下ネタやらで散々とっちらかってしまう恐れがあるこの作品で、周りの空気を一切読まずにただひたすら「女の子」であり続けるククリの強さは作品の根幹だったといっても過言ではないだろう。一言でまとめると「ククリかわいい」なのである。幼少期に読んだら変な性癖植えつけらえてたかもしれないな。中の人である小原好美はここからステップアップなるかどうか。

 なお、私がメインでやっている某ソシャゲはなんとグルグルとのコラボを行い、そこで登場したククリがあまりに鬼畜性能だったため、別方面では悪魔のような扱いを受けていることも付記しておく(どうせコラボとか弱いだろと思ってガチャ回さなかった勢)。

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「十二大戦」 6→6

 僕は好きですよ。結局、最初に書いた通りに「デスゲーム設定が好き」なだけなんだろうけども。

 しかしそこは西尾維新である。普通のバトルロイヤル形式なんて、粗製乱造、雨後の筍。もうありとあらゆる漫画や小説なんかでやり尽くされている感がある。嚆矢となった「バトルロワイヤル」の時点で既にかなりのネタが仕込まれていたわけで、これを上回るような刺激を得るのはかなり難しい。好きなジャンルではあるのだが、大抵は「まぁ、あんまりラストに期待しないほうがいいよね……」と思って見ているのも事実だ(そして大抵想定通りの結果に終わるものだ)。

 そう言う意味では、今作だって「楽しそうだけど、まぁ、どうせそんな感じになるやろ」とちょっと腰を引き気味で見ようと思っていたのだが……なんかもう、序盤からあっという間に「真面目にやる気はないぞ」と言う宣言が出ていた。1話目で瞬殺される猪のおばちゃん、可哀想すぎる犬の人の末路。強くなったはずなのに多少のステータス変更を無視された鳥などなど、この作品では「壮絶なバトル」とか、「お互いを出し抜く頭脳戦」なんて部分はほとんど期待するものではない。そして展開自体も意外性を演出しないという方向性が早々に提示されており、「十二支の逆順で退場していくよ」ってことは誰だってすぐに分かるので、自動的に展開も決まるし、優勝者だって決まっていたようなもんである。ここまで「デスゲーム設定で興味を引く(はずの)部分」をそぎ落として、一体何が残るというのか。

 それが、今作における西尾維新なりのヒネ方だったのではなかろうか。結果も分かっている、戦闘もしょっぱい。そんな中でも「命がけで戦おうとしている連中コント」は成立するんだよ、という、様式美の再構築。既定路線の「殺し合いゲーム」を適宜スカしていき、強いと言ってるけど別に強くない。過去話を散々やっておいて、殺される時は秒殺。そして何より、優勝者が一番やる気がない。「散々殺し合いゲームのプロットとか練るけど、結局能力一つでどうとでもなるんだよ」という、身もふたもないお話なのである。だが、それを禁止するルールはこの世のどこにも存在しない。それだったら、大真面目なふりして書いてみるのもありだろう。

 そういうわけで、あとはこの悪ふざけみたいな展開を苦笑い半分で見ていくだけ。そんな中でもやっぱりキャラの立て方は小憎らしく、気づけば十二人のキャラのうちで1人くらいは好きな奴も生まれてくるのである(僕の場合は虎……いや、やっぱり猿の方がいいです)。デスゲーム設定のふりをした、「特殊能力を持つ12人のキャラ導入エピソード」くらいのもんである。ご丁寧に「別な分岐」の可能性まで示唆されているわけで、もしこの作品を見てどこかに好きなキャラができたのなら(そしてネズミが勝ち残る結末が気に入らないのなら)、自分なりの十二大戦を脳内で作ってみればいいんじゃない? ということ。考えてみりゃ、単に「純粋な武力」だけを持った牛さんなんてのはいかにもキャンペーンに用意された「最後に倒すべきボスキャラ」なんだよな。うまいこと鳥さんを導いて牛を撃破するシナリオを書いてみる、なんてのも面白いかもしれませんよ。

 うーむ、やっぱりふざけた作品だ。それでも、基本的にはアニメーションが安定していたので映像面に不満はなく、ネームが多すぎる相変わらずのテイストも、適度にほぐされていて見やすい作品だった。どうしてもアニメに向かずにシャフト技法のようなトリックプレイが求められる西尾維新作品だが、本作はそんな流れの中、もっともオーソドックスな形で作品を成立させたという部分は評価しても良いのではなかろうか(蛇のエピソードのショボさだけは例外)。

 追伸:虎さんのキャラはがっかりしたと書きましたが、エロ同人が出るなら虎さんがメインでも一向に構いません。現場からは以上です。

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「食戟のソーマ 餐の皿」 5→5

 結局分割2クールだったことが判明したので、今回は終了というよりも小休止ですかね。ジャンプ作品はこういうのが多い気がするな。

 今期はこれまでと違って1クールで(一応の)区切りということだが、その中であんまり大きな勝負がなかったのでシリーズとしてはそこまで盛り上がるもんではない(一応学園祭があったけど、1つの試合に集中しない展開だったから間延びする部分だったし)。たぶん叡山先輩の「偉そうなこと言っといてしっかり負ける」パートが一番の見所だったんじゃなかろうか。いや、別に大きな盛り上がりが無いというのは悪いことでは無いんだよ。ただ、評価する時にはいつも以上に「まぁ、いつも通りだし」っていう感想以外が書けないっていうだけで。今回は薊政権確立っていう下準備の描写が中心なので、今後のシリーズのための助走の意味合いが強い気がするね。いや、次の1クールでなんか盛り上がるところあったかって言われたら思い出せないけども。えりな様の声がどうなるかだけが気になるところです。

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UQ HOLDER! 〜魔法先生ネギま!2〜」 5→4

 個人的に一番辛かったのは、「あぁ、やっぱり志村由美はもう声優業は一切やってくれないんだなぁ」っていうところですかね。ほら、引退したって言っても担当役だけはそのまま仕事としてやってくれる場合もあるじゃない。宮村優子みたいな感じで。なんとか、彼女もそういうスタンスで参加してくれないかと期待してたんだけど、残念ながら最終回でちょろっと登場した千雨は別キャストになっていました。御堂ダリアって誰やねん。ちなみに、志村由美の引退でがっかりしているのはちうがいなくなったことよりも山梨犬が二度と見られないことへの嘆息です。

 さて、やっぱり懐かしネタで攻めるしかなかったわけだが、ぶっちゃけ原作漫画を読んだ時の感想とだいたい一緒。「あんまりネギま関係ないよな」という序盤の展開に、「不死者が主人公のバトル漫画って、面白くするのは難しいよな」っていう根本的な問題。まぁ、「不死にも色々と種類があるんやで」っていう方向性でバリエーションをつけるのは非常に面白いアイディアだとは思うのだが、やっぱり主人公に「命がけ」の切迫感がないので今ひとつ盛り上がりに欠ける気はする。最強最悪の魔法使いである祖父を相手取る時、スタート地点が普通の男の子じゃ何百年経ってもたどり着けないのだからしょうがないことなのだが……。

 スロースターターな内容なのは(原作をちょっとは読んでいたので)知っており、そのビハインドをアニメにすることでどこか打開できないかと期待してみていたのだが、結局原作をそのまま踏襲する形だったので短所はそのまま短所になった。さらに、お世辞にも質がいいとは言い難いアニメーションであり、最終決戦に至ってもアクションやキャラ描写にプラス要素が見込めない。せめて「人知を超えた能力者同士のバトル」なんだから、その辺りでアニメならではの売りがあれば印象も変わってきたのだろうが……。最終的に、「なんとなく懐かしい声が聞こえてくる同窓会」という価値以外には特に無かったのである。

 でもまぁ、同窓会をやってくれたことにはちょっとだけ感謝している。もともとのネギまキャストってのは、当時の時点で「誰だこれ?」みたいな新人が多かったわけだが、15年の時を経た今、業界で戦い抜いている人間がどれほど残っているかというのは、大掛かりな社会実験みたいで面白い。こうして見ると当時から1ミリもポジションをブレさせない堀江由衣の存在が化物クラスで、「お前が業界における不死者なのでは?」という疑念すら湧く。その他、今作でほぼデビューみたいな扱いだった小林ゆうや、当時若手扱いだった伊藤静・渡辺明乃・白石涼子・能登麻美子あたりが完全な「勝ち組」代表例。相沢舞もここがスタート地点だったんだな。当時から中堅クラスだった松岡由貴・皆川純子あたりは圧巻の仕事ぶりで、個人的にはやっぱり松岡由貴が元気に仕事をしてくれているのは嬉しい。彼女の「リクラクララックライラック」はやっぱり素敵だ。あとはネギ先生ですかね。いい具合に年季を重ねたおかげでラスボス感もたっぷり。あとはまぁ、「この人、まだ声優続けてんのかなぁ……」みたいな名前も多く上がってくるわけだが、個人的にはこやまきみこが今どれくらい本腰入れて仕事してるのかが気になる。

 おんなじようにして過去の名作リメイクから同窓会やったらどんな風になるんでしょうね。ちょっと前に「シスプリ声優の同窓会集合写真」っていうとんでもないお宝画像(?)が出てきて感動した記憶があるのだが、同じようなことができる作品ってどれくらいあるのかなぁ。(もう感想でもなんでも無い締め)

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「ボールルームへようこそ」 5→7

 本当にエネルギーに満ち溢れた作品でした。やっぱりこうして「動きで魅せられる」ジャンルのアニメ化っていうのは破壊力が段違いですね。

 「ハイキュー!」の担当スタッフの多くが関わっている作品ということで、動画部分で文句なしに楽しめるものになることは事前にわかっていた。1話時点ではそれでも「ダンスって分からないしなぁ」「結局審査員スポーツってドラマ作りが難しいよなぁ」「スポ根的なアニメ文法に乗せて見栄えする作品になるのかなぁ」という部分が懐疑的だった。実際、多々良がダンサーとしてものになるまでの展開はそこまで心踊るものではなく、よく分からない基礎練習を続けられても、それがどれほど大切なものかもわからないし、映像としてどれほど真に迫っているかもわからず、「順当な少年漫画的な展開かな」という程度の印象だった。

 少しずつ見入るようになったのは、多々良が真子ちゃんとコンビを組むようになったあたりだろうか。ダンスという競技が他のスポーツと違うわかりやすい点は、常にそこには男女ペアの関係性があるというところ。そして、最終回で環先生もいっていたが、ダンスにはその人の人生が透けて見えるという。つまり、ただの競技としてのトレーニング→試合という展開だけではその全貌は見えてこない。競技に挑んでいる人間たちの背景が描かれることによって、「何が試合に叩きつけられているのか」が追加されて初めて成立するのである。空っぽだった多々良の人生が次第にダンスで埋められていき、兄との関係に悩む真子ちゃんのサポートをすることで兄妹の関係性をフォローするとともに、「支え合うパートナー」との関係性を醸成する。そうして多々良オリジナルのダンスが出来上がってきたところで、満を辞してちーちゃんが登場するのである。

 こうして「パートナーとの人生のぶつけ合い」としてのダンスがはっきり見えるようになれば、あとはもう、コンビの数だけドラマが膨らむ。途中まで「なんやねんこのいかつい奴」としか思われていなかった釘宮さんがラストで一気にキャラを彫り込んで無視できない存在になる行程なんかも見応えがあったし、ちーちゃんと明の百合ップルの高まりは言わずもがな(たまらなくなって思わず記事立てちゃったけども)。それぞれの戦いが見えて、それぞれの人生が語られる。それでこそドラマは幾重にも重なりあった深みを見せるのである。

 こうして作られた人間模様を余すことなく表出させるのは、やはり最初に戻って画面の力である。「迫力のあるダンス」なんてものは素人目にはなかなか分からないものだが、それでも本作は(ハッタリ混じりだったとしても)他を寄せ付けない迫力があったし、奇をてらうことなく、あくまで「ダンスの描写」という枠の中に描きたいものを詰め込んでいた。こうした「よく知らないジャンル」を評価するポイントとして「作品を見た後にそのジャンルに興味が湧くか」という指針があり、今期だったら「なんかよく分からないけど将棋が格好いい」と思わせる作品が「3月のライオン」であり、同様に今作を見れば、間違いなく「なんかよく分からないけど社交ダンスってめっちゃ格好いい」と思わされるのである。もう、それだけでも作品としての役割は充分だろう。機会があれば是非とも原作漫画に目を通し、アニメとの味わいの違いも確認してみたいところである。

 最後は当然中の人の話だが……終わってみるとMVPはちーちゃんの中の人のちーちゃんかなぁ。登場時の「何このムカつく女」っていう印象から、最終回のプロポーズ(?)のたまらない跳ねっ返りっぷりへの接続が本当に素敵。もちろん、そんなちーちゃんの「元の所有者」明を熱演したおいちゃんも問答無用である。その他、普段とはちょっと違うテイストで曲者の釘宮さんを引き立てたベテラン櫻井、どこまでもマイペースな兵藤役のしこりんあたりもいいお仕事。そして主人公・多々良役を務めた土屋神葉も、事実上のデビュー役で見事にその任をこなしていたと思う。こないだたまたまたバラエティ番組で知ったのだけど、この子って土屋太鳳の弟なのね。業界的に弟声優の躍進がすごい。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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