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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ハルチカ〜ハルタとチカは青春する〜」 6→4

 やぁ! 良い子のみんな! P.A.Works大好きおじさんだよ! ……ただし全部の作品が好きとは言ってないよ。改めて、「P.A.Worksの一部の作品が病的に好き」おじさんだよ!

 はっきり言っておくと、今作は駄目だ。歴代P.A.作品の中でも駄目な方だ。麻枝が絡んでないから大丈夫かと思ったが、別ベクトルで駄目だった。

 画は良いんだ。随分濃い絵柄だったが、P.A.らしい丁寧さはあったし、キャラにも愛嬌があって見ていて楽しいデザインだった。その部分についてはいつも通りにありがとうと言っておこう。ただ、いかんせん吹奏楽のパートに関しては、折悪しく「ユーフォニアム」というとんでもない作品が出た後だったんだ。これまでの常識で言えば今作の映像でも文句は出ないところなのだが、ユーフォのあとに演奏シーンを見ても「普通」としか言えない。京アニがあれを実現させたんだから、P.A.だって負けないだろうという期待がかかってしまうのだが、そういう方向にはあまり力点を置かなかったな。最終回の演奏シーンも、何故か音に被せてエンディングテロップになってしまったからなぁ。でもまぁ、今作はそこを描くのが主目的ではないだろうし、「吹奏楽」の部分で他と比較してしまう部分を除けば、平均以上だったのは間違いない。

 問題は……中身の方だ。どうしようもなく「ミステリ」の方だ。全く同じ現象が、京アニと「氷菓」のときにも起こっている。大好きおじさんも、中身が日常系ミステリになるとやたらハードルが跳ね上がるんだ。どうしても、このジャンルだけは駄目なんだ。そして、今作を見ていたら、「もう少し『氷菓』を好きになってもいいかもな」とすら思った。それくらいに、今作は意味が分からないんだ。「氷菓」を好きになれなかった理由について、いつだったか忘れたが「謎を解く必要性が感じられない」ということを書いた。日常の謎ってのは、「何となく不思議なこと」を日常に見出し、その理由を「論理的に」推理していくというデザインで、一般的にミステリで扱われる殺人事件などのように切迫したものではない。そのため、何故推理するのか、正解をどうやって確定させるのかの設定が必要になる(簡単に答えが分かってしまってはいけない。それなら「確認しよう」で済むために推理の必要が無くなるからだ)。「氷菓」についてはその部分を「気になります!」の一言で強引にシステムとしてまとめ、千反田えるというヒロイン像を作りあげた。これによって「謎を謎として構築する」システムは出来上がったのだが、奉太郎という「推理システム」の方にやや不備があり、「最初に考えるべき当たり前の可能性をさも偉そうに推理したように話す」とか、「絶対あり得ないようなことをさも論理的に導いたかのように話す」などの難点があった。これはキャラの問題というか、謎とロジックの設計を詰めきれない作者のプロットに問題があるわけだが、元々日常の謎というのは上記のように「どこまでも不確定のままである」という根源的な問題を抱えているために、このシステムを完全に成立させるのは簡単な作業ではない。今になって思えば、奉太郎という「それっぽい答えを吐き出すシステム」は、形の上では上手くいっていたのかもしれない。

 しかし、本作は駄目だ。「謎を謎として構築するシステム」はチカちゃんが割り振られるのかと思ったが、案外そうでもない。なんとも無茶苦茶な設定が、突如世界に組み上げられるのだ。それが顕著だったのが犬の飼い主の話。あんな状況、どう考えても起こるはずがない。意味が分からない。そして、それを「推理しよう」とするハルタのメンタリティが分からない。「グダグダ言ってねぇで警察呼べ」だ。謎の構築も無茶苦茶だし、解法を出すシステムも現実感がない。この時点で、ロジックを語ることの意味が無い。さらに、解答がはっきり出たはいいものの、あまりにも無茶苦茶過ぎるというパターンもある。具体的には「ヴァナキュラー・モダニズム」や「クロスキューブ」の話。「クロスキューブ」については感想でもその不可解さについて触れたが、続く4話目、「ヴァナキュラー・モダニズム」で何かの糸が完全に切れた。あんなもん、現実に起こりえないことは誰だって分かるわけで、あの一篇でもって、今作は日常の謎ミステリから、「ありえへん奇人変人が織りなす不可解コメディ」に変貌した。笑うしかないやん、あんな映像。そりゃね、いわゆる「ミステリ」の館ものなんかも、現実では絶対にあり得ない構造の建物なんかはいっぱい出てくるわけだが、その場合は舞台装置を使って非現実の物語を繰り広げますよ、っていう下準備が整っている。今作の場合、「日常の謎」の皮を被り、突然マスクを剥いだらシュールギャグが正体を現すという、なんとも食い合わせの悪いサプライズなのだ。そこから先は、もうついていくことが出来なくなった。一度「理解が及ばない」とさじを投げてしまうと、その後の小さなエピソードも冷ややかに見てしまうものでね……。

 この荒唐無稽な内容については本当に手の施しようがなく、さらに、最終回ではフツーに吹奏楽青春ものとして無難に幕を引くなど、一本のシリーズとしても目的意識が散漫でまとまりのない作品になってしまった。そもそも、あれやこれやで変な入部のしかたをした部員にしたて、大して感情移入も出来ないのだからラストの演奏会で感動なんか出来るわけがないしな。何がやりたかったアニメなんだろう……。

 1つだけ救える部分があったとしたら、それはチカちゃんの可愛らしさであろう。そこだけは確かなことだ。チカちゃんは可愛かったし、ヒロインを人間扱いしないハルタとの関係性も他では例を見ないものだったので、二人の殺伐とした掛け合いは楽しかった。そもそも主人公カップルが恋のライバルとして一人の男を取りあうっていう設定自体が無茶苦茶なわけだが……あの部分を突き詰めて、完全な三角関係ラブストーリーを描いてくれれば、興味も示せたかもしれないんだけどなぁ。とりあえず、チカちゃん役のブリドカットセーラ恵美にはお疲れ様を。チカちゃんは可愛かった(大事なことなので 

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「おそ松さん」 6→8

 毎週何かしら書いていたので説明も特に必要無い。化け物じみた作品になったもんである。

 おそらく、ここまで爆発的なコンテンツになると予想していた人間は世界に1人もいないのではなかろうか。私も含めて、「まぁ、このキャストだからある程度そっち方面にもウケる作りにはなってるだろう。悪ふざけが上手くいけばそれなりに面白いものも出てくるかなぁ」くらいに認識していた人間はいるかもしれないが、その悪ふざけがここまで全速力で振り切れてしまうとは。世の中何が起こるかわかったもんじゃございませんな。とりあえず、ほぼ毎週退屈せずに見ることが出来ました。あっという間に終わったようにも感じるが、2クールという長丁場をギャグで引っ張り、ここまでテンションを維持するというのは並大抵のことではない。昨今のヒットアニメを探しても、ここまで純粋にギャグに特化して勢いを維持した作品など見あたらないだろう。強いてあげるなら同じく藤田監督が関わっていた「銀魂」シリーズなんかはそれなりにパワーがあったとは思うが、あくまでジャンプ漫画という下地があってこそのエネルギー。完全オリジナルでそれすら上回るコンテンツを生み出したというのは、アニメ史に残る出来事と言っても過言ではない。

 こうして成功した要因は様々で、時節も関わってくるのでなかなか一口に分析・説明出来るものではないが、単純にいち視聴者として観ていて楽しかったのは、六つ子という今作唯一にして最大の武器をフルに活用したキャラ造形だろう。「それぞれが違うベクトルだけどみんなクズニート」というあまりにもアグレッシブ過ぎる設定。無茶苦茶なはずなのに、その奇策が見事に収まるところに収まって大きな推進力を生み出した。初見ではチョロ松とトド松の違いが微妙に分かりにくい、一松と十四松の差も微妙、などの不安要素があったはずなのに、時を重ねて掘り進めば掘り進めるほど、11人のキャラに奥行きが生まれ、ネタがあり、ドラマがあるという病的な吸引力があった。形こそおかしなものだが、乱暴にくくってしまえば「ホームドラマ」に位置する今作、勝負の決め手はやはり「家族の人柄」である。それぞれのキャラに1つどころでない大量の爆弾を背負わせ、毎回それを誘爆させるように組み上げていく野放図な作劇も、一発ネタで終わらせないだけの多様性を見せた。見れば見るほど、よく出来た設定だった。

 あとはまぁ、やっぱりキャストの力はでかいよね。普段こうしてキャストの話に言及するときは「俺はしょせんそういう人種だから」と少なからず「あんまり普通じゃない視点」だという意識はあるのだが、今作は積極的に中の人たちの魅力を作品作りに活用しており、「現代日本が持ちうる声優力を全て叩きつけるんだ!」みたいな覚悟があった。もう、それだけで幸せですよ。もっと、もっとだ! まだまだこの声優地獄は先があるはずだ!

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「赤髪の白雪姫(2nd Season)」 6→6

 あぁもう、ホントに「爆発しろ」しか言葉が出てこないよ。末永く爆発しろよ。最終話のラストで1期オープニングはやっぱりずるいわ。

 最後の最後まで一貫していちゃいちゃし続ける姿勢は本当にご立派。2期目ということで、既に白雪とゼンの関係性は完成してしまっている。おかげでもう、誰一人として彼らの間に介入することが出来ない。ほんの一瞬だけ「お? オビと恋のさや当てか?」と思ったこともあったが、オビさん賢いから絶対そんな無茶な勝負挑まないし。強いて言うならイザナ兄ちゃんが障害だったはずなんだが、彼も彼で聡明すぎてあっさり白雪の有用性を見出しちゃってるし。もう、誰も2人を止められない。それなら、爆発するしかないじゃない。

 いや、一応2期目ってことでスケールアップした困難はあったはずなんだけどね。海賊にさらわれてあわや身売りってところまで行ったからね。でもさ、基本的にこの手の少女漫画でハッピーエンドが覆るはずもないからね。あんまりドキドキする展開じゃないわよね。挙げ句山賊の頭には実父まで出てくる始末。もう、白雪は人生でどんな困難が降りかかろうと自動解決する星の下に生まれてるんだよ。それでも「単なるラッキーガールやんけ!」ってならないあたりが白雪の凄いところなんだけども。あんだけ真面目に日々を生きてる人間に文句を言おうとは思わないからなぁ。この手の漫画によくある脳内お花畑の危機管理出来ない女ともまた違って、白雪の場合、どんだけ非常事態でも割とクールに自分の立ち位置が観察出来てるからな。「これなら王子に助けられてもしょうがない」っていう説得力があるからな。そういう意味では、出自こそ違うけどやっぱり「暁のヨナ」に通じるものがあるね。ヒロインが魅力的で初めて少女漫画のパーフェクトな恋愛が成立するのです。白雪は、本当に幸せになる権利があるいい女なのです。

 今期はそれに加えて、ゼンもちゃんと成長を示し、彼があっという間に白雪の隣に立つのに相応しい男になっちゃったもんだから、余った時間はラジ王子やらオビやら、挙げ句はミツヒデ(酔っぱらいモード)やら、まわりの男連中の成長物語にまで筆が割かれておる。白雪という女性が、どれだけまわりの男どもを刺激して、更生させているかがよく分かる。いや、ミツヒデは最初から良い奴だけど。ミツヒデと木々もさっさと幸せになりやがれ。

 こうして「ベタベタながらも誰も損をしないラブストーリー」が無事に幕を閉じました。非常に安定感のあるアニメーションで、ラブラブなシーンにしろ活劇シーンにしろ、どこを取ってもばっちり今作の世界観を維持し、白雪やゼンといったカリスマがより魅力的になるように描かれている。特に奇をてらったものがあったわけではないが、やっぱり安藤監督の画作りは安心して見られるから良いな。今作はまだ原作も完結してないらしいので、もし今後ストックが増えてきたら是非3期もお願いします。

 中の人については……もう、早見沙織って883回くらい書き取りしておいて。あ、でも個人的にはオビ役のしこりんもいい仕事してると思う。今期はゼンよりもオビの方が見せ場が多かったくらいだしね。

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「最弱無敗の神装機竜」 4→4

 いつも通りだよ! まぁ、これはこれでいいんじゃないでしょうか。ラノベレーベル各社は、毎シーズン談合して、1クールに1本ずつ放送するくらいに調整すれば、世界に不幸なつぶし合いも起こらなくなるんじゃないでしょうかね。

 ぶっちゃけ、特に悪いところはない。ラルケ製作ってことで「機巧少女は傷つかない」と非常に似たイメージの画面ではあったが、大きく崩れることも無かったし、機竜のCG戦闘もとり立てて目新しさは無いが無難な出来。これくらいのデザイン性では「綺麗な画面」と褒められるようなこともなくなってしまったが、安定していたことは美徳だと認めてもいいだろう。実は意外に各ヒロインの描き分けも出来ていたし、画面だけを見ていれば、昨今のラノベハーレムの中でもよく出来ていた方なのかもしれない。

 ……でも目を引かないよね……。しょうがないんだ。こればっかりはこの作品が悪いわけではない。現代ラノベアニメの風潮が悪い。まぁ、そんな中でこれをアニメ化したことが悪いと言えなくもないが……ストーリーの中で何一つ引っかかるところがなく、全ての要素がところてんのようにスルスルと胃の腑に落ちていく。消化も大変良くカロリーもゼロ、一服の清涼感だけを残して去っていく。後に残って身になりそうなものは特にない。うーむ、清く正しき大量生産アニメではあるのだが……やっぱりこう、もうひとつ頑張りがほしいところではあるよなぁ。見飽きた修学旅行のコースをパック旅行で見せられてるようなもんでなぁ。あらゆる展開が「それ知ってるヤツ」だしなぁ。別にサザエさんとかドラえもんでこのクオリティなら申し分ないんだろうが、わずか1クールで去っていく単品タイトルなんだから、もう少し爪痕を残して去ってほしいと思うのは贅沢なんだろうか。

 まぁ、個人的には「現代の若手女性声優の名鑑」として的確に役割を果たしてくれていたからそれはそれでいいんですけどね。本当に、誂えたように揃っている最近の主力選手たちの顔ぶれは、「今日から現代声優について勉強したい人は、とりあえずこのキャスト表を覚えてくるように」みたいな安心感がある。そんな中でメインヒロインを務めたのがLynnというのは意外だが、最終的に姫様のスタンスってあんまり得した感じがしなかったので残念ではある。大抵こういう作品ってサブヒロインの方がメインエピソードが多いから美味しい役回りになるのよね。個人的に推しキャラとしてあげたいのはダントツでクルルシファーさん。藤井ゆきよの低血圧な演技もドはまりして、非常に妖艶で格好良いキャラになっていた。あとは取り巻き三人娘が結構好き。ゆーみんとしーたむのガヤっぽさ、圧倒的サブキャラ感がたまらん。

 そして、今作で収穫だったのは、「主人公のCVが女性キャストだと一気にヘイトが下がるな」という発見があったこと。田村睦心による主人公・ルクス。典型的なラノベ主人公であり、彼こそが最大の「なんの引っかかりもないキャラ」なのだが、多分松岡・逢坂あたりを当てていたら「ハイハイ、いつものヤツいつものヤツ」って気分になっただろうが、むっちゃんによる「女装主人公」はなんか変なツボに入ってちょっと面白かった。ん? 単に女性声優が好きなだけだろうと? まぁ、そうかもしれん。

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「ダイヤのA Second Season」 5→5

 びっくりした。何がびっくりしたって、この作品が「Second Season」になったときは間を置かずにすぐに2期だったから、わざわざ番組感想とか新番チェックを書かなかったんだよ。おかげで今回「あれ? 新番チェックの点数ってどこにあるっけ……」って思って探したら、2013年の10月期だったんだよ。そうか、まる2年半もやってたのか……立派な作品になったもんだなぁ。

 スタートした時は朝番組だった。プリキュアと被る時間ってんで録画で適当に流し見する程度の作品で、「まぁ、原作知ってるし」くらいのテンションだったわけだが、そんな馴染み気分のテンションも続き続いて2年半。途中で夕方に時間変更になったが、相変わらず暇な時間に録画をダラダラと流し、「今どことどこで試合してるんだっけ?」なんて適当な視聴。ときには漫画原作の時間軸とごっちゃになって訳が分からなくなることすらあった。でも、こうして何となくでも見続けられたってことは、やっぱり悪くない作品だったんだ。本当になんの奇策もなく、徹底的に野球をやるだけのアニメ。原作の地味さがそのままアニメになった形だが、この作品、一切映像品質が落ちなかったんだよ。2年半ずっと。そう考えるとものすごい作品だったのかもしれない。考えてみりゃマッドハウスとI.G.の制作だもんなぁ。強いに決まってるわなぁ。シリーズ後半はずっとGLAYがオープニングを熱唱していたおかげでいちいち作品にメリハリが効いていたし、いっそこのまま「コナン」みたいな国民的アニメになってもいいんじゃないか、っていう気にもなった。ただ、いかんせんスポ根アニメだからどこかで終わりは来てしまうのだよなぁ。

 今回はひとまず薬師戦の決着で最終回。原作にも割と追いついてしまっているので、新シリーズがアニメ化されるとしてもしばらく先の話になるだろう。でも、多分アニメは帰ってくると思うね。これだけのものをずっと作り続けてきたんだから、次のシーズンもすぐに作れる体勢が整うだろうし。個人的には、ほぼ男性キャストだらけで本物の野球部部室みたいにムンムンのアフレコ現場が壮絶そうで好きでした。これを押さえておけば、若手の男性声優はほぼ全員カバー出来るくらいの数だからな。新シリーズが始まったらまたどんなキャラが出てくるか楽しみだ。キャプテンの弟が武内君なのは笑ったわ。そして、こんなムサ苦しい現場でほぼ単独女性キャストとして頑張り続けたゆーみんお疲れ様。

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「霊剣山 星屑たちの宴」 4→4

 「分からん」アニメだった。「面白い」とか「つまらない」じゃなくて、「分からん」。そういう意味では、他では得られない貴重な体験ができるアニメだったのは間違いない。

 昨今のアジア圏におけるアニメ技術の進歩というのはそれなりに注目されるトピックであり、外注先として有名な中国・韓国、はてはタイやベトナムに到るまで、日本はアニメ先進国として、近隣諸国に与えた影響がどのような結果をもたらしているかに興味を示してきた。その結果、最近では中韓にオリジナルアニメを製作する気運が高まっているようで、その映像は日本の一級作品に劣らないクオリティになっていることもある。ここで興味深いのは、こうして日本人の眼から見て「ええやん」と思えるアニメってのは、非常に「日本的」であること。例えばアメリカ、それにフランスといった諸外国におけるアニメの多くは、日本のアニメの影響を受けたと言ってもその国独自の路線を維持し、一目見て「これ、日本のアニメじゃないな」と分かるものなのだが、中韓のアニメの場合、日本のアニメと見紛うような方向性のものも発生しているのだ。こうして見ると、やはり地理的な近さ、民族としての近さ(そして文化の近さ)は、新しい創作物においても近接性をもたらすものなのだろうか。今後のアジアン・アニメの展開は引き続き興味深いものだ。

 とまぁ、そんな話とこのアニメは直接関係ない。何しろ作ってるのは日本だからな。ディーンだからな。今期ヒット作を続けて出したディーンだが、今作はとてもじゃないが気合いが入っているように見えず、90年代もかくやというヘタレたアニメ映像になっている。これは単にリソースを割かなかった結果なのか、はたまたメインターゲット層である中国の視聴者がこういうアニメを好むからなのか、そのあたりは判然としない。ただ、判然としないだけに、「なんかショボい絵で駄目駄目だったな」と批判するのも憚られる。どれだけ自分の舌に合わずとも、他の国にはその国独自の味の文化があり、それを「質が低い」と批判するのは了見の狭さとも言えるのだ。いや、中国人が見ても駄目な画だった気はするけども。

 そして、そんな画に対する不安感以上に、今作は話の方がどう触れていいのか分からない「独自性」にあふれている。ざっくりまとめれば「仙人の修行をする若者の成長譚」なのだが、あらゆる要素が、私の想像している「物語」のひな形から全てずれる。例えば主人公・王陸の造形。敢えてまとめるなら典型的な「俺ツエー」なのだが、日本の「俺ツエー」様は何かと自分を卑下し、ことあるごとに「無能力者」だの「劣等生」だの「最弱」だのとうさんくさいことを言い始めるものだが、王陸は最初から最後まで常に上から目線。持って生まれたチート能力を隠すことなく、「オレサマ出来るから」というので好き放題に暴れ回る。そこに「努力・根性」といったものは描かれない。いや、実際は努力してるんだろうが、このアニメ、そうした部分は全部ナレーションが「こうして一ヶ月が過ぎた」とか一言添えるだけで全てはしょってしまう。この辺りの作劇は、日本のアニメでは見られないものだ。また、王陸のまわりにいる師匠連中なんかも圧倒的俺ツエーだし、どこまで行ってもマジバトル展開が派生せず、常にまわりの連中を見下し、小馬鹿にしたような態度の連中の「俺ツエーのにお前ら何を無駄にあがいてんの?」みたいなお話が延々続く。なんかもう、ここまで来ると、ムカつくとか、つまらないとかじゃないだ。「あっちの人たちはこういうのが見たいの?」とカルチャーショックを受けるのだ。

 また、舞台設定の「完全にゲーム的な処理」も、日本のラノベ作品などに近い文化のように見えてまったく違う。いや、多分根っこは同じなんだろうけど、あまりに淡々とそのあたりの設定を処理する姿勢が違う。日本の作品の場合、設定を作り、ゲーム的なものになってくると、必死に説明を付け加えようとするだろう。あまりにデジタルな処理になると「人間味がない」だの「ゲーム世代が」だのと言われ始めるし、それは「物語」ではないと思われる。だからこそそこにアナログな人間物語を介在させようとするし、ゲーム的な設定を生み出したいなら、そのままずばり、ゲームの中に入っている設定にしたり、徹底的に「メタ視点を持つ主人公なんですよ」ということをアピールする。「このすば」「グリムガル」などの異世界転生ものが、そうした「ゲーム的物語への情状酌量」の典型的な現れだ。しかし、今作はそうした「ゲーム的すぎる」ことに一切の躊躇がない。最初の試練では王陸も、まわりの連中も、そしてナレーションも、簡単に「フラグ」なんて言葉を使うし、「ゲーム的な解決があること」を誰もが疑問に思わない。神仙修行においても「プログラム」という言葉をガンガン使い、全ては報酬型ミッションとして処理され、そこに介在する意志はせいぜい仙界上位層の権力争いくらいなもので、試練を受けている人間たちはあくまでも上位者の意思を読み解くこと(つまりゲーム的な解法を探り出すこと)だけを考えてロジカルに動く。この潔さも、なかなか国内作品では見られない傾向だ。

 こうして、何もかもが「違う」文法の物語を見せられて、正直困惑する以外になかった。面白いとかつまらないじゃなくて、「分からない」。知らない料理が出てきて、美味しいとか不味い以前に、どこを食べるべきなのかが分からない。そんなこんなであっという間の1クールだったんですよ。多分、食べ方が分かれば正当に評価することも出来るんだろうが……。まぁ、とりあえず現状は「画がしょぼい」ってんで特に良い印象は抱かず、こんなもんですよ。これ、2期目もあるんだよなぁ。次に来たときはもう少し受け止められるかなぁ。

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Dimension W」 5→4

 ちゃうねん、ちゃうねん。なんでそんな晴れやかな顔で終わってんねん。そういう作品じゃないんだヨォォォォ!

 やぁ、原作大好きおじさんだよ! おかげでこのアニメについてはどういう風に処理していいか自分の中でも整理できてないよ! 一つだけ言えることは、アニメと原作は全く別物だということ。私の好きな岩代テイストの中核である、じっとりと嫌らしい、人間特有の粘っこさみたいなものがアニメでは完全に漂白されてしまっている。そして、あく抜きをしてさっぱり風味になったものを、亀井監督の画作りでもって「ちょっとやんちゃなキョーマさんがカワイイアンドロイド少女と送る冒険活劇」に仕立て上げている。俺が見たかったのはコレジャナイ!

 ……たださぁ、あく抜きした結果の作品として観ると、実はこれが案外成立したんだよ……完全に12話で完結したんだよ。しかも割と活劇ものとしての見応えはあるんだよ。……どうしてくれよう。これだけテンポが早いと次元Wを巡る怪しげな謎とか、シーマイヤーの持ってるイカれた才覚とか、そういうものの味はさっぱり伝わってこないけど、キョーマさんが串を投げて悪を滅するバトルアニメとしては成立してるんだよ。どうしたらいいかな。何よりも徹底的にフィーチャーされてたミラは可愛かったしな。そこはそれで大きな収穫ではあるんだが……。

 いやぁ、でもさ、やっぱり違うわ。やっぱりスコア編をカットしたり、八十神編を大幅短縮したのは違うわ。八十神編みたいな理不尽かつミステリアスなテイストこそが真骨頂だろうに、なんでそこは流すのさ。もっとドロドロとミステリアス不気味に不穏に、たっぷり情感を持ってやってくれよ。悪い奴が本当に極悪なツラでにんまりしながらひどいことする様子をもっとクローズアップしてよ。イースター編にしても、各々のヒーローたちはもっと色々と胸に抱えてるものがあったんだよ。サルバとルワイの間にも複雑で面倒な兄弟の関係があったんだよ。ダグを含めたグレンデル内部のお話とか、もっと悲惨で泣ける話があったんだよ。ハルカ・シーマイヤーは、もっともっと下衆でイカれた野郎なんだよ。なんか、そういうもの全部が、軽い……薄い……。しょうがないよな! 1クールで収めるにはこれしかないもんな! 俺のやって欲しい通りにやってたら八十神編で1クールが終わっちゃうから多分間延びするしな! だからスタッフの采配が間違っていたとは言わない。そしてその判断の上で作られた作品自体、狙い通りによく出来ていた。でも、それは私の望んだアニメ化じゃない。原作厨と誹られようが、私はさめざめと泣くのです。再アニメ化はないだろうしなぁ……。「いばらの王」を! なんとか「いばらの王」をシリーズアニメにしてもらえませんかね!

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「デュラララ×2結」 6→6

 終わってしまいましたな……。今期の終了は単に「結」のエンディングというだけでなく、全部で5クールに及ぶ「デュラララ」という作品の集大成としてのエンディングでもあるので、なかなか単体で切り取っての評価というものは難しい。流石に第1期は遠すぎるので別にするとしても、「承」から「結」まではなかなか切り離せないだろう。

 ぶっちゃけ、1期の頃に比べるとパワーダウンしていたのは事実だ。ダウンというのはシナリオ方面の話ではなくて、ブレインズベースから「朱夏」という独立スタジオに移ったことによる影響。特に中盤では映像面がメタメタになった回もあったし、最終盤でも残念ながら映像の盛り上がりは無かった。いちいち大森監督の目の覚めるような演出技法を見せつけてくれていた1期を楽しんだ身としては、非常に残念な結果ではある。

 とはいえ、シナリオ面での無茶苦茶さは終盤シリーズになってさらに混迷を増し、作品の特性である「有象無象のぐちゃぐちゃ感」は際だったものになった。全ての要素が切れ切れに飛び交い、それらが何重にも層を成して池袋という1つの街を作りあげていくという無体なシナリオ設計。普通に考えたらこんなもんはまともに形になるはずがない。一本の小説として読むならまだしも、30分区切りで分割しなければいけないシリーズアニメでこの構造はあまりにも無謀だ。しかし、それでもこの作品は「なんとか」してしまった。脚本構成の髙木登氏と大森監督が二人三脚で、3分割3クールという訳の分からないシリーズをギリギリで走りきった。毎週きちんと見ていれば不思議と筋を追うことが可能で、どの局面でもそれぞれに盛り上がりを見つけることが出来る。ほぼ毎週がクライマックスみたいなノリなもんだから、気が休まる暇が無くて本当に大変だが、これを週ごとに構築していくスタッフはさらに大変だったことだろう。とにかく、「決着が付いた」というそれだけでも充分な偉業だ。

 作品の構造上、まだまだ未解決な問題は残っているし、掘り下げる余地だらけの鉱脈みたいな作品である。個人的にはもっと色々な形でこの作品に関わる派生を見たいものだが……まぁ、一段落かなぁ。大森さんも「夏目友人帳」の制作が発表されちゃったしなー。ここ最近の大森さんはこの作品や「サムライフラメンコ」など作画が残念になる作品が多かったので、久しぶりに「夏目」が出来ると精神衛生上良いのではないかしら。

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「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」 6→6

 刺激の多い作品でした。こちらも秋から新シリーズだが、この先、どんな物語が待ってるんでしょうね。

 相変わらず「日5の呪縛」が私を縛っている。生活リズムの問題なのか、どれだけ良い作品でもこの時間枠で放送されると、視聴のモチベーションが維持出来ないという問題だ。「マギ」や「青の祓魔師」、最近でも「アルスラーン戦記」などの決して悪くない作品が、この時間枠で放送されたというただ1点の理由だけで、私の視聴からことごとくずれてしまっていた。今回、「オルフェンズ」が始まったときにもこの懸念は当然残っており、実際、当初期待されたほどの没入度を得ることが出来なかった。本当になんでなんだろう。開始からしばらくは感想を書いてしっかり維持出来ていたのに、いつしか「感想書きたい……いや、でも、面倒だし今週はいいや」っていう流れになって、一度止まっちゃうと「今週もいいかな」になる。感想記事をあげるという行為は、そのためにしっかり観るという視聴モチベーションを上げる効果もあるので、一度手を止めると負のスパイラルが起こってしまうんだよなぁ。今作の場合は決して惰性で見ていたとは思わないのだけど、時間枠が違ったら毎週正座で見られたんじゃないかと思うんだ。そう考えると、やっぱり惜しい。

 本作最大の売りは、思い切りの良さだろうか。夕方枠という設定を一切気にしていないかのようにガンガン人も死ぬし、エグいシチュエーションもたくさん出てくる。そもそも主人公がキリングマシーン三日月の時点で、BPOも黙っちゃいない。そんな中でも、「ドブネズミのような少年たちが必死に世界に抗いながら生きていく」というテーマを貫き、ときに仲間の命を踏み台にしながらも生きる目標を探し続ける徹底した命題設定は凄まじい執念を感じた。このあたりのシナリオを容赦無く組めるあたりは流石の岡田麿里だ。こうした目を覆いたくなるような「生きることの厳しさ」「殺すことの意味」を、ときにドラマティック、ときに呆れるほどに冷淡に書き綴っていく筆致もおそらく長井監督のディレクションの成せる業であり、息のあったコンビが、互いの目的意識をしっかり確認しながら作品作りをしてることがよく分かった。シリーズ構成も手慣れたもので、どうやって収拾をつけるのかと思っていた物語も最終回できちんとフィニッシュ出来たのだから大したものだ。これまでの全てのカルマを一身に背負って果てていったガエリオさんはマジで可哀相だったが……。基本的に「鉄華団が生きるための物語」なので、ギャラルホルン側のキャラには一切救いが用意されてないんだよな。アインも、カルタも。カルタさんはぽっと出の新キャラだったくせに、本当にいい人だったよ……。

 ドラマの構成も手慣れたものだとは思うが、不満だった点が大きく2つ。1つは、ミカとオルガという二人三脚の主人公構成が、完全に成功していたとは言えないところ。ミカという狂犬が中心におり、リーダーと目されるオルガが実はミカに強迫されるかのように必死に虚勢を張っている、というのが鉄華団の構成で、オルガの「偉そうにしてるけど実は子供だし、本人もそのあたりの弱さを嫌と言うほど感じながら必死に抗っている」様子はとても良い。オルガの「小ささ」みたいなものは、むしろ魅力的に見えることが多い。しかし、そんなオルガを脅しつけながら、ほとんど考えることをせずに突き進むミカの方は、その生き様がキャラクターの魅力として現れにくかった。ぶっ壊れたヤツとして見ればそれはそれで楽しいのかもしれないが、単なるキリングマシーンは主人公というのとはちょっと違うだろう。オルガはミカを「原因」にしてしまい、ミカはオルガを「動機」にしている。このいびつな共依存において、オルガは必死に戦うが、ミカは全てをオルガに押しつけて平気な顔をしているだけ。そのあたりの関係性が、なんだか残念に思えた。まぁ、このあたりは2期に繋がってくる部分なので、まだ結論を出すのは早いだろう。姫様絡みでミカにも多少表情の変化はあらわれるようになったし、このぶっ壊れが人間になっていく物語が、第2幕で描かれるのかもしれない。

 もう1つの難点は、その姫様だ。クーデリアさん、結局あんまり仕事しなかったね。最後の演説なんかは「姫も立派になって」っていうところを見せたいシーンなんだろうけど、結局あれも流れでやらされてるだけで、あんまり「自分で考え、自分で動いた」って感じではないんだよね。まぁ、元々世間知らずなお嬢様だったわけで、身の丈に合った仕事ぶりではあるのだが……鉄華団の連中が戦争という現実の中でみんな自分を保てなくなりながらも抗っているのに、姫様はそれを見ても何かを「失った」ように見えず、あくまで守ってもらうポジションは一緒だ。まぁ、そういう役回りなのだと言えばそうなんだけど。ガンダムヒロインとしてはもう一歩先の強さが見たいところだねぇ。ま、これも2期目に繋がるお話かな。

 まだ物語は終わらないということで、現時点では「2クールものとしてしっかりまとまっていたし、独自の良さもあったので楽しかった」というくらいに留めておこう。鉄華団の物語が、今後どのようにガンダムの歴史に刻まれるか、引き続き注目だ。

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