○「これ描いて死ね」 6
ドラえもんやうしおととらなどの小学館漫画で構成される中、妙に異彩を放つワンピースの存在感。
「島暮らしのド田舎女子高生が夢に向かって走り始める!」という設定で「花修羅」を思い出したが、あの時とはテンションがずいぶん違う、エネルギッシュな第1話。ストレートな感情の発露が描かれた展開はひねらずまっすぐな分心に刺さるもので、印象はなかなか良い。
刺激的なタイトルなので書店で見かけたような気もするが原作は未読。なんも知らない状態だったが、作者の名前になんか見覚えがある気がして確認したら、同作者がずいぶん前に描いていた(デビュー作らしい)「ラブロマ」という漫画は持っていたこともあった。かなり昔のことなのですっかり忘れていたが、一時期私はなんかこぅ、どこかメジャーじゃない漫画も読んでみようかと思って書店の棚の隅の方に目をやっていた時代があったのである(今はそのための労力を割くだけの体力がなくなり、年に1、2回の漫画喫茶で代替する形に)。その時になんとなく、1、2巻くらい買って読んだ……気がする。正直あんま覚えてない。あと多分「絵があんま上手くない……」ってんで最終的にあまり印象に残らなかったんだと思う。
あれからウン年、ウン十年。久しぶりに名前を見るのがアニメ作品になったのは驚きだが、少なくともアニメの映像では「絵が合わない」なんてことは微塵も思わなかった。キャラの口角あたりの書き方にちょっと特徴があるくらいで、コロコロ変わる表情は愉快だし、少なくとも1話目で出てきたキャラの造形は可愛らしいものが多くて愉快な印象。そして上述の通りにまっすぐな物語進行で非常に見やすく、今後の展開に期待できる1話目になっていた。制作はシンエイ動画ということで、よっぽどのことがない限り大外れはしないだろう。ちなみに監督の赤城博昭&シンエイ動画という座組みは「ぼくヤバ」と同じとのこと。
ついでの話題を出しておくと、「漫画家のことを描いた漫画」って割と両極端な印象がある気がするんですよ。片方の極は当然「まんが道」を筆頭に「実体験もあるし、一番真に迫って描くことができる物語だから迫力や切実さが出る」というプラス評価。「燃えよペン」とかもこっちの枠かな? 「笑顔のたえない職場です」も個人的にはココ。「バクマン」は……あれはあまりにジャンプ漫画的すぎるから例外的かな。
逆の極として具体例は上げられないが、「作者が安易に漫画家を題材にしてしまって陳腐で独りよがりな内容になる」パターン。大した志や目的もなく、「自分は漫画家なんだから漫画家の漫画なら描けるだろう」みたいな適当な妥協から生まれる漫画家漫画って、ほんとに退屈なものになる。まだ日記漫画にしてもらった方が諦めがつくような、そんな腑抜けた作品も世にはたくさんある。おかげで、私は漫画家を題材にした漫画を見るときはどうしても最初に変な色のメガネをかけてしまう気がしている。
そんなわけで最序盤はやや警戒しながら見ていたのだが、冒頭に主人公・安海がイメージを膨らませるシーンでいきなりそのイマジナリーの奔放さを画で見せてくれたところがまず面白かった。題材はやや違うが、傑作となったアニメ「映像研」に近い「映像で画を見せる」ことがきちんと出来ている画面。成長した安海さんがああいったイマジナリーを繰り広げられるチャンスはあまり無いかもしれないが、今後も同じくらいのクオリティで青春絵巻が繰り広げられるなら期待してもよいだろう。
そしていつも通りに中の人の話。なんといっても今作は主人公のCV・関根明良である。やっぱ彼女の声には代え難いパワーがあるよね。叫び声の素っ頓狂な響きも勢いがあって楽しいし、熱を込めた感情への迫り方が実に良い。そこだけでも楽しみな要素。そして運命の人である先生のCV・早見沙織との互いを高め合う関係性。だってほら、2人して「空を飛べるプリキュア」ですから……(こんなとこでプリキュア談義持ってくるのもどうかと思うの)。
そのほか、美術部員役には今をときめく仁見紗綾、そして曲者っぽい貸本屋の女主人に種﨑敦美。包囲網は万全だ。是非とも楽しい作品になってくれることを願っている。
Amazonアフィリンク

PR