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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「キングダム」 3

 なんだか中途半端な時期に始まったNHKアニメ。全38話のBS放送ってことは現在地上波で再放送している「へうげもの」と同じ構成だと思うのだが、それにしても時期が変だな。見逃さずにすんで幸運だった。

 とはいえ、1話目を見た第一声は、「なんじゃこりゃ」である。制作はぴえろであるが……何これ? このもっさりCGモデルは何がやりたいんだ? 原作のことは何も知らないし、春秋戦国時代の中国の軍記物なんてなかなか楽しそうなセッティングだが、合戦の様子を描くのが最大の眼目であるはずのテーマ性で、この味も素っ気もないモデリング丸出しの描画は流石に話にならないんじゃなかろうか。まず、全てにおいてとにかく「軽い」。2人の少年主人公の剣戟も軽いし、画面を埋め尽くす軍勢でぶつかり合うはずの大合戦も軽い。もちろん、雑魚兵士は全部同じモデルを並べているだけなので、PS2初期のどうでもいいゲームのでもムービーを見ているような気分にさせられる。その他にもあらゆるオブジェクトに臨場感が無く、二人が担いでいた大きな荷物や、ぶっ壊された家の壁、たたきつぶされてしまった人間にいたるまで、単に「そこにあること」のサインとして示されているだけで、「それがある意味」が無い。10年前ならこれでも「すごいCGだ」と喜ばれたかもしれないが、今のご時世にこれを真正面からやられても、全く感慨もないし、一切うまみはないだろう。

 制作側から見たら、これは効率の良い省エネ作画なのだろう。動かし始めれば原画を落とし込む要素も少なくなるし、確かに慣れてしまえばこれだけでも「シナリオ」は作れる。実際、50分の拡大放送だった1話についてみれば、お話だけならそれなりに興味を引くものだ。それなら、あとはここに必要なのは「アニメである必要性」だろう。キャラクターの顔もパターンが限られるおかげで、どんな会話にも感情が付いてこず、「出来たらこれは原作漫画で読みたいもんだ」と思われてしまった時点で存在意義がない。「へうげもの」も含めて数々の名作アニメを世に送り出してきたNHKが、何故今になってこのような無謀なチャレンジを試みているのだろうか。意図がよく分からない。

 どうなんだろう、こういう新しい画面を見て拒絶反応を示すのは、単に狭量なだけなのだろうか。しかし、少なくともこの技法では、私がアニメに求めているものは得られそうもない。決して作り手側が怠慢を働いているとか、原作シナリオがつまらないとかいうのではないだけに、この方向性で始まってしまったことが残念でならない。いっそのこと、シナリオがどうしようもないくせに映像だけで見続けなきゃいけない「氷菓」と相取っ替えしてくれないだろうか。この技法で作られた「氷菓」なら確実に見ないですむし、京アニが作った「キングダム」なら、おそらく毎週が劇場版クラスだ。ただ……確実に過労で何人か社員が死ぬだろうけど。中華大活劇が見たいなら、現状はマッドハウス版の「蒼天航路」で足りてる気がする。

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 今期最後の一本は、この話題の作品だ。AKBという巨大産業と、アニメ文化という巨大産業。この、日本のカルチャーを代表する2つのジャンルがついに手を組み、1つの形を作り上げた。分かりやすくいえば、「金儲けのにおいがしやがるぜ」(CV:矢澤りえか)ということになる。

 さて、これだけ遅れてやってきた大作ということで、事前に様々な情報が入ってきていた、その中でまず目を引くのは、当然スタッフの充実ぶりだろう。この一大プロジェクトの総指揮を任されたのは、今の日本で最も金を生む監督の1人である河森正治。そして彼の下で実際に舵取りを行うのは、萌えもの描かせたら打率10割、チームサトジュンの出世頭である平池芳正である。サテライトでの河森さんとのタッグは初だが、どのような相互影響を生み出すことになるのか。さらに、キャラクターデザインには「マクロス」でも仕事をした江端里沙、脚本にはマリーこと岡田麿里を配した。極端な言い方をすれば、とにかく今のアニメ業界で「売れる要素」を確実に集め、アリ一匹漏らさずに「当てにきている」態勢ということになる。

 さらにさらに、我々声優オタクにはもっと凄まじい情報も飛び込んでくる。作中で描かれる実在のAKBメンバーは、きちんと本職の声優が声を当てる。そして、こちらも「当てにくる」姿勢は崩しておらず、現代声優を仕事が出来る順に上から取っていったんじゃないか、と思えるほどの恐ろしいラインナップを取りそろえる。キャスティングの集め方もそうだが、かつては「バスカッシュ!」などで制作体制の難が露見して「金の使い方まずい」と揶揄されたサテライトがここまで人材を詰め込んできていることを考えると、やはりAKB産業というのが、アニメ業界が渇望している「金のなる木」であることは間違いなさそうだ。

 ここまでのものを集めたのだから、粗悪品が出てくるはずがない。実際、河森サテライトが起用された効果は1話目で明らかである。全く同じような「アイドルに憧れる女の子の物語」は、既に「マクロスF」で通過したポイントである。今回の映像を見ると、大きなコンセプトはそのまんまマクロスからの流用と見ていいだろう。単に中身が「銀河の歌姫」から「AKB」に変わっただけ。もちろんあれから時代は流れてサテライトのCG技術はさらに向上しており、どこかすすけた1話の舞台となる町の様子などは、本当に目に見えないようなディティールにまでこだわっているんだろう、と思わせる完成度を誇っている。ため息が出たのは主人公グループの女の子の1人が働いていた町工場の描写で、荒廃した世界の全てがたった1カットの工場の背景に克明に刻まれていながらも、そこに動く夢見る少女とのマッチングがきちんと成立するというのが見事。CG技術なんて閾値に達してしまえばどれも同じだろう、という思いもあったのだが、やはりサテライトは常に一歩先の完成度を見せてくれるようだ。

 また、いかにも岡田麿里らしい、出だしのキツさ、憎らしさも興味を引く。「芸能が禁止された世界」なんて、実は現在似たようなスタッフで進行している「アクエリオン」の恋愛禁止と大してかわらねぇ発想な気もするのだが、やっぱり無茶苦茶なだけにどこか笑えるものがある。そのくせに、メインとなる3人の女の子は、親に反対されたり、恋人とうまくいかなかったり、あげく生活のために学校にすら通えなかったり、夢見る世界の真逆の現実をしっかりと抱えていたりする。単なるアイドル盛り上げ作品でなく、シナリオラインでも1つの流れを作ろうとしているのがみえるのはありがたい。

 とまぁ、褒める部分を先に挙げて期待感を煽ってみたが、点数を見て分かるとおり、それに見合った不安要素や難点が無いではない。まず、「手慣れたものである」と褒めたわけだが、それってつまりは「焼き直し」じゃないかというお話。そりゃま、近年のラノベアニメなんてほとんど焼き直しみたいなもんだし、そう簡単に斬新なものなんて生まれやしないことは分かっちゃいるが、この作品の場合、あまりに「マクロス」に被っている。そして、実際に被ってしまっているならば、そこに与えられるアイドルは、実在のAKBである必要はなく、銀河の歌姫シェリルノームや、超時空シンデレラ、ランカ・リーで事足りる。否、実在しない偶像としての「アイドル」であるのならば、シェリルたちの方がより理想に近い存在と言える。こうなると、わざわざAKBを使うことはメリットではなく足かせにしかなっておらず、「無理くりあわせただけで、結局アニメとAKBなんて食い合わせのいいもんじゃない」という結果になってしまうわけだ。

 そして、最大の難点として私があげなければいけないのは、やはりキャストの問題だろう。期待していた「現代声優大集合」という側面は、少なくとも1話の時点では全くメインに食い込んではいない。今後どれだけ活躍のベースがあるのかしらないが、そりゃまぁ、あんだけのキャストを集めて、みんながみんな活躍なんて出来るはずないことは、少し考えれば分かることだ。

 その代わりにメインを務めているのが、こちらは純正AKBの素人キャストというわけだ。演じているなかにはなかなか面白そうな子もいる。黄色髪のキャラは声質だけなら割と面白かったし、工場パート娘は割としゃべりも達者だ(素人にしては、だが)。一応AKB内で選抜試験を行った、というのもあながち嘘ではないのかもしれないくらいのレベルではある。だが、やはり彼女たちは声優ではない。居並ぶ「大集合」を目の前にしているのなら、「じゃ、そっちを使って下さいよ」ということになってしまうのは当然だろう。折角の最高のスタッフを取りそろえて、どれだけいい画を描いて盛り上げてもらおうにも、それについていけるだけの演技のベースがないのでは宝の持ち腐れだ。そして、この問題については、生中なことでは解決出来ないのが不安要素である。果たして天秤の針はここから「可」に触れるか「不可」に触れるか、このデリケートな作品の行く末は、非常に下世話な観点からも楽しみではある。

 蛇足だが、こうしてこの珍しい作品を見ると、頭をよぎるのは2つの作品である。1つは「既存のアイドルを使ったアイドルアニメ」であり、「そのくせ何故かSFになり」「指揮を執るのは実力派の監督」という共通点から思い浮かぶ「アイドルマスターXENOGLOSSIA」。あちらの作品も「中の人が元々と違う」「世界観が違う」というので、原作ファンからは酷評される結果となっているようだが、個人的には長井監督との出会いの作品でもあり、お気に入りの一本だ。今作があのゼノグラと同じくらい思い切った舵取りが出来るなら、面白い結果が出ると思うのだが。

 そして、「AKBに憧れる少女達の努力の物語」というならば、もう一本「フォーシーズンに憧れる4人の少女の物語」である「夏色キセキ」とも比較が出来るだろう。あちらは中の人的には完璧な作品だが、作品全体を覆うソフト面が色々残念なことになっている。もう、いっそのこと中の人だけそのままこちらの作品に移植してしまって、非の打ち所のない「圧倒的な声優とアイドルの融合アニメ」を作ってもらえれば幸せなのだが。……AKBを目指すスフィアメンバーってのは、流石にどうかと思うけども。

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○「氷菓」 5

 始まった。始まってしまったこの作品。さて、一体どうしたものか。

 まずもって、既に何度書いたか分からないが、私は基本的に京アニ信者である。誰がなんといおうと京アニクオリティは絶対であるし、それを嗜好することに一片の迷いも無い。つまり、この作品を楽しむことには何の迷いも無いはずである。監督は武本氏、キャラクターが西屋さん、いつも通りの京アニ布陣。脚本は久しぶりに賀東さんが担当する。基本的に、京アニスタッフが作ってしまえば、どんな原作だって面白くなるのである。そのことは既に「けいおん」「らき☆すた」などが証明済み。どんなものを投げ込まれてもその数倍の速度で打ち返すだけのスイングが、京アニにはある。かてて加えて、今作は「佐藤聡美単独主演作品」という大看板がある。意外なことに、しゅが美は「単独のメインヒロイン」というのをほとんどやったことがない(強いてあげるなら「ネットミラクルショッピング」ぐらいである)。しゅが美のためなら窮地に陥るくらいのライフは削ってもいいと考える身としては、これ以上の理由は無い。今作は、徹底的に「私のためにある作品」だ。

 実際、1話目は京アニが京アニらしいことを、しれっとやってのける内容だった。主人公が部室に入った時の無駄に盛り上げる構図の取り方と、何気なく実現させたとんでもない背景動画の持ち方、ヒロインがオリジナル技を発動した時の馬鹿馬鹿しいエフェクト、悪友が怪談話をしている時のすっとぼけたホラータッチまで、これでもかというくらいに映像技術の高さを見せつけ、これ以上無いくらいの「京アニ作品」に仕上がっている。他のスタジオでも他の方法で「面白さ」を出すことは出来るかもしれないが、ここまでして「労力」が出せるのは唯一無二といってしまっていいのではないだろうか。そして、このクオリティがほぼ毎回維持出来るだろう、と信頼出来るのが恐ろしい。1話目の繰り出し方としては、文句の出ない完璧なスタートといえる。

 で……だ。その上で、正直いうと、あまり響かない。端的に言って、シナリオがきつい。キャラがきつい。この2点だ。些末なことが気になって、映像の方に集中しきれていない。キャラについては仕方ないと思う。原作はラノベみたいなもんだし(読んだことないけど)、その他ラノベアニメと比べて何か違うかと言われればそうでもないだろう。しかし、その上で「淡々と語る」という媒体にはあまりに向いていないだろう、ということは感じる。特に阪口キャラは、何を考えてしゃべっているのか、というのが見えてこない。1話目だから仕方ない部分はあるんだろうが、何故ああもあらゆる場面で上から目線なのか。何故この男子高校生は2人して全てを悟りきったようなふりをしているのか。おそらくこれは「設定」だろうから、そのバックグラウンドなんてものが出てくるとは思えない。「京アニ・ゆうきゃん・阪口」といえば当然「CLANNAD」なわけだが、あちらの2人の会話が本当に聞いてるだけで楽しかったのとは雲泥の差だ。

 そして、それはキャラ設定とかいうぼんやりした話じゃなく、細かいシナリオにも現れている。説明が多いアニメになるのは仕方ないと思うが、2人の会話の不自然さはどうにかならないものか。例をあげるなら、冒頭、主人公が姉からの手紙を見せるシーン。悪友の方は手紙を受け取って「なるほどそういうことか」という反応をする。この時点で、悪友側は「手紙の内容を見た」わけで、主人公が古典部に入らなければいけない理由は理解している。それなのに、「出来るだけ省エネしたい」と言っていた主人公は、わざわざ「姉が古典部のOGで」と説明を始める。この説明は、あの現場に実際にいたら必要のないものだ。もちろん、姉の人物像を知っているなら持っている資格を尋ねる必要も無いし、それに丁寧に答える必要も無い。1つ1つの台詞の並びが、「そこにある」意味が無い。おかげで台詞が乗ってこない。このちぐはぐで「上滑り」な感じは、無理な説明が必要な1話だけに特有のものなのか、それともシリーズ中ずっと続いていくものなのか。個人的には前者を希望したいのだが、これの原作者が狙ってやっていることをうっすらしっているだけに、不安は残る。

 トータルで見れば、「らき☆すた」の時だってそうだったんだから、きっと京アニは何が何でも面白いものに仕上げてくるだろう、という期待感とプラマイでイーブン、といったところか。「日常」のようなぶん回った高揚感は願うべくもないが、媒体が小説というのは京アニにとっては大きな強みになると思う。最初は警戒しているせいで拒絶反応が強くなっている部分もあるだろうし、もう少し慣れてきて、観やすくなることを期待したい。まぁ、ヒロインがしゃべっててくれればそれでいいんですけどね。

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○「つり球」 4

 ノイタミナ2枠目にして、安定の中村健治作品である。であるが。

 さて、よく分からんものが出てきたなぁ。CMとか見てた感じでは「なんか『君と僕』っぽくね?」という印象だったのだが、幸か不幸かそれとはちょっと様子が違う。ということは、「見ない枠」には入らないってことだ。しかしこれ……何をするアニメなんだろう。正直、1話目では全く分かりません。いや、中村さんのことだから初回で分からないことなんて普通なのかもしれないけども、これまで見てきた数々の中村作品と違って、本当に、怪しさとか難解さ以前に、ぴんと来ない。

 一番の理由は、やっぱり描いている題材だろう。昨今よく話題に上る「聖地商法」を臭わせるような江ノ島のアニメ。普通はそういう狙いならば出来る限り現実に即したものを作中に埋め込んで親和性を強調するわけなのだが、いかんせん絵を描いているのは中村さんなのだ。フツーの風景に落ち着くはずがない。作中に登場する海も、駅も、島も、どこか頓狂はカラーリングで、ざくりと切り落とした中村節に仕上がっている。これじゃぁ流石に、わざわざ「このアニメのために江ノ島を観に行こう」っていう流れにはなりにくそうな気がする。そういう商売がいいか悪いかは別にしてね。とにかく、そうした「よく分からない部分」に筆を裂いており、普段監督が見せてくれているような「現実にはあり得ないもの」の絵面が、今回は中途半端に現実に擦り寄ってきてしまっている。それに加えて、主人公達が何を始めようとしているのかも分からないときている。いや、タイトルを見りゃぁ「釣りアニメ」になるであろうことは理解出来るわけだが、そもそも釣りアニメってなにさ。私は生まれて1度たりとも釣りをやったことがないので、「釣りアニメ」って言われても「うわぁリアルな質感」とかいう感想は一切出てこないだろうし、そもそも中村さんの作品にそういうものは求めてない。うーむ、じゃぁ何を見ればいいんだろうね。

 もちろん、全てを1話で判断するのは早計。特にこの人の場合は真意を読み取るまで時間がかかるんだし、1話の印象がぴんと来なかったからといって視聴をやめるつもりはないです。また、逆説的な物言いになるが、「現実に半端に寄せた中村画」というのは、今までやってなかったことであるのは事実なわけで、ひょっとしたら、今後この画が見たこともない面白い効果を生み出すこともあるかもしれない。「聖地」の話だって、たとえば「現実はこんななのにアニメだとこういう画になるのかよ」という、比較対象として面白く見られる可能性だってある。楽しみ方は押しつけるもんでも押しつけられるもんでもない。次回以降に感じたままに、この作品の良いところも見ていこうと思う。

 中の人の話……はあんまりないなぁ。あ、でも主人公が新人さんなんだってね。全然そんな風に思わなかったわ。本当に男の子の新人はそつのないのが多いよなー。おばあちゃんが平野文さん、というのはとても素敵なキャスティングですね。

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○「坂道のアポロン」 5

 今期ノイタミナ1枠目。なんだかオープニングでYUKIの歌を聴くと、初期のノイタミナが帰ってきた感じがしますな。

 で、少女漫画原作ということで全く知らない作品のアニメ化。一言でいうなら、「男子高校生版のけいおん」である。いや、確実に間違った表現なのだが、一抹の真理はあるはず。どちらかといえばこのアニメは割と「真剣に音楽と向き合う」形になると思われるので、真っ当な「頑張る主人公」を描くドラマの基本設計からいえば、こちらの方が圧倒的にスタンダードな作りといえるだろう。これを先に放送して「バンド活動したい」っていうモチベーションを生み出してから「けいおん」が多少邪道な「バンド」の姿を描く、っていう方が、流れとしては綺麗なのかもしれないけど。

 スタッフは、なんと久しぶりの渡辺信一郎。そして制作が虫プロという謎の布陣。作画面については、少女漫画独特の癖もあるのですぐに入っていける、という感じではないのだが、流石に描くべきポイントは心得ているなぁ、という印象。やっぱりこのテーマの作品ならば音楽に関わるシーン、演奏シーンが最も大事なポイントになると思うのだが、今回描かれたドラムの活躍だけでも、そういうところに時間を割いているのはよく分かる。同じノイタミナ枠の「のだめ」もなかなか面白い描かれ方がなされていたので、この作品についても、そっち方面の面白さは期待したい。あとはまぁ、「男主人公たちの友情のかわし合い」っていうのがどこまで真に迫って描けるか、というところかな。どうも、昨今の風潮だと野郎ばかりの作品は変な層が湧いてくるから怖いのだが……いや、少女漫画原作ならある程度狙い通りなのかな。せめて我々にも見やすい方向性の描写を心がけてほしいところです。1話目は少なくともその辺は気にならなかったのでね。

 中の人的な部分については、男メインなのでそこまで語りたくなるもんでもないが、細谷佳正がまた新しい方向性で仕事をもらっているのがなかなか面白い。幸い彼も西の方の出身なので、ごつごつした九州方言の言い回しにもそこまで違和感はないし、今まで朴念仁ばかりやってきたイメージが強いが、今回みたいな豪放磊落なキャラも案外悪くない。この数年で確実に安定感は増している。そして、女性キャラは、場所柄だけに長崎出身の南里侑香を起用。これは面白い使い方である。やっぱり最終的には「都道府県出身声優」がものをいう時代だぜ。

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○「黄昏乙女×アムネジア」 6

 最速では一週間以上前に始まっていたはずだけど、アニマックス待ちだったのでようやく視聴。原作は何となく既読。コミックス3巻くらいまで中古で買って読んだはずだけど、特に読み返しもせず、場所ふさぎになるので知り合いにあげてしまった。あの当時アニメ化するって知ってたらあげなかったかもしれないんだけど。基本的に幽霊もの、妖怪ものは好きなジャンルなのでねぇ。

 そんなわけで、原作の内容はぼんやりと知っているわけなんだけど、「絵がきれいなのは好きだけど、アニメにしてもそこまで盛り上がるようなお話でもないし、1クールだと大したクライマックスもないよね」と思っていたのだが、そこはさすがの大沼心。いきなりいじってきましたね。果たしてこれは「原作クラッシュ」なのかどうか。個人的には、この1話はかなりお気に入りです。理由はいくつかあるんだけど、一番大きいのは、やっぱりこの作品のキモであるところの「見えない存在である夕子さん」というネタを、わざわざこんな変則構成を使ってまでフィーチャーしたという点。やっぱり、アニメの1話はがっつりと掴みが欲しいところだが、こうして「この作品の面白いところはここなんですよ」というのが明示的に示されると、新規の人たちも見やすいんじゃなかろうか。

 そして、そんな奇妙な脚本だが、ベタといえばベタな展開で、Aパート見てる時点で「ひょっとしてBパートは夕子さんありでやるわけ?」という予想は立つのだが、ここで2つ目のポイントとして、「女の子が可愛い」が活きる。Aパートの時点で、大体部室で何が起こっているかは分かってしまうわけで、本来ならBパートを繰り返すのはしつこいし、だれる展開であるのだが、やっぱり「そこに夕子さんがいる」ことははっきりと違うわけで、2つを見比べることで、夕子さんという存在の特殊性が浮き彫りになる。これってアフレコはどうやったのか気になるんだけど、とにかく勇気のある演出なのは間違いない。まぁ、むしろ「Aパートを見ただけで夕子さんが何をしているか分かる」っていう方が、演出としては難度が高くて面白かった部分ではあるんだけどね。プリントをぺらぺらやってるカットが好きです。

 あとはまぁ、賑やか福圓さん劇場ってことで。今回はメインの4人が雁首そろえていたわけだが、何の紹介もなしに、この4人がどういう立ち位置で、どういう人間なのかが分かる、というのも良い点ですね。小此木さんのテンション芸は何よりも雄弁ではあったのだけどもね。

 大沼心&SILVER LINKという毎度おなじみの組み合わせだが、今作の場合はキャラの等身が比較的高く、さらに夕子さんの場合は「可愛らしさ」というよりも「きれいさ」で見せるタイプのキャラなので、いつものようなおふざけ演出は多少控えめ。もちろん要所要所で大沼節ではあるが、割と素直に見せたいものを見せている感じだ。このままキャラ絵が崩れずに、どこか怪しく綺麗な夕子さんの勇姿が見られればよいなぁ、と思います。

 また、大沼さんといえば、キャストへのオーダーもなかなか無茶なクオリティで要求してくるはず。今回は福圓先生が完全に世界を掌握していたわけだが、ここから先は夕子さんの仕事、つまりは中の人である原由実のお仕事だ。彼女の場合、実はアイマスの貴音役がほとんど唯一の代表作。この夕子さんが大事な大事なステップアップの2歩目ということになる。個人的には割と好みの声なので、ここでしっかり決めてほしいところだ。演技については「あぁ、そうなるのか」というような、ちょっと不思議な感じだが、決して悪いものにはなってないと思う。このまま「謎めき美少女声の声優」として定着……はしないな。

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○「咲 -Saki- 阿知賀編」 5

 割と間が空いたがひょっこりと帰ってきた、謎の美少女(?)麻雀漫画の続編。前作分くらいは漫画も読んでいたのだが、今作分は読んでないので、何がどうなっているかさっぱり分からない状態。だから1話目でいきなり和が出てきたときには正直びびったのです。

 で、本編であるが、この作品に独特な「何の説明もなしにとにかくそこに麻雀がある」要素は本当に健在。なんで田舎の女子小学生が寄せ集まって麻雀やるのか、とか、麻雀メインで進路決めてんじゃねぇよ、とか、なんで昼日中のテレビでワイドショーに混じって女子中学生の麻雀選手権の決勝放送してんだよ、とか、そんなところがすごく健在。でも、この作品の場合にはもうギャグですらないんだよな。大まじめにそんな「アナザーワールド」を描こうとしてるんだもの。結局、麻雀要素を野球でもテニスでもなんでもいいから置換して見れば、純正青春スポ根ものとして問題無く見ることが出来ます。

 で、そんな中身がどやねん、という話だが、まぁ、普通。事前に読んだキャストのコメントによると「咲は超能力麻雀ものだったが、阿智賀編は努力で戦う熱血ものです」ということだったので、おそらく麻雀のルールはろくにしらんのだろうあおちゃんのいうことを信じれば、今後はこのスポ根路線がまっすぐ進行するはずなので、女の子だらけの夢の麻雀世界をそこそこ楽しめればよいかしら、という感じだ。監督は小野学が続投しているし、制作もStudio五組なので、まぁ、大体同じと見て良いだろう(そういえば前作はGONZOだったんだなぁ)。正直言うと現時点で中の人以外にはあんまり肩入れする要素もないのだが、きゃっきゃうふふがある作品なら、それなりの盛り上がりを見せてもらえればある程度の満足は得られるんだと思います。うん、ちょろいよ。

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○「這いよれ! ニャル子さん」 5

 非常に難しい作品である。実に悩ましい作品である。なぜなら、視聴に当たってのノイズが色々と多すぎるからである。1話視聴時点で、このテンションをどのように評価付けして良いものか、なかなか客観的判断が難しい。とりあえず、日本人的無難なところで処理しておこう。

 本作にまつわるノイズは色々あって、放送開始前にちょうど「ニャルアニ」を見たこととかもあるんだけど、やっぱり最大要因は、どう考えても中の人である。この作品にコピーを付けるなら、誰がどう考えても「アスミスアニメ」ということになってしまうだろう。そして、この影響力をさらに増大させる要因として、先日行われたイベントがあった。基本的に、アニメ作品が始まる前にはあまり事前情報を入れないようにしているのだが、ついうっかり、あのイベントの動画だけは見てしまったのだ。だって見るしかないじゃない。荒ぶる阿澄の華麗なる破壊力を。おかげで、1話も始まっていないのにすっかりうーにゃー患者になってしまい非常に弱っていたのだが、アニメ自体も、その病巣を抉るような仕上がりになっているのだ。やはり阿澄ボイスは魔性であろう。

 確かにギャグのテンポは良い。ニャル子の名状しがたいけったいな動きを描いたアニメーションも面白いし、ラストのお風呂シーンなんかで分かりやすい、ニャル子のボディラインの描き方も含めたキャラクターデザインは、割と好みのタイプ。ドタバタラブコメのくせにそこまで積極的にエロさを押し出すでもなく、あくまで馬鹿馬鹿しさを優先させてスカッと見せてくれる方向性はおそらくベストのものだと思う。素点でも割と「楽しめそう」な部分は多い。

 でもさ、ちょっと冷静になろうぜ。これ、ラノベだぜ、GA文庫だぜ。「空から降ってきた女の子とのラブコメ」だぜ。どこをどう掘り下げても新規性はないんだ。一応クトゥルフ絡みという「新しさ」のアプローチはあるかもしれないが、1話を見ればすぐに「あ、これクトゥルフ関係無いな」って分かるじゃない。本当に味付け程度じゃない。その部分を抜いちゃったら、本当にベタでどうしようもない、単なる「ラノベ」なんだぜ。そして制作はXEBECだ。確かに、もう画面を見た感じが一発でXEBECだ。「そふてにっ」の、「れでぃ×ばと」の、「えむえむっ」のXEBECだ。大丈夫なのかと。いや、わたしゃ個人的に「そふてにっ」も「れでぃ×ばと」も好きだったんですけどね。ただ、今作の監督は「えむえむっ」の長澤剛だ。「えむえむっ」は酷かったわよ。その記憶が鮮明なら、正直言って油断は出来ないのですよ。逆に言うなら、この「ニャル子」が面白くなるのだったら、「えむえむっ」は本当に原作が酷かったんだな、ってことで処理出来るのでありがたいのではあるが。どうなるかなぁ……

 いや、予断はよくない。あくまで目の前にあるものだけを見るべきなんだ。なら、やっぱり現状は「判断保留」だ。1話を見て「面白い」と思った部分が13話続けられるかと言われると、やはり不安はある。これが駆け抜けられたとき、また新たなラノベ作品の突破口が見えてくるだろう。まぁ、既に「撲殺天使ドクロちゃん」で走り抜けた後な気もするけども。あ、でも阿漕なオタクネタ回しの中でも、ニャル子が叫ぶ微妙なチョイスのモビルスーツ、モビルアーマーの名前のところはなんか好きだけどね。ギャンとかディジェは叫びやすくて良いけど、これ、シリーズが続いたらだんだん「パラスアテネ!」とか「ボリノークサマーン!」とか叫ぶようになるんでしょうか。

 さて、ここからは中の人の話だ。むしろ本題と言ってしまってもいい話だ。先日のイベント動画を見るにつけ、実際のアニメを見るにつけ、このアニメは徹底的な「アスミアニメ」である。そりゃそうだろう、相方にキタエリを配し、「美少女」まつらい先輩にサポートを頼んでいる時点で、もう「阿澄佳奈を最大限に楽しむための配役」にしか見えない。強いて言うなら井口分が足りないが、阿澄佳奈の行動制限を解除する目的なら、これがベストだろう。このフルスロットルぶりを見れば、もう何も語るべき言葉はない。冒頭の「なんばしよっと!」から明太子犬への派生も期待されたが、とにもかくにも、ぶち切れた阿澄キャラというだけであとは何もいるまい。ニャル子のずるいところは、「ウザイ」「キモい」「面倒くさい」という、福岡犬が有していた全ての属性を持っている事に加え、それでもなお「可愛い」を持ち合わせているという部分だ。ゆのっち、ぽぷらに続く、第3の「阿澄メモリアル」が刻まれた瞬間であろう(好みでランちゃんなどを適宜補完して下さい)。

 ファン目線で見ていると混乱してくるのが、属性的に、真尋さんとニャル子の性格づけが、中の人的には真逆であるという倒錯した状態。「オタクネタ連発で」「常にテンションが高く」「鬱陶しいくらいに好きな人に絡んでくる」って、完全にキタエリまんまじゃないですか。個人的興味としては、キタエリ版のニャル子も見てみたいくらいですよ。真尋さんはいつも通りのキタエリキャラであるんだけど、「ニャルアニ」の時にびしばし決めていたフォークアクションが(放送規制上?)映らないのがちょっと残念ね。丁寧な突っ込みを期待したいと思います。あとは松来先輩によるクー子の到着待ちか。まつらいさん、兼ね役で先生とかやっても、違和感あるだけですがな。頑張れ美少女。

 そして、イベント映像を見て驚愕したのが、意外なる伏兵、大坪由佳である。「ゆるゆり」はあまりサブコンテンツをチェックしていなかったのであまりパーソナリティを知らず、あの4人の中では一番表立った活動が少なくて、「大丈夫なのかな」と思っていた人だったのだが、どうやら高校卒業まで活動制限がかかっていただけらしい。動き始めた大坪由佳は、何かとスペックが高い。つい最近まで高校生だったとは思えない余裕のある舞台回しとクソ度胸は、ひょっとしたら大物になるんじゃないか思わせる、よく分からない勢いがある。役者としての腕にはまだまだ荒削りな部分はあるのだが、声の使い方が割と面白くて、この「ニャル子さん」でもひょっとしたら面白い飛び道具になるかもしれない。そして何より、オープニングの歌唱が一番達者なのが、実はこの若手さんなのである。今後が楽しみだ。ゆるゆり声優はそれぞれに独自進化をとげておるなぁ。

 うわぁ、なんでこんな長文になったんだろう…………いっきものじゃ、なーい!

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○「シャイニング・ハーツ 〜幸せのパン〜」 3

 ある意味話題沸騰、突如始まった謎のパンアニメ。「それいけアンパンマン」「焼きたて!!ジャぱん」に引き続く、日本三大パンアニメの1つである(他に無いだろ、多分)。

 なんじゃいなこれは。「シャイニングなんちゃら」って、元々RPGが原作でしょ? 以前も確か「シャイニングティアーズ」なんてアニメがあったし、その流れであってるんだよね? でも、このアニメは1話かけてパン焼いてた。否、パン届けてた。オープニングからエンディングまで、全部パンだ。それしか記憶が無いぞ。……というか、それ以外に中身もないだろ。何の説明もない謎のハーレムパン屋がエルフにパンをあげて懐かれるだけのお話。これでどれくらい知らない視聴者が食いつくことを期待したんだろう。謎すぎる。冒頭、主人公の布団に女の子3人が襲いかかる圧倒的ハーレム展開に「エロいアニメ?」とか一瞬期待したのに、結局そこからきわどいことなど何も起こらず、単に3人娘が「効率的なパン屋経営」をやっているだけだ。何一つ得るものが無い。そらま、キャラ絵は可愛いんだけどさ、あんまりアニメーションとしての動きに力を入れる要素も無いし、とてもじゃないけど画面での見得を気にして制作しているようには見受けられないんだ。一体何が伝えたいアニメなんだろう。パンのおいしさか。いや、パンもそこまで美味そうには見えねぇよ。

 で、そんなパン屋アニメであるが、私みたいな人間からすると、もう1つ全く別の視点から突っ込みを入れたくなる。それは、このアニメが圧倒的青二アニメであるということだ。出てくるキャラが増えるに従って、戦慄してしまう。まず、冒頭ナレが桑島法子だ。桑島ボイスが聞けるというだけで視聴を続けそうになる危険性が高いが、まぁそれは置いておくとして、彼女の事務所は当然青二。続いてメインヒロイン3名は伊藤かな恵を筆頭に、相沢舞、三上枝織。「売れっ子」「隠れた売れっ子」「売り出し中」と3種取りそろえた青二ヒロイン勢だ。そしてそれを受ける主人公の神谷浩史も当然青二。4人して馬車を借りに行った魔法使いみたいなおばーちゃんは江森浩子さん、この人も青二。そして森で遭遇したエルフの兄妹は、兄貴が何故か神谷兄ぃの兼ね役なので当然青二。妹は広橋涼さんってことで、コンプリート青二。もう、青二しかいねぇ。視聴しながら、そこの部分だけがおかしくて笑ってしまった。涼さんが出てきたあたりは本当に大爆笑である。いや、こんなことで笑う人間も充分気持ち悪いのだが。

 まぁ、おそらくゲームの時点でキャスティング協力が青二なだけなんでしょうけどね。「三国無双」シリーズとかも似たようなもんだし。ということで、青二声優が好きな人、もしくはパンが大好きな人はチェックするといい作品だ。どんなニーズだ。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
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