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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 心臓キュッってなる、第5話。もういろんなカットで本当に痛いくらいにキュッってなる。これまで何シーズンも放送されてきたから忘れがちだが、これだけの作品が何事もないかのように放送されてるのって奇跡なんですよ。ここまでさまざまな粋を集めた結晶がしれっと味わえてしまうのは「致命」なんですよ。そんなことを思い出させる、1つ1つが精神を着実に溶解させていくような、そんなお話。みんな、ちゃんとNHKに受信料払えよ。

 毎年さまざまな出来事が起こっていたあがた祭を舞台に、今年の吹部も煮詰まっていく。その中心にいるのは間違いなく黒江真由。今回はいよいよ彼女を巡っての物語に焦点が絞られていく緊張感が嫌でも感じられる展開。1年生の問題や求の悩みなど、名伯楽・黄前久美子の手によって次々に処理されてきた結果があるだけに、そんな久美子自身が渦中に立たされ、向き合わなければならない問題が出現した時の恐ろしさがじわりじわりとにじり寄ってくる。

 起点となるのは、今年度から採用することにした「オーディション強化制」とでも呼ぶべき新体制。これまでも実力主義を標榜してきた北宇治だったが、この度更なるテコ入れとして大会ごとにオーディションを繰り返すという過酷な決定が下された。麗奈が口火を切るなら「高坂さんまた……」みたいな気持ちにもなったかもしれないが、実際最初に提案したのは秀一。つまり、3年生全体の合意として、そういう空気は流れていたということなのだろう。一番の負担増が懸念される滝センがOKを出したことによってこの方針が正式採用。更なる部活の過酷化に1年生あたりからまた不満も上がってくるかもしれないが、ここでも見るべきは久石奏の周到さ。騒然となるミーティングの中で当たり障りのない質問から「自分は当然部長のご提案に賛成ですよ」という意見をさりげなく加えることで、教室の空気を有無を言わせぬ賛成の流れに持っていった。久美子や麗奈と違って、奏はこういうことを全部計算づくでやってのけるから恐ろしい。しかしそんな久石メソッドにも微動だにせぬ女、それが黒江真由。彼女の心配は、ただただ「またやっちゃいました、が嫌だな……」という懸念。真の実力者たる真由がここで本気を出せば確実に部長の面子を潰す。真由はそう思って善意から及び腰になっているが、その姿勢こそが北宇治の体制を揺るがす不穏分子になってしまうという、何とも皮肉な展開である。

 真由をめぐる問題にはさしもの久石奏も目が曇る。去年あれだけ「実力が無い奴がでかい顔してるのはおかしいやろ」と(心の中では確実に)考えていた奏。もちろん基本スタンスは変わっていないが、そんな彼女でも恩義ある久美子に対しては目が曇る。真由と久美子。現時点での実力はどうなっているのか。奏はおべんちゃらで持ち上げるようなことはしないだろうから、現時点では本気で久美子のソロを疑っていないだろうが、その姿勢がかつて自分が唾棄したものと重なることに、いつか気づくことになるのだろうか。それとも、噂に聞いた巨大なリボンの信念を継承することになるのか。

 もちろん、真由自身もそうした自分の危うい立ち位置は承知しており、何とか既存の部員たちとの関係を深めようと彼女なりに努力している。しかしその静かな圧力の強さに、黄前久美子が初めてその信念を曲げ、思わず真由と対峙することを拒否してしまった。「流されタイプ」の久美子にしては珍しく我欲が勝ってしまったシーンだが、それだけに久美子の中でも真由との関係性は難しいということなのだろう。幸か不幸か、あがた祭の予定については麗奈から突然の「うち今日親いないんだけどサァ」(いるけど)という爆弾発言で辻褄を合わせることはできたが、問題は事実ではなく、「嘘をついてしまった」という久美子の自省の方。真由への負い目ということは、つまりは自分の実力への負い目。最終学年黄前久美子の目標は、このどうしようもないコンプレックスを弾き飛ばすことになるのである。

 祭りの情景をバックに描かれるさまざまな人間模様。求はすっかり憑き物が落ちたように周りの部員との交流を深めるが、もちろん彼の中での目標到達地点は川島先輩である。浴衣姿で当社比351倍可愛くなっている緑輝。少しでも距離を縮めるために、がんばれ男の子。ちなみに元カノ(?)がお祭りに来てすらくれなかった秀一はちょっとかわいそう。ほんとがんばれ男の子。ちなみに奏さんは真っ先に梨々花との約束を確定させています。がんばれ女の子。

 そしてそんな祭りの喧騒から離れての逢瀬となったれいくみ。思い返せば2年前。祭りの醸し出す不思議な喧騒を超え、大吉山に登ったあの日の情景。霊所へと至って繰り広げられた魂の交感は2人の関係性を決定的に変えたが、この度はそんな祭りの「ハレ」をあえて避け、自宅という「ケ」の場所へと辿り着いた。すでに2人にとってこの関係は「特別」ではないのかもしれないが、改めてその頑強さを確認するための重要な儀式。気の詰まることもなく、ただ2人に流れる時間こそが貴重である。ここに今、ユーフォの真髄が宿っている。

 と、ただただくみれいの尊さに頭を垂れていれば良いかと言われると、どうにもそうじゃないのが今作の恐ろしいところで。祭りの会場、喧騒の中で、真由ははるか天上へと舞い上がる2つの火の粉を見ている。あたかも手の届かぬところに至っているかのように見える久美子と麗奈の関係性だが、世に絶対の不可侵などない。少しずつ、少しずつその2人の間ににじり寄る「3人目」の影が見えるだろうか。絶対不可侵だと思われた麗奈の自宅スタジオ内での2人の演奏。偶然ではあるが、久美子の手に抱えたユーフォの色は「銀」である。久美子は自ら、普段あまりやらない行動としてお祭りの金魚を取り、2匹いた水槽に追加の1匹を加えた。ラストカットはおそらくオーディション会場の様子だが、2つ並んだ審査員の机の間には、明らかに割ってはいる構図で受験者の椅子が挟み込まれている。「2」の間に差し挟まる大きな大きな「1」。これが何を意味するのか。特別とは何なのか。たっぷり悩んで、がんばれ女の子。

 
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