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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 消え入るように、最終話。終わりました。終わらせました。色々と渦巻いているところですが、とりあえずそれだけは確かに言えそうです。

 「この終わり方」は、正確にではないが、何となく予想出来ていた人も少なくないのではなかろうか。最後に残された「ピングドラムの形」は、陽鞠と苹果が二人で向かい合う食卓だった。そのことは、すごくまっとうで、ありえないくらいに理不尽で、そして、どこかもの悲しかった。ラストとなった30分を必死に理性で追いながらも、何故かしらないけど目頭が熱くなった。「運命の形」を探し求めたたくさんの命の終着点は、理屈抜きでの残酷さと、唯一無二の救いの一手を見せてくれたように思う。ここに表された物語は、取りようによってはひどく陳腐で、真っ直ぐなお話。でもこれが、一筋縄でいかないだけの幾重もの螺旋の果てにたどり着いたような、妙な感慨もあるのだ。

 冠葉と晶馬。私の言葉でいうなら「正義ともう1つの正義」は、結局その根源で「未来」を求め続けていたことにかわりはなかった。作中の言葉で言うならば、彼らが求め続けてきたものは「光」であり、それはすなわち「陽」鞠である。許されざる道を歩んで望むものを手に入れようとした冠葉と、彼の行動を必死で正そうと追い続けた晶馬。道を分かった2人が最後にたどり着いた記憶の断片は、結局2人とも、「血を分けた」ところで繋がったかけがえの無い絆だった。「生命」の象徴たるたった1つの林檎の実。禁断の果実を見付けた幼い冠葉は、それを晶馬と2人で共有することを選んだ。同じ道を目指して、生き抜くことを選んだ。その繋がりは、目の前にあるものが変わった今においても、不変のものである。陽鞠を救い、世界を繋ぐこと。その目標は、最後の最後に2人の力でなしえることが出来たのだ。

 「世界の乗り換え」が行われるその刹那、冠葉は陽鞠を暗闇から呼び起こし、晶馬は桃果の呪文を苹果へ引き出すための礎となった。「生きることは罰である」と言い続けてきた兄弟は、「未来」と「可能性」の2つを世界に残すために、罰を受け入れることを選択したのだ。「生存戦略」のためにその身を失った冠葉、苹果に代わるために「蠍の炎」に身を焼いた晶馬。長年「生きるという罪」にその身をさらし続けた2人は、全てを精算し、「未来の可能性」だけを次の電車へと託し、去っていった。

 「生命」の象徴たる林檎の実が血しぶきとなり、画面中を飛び回った今回、最終的な「命」は、これまで最もかそけき命であったはずの陽鞠に着地した。それまで陽鞠の命を繋ぎ続けてきた2人の兄弟の姿を残さずに。私は常々、「この作品の最終回は高倉家のちゃぶ台に帰着すべきである」と言っていたが、そのちゃぶ台には、もう冠葉も晶馬もいなかったのだ。その事実が、本当に理不尽で、寂しくて。でも、それ以上の解決策も思いつかなくて。そんなやるせなさが、どうしようもない感情になった。相変わらずひねていて、どこか衒学的な世界。そのくせに、理屈を越えた部分でこの上なく切なかったのは、これまで追いかけ続けた3人の物語が、根源的な何かを揺さぶったおかげなのだろうか。この物語に理屈は通じないだろうが、だからこそ、どこかぶっ飛んだ、どうしようもないものを刺激できるのかもしれない。

 今はまだ、全部が全部消化仕切れる状態ではない。本来なら、「この結末」を理解した上で、また第1話から見直して、このアニメを作り上げた人々の意図を組み上げる作業が必要になってくるだろう。それをやって始めて、「ピングドラムを見た」と言えるようになるはずだ。しかし、とりあえずこのラストを見た上で1つだけ言えることは、「探していたピングドラムは、そこにあった」。それが分かっただけでも、この最終回は一つの収穫だったのだろう。

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